カテゴリー「昆虫(ハチ)」の15件の記事

2011年9月 5日 (月)

お知らせ+コマユバチ科の1種(Braconidae gen. sp.)


 最近は時間が無くてすっかりサボっていましたが、明日より、例年の如く東南アジア方面に2~3ヶ月出張致しますので、また、今後暫くは更新が出来ません。

 写真がないのも寂しいので、かなり以前に撮影したコマユバチ科の1種を載せることにしました。


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シャクチリソバの葉上に居たコマユバチの1種

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/10)



 撮影したのは、3年前(2008年)の11月10日の夕方で、「3丁目緑地」のシャクチリソバの葉上に居ました。もう少し暗くなっていて焦点合わせが難しく、深度が深くなる様かなり絞って撮影した為、写真の品質は良くありません。

 等倍撮影をしたと思うので、体長約5mm弱、翅長は約4mm弱となります。しかし、もう少し大きかった様にも思います。深度を深くする為に、少し引いて撮影したかも知れません。

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一寸面白い顔をしている.単眼が目立つ

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/10)



 始めはヒメバチ科かと思ったのですが、翅脈が良く見えないので、科を判別出来ませんでした。ヒメバチ科の多くには2m-cuと云う横脈があるのですが、角度の関係で写真からはそれが良く見えません。

 しかし、縁紋に接する内側の室に、多くのヒメバチ科には無く、コマユバチ科には有る斜めの翅脈が認められますので、どうやらコマユバチ科の様です。

 かなり姿の美しいハチなので、属にまで落ちないか、ハチ類の掲示板「蜂が好き」に御伺いを立ててみました。しかし、残念ながらコマユバチ科(Braconidae)より下には落ちませんでした。

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非常に繊細な感じがする.美形と言える

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/10)



 それでは、行って参ります。皆様に於かれてはお風邪など召されぬ様、御自愛下さい。


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2011年3月 1日 (火)

タマゴクロバチ科の1種(Trissolcus sp.)?


 最近は、どうも本ばかり読んでいて、Weblogの方はすっかり御無沙汰です。2月の更新は2回のみ、写真は沢山あると云うのに、一寸酷いですね。今日から3月、反省を込めて少し気合いを入れて行こうと思います。

 3月最初の記事は、「三丁目緑地」に生えているケヤキの樹皮下で集団越冬していた小さなハチについての紹介です。前回の「クロハナカメムシ」が居たのと同じ樹です(昨年、同じ樹で撮影した「ヒシモンナガタマムシ?」の最後の写真に写っているハチは、多分今日のハチと同じ種類)。10頭前後の集団が2個所に居ました。


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ケヤキの樹皮下で越冬するタマゴクロバチ科のTrissolcus sp.

(写真クリックで拡大表示)

(2011/02/19)



 体長は、尾端が良く分かりませんが、1.5mm程度、翅端までは約1.7mm、前翅長は約1.2mmです。通常の等倍接写では一寸小さ過ぎるので、テレプラス×2を使用して撮影しました。

 見た時はコバチ類(コバチ上科)と思ったのですが、似た様な形をした小型のハチは他の上科にも居ます。今回の写真は殆ど背面からの写真ばかりです。樹皮下に居る虫は、周囲より窪んだところにいるので、側面からは撮り難いことが多く、今回も何枚か撮ったのですが、使いものにはなりませんでした。背面からの写真だけで保育社や北隆館の図鑑にある検索表を引くのは一寸無理です。しかし、写真を良く見ると、前胸は肩板に達している様に思えます。コバチ上科では前胸が肩板に達しないので、別の上科に属すことになります。

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Trissolcus sp.?.翅には単純な枝脈があるが分かり難い

翅端まで約1.7mmの小さなハチである

(写真クリックで拡大表示)

(2011/02/19)



 ハチ類の検索表としては、図鑑のものとは別に晶文社の「あっ!ハチがいる」に図解検索表があったのを思い出しました。

 早速これを見てみると、細腰亜目→有翅→腹部は前伸腹節の下部に付いている(ヤセバチ上科ではない)→側方から見て触角はテラス状に突出した部分の上に付き、触角柄節は長い→クロバチ上科(Proctotrupoidea)と簡単にクロバチ上科に落ちてしまいました。

 「テラス状に突出した部分」は、横からの写真が無いので不明瞭なのですが、3番目の写真を見ると、触角は顔面から直接伸びているのではなく、何らかの突起の上(背側)から生えている様に見えます。この突起が「テラス状に突出した部分」なのだろうと思います。

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胸部背面後部には2本の縦溝が認められる

(写真クリックで拡大表示)

(2011/02/19)



 クロバチ上科より下への検索は、今日の写真からでは無理です。其処で、北隆館の圖鑑で絵合わせと相成ります。「触角は膝状で棍棒状部があり、翅脈は前縁脈と真っ直ぐな枝脈(縁紋脈)があるのみ」として探してみると、どうやらタマゴクロバチ科(Scelionidae)の様です(クロバチ上科は5種しか載って居らず、その内の4種がタマゴクロバチ科でした)。
 写真のハチには、胸背(中胸楯板)の下半分に少し斜めになった1対の縦溝が認められます。圖鑑の解説を読むと、ミツクリクロタマゴバチ(ミツクリタマゴクロバチ:Trissolcus mitsukurii)には「中盾板の下部に短い側片溝あり」とあります。この縦溝は、或いはTrissolcus属の特徴かも知れません。

 いつも拝見している、おちゃたてむし氏の「明石・神戸の虫 ときどきプランクトン」や、フッカーS氏の「どっこい生きてる」にも、この冬に撮影されたタマゴクロバチが登場しています。その記事の中で、クロバチ類の専門家と思われるKurobachi氏(ほぼ間違いなく名城大学の山岸健三教授)がこのTrissolcus属に付いて幾つかコメントを書かれていました(ezo-aphid氏による伝言もあり)。

 それらに拠ると、Trissolcus属はケヤキの樹皮下などで集団越冬することが昔から知られており、また、コメントを総合すると、中胸楯板に2本の長い溝があるのはTrissolcus属の特徴の様です。

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やや横から見た図.脚の基節は褐色、腿節は暗褐色

脛節付節は褐色.触角柄節は褐色で先端部は

色濃く、梗節繋節は褐色、棍棒状部は暗褐色

(写真クリックで拡大表示)

(2011/02/19)



 フッカーS氏の「タマゴクロバチ」は、今日のハチと同じくケヤキの樹皮下に居たもので、Kurobachi氏によりチャバネタマゴクロバチ(Trissolcus plautiae)と同定されています。しかし、Kurobachi氏が作成された標本写真を見ると、今日のハチとは胸部の形(小楯板の大きさ)がかなり異なります。また、北隆館の圖鑑にあるミツクリクロタマゴバチ(ミツクリタマゴクロバチ:Trissolcus mitsukurii)も、記載の多くは一致するのですが、やはり胸部の形が違って見えます。

 九州大学の日本産昆虫目録には、10種のTrissolcus属が記録されていました。しかし、名城大学の山岸健三教授の「農耕地におけるタマゴクロバチ科の属構成」(2004年)を読むと、日本産タマゴクロバチ科は研究が殆ど進んで居らず、未知種が既知種より遥かに多いと云う世界の様です。

 今日のハチは、タマゴクロバチ科に属し、ほぼ間違いなくTrissolcus属の1種と思いますが、決定的な根拠を欠きます。其処で、「Trissolcus sp.?」と「?」を付けておくことにしました。

 尚、このTrissolcus属のハチは、カメムシ類の卵に単寄生します。カメムシ類の天敵として利用する研究も行われている様です。


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2011年2月 3日 (木)

ヒメコバチ科の1種(Euplectromorpha nigromaculatus


 今日は、昨年の今頃に撮影したコバチを紹介することにします。虫体が小さいにも拘わらず普通の等倍接写をしたので画質は相当酷いのですが、綺麗な種であるのと、種名が判明したので紹介することにしました。

 四丁目の何も生産していない「生産緑地」に生えていたビワの木の葉裏に居ました。ビワもヤツデと並んで、越冬中の虫を探すのには良い場所の様です(残念ながら、このビワの木は昨年の春に伐採されてしまいました)。


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ビワの葉裏に居たEuplectromorpha nigromaculatus

ヒメコバチ科に属す.胸部の構造が独特

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/01/18)



 体長は2.3mm、この小さいハチがコバチ上科に属すことは、翅脈が著しく退化していること、前胸背版の側面が肩板に達しないこと、触角が膝状(柄節=第1節と梗節=第2節の間で折れ曲がる)であることなどから推定出来ます。しかし、コバチ上科には20もの科があり、科を検索表で調べようとすると迷子になってしまいました。

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ビワの葉裏を歩き回るEuplectromorpha nigromaculatus

前翅にはかなり長い縁毛が認められる

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/01/18)



 しかし、北隆館の圖鑑を見ると136種ものコバチの図が載っています。そこで、胸部の構造が類似している科を探すと、ヒメコバチ科(Eulophidae)がよく似ていました。しかし、手元の検索表では、何れもヒメコバチ科は最後の方にあってどうしても辿り着けません。インチキして、ヒメコバチ科から逆に辿っても一寸無理の様です。

 暫く迷っていたのですが、結局ハチ類の掲示板「蜂が好き」にヒメコバチ科で合っているか否かを御伺いすることと相成りました。

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肩には1本のかなり長い剛毛がある

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/01/18)



 コバチやヒメバチは種類が多く、未記載種や未記録種も相当あり、科だけでも分かればよいと思っていたのですが、何と、コバチの研究をされているいしざき氏より、「写真のハチはヒメコバチ科のEuplectromorpha nigromaculatusです.今のところ、この属は日本から1種しか記録されていません」との御回答を賜りました。外見が非常に特徴的な種とは思いますが、科どころか種まで分かってしまったのには、一寸驚きました。

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転節は2節から成るそうだが写真では良く分からない

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/01/18)



 この種は、九州大学の日本産昆虫目録や東京都本土部昆虫目録には載っていません。学名を全て記すとEuplectromorpha nigromaculatus (Ashmead 1904) ですから、目録作成後に記載された新種ではなく、日本では最近まで未記録種であったことになります。[追記:ezo-aphid氏の御指摘により、命名当初の属名はEuplectrusであり、その後Euplectromorpha属に移されたこと、九大目録には昔の儘のEuplectrusで載っていることが分かりました。原記載地は箱根なので、日本では命名年の1904年(明治37年)から知られていたことになります]。

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顔には「人」の形をした黒色の筋がある

前ピンの酷い写真だが、御勘弁を

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/01/18)



 また、いしざき氏の御話では「寄主はわかっていませんが、他種がガ類の幼虫に寄生することが知られています。私も現在寄主探索中です」とのことです。

 実は、このコバチは一昨年に、このビワの木から僅か2~3m離れた所に植わっているミカンの木の葉裏で見つけたことがあります。この話を掲示板に書き込んだところ、いしざき氏もミカンの木で採集されたことがあるそうです。ミカンに付く蛾に寄生するのかも知れませんが、周りには他にも色々な木が植わっており、当然草本もありますから、これだけでは何とも言えません。

 今頃の常緑樹の葉裏や樹皮下を探すと、越冬中のコバチが結構見付かります。小さ過ぎて中々旨く撮れないのですが、金属光沢を放つ綺麗な種類も多く、出来るだけ紹介して行きたいと思います。

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2010年11月17日 (水)

クロスズメバチ(Vespula flaviceps)(雄)


 先日、サザンカに訪花しているクロスズメバチを紹介しましたが、昔撮った写真の整理をしていたところ、別の場所で撮影したクロスズメバチの写真が1枚出て来ました。一昨年、「三丁目緑地」に生えているシャクリチソバの葉上に居るのを撮影したものです。

 その日は、ずっと以前に紹介したワカバグモワカバグモの捕食ヒメフンバエウスイロアシブトケバエの雌、その他の実に沢山の写真を撮った日で、未だに掲載していない種類が幾つか残っている位です。その中のたった1枚の写真ですから、未掲載のまま放置されていたのも当然でしょう。

 しかし、このクロスズメバチ、拡大して見てみると、顔や体に長毛が沢山生えており、先日の個体とは随分雰囲気が違います。シダクロスズメバチかとも思いましたが、複眼内側上部の白斑は幅広く広がっており、明らかにクロスズメバチです。

 それでは、これはヒョッとしてクロスズメバチの雄ではないかと思い、文献やWeb上で雄の写真を探してみました。しかし、働きバチや女王の写真はあっても、雄の詳細な写真は見付かりませんでした。


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シャクチリソバの葉上で休むクロスズメバチの雄

1枚撮っただけで直ぐに逃げられてしまった

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/10)



 他人の撮った写真は見付からなくても、雄か否かは、写真が精緻であれば判別することが出来ます。

 先日紹介したクロスズメバチオオスズメバチの雄のところで書いた様に、スズメバチ科の雄の触角は13節で、雌よりも1節多いのです。そこで、触角の部分を拡大して節の数を調べれば雄か雌かの区別は付く筈です。幸いなことに、右の触角は全体に亘って焦点が合っており、各節の判別が充分可能です。

 今まで、ハチの触角節数の違いには触れても、実際に番号を付けて表示したりはしませんでした(何分にもメンドーなので・・・)。しかし、今回は写真が1枚しかないので、部分拡大の写真を作り、番号を振ってみました。

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上の写真の触角を部分拡大.基部から各節に番号を振った

先頭は第13節で、この個体が雄であることが判明

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/10)



 番号1が柄節で1節のみです。2は梗節で他の節よりもずっと短くこれも1節だけです。3以降が鞭節で、その第1節(番号3)は他の節(番号4以上)よりもずっと長いのが分かります。順に番号を振って行くと、先端は番号13、と云うことは触角は全部で13節、この個体が雄であることを示しています。

 真っ正面からの写真がないので良く分かりませんが、頭楯にある錨形の黒紋が一寸雌より細い様に思います。また、腹部の白帯が6本あるか否か(雌は5本)は、お尻の先の方が良く見えないので何とも言えません。今後、晩秋に毛深いクロスズメバチを見つけたら、シッカリ写真を撮って腹部の白帯の数も勘定してみようと思っています。

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2010年11月11日 (木)

クロスズメバチ(Vespula flaviceps


 今日は、また一昨年にサザンカの花に来ていた虫を紹介します。体に纏わり付いたりすることもよくあるクロスズメバチ(Vespula flaviceps)です。このサザンカの花には、かなり沢山のクロスズメバチが来ていました。ミツバチならともかく、クロスズメバチがこんなに沢山訪花するとは知りませんでした。


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サザンカの花に早朝やって来たクロスズメバチ

腹部の白帯が5本であり雄ではない

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/25)



 クロスズメバチは、スズメバチ科(Vespidae)スズメバチ亜科(Vespinae)に属し、クロスズメバチ属(Vespula)には、「日本の真社会性ハチ」に拠ると6種7亜種が生息しています(この文献には1新種が含まれているので、九大目録では5種6亜種になっています)。

 しかし、本州以南の平地でみられる白黒模様のクロスズメバチ属には、クロスズメバチとシダクロスズメバチの2種が居るだけです。

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横から見たクロスズメバチ.サザンカの花に比して随分小さい

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/25)



 この両者の区別は、やはり顔を見れば分かります。頭楯(大まかに言えば左右の触角基部から口の間)は両側が白く、中央に黒い太い錨の様な紋があります。この黒い紋が頭楯の下端に達しているがシダクロスズメバチ、達していないのがクロスズメバチです。

 また、複眼の内側から上部にかけて白い部分がありますが、これの上部が膨らんで、先の文献の表現を借りれば「ヌスビトハギの実に酷似」しているのがクロスズメバチ、細く「くの字」形になっているのがシダクロスズメバチです。

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葉の間から顔を出したクロスズメバチ

頭楯の黒紋は口に達していない

複眼内側の白紋は上部が丸い

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/25)



 上の写真のクロスズメバチの顔を見ると、頭楯の黒斑は明らかに下端には達して居らず、複眼内側の白斑は上部が丸まっています。従って、何も形容の付かない只のクロスズメバチ(Vespula flaviceps)となります。

 この写真を撮影したのは2008年10月25日です。もう雄バチが発生して良い時期ですが、写真のハチは雄でしょうか。

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訪花中のハチの多くはこの様に体を丸めるので

写真を撮る方としては苦労が絶えない

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/25)



 先日紹介した「オオスズメバチ(雄)」のところで、雄バチは触角が長く、雌では12節であるのに対し雄では1節多い13節あり、個々の節の長さも雌より長いので、全体としては雌よりもかなり長くなる、と書きました。これは、クロスズメバチにも当てはまります。

 ハチの触角は基本的に3部分に分けることが出来ます。基部にある普通は長い柄節が1節、その次に脚ならば転節に当たる短い梗節が1節、その先の鞭状の部分を鞭節と呼びます。この鞭節は、分類群や種類によって節数が違いますが、大型のハチの多くでは雌10節(触角全体で12節)、雄11節(同13節)です。

 スズメバチ科の場合、鞭節の第1節がそれ以降の節よりもかなり長くなっています。このクロスズメバチでも鞭節第1節が非常に長く、第2+第3節とほぼ同じ長さがあります。このことを頭に入れて、3番目の写真を拡大して見ると、鞭節は10節、全体で12節です。雄ではなく、雌、多分、働きバチでしょう。

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複眼内側の白紋は「ヌスビトハギの実」に似ている

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/25)



 クロスズメバチの幼虫や蛹は「蜂の子」として食用に供され、長野県伊那谷周辺の名物として知られています。多くは、クロスズメバチではなくシダクロスズメバチ(巣がずっと大きく、最大3万房を越える)だそうですが、かの地では一般に「ヘボ」と総称されています。

 Web上で調べると、同様の食習慣は隣県にも及び、岐阜県加茂郡東白川村では「ヘボ」ではなく「タカブ」と呼ばれ、「東白川タカブ研究会」と云うシダクロスズメバチに関する研究会があることを知りました。そのHPの中に、雄の特徴として、触角の節数や全体の長さの違いだけでなく、「腹部の白い帯の数も違う・・・メスは5本、オスは6本である」と書かれています。これは、腹節が雌では第6節までなのに対し、雄では第7節(何れも見かけの腹部で前伸腹節を含まない)まであるからでしょう。

 最初や2番目の写真を見ると、白帯の数は明らかに5本です。この点でも、これは雌であることを示しています。



[追記]:同じ一昨年に撮影したクロスズメバチの雄の写真を1枚見つけましたので、新たに別記事として掲載しました。興味ある読者諸氏は此方を御覧下さい。(2010/11/17)

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2010年10月28日 (木)

オオスズメバチ(Vespa mandarinia)(雄)


 毎年秋になると、「オオスズメバチ 雄」のキーワードで検索して、拙Weblogを来訪される読者が居られます。4年前に「オオスズメバチ」を掲載しているせいでしょうが、これは働きバチで雄ではありません。

 そこで、最近撮ってまだ掲載していない写真は沢山あるのですが、今日は一昨年の今頃に撮ったオオスズメバチ(Vespa mandarinia)の雄を紹介することにしました。スズメバチ科(Vespidae)スズメバチ亜科(Vespinae)に属します。


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オオスズメバチの雄.触角は女王や働きバチより長く13節

寒さで凍えてヘタっている.勿論、飛ぶことは全く出来ない


(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/27)



 写真は手乗りになっていますが、見つけた時は、2年前の10月から11月にかけてウスキツバメエダシャクホシヒメホウジャクワタヘリクロノメイガ等を掲載したサザンカの垣根の根元にある溝蓋の上を這っていました。夜の11時頃でした。

 多分、まだ暖かい頃にサザンカの花に吸蜜にやって来たのが、夜になって寒くなり、飛べなくなって下に落ちてしまったのでしょう。こう云う感じの虫は、手を出すと直ぐに乗ってきます。手は温かいし、また、爪の引っ掛かりが良いのかも知れません。

 これは雄バチですから刺すことはあり得ませんが、雌でもこの様に弱ったハチは簡単に手乗りになり、決して刺すことはありません。

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サザンカの花粉で真っ黄色.腹部の黄帯もこれに劣らず黄色い

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/27)



 オオスズメバチの雄は、働きバチや女王蜂とはかなり違った感じの蜂です。何処が違うかと言うと、一般に働きバチよりもかなり大きく、全体的に黄色味が強いのです。今日の写真のオオスズメバチも一目で雄と分かりましたし、私は小学生の頃からクヌギの樹液に集るオオスズメバチを追い払いながらクワガタその他の昆虫を採って来たので、この区別にはかなり自信があります。もし、区別を間違えていたのなら、今までに何回もオオスズメバチに刺されていたことでしょう。

 しかし、北隆館の圖鑑やWebでこのことを確認しようとすると、これが何とも怪しいのです。雄が平均的に働きバチよりも大きいのは確かですが、特に黄色い部分が多い様には見えません。そこで、以前撮った働きバチの写真と今日の写真を比較してみると、どうも働きバチの方は黄紋と云っても橙色に近く、雄の方は橙色よりは黄色に近いのではないかと思います。圖鑑の場合は標本写真ですから、作成後に時間が経てば、黄色と橙色の区別は少し難しくなるでしょう。

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もう1枚、上とは反対側から

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/27)



 その他の違いとしては、雄は触角が長く、雌では12節であるのに対し、雄では、最初の写真でお分かりの通り、13節あります(基部から2番目の梗節は非常に短い)。個々の節の長さも雌より長いので、全体としては雌よりもかなり長くなります。

 また、頭楯の形が違います。頭楯とは、大まかに言えば、触角の付け根と口器との間の部分です。以前掲載したオオスズメバチの写真には頭楯がよく写っていませんが、オオスズメバチの女王蜂や働きバチには頭楯の下半分に先の尖った突起が左右に2対あります(コガタスズメバチでは、更に中央に短い突起が1本あります)。しかし、雄では下の写真の様に、先の丸まった突起、と言うか、単なる凸凹程度のものになっています。

 これらが一番確実な違いですが、捕まえるか精緻な写真を撮って良く見なければ、一寸分かり難いでしょう。

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正面から見たオオスズメバチの雄

頭楯の突起は丸く、凸凹程度

(写真クリックで拡大表示)

(2008/10/27)



 この写真をこれまで掲載しなかったのは、拡大して見ると、私の手が非常に荒れていてまるでオジイサンの手の様だったからです。多分、水仕事でもした後だったのでしょう。本当は、こんなに荒れてはいません。

 私も結構見栄っ張りの様で・・・。


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2008年11月21日 (金)

コガタスズメバチ


 これまで、六丁目のある御宅に植えられているサザンカの花に来ていた虫を何種か紹介しましたが、それらは全て蛾類でした。しかし、ハチ類もかなり来ていました。今日はその中から、コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)を紹介します。

 以前、このWeblogを始めた頃に、オオスズメバチをコガタスズメバチと間違えて掲載してしまったことがあります(この記事は既に訂正してあります)。しかし、今回のは間違いなくコガタスズメバチです。


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コガタスズメバチ(越冬前の新女王).右側にある

開きかけのサザンカのに潜り込む直前

頭部胸部は既に花粉だらけ

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/10/23)



 コガタスズメバチは、名前の通り、オオスズメバチより一般に小型ですが、小型のオオスズメバチと大型のコガタスズメバチは非常によく似ています。尾端は何方も黄色で、腹部の配色はよく似ており、しかも個体変異が大きいので、腹部の模様では全く区別ができません。

 よく知られているのは、頭楯の形の違いです。顔を正面から見て、頭楯と呼ばれる顔の中心にある橙色の構造の下側が2つに分かれているのがオオスズメバチ、3つに分かれているのがコガタスズメバチです。

 この時は正面からの写真を遂に撮ることが出来ませんでしたので、これではオオスズメかコガタスズメか分かりません。

 しかし、違いはもう一つあります。オオスズメバチの胸部背中には橙色の斑紋(小楯板が橙色)があるのに対し、コガタスズメバチでは胸部はほぼ真っ黒です。写真のスズメバチの背中には紋がありませんから、これはコガタスズメと言うことになります。

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コガタスズメバチ.小楯板は無紋

(2008/10/23)



 写真を撮ったのは10月下旬で、晩秋にはよく雄蜂が花に吸蜜に来ます。現にオオスズメバチの雄が来ていました。しかし、この個体は雌です。時期を考えると、越冬前の新女王でしょう。雄は触角が雌よりも長く、雌が12節なのに対し、13節あります。一番最後の写真の触角部分を拡大して勘定してみると12節しかないのが分かります。

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サザンカの花に頭を突っ込む

(2008/10/23)



 日本全土には7種のスズメバチ(Vespa属)が棲息しています。その内、この辺り(東京都世田谷区西部)に居るのは、オオスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチの3種だけの様です。ヒメスズメバチは尾端が黒いので見分けやすい種類ですが、子供の頃を含めて一度も見たことがありません。専らアシナガバチの巣を襲って生活する種類ですから、この辺り程度のアシナガバチの数では生存できないのでしょう。

 キイロスズメバチも見たことがありません。この種類は、元々「田舎」に住むハチだと思っていましたが、最近は都市部や住宅地にも進出している様です。その内、見る機会があるかも知れません。ハチ好きとしては楽しみな話です。

 チャイロスズメバチは分布が局限されており、この辺りに出現したら新聞ネタになります。また、ツマグロスズメバチの分布は宮古島以西ですから、この辺りで会いたいと思っても、それは無理と言うものです。

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吸蜜中、花粉も食べているのかも知れない

お尻の先は黄色(2008/10/23)



 コガタスズメバチは成城の住宅地内では一番普通のスズメバチです。オオスズメバチが土中や樹洞などに営巣するのに対し、コガタスズメバチは灌木の間などの樹上に巣を作りますから、営巣できる場所は住宅地の中に幾らでもあります。

 我が家の様な極々狭い庭でも何回か営巣したことがあります。巣の大きさは最大直径20cm位でハチの数も少ないですし、温和しい性格なので、刺される可能性は先ずありません。私がこちらに移る前(両親が住んでいた頃)には、年末に植木屋さんが来て漸く巣のあることに気が付いた、と言うこともありました。

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サザンカの花から出て来て飛び立つ瞬間

触角を数えると12節ある
(2008/10/23)



 今日6時過ぎの気温は2℃、真冬並みです。雲一つ無い快晴で陽射しは強いのですが、日中でも風の冷たい一日でした。写真を撮りに行く予定を取り止めにして、Weblogの更新をすることにしました。


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2008年9月20日 (土)

キオビツチバチ


 七丁目の家庭菜園に行く時は、六丁目と七丁目の出来るだけ虫の居そうな道を通って行きます。以前紹介したヨツスジトラカミキリは、その様な道の途中で見付けた虫です。

 今日紹介するキオビツチバチも、やはり七丁目の家庭菜園へ行く途中で撮影しました。しかも、ヨツスジトラを見付けたのと同じ六丁目にある御屋敷の垣根に絡んでいたヤブガラシの花に居ました。


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キオビツチバチ.真っ黒な体に黄色い斑が1対ある

触角が長いので雄.体長は2cm位で雄としては大型

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/08/20)



 キオビツチバチは、この辺り(東京都世田谷区西部)では昔から数の少ないハチです。子供の頃でも、1年に数回見るだけでした。現在でもその頻度は殆ど変わりません。

 何時も直ぐに逃げられてしまい、中々写真が撮れないのですが、ヤブガラシの花蜜は余程美味しいらしく、今回はゆっくり撮影することが出来ました。

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体中に点刻があり、毛が密生している

(2008/08/20)



 この個体は、触角が長いので一目で雄であることが分かります。雌の触角はこれの1/2位でしょうか。昨年、家で撮った雌の写真がありますので、比較したい方はこちらをどうぞ。

 体長は20mm位です。北隆館の圖鑑に拠ると、雄は11~20mm、雌は15~25mmとなっていますから、雄としては大きな個体と言えます。

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普通はこう言う体を曲げた格好で吸蜜している

(2008/08/20)



 キオビツチバチの腹部第3節の左右にある黄色斑は、雄では中央で連結して帯状となる場合や、退化して小点となることもあるそうです。圖鑑に「雄では」と書いてあるところをみると、雌の黄色斑は一定しているのでしょう。

 よく似た種類に、アカスジツチバチが居ます。第3背板の斑紋の色が黄色ではなく赤味を帯びているのと、頭部に橙黄色斑がある(キオビに斑はない)ので直ぐに分かります。なお、雄では斑紋が消失して全身真っ黒になることも多いそうです。昔、数度見たことがあり、採集したこともありますが、最近この辺りでは全く見かけません。

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吸蜜中のキオビツチバチ.口吻の先から下唇or下唇髭が出ているのが見える

(2008/08/20)



 キオビツチバチはツチバチ科に属します。この仲間の雌蜂は、ネキリムシ(コガネムシ類の幼虫)が土中に潜んでいるのを感知すると、穴を掘って土中を進み、ネキリムシを刺して麻痺させ、その横に産卵するのだそうです。孵化したツチバチの幼虫はその麻痺したネキリムシを食べて成長します。

 なお、昨日掲載したアオメアブの属すムシヒキアブ科の幼虫もネキリムシを餌としています。こちらの方は、土中を徘徊してネキリムシを探しながら捕食するのだそうで、逞しさの点ではツチバチ類より1枚上手と言う感じです。

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オマケにもう1枚.触角を下げて吸蜜するのは雄の習性?

(2008/08/20)



 このWeblogで、ツチバチ科のハチを紹介するのはこれが初めてです。ツチバチ科には、その他に黄色と黒のトラ模様の仲間が数種居るのですが未だに掲載していません。それは、この辺りに少ないからではなく、種の判別に自信がなかったので掲載を躊躇っていたからです。今年の早春に北隆館の「新訂 原色昆虫大圖鑑第3巻」を入手しましたので、今年は掲載することが出来そうです。


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2008年8月28日 (木)

ヒメハナバチの1種


 以前にも書きましたが、私は虫の中ではハチが一番好きなのです。しかし、種類が分からなかったり、良い写真が撮れなかったりして、中々紹介する機会が有りません。今回のハチも今一つ種類が分からないのですが、何とも愛らしいので掲載することにしました。

 ミツバチ上科(Apoidea:ハナバチ上科とも呼ぶ)の1種であることは確かですが、その先が分かりませんでした。一見したところ、ヒメハナバチ科と思ったのですが、腹に花粉を沢山付けているので、ハキリバチ科の様にも思えました。


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ハルジオンに訪花したヒメハナバチの1種

下側の翅の影響で、前翅第3肘室が

2つに分かれている様に見える

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/07/05)



 「三ツ池緑地」のハルジオンに訪花していました。体長は12mm程度だったと思います。前述の様に、腹部の下側に花粉を付けているので、ハキリバチ科と思ったのですが、翅脈を見るとやはりヒメハナバチ科(Andrenidae)の1種の様です。

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腹部裏面に花粉が沢山付いている(2008/07/05)



 ハチ類は斜め前から撮ると可愛く写りますが、正面から撮るとかなり恐い顔になる種類が多い様です。しかし、このヒメハナバチは正面から撮っても、中々愛らしい顔をしています。

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ハチは斜め前から見るのが一番愛らしい(2008/07/05)



 恐く見えないのは、顔面に毛が沢山生えているからでしょう。しかし、ハチの検索は外骨格の構造に拠ることが多く、この様に毛が生えているとその下の外骨格が見えず、検索表を追えなくなってしまいます。

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正面から見ても可愛い(2008/07/05)



 また、検索では脚の符節の先にある爪の構造が問題になることも屡々あります。しかし、これは極く小さい構造ですし、写っていなかったり、焦点外になっていたり、或いは、花粉にまみれていたりして、多くの場合よく見えません。

 ハチ類の検索を写真から行おうとすると、この様な問題が色々出て来て、大概は行き詰まってしまいます。困ったものです。

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可愛いので、オマケにもう1枚(2008/07/05)



 このところ気温の低い日が続いて、何となく秋めいて来ました。我が家では、デュランタ・タカラズカやキク科の花が咲き始め、色々な虫達もそれにつられてやって来ます。珍しい虫ではなく、ヤマトシジミやキチョウなどの超普通種ですが、この様な普通種は外に出た時には撮る気がしません。それよりも、我が家には居ない「珍しい」虫を優先してしまうからです。

 結果として、このWeblogに超普通種が登場しないことになってしまいます。しかし、それでは「成城の動植物」を万遍なく紹介していることにはなりません。我が家で撮った写真は、もう1つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」で紹介するのが基本ですが、この様な普通種は「我が家の庭・・・」ではもう掲載済みですし、これからは我が家で撮ったものでもこちらの方で紹介して行きたいと思います。



追記:この頁は始め「ハキリバチの1種」としていましたが、lago氏より以下のコメントを賜りました。






 ハキリバチの一種と断言されていますが、ハキリバチではないと思います。各地に極普通に見られる2化性のヒメハナバチの一種の雄に非常によく似ています。翅脈もハキリバチのものではないようです。腹部の下側に花粉を付けている=ハキリバチではありません。写真の状態は腹部の下側に花粉を「付けている」のではなく、「付いている」状態だと思います。

 先日購入した「Borror and Delongs's Introduction to the Study of Insects」に詳細な検索表と翅脈の図が載っており、この本で調べた結果、御指摘の通りこれはヒメハナバチ科(Andrenidae)のヒメハナバチ亜科(Andreninae)のハチであることが判明しました。これに伴い、表題以下を適切に書き改めました。

 ハナバチ類の翅脈に関して重大な勘違いをしていたことに気が付きました。lago氏には、貴重な御指摘を賜りましたこと、この場を借りて厚く御礼申し上げます(2009/02/04)。

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2008年7月 9日 (水)

スミゾメハキリバチ(ムナカタハキリバチの雌)


 今日はハチを紹介します。全身真っ黒なハキリバチ、スミゾメハキリバチです。撮影場所は「四丁目緑地」です。

 実はこのハチ、昨年我が家の庭に現れたのですが、ハキリバチ科であると言う以上に種類が分からず困っていました。それが1ヶ月ほど前、偶然あるサイト(何処だか忘れてしまいました)にこのハチにそっくりな写真があるのを見付けました。それがスミゾメハキリバチでした。研究社は勿論、北隆館の図鑑にも載っていない種なので、記載を照合することが出来ず多少の不安がありますが、信頼度が高いと思われる幾つかのサイトに掲載されていますので、まず、間違いないでしょう。


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スミゾメハキリバチ.全身真っ黒で体長は約15mm

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/05/22)



 我が家では昨年ニワナナカマドが開花したとき、毎日の様にやって来ました。実に落ち着きの無いハチで、花穂の中をバタバタと暴れ回り?(花粉を腹に付ける為?)、こんなに写真を撮り難かった虫は他に知りません。カメラの視野の中に入れるのが精一杯と言う感じで、入ったら焦点など気にせず即シャッターを切るしか手がありませんでした。

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横から見たスミゾメハキリバチ.腹部下面の花粉運搬毛に

殆ど花粉が付いていない(2008/05/22)



 しかし、この「四丁目緑地」に現れた個体は何故か温和しく、直ぐにカメラに収まりました。更に不思議なことに、その後ヒメジオン(ハルジオン?)の花にしがみついて動かなくなりました。何処か体の具合が悪いのか、何かに寄生されているのか、或いは、寿命で死期が迫っていたのか、理由は分かりませんが、写真を撮る方にとっては絶好の機会で、頭部をシッカリ等倍接写することが出来ました。

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全身真っ黒でも、頭部と胸部の結合部分は白い(2008/05/22)



 ハキリバチ科はミツバチ上科に属し、花粉を集めます。多くのハチは後脚の何処かに花粉を付ける特殊な毛を持っていますが、ハキリバチ類は腹部下面に花粉運搬毛を持ち此処に花粉を付けます(中にはムカシハナバチ科メンハナバチ属の様に花粉運搬毛を持たず、花粉を花蜜と一緒に呑み込んで運ぶハチも居ます)。

 横から撮った写真を見ると、このハチの腹部下面には殆ど花粉が付いていません。やはり、何処か具合が悪くて充分仕事が出来ていない様です。

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ハチは顔を斜め横から拡大して見ると実に可愛い(2008/05/22)



 このスミゾメハキリバチ、実は雌に付けられた名称で、雄は普通のハキリバチで黒くはなく、かつては別種とされてムナカタハキリバチと言う名前を付けられていました。現在では同一種であることが確認され、雄の方のムナカタハキリバチが標準和名にされているとのことですが、特徴のない雄蜂の名称より、独特の色をした雌の名前の方が種の特徴を良く表しているのではないかと思います。


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もう少し拡大(2008/05/22)



 なお、我が家で撮ったやはり種不明のハキリバチの雄(花粉運搬毛を持たない)が、調べてみると、このムナカタハキリバチ(雄)でした。興味のある方はこちらを御覧下さい。

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しかし、真っ正面から見ると恐い顔

葉を切り取る為の大顎が如何にも強力そう

(2008/05/22)



 これで「四丁目緑地」で撮った昆虫の写真は、一部の種不詳のハエを除いて、全部掲載し終わりました。今日は天気が回復しそうですので、何処かへ新たなネタを探しに行く予定です。


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