カテゴリー「植物(草本)」の25件の記事

2009年3月30日 (月)

ツタバウンラン

 3月に入ってから、春の雑草としてオオイヌノフグリコハコベヒメオドリコソウの3種を掲載しました。しかし、何れも余りにありふれていて、書く方としても気が引けてしまう様な植物でした。そこで今日は、多少は陳腐でない植物を紹介しようと思います。
 ゴマノハグサ科のツタバウンラン(Cymbalaria muralis)、この辺りではこれまで見た記憶のない植物です。しかし、Googleで検索すると6,500位はヒットするので、決して珍しい植物ではない様です。

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不動坂下付近に咲いていたツタバウンラン
花の幅は1cm程度.右下に地上を這う茎が見える
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/21)

 咲いていたのは不動坂下近くにある電信柱の根元です。この辺りは傾斜地なので、石垣が多い所です。ツタバウンランはロック・ガーデンに植えることが多いそうですから、何処かこの近くの御宅で石垣にでも植えたのが逸脱して、電信柱の根元で咲いていたのかも知れません。
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もう少し近づいて見る.中々可憐な花
(2009/03/21)

 在来種ではなく原産は欧州です。大正元年にロック・ガーデン用植物として渡来したそうで、北海道と本州で野生化しているとのことです。ツタカラクサの別名があります。写真を見ても、茎が地上を這っているのが分かりますが、所々で不定根を出すのだそうです。その不定根により植物体を固定するので、ロック・ガーデンの様なところでも滑り落ちないで済むのでしょう。
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葉には浅い切れ込みがあり先は僅かに尖る
(2009/03/21)

 花は葉腋に単生します。オオイヌノフグリやコハコベなどよりは少し大きく、幅約1cmあります。花の形は、同じくゴマノハグサ科の雑草、トキワハゼによく似ています。ゴマノハグサ科植物の花には色々な形がありますが(先日のオオイヌノフグリもゴマノハグサ科)、何故か、こう言う形の花を見ると、如何にもゴマノハグサ科と言う感じがしてしまいます。
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ツタバウンランの花.雌蕊も雄蕊も見えない
(2009/03/20)

 保育社の帰化植物図鑑に拠ると、雌蕊は1個、雄蕊は4個だそうですが、花を外部から見ても雌蕊雄蕊は見えません。花の形(唇形花)の似たシソ科(例えばヒメオドリコソウ)やキツネノマゴ科の植物では、雄蕊は上唇にくっ付いているので良く見えます。同じ唇形でも、やはり科が違うだけあって、花の構造はかなり違います。
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横から見ると、花の後に距があるのが分かる
(2009/03/20)

 果実は球形で径5~6mm、真ん丸で下垂するそうです。種子は径1mmで基本的に球形ですが、図鑑を見ると、複雑な深い皺を持っています。
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オマケにもう1枚.花の下側から撮影
(2009/03/20)

 このツタバウンラン、花も葉っぱの形も気に入りました。果実の熟す頃になったら、種子採取を兼ねて、もう一度見に行ってみるつもりです。

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2009年3月28日 (土)

ヒメオドリコソウ

 3番目の春の雑草はヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)です。撮影地は「四丁目緑地」ですが、これも先日のオオイヌノフグリコハコベと同じく、この辺り(東京都世田谷区西部)で何処でも見られる早春の草花です。

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群生するヒメオドリコソウ.オオイヌノフグリと混生している
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 シソ科の帰化植物で、保育社の帰化植物図鑑に拠れば、欧州原産、明治26年(1893年)に松村任三(日本植物分類学の先駆者、東京帝国大学附属小石川植物園初代園長)が東京の駒場で見つけたのが最初の記録だそうです。その後全国に拡がり、今や、東京や長野では害草化しているところもある様です。また、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」には、広く世界中に帰化していると書かれています。
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もう少し近寄って見る.真っ直ぐではなく少し斜上する
(2009/03/19)

 上の写真で分かる通り、下の方に着いている葉は長い葉柄を持ち、先の丸い心臓形をしていますが、上部に行くにつれて葉柄が短くなり葉先が尖って来ます。この写真では見えませんが、最上部の葉は無柄の包葉になっています。
 また、本種の特徴として、上部の葉は赤紫色を帯びます。
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ヒメオドリコソウの上部.葉は赤化している
葉の間から花が頭を出している
(2009/03/19)

 茎は真っ直ぐではなく、やや斜めです。普通、斜めに撮影された植物は、写真を調整するときに直してしまうのですが、これは本来が斜めなので、その儘斜めにしてあります。
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花を拡大(2009/03/19)

 花は長さ1cm程度、シソ科ですから唇形をしています。雄蕊が4本上唇に接しており、雌蕊はその中にあって目立ちません。
 1個の花だけを拡大してみました(下)。正面から見ると、上唇の上側と葯の後側にある毛が目立ちます。花冠の内側は無毛です。
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1個の花を拡大.上唇上面と葯裏側の毛が目立つ
(2009/03/19)

 ヒメオドリコソウの花は、葉腋に着き、葉の間から頭をチョコンと出した感じです。中々横から全体が見えないのですが、沢山の花の中から探して横から撮ったのが下の写真です。花冠の基部が長く細くなっているのが見えます。殆ど無柄です。
 また、上唇も下唇も1つの花冠から出た突起に過ぎないことが良く分かります。毛は花冠の外側全体に生えている様です。
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横から見たヒメオドリコソウの花.(2009/03/19)

 葯を高解像度で撮ってみました。まだ咲き始めで、上の写真の様に葯が充分開裂していません。4個の雄蕊の中央に雌蕊がある様に見えますが、今一つハッキリしません。
 下唇が邪魔をして葯の存在する面と焦点面を合わせることが出来ず、下側の葯では一部焦点が外れています。しかし、まァ、偶にはご愛敬と言うことで、御勘弁下さい。
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葯の拡大.一部焦点が外れているが、まァ、ご愛敬
(2009/03/19)

 ヒメオドリコソウと似た春の草花に、同じシソ科のホトケノザがあります。屡々ヒメオドリコソウと混生しており、時に間違える人も居る様です。これも撮ってありますから、近日中に紹介しましょう。

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2009年3月24日 (火)

コハコベ

 春の雑草、その第2段はコハコベ(Stellaria media)です。撮影したのは、先日のオオイヌノフグリと同じく四丁目の国分寺崖線下ですが、今、町の何処でも開花が見られる雑草の一つです。
 コハコベの同属近縁種によく似たミドリハコベがあります。保育社の植物図鑑のコハコベ(図鑑ではハコベが和名でコハコベは別名となっている)の解説には、「一般にはミドリハコベとともにハコベといい小鳥の餌とする。また春の七草の一つとして正月七日のかゆに入れて食べる」と書かれています。しかし、コハコベは下の写真の様に、地面に匍匐する感じで葉も小さく、どうも私の感覚では、ミドリハコベの方がハコベらしいと言う印象があります。なお、このミドリハコベも近日中に紹介する予定です。

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地面を這うコハコベ.花は小さくて良く見えない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 ナデシコ科に属しますから、葉は対生で、花弁は普通5枚です。花は小さく(上の写真では何処に咲いているのか分かり難い)、径は7mm程度、しかし、何時も撮っている小さいハエ(例えばノゲシケブカミバエ)やチャタテムシと較べれば、随分大きな被写体です。
 葉は殆ど無毛です。花柄と茎の片側には白っぽい軟毛が生えており、それが筋の様になっています。これは、保育社の図鑑に拠れば、サワハコベを除くハコベ属(Stellaria)共通の特徴です。
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コハコベの先端部.花柄や茎の片側に軟毛が生えている
(2009/03/15)

 花を等倍接写してみました。小さいですが、中々綺麗な花です。個々の花弁が2深裂し、一見10枚の様に見えます。花弁の後に毛の生えた萼がありますが、その長さが花弁よりやや長いのがコハコベの特徴です。
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コハコベの花.花弁と萼は5、花柱は3、雄蕊3
(2009/03/15)

 雌蕊は3つに分かれ、雄蕊は此処に掲載した写真では何れも3本です。しかし、雄蕊の数はかなり変動的で、保育社の図鑑には1~7と書かれています。
 綺麗なので、正面からの写真を3枚載せることにしました。
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コハコベの花(その2)
(2009/03/15)

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コハコベの花(その3)
(2009/03/15)

 正面からの写真では、花は平らに見えますが、実際は中心部がかなり窪んでいます。斜め横から撮ると、下の写真の様になります。
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斜め横から見たコハコベの花
(2009/03/15)

 3月中下旬には6回も写真を撮りに行ったので、また写真が沢山溜まってしまいました。春先は虫よりも花を着けた雑草の方が種類が多いので、今後暫くは植物が続くこともあるかも知れません。

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2009年3月18日 (水)

オオイヌノフグリ

 ここ数日、如何にも春らしい好天が続いています。15、16日と写真を撮りに行って来ました。更に、昨日(17日)も買い物ついでにカメラをぶら下げて行ったので、全部でかなりの種類を撮影することが出来ました。しかし、撮影と写真の整理に時間がかかり、写真の仕上げや原稿を書いたりする余裕はありませんでした。
 漸く写真の一部が出来たので、今日はその中から、如何にも春らしい植物、オオイヌノフグリ(Veronica persica)を紹介します。ゴマノハグサ科に属す極くありふれた雑草ですが、綺麗な色をした花を沢山着け、密生すると中々素敵です。

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オオイヌノフグリ.密生すると非常に綺麗
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/15)

 現在は何処にでもある雑草で、中々日本的な風情のある花を着けます。しかし、これも帰化植物です。保育社の「原色日本帰化植物図鑑」には、原産は西アジアで、「明治20年(1887年)頃、東京に帰化していることが牧野富太郎、大久保三郎などによって認められた」と書かれています。
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もう少し近づいて見る
(2009/03/15)

 撮影したのは4丁目の国分寺崖線下です。ハコベやオランダミミナグサと一緒に生えていました。今、町内の何処でも見られる、と言ってよいほど彼方此方で咲いていますが、此処ほど高密度で咲いている所は少ないと思います。
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更に接近(2009/03/15)

 花は径約1cmと小さく、大部分は鮮やかな青色をしており、1本の雌蕊と2本の雄蕊があります。花弁が4枚ある様に見えますが、ゴマノハグサ科は合弁ですから、1個の花冠が4深裂しているのです。
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オオイヌノフグリの花.雌蕊1本雄蕊は2本
(2009/03/15)

 オオイヌノフグリは、在来種のイヌノフグリと同属近縁で、それよりも全体的に大きいので付けられた名前です。フグリとは陰嚢のことですから、随分酷い名前です。しかし、帰化植物図鑑に参考として載っているイヌノフグリの果実を見ると、「な~るほど」と思ってしまいます。オオイヌノフグリの果実は先端が少し尖っていて、余り「ふぐり」を思わせる形ではありません。
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横から見た図.花全体に焦点を合わせようとしたが一寸無理で
かえって中途半端なボケ具合の写真になってしまった
(2009/03/15)

 昨年秋に撮った写真はまだまだ沢山残っていますが、これらは基本的に今年の秋に1年遅れで出すことにして、これからは暫く季節に相応しい動植物を紹介することにします。

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2009年2月13日 (金)

ノゲシ(ハルノノゲシ)

 完全に時季外れの植物ですが、今日はノゲシ(Sonchus oleraceus)を紹介します。撮影したのは、先日のシロノセンダングサと同じく、国分寺崖線下の四丁目にある休耕地の様な空地です。しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)では何処の空地にも生えていると言って良い位、何処にでも生えている雑草です。

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ノゲシ、ハルノノゲシとも呼ぶが晩秋でも咲いている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/14)

 一名、ハルノノゲシとも呼ばれます。図鑑には「頭花は普通4~7月に開き」とありますが、この写真を撮影したのは11月中~下旬です。実際の花期はもっと長い様です。
 似たような名前にアキノノゲシがあります。これは図鑑に拠れば8~10月に咲くとあり、実際、春に咲くことは無いそうです。形態的には、葉がノゲシよりもずっと細長く、また、花は薄い黄色で1つの花序にノゲシよりもずっと多くの花を着けますから、間違えることはありません。なお、ノゲシは史前帰化種と推測されていますが、アキノノゲシは在来種です。
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ノゲシの葉の基部は左右が三角形となり先が尖る(2008/11/22)

 外見がノゲシによく似ているのは、オニノゲシの方です。これは欧州原産で、明治25年に東京小石川に帰化しているのが見つかり和名が与えられた、と保育社の帰化植物図鑑に書かれています。名前の通り、ノゲシよりも植物体全体がごつく、葉の先は尖って針状となり、かなり触れると痛いそうです。少し探してみましたが、この辺りには、オニノゲシは生えていない様です。
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ノゲシの1花序に付く花の数は少ない
ハナバチの1種が訪花している
(2008/11/22)

 ノゲシとオニノゲシの違いは他にもあります。ノゲシでは2番目の写真に示した様に、葉の基部が細長い三角形となり、先が尖っているのに対し、オニノゲシでは半円形で全体が丸くなります。
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ノゲシの花.全て舌状花からなるが、周辺の方が舌の部分が長い
(2008/11/22)

 この葉形の違いは、様々な図鑑やInternet上の多くのサイトにも書かれていますが、現物を見ると判別に苦しむ時もあります。そう言う場合は、やはりもっと基本的なところで判断すべきでしょう。
 何が基本かと言うと、それは種子の形状です。こう言う特徴は、環境因子で容易に変化するものではありません。
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ノゲシの穂(2008/11/14)

 ノゲシの種子は縦筋の他に横筋が目立つのに対し、オニノゲシにはこの横筋が殆どありません。
 ノゲシとオニノゲシの種子の図は、保育社の「原色日本植物図鑑」や「原色日本帰化植物図鑑」にも出ていますし、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」にもオニノゲシ種子の写真が出ています。
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ノゲシのそう果.冠毛がリッパ.横筋が目立つ
(2008/11/22)

 ノゲシの穂から、冠毛の付いたそう果をむしり取って撮ったのが、上の写真です。随分リッパな冠毛ですね。種子には明らかに横筋が認められます。
 更に、冠毛を取り去って種子だけを拡大撮影したのが下の写真です。縦の筋が深いのに対し、横筋は殆ど皺の様な浅い構造である様に見えます。しかし、これには一寸注意が必要です。何方もストロボ同期で撮影していますが、ストロボの光は上方から来ます。上の写真では光と平行に並んだ縦筋は目立たず横筋が目立つのに対し、下の写真では種子が横に置いてありますから、逆に縦筋が目立ち横筋は目立たなくなります。種子を縦に置いて撮影して置けば比較が出来たのですが、下の写真の横筋は、実際はもっと明瞭であると考えるべきでしょう。
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種子だけを拡大.横に置いた為、横筋が目立たない
(2008/11/22)

 ここ1週間程、風邪気味で文章を書く気にならず、更新をサボっていました。その間に調べてみると、9~10月に撮ってまだ掲載していない写真が山程あるのでウンザリしてしまいました。折角撮った写真です。完全に時季外れになりますが、このWeblogは日記的要素が少ないので、一つずつ掲載して行くことにします。

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2009年1月30日 (金)

ハナイバナ

 先日掲載したシロノセンダングサが生えていた場所(四丁目の国分寺崖線下)には、その他にも色々の花が咲いていました。今日はその中からハナイバナ(Bothriospermum tenellum)を紹介します。

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ハナイバナ.些か頼りのない植物で斜上する
花は何処にあるのか分からない位小さい
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/22)

 ムラサキ科の在来種で、高さ10~30cm程度の背の低い雑草です。花は小さく直径2.5mm前後しかありません(図鑑では径3mm)。最近、このいう小さい花を見ると、何故か「撮ってやろうじゃないか」と言う気になってしまいます。「マクロ屋」の習性と言えるかも知れません。
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もう少し近づいてみる(別個体)
花は小さいが果実はかなり大きい
(2008/11/22)

 撮影したのは、シロノセンダングサと同じ11月の中頃です。図鑑に拠ると、花は3月から12月にかけて咲く、とありますから、厳冬期を除いて1年中咲いていることになります。但し、多年草ではなく、「1-越年草」だそうです。
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上の個体の拡大(2008/11/22)

 花の色は、写真を撮っている時は白だと思っていたのですが、写真を拡大してみると、僅かに青を帯びていました。花が小さ過ぎると、色が良く分からなくなるのでしょうか。
 花は小さいのですが、写真でお分かりの通り、花後に萼片も花柄も成長し、花よりもずっと大きな果実を着けています。
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ハナイバナの花.確かに葉に包まれて咲いている
(2008/11/22)

 和名のハナイバナは、何処で切ったら良いのか一寸分かり難い名前です。調べてみると、ハナイバナは漢字で書くと「葉内花」で、葉に包まれて咲くのでその名がある、と多くの植物関連サイトに書かれています。「イバナ」と言う植物は探しても見つからないので、「ハナ・イバナ」は無理な様です。
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花をもう少し拡大.拡大してみると少し青味を帯びている
撮影中には分からなかったが、花の上にゴミが乗っている
(2008/11/22)

 小さな花ですが、良く見てみると、ワスレナグサに似ています。ワスレナグサもムラサキ科ですから、花の大きさや色は違っても、その基本構造は大して違わないのでしょう。
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殆どピクセル等倍.花弁が少し汚れているが
撮影中には気が付かなかった.左上にある
茶色のものは萎れた花弁であろう
(2008/11/22)

 このハナイバナの様に、小さくても結構綺麗な花を着ける雑草は、この辺り(東京都世田谷区西部)にも沢山あります。このWeblogの植物部門は昆虫と較べるとかなり低調ですが、こう言う雑草を取り上げるならば、暫くは安泰です。

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2009年1月23日 (金)

シロノセンダングサ

 今日は久しぶりに植物を紹介します。昨年の秋に「四丁目緑地」近くで撮影したキク科の雑草、シロノセンダングサ(Bidens pilosa var. minor)です。Bidens pilosaはコセンダングサのことなので、シロノセンダングサはコセンダングサの変種として位置付けられている訳です。
 両者の違いは、前者が黄色い筒状花(集合花の中心部にある筒状の花)の他に白い舌状花(集合花の花弁状に見える花)>を持つのに対し、後者は筒状花のみで舌状花を欠くことです。葉の形や種子には殆ど違いが認められない様です。何れも相当昔(シロノセンダングサは弘化年間に渡来とされています)からある帰化植物ですが、近年になって都会の雑草として急激に分布を拡げているとのことです。

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シロノセンダングサ(Bidens pilosa var. minor
白い舌状花を持つ.夕方で木漏れ日の為、見難い写真になっている
普通はもっと大きな株になるが、100mmレンズでは撮れないので
小さな株を選んである.(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/14)

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上の写真の部分拡大.舌状花は余り発達していない
真ん中の花の上にいる虫はヒメナガカメムシであろう
(2008/11/14)

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花の拡大写真.舌状花の発達がわるい
(2008/11/14)

 シロノセンダングサは、シロバナセンダングサ、或いは、コシロノセンダングサと呼ばれることもあります。白い舌状花を持つのでコセンダングサの変種と言うことになっていますが、舌状花の長さは様々で、酷いのになると極く小さなものが1つの頭花に2個程度しかない場合もあります。この辺りでは、明らかに舌状花を欠くのでコセンダングサとすべき株もあり、両者は混淆して生えています。
 また、此処で示した写真の多くは11月14日に撮ったものですが、その時は舌状花を持っていた株も、12月6日に行ったときには筒状花のみを付けていました。素人がこういうことを言ってはいけないのですが、本当に変種という程の違いがあるのか、かなり疑問を感じます。
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白い舌状花を欠いて黄色い筒状花しかない様に見えるが
原画を拡大すると極く小さな白い舌状花があるのが分かる
(2008/11/14)

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まだ充分に伸張成長していないシロノセンダングサ
既に頭花を付けているが、筒状花のみの様に見えるので
コセンダングサと言うべきかも知れない
(2008/11/14)

 1年草で、花は秋に咲きます。しかし、中には上の写真の様に、まだこれから成長すると言う感じの、高さ20cm位の株もありました。既に頭花が生じていますから、後は伸張成長で高さを稼ぐだけでしょう。
 この蕾には舌状花が無い様に見えます。原画を拡大しても同じなので、これはコセンダングサと言うべきなのかも知れません。
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果実(種子)を付けたシロノセンダングサ
(2008/11/14)

 果実(種子)の写真はシロノコセンダングサとコセンダングサが混淆しているところで撮りました。此処では「シロノセンダングサの種子」と書いていますが、コセンダングサの種子も入っているかも知れません。しかし、何れの株でも種子先端の棘は2つのものが殆どでした。
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果実の全体.先端に2本(稀に3本)の棘がある
(2008/11/14)

 センダングサ類の種子は、所謂「ひっつき虫」になります。私がこの「ひっつき虫」と言う言葉を知ったのはつい最近です。小学生の頃はオナモミ(オオオナモミ?)の果実を投げて、友達のセーターにくっ付けて遊んだりしていましたが、この言葉を使ったことはありません。「バナナ虫」(ツマグロオオヨコバイのこと)と同じく最近出来た言葉なのか、或いは、何処かの方言だったのではないでしょうか。
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1個の種子を拡大.縦筋と先端の棘
棘に生えた逆向きの剛毛が見える
(2008/11/14)

 種子を拡大してみました。種子には数本の縦筋が認められ、種子の中央部より先の部分には斜め前を向いた小さな棘があります。種子の先端には2本の大きな棘があり、その棘には逆向きの剛毛(小棘と言う感じですが、保育社の帰化植物図鑑には「剛毛」と書いてあります)が生えているのが見えます。これが衣服に引っ掛かって「ひっつき虫」になる訳です。
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種子の先端を拡大(2008/11/14)

 種子の先端部を更に拡大したのが上の写真です。何か、魚を捕る銛を思わせる形をしています。これが衣服に刺されば容易に取れない様にも思えますが、実際、私が履いていた毛織物のズボンに付いた種子は、一寸払うだけで簡単に取れてしまいました。
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花が終わり種子が成長し始めた
(2008/12/06)

 上の写真は、花が終わって種子が生長し始めたところです。先端の棘や逆向きの剛毛が見えますが、これは花の咲く前から既に存在している構造です。
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種子が成長し、果実が開き始めた
(2008/12/06)

 最後の写真は種子が成長し、1個の果実として開き始めたところです。更に開くと6~7番目の写真に示した様な全体として球形に近い形になります。

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2008年12月 7日 (日)

カナムグラ(雌株)

 随分前のことになりますが、何処かの新聞に、平成になって殆ど見られなくなったものの一つとして「空地」が挙げられていました。出入りが自由で、子供達が遊ぶことが出来たり、或いは、雑草がボウボウに生えている空地のことです。成城には「空いている土地」が沢山あります。普通の町よりもかなり多いのではないかと思います。しかし、みな堅牢な囲いで被われたり、或いは、定期的に除草されたりして、雑草の生い茂っている空地は殆どありません。先日掲載したイヌホオズキハギメンガタカスミカメ等が居た空地はかなり雑草が茂っていて、虫を探すのには良い場所だと思っていたのですが、残念ながら、今はもう建設工事が行われています。
 私が子供の頃は放置されている空地が彼方此方にありました。その様な空地に生える雑草の上を覆い被さる様に蔓延っていた蔓植物が、このカナムグラ(Humulus japonicus)です。

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秋のカナムグラ(雌株).まだ緑色の葉と、枯れかかった黄色い葉
果穂は赤紫色をしている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/14)

 我が家の向かいの土地は、戦前から昭和40年代まで、草ボウボウの空地でした。250坪位もある広い空き地で、奥の日陰になる部分にはササ等が生えておりゴイシシジミが居ましたが、陽の当たる部分の大半はこのカナムグラに被われていました。カナムグラの蔓や葉柄には逆向きの鋭い棘が沢山生えています。容易に千切れない蔓で、カナムグラのカナは「鉄」から来ているのだそうです(因みに、ムグラ=葎は荒れ地などに茂る雑草の総称と辞書に書いてあります)。
 子供の頃、夏になると毎日の様にこの空地に虫を採りに行きました。小学生の頃は半ズボンですから、この棘にやられて夏の間は脚中傷だらけです。カナムグラを随分恨みに思ったものです。
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雌株花序の拡大(2008/11/14)

 しかし、最近はこのカナムグラ、殆ど見かけることが無くなりました。国分寺崖線の下側に位置する四丁目の小さな空地と「三丁目緑地」の極く一部の他では、余り見た記憶がありません。
 今まで知らなかったのですが、カナムグラはアサ科(以前はクワ科)の1年草だそうです。最近の空地には定期的に除草が入るのが普通ですから、1年草では簡単に絶えてしまうのでしょう。
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別のカナムグラの花序(雌株).茎や葉柄には逆向きの棘が見える
(2008/11/14)

 同じ様な蔓植物としてヤブガラシがあります。藪の上を被って下の植物を枯らしてしまうと言うほど蔓延る植物で、これは今でもそこいら中に生えています。多年草で太い地下茎を持っており、一旦成長して地下茎に栄養を蓄えると、何度除草をしてもまた新芽を出してきますし、除草剤をかけても簡単には枯れません。
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上の写真中央の果穂を拡大(2008/11/14)

 カナムグラは雌雄異株で、雄株は上向きの円錐花序を、雌株は下向きの球果の様な花序を付けます。雄株の花穂はかなり大きく一寸目立ちます。
 今日の写真は11月の中旬に撮った雌株です。果穂がいい色具合をしているので、昔の恨みを棄てて、撮ってみました。カナムグラは、ビールの原料になるホップと同属の近縁種です。果穂の写真、特に下の写真などは、確かにホップに似ています。
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上の果穂の先端を更に拡大.この写真はストロボ同期で
撮ってあるので背景は真っ暗(2008/11/14)

 もう果穂も熟していて、丁度葉の上に種子が1個落ちていました。この種子、マクロレンズで見てみると中々綺麗です。模様も味わいがあるので一寸撮ってみました。種子の2枚目の写真は、1枚目の裏側です。少し厚みのある種子なので絞り気味にして撮影しましたから、解像力は余り高くありません。こうして見ると、種子の真ん中だけを高解像度で撮っておくべきでした。
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カナムグラの種子.下は少し枯れかかったカナムグラの葉
(2008/11/14)

 ところで、カナムグラはキタテハの食草です。昔、我が家の庭ではキタテハはアカタテハやルリタテハと並んで極く普通のタテハチョウでした。特に、柿の成る季節になると、落ちた柿の実に(サト)キマダラヒカゲと一緒によく来ていました。
 しかし今では、我が家だけではなくこの付近一帯で、キタテハは非常に少なくなりました。カナムグラがこれだけ減っては、それを食べるキタテハが見られなくなるのも当然と言えるでしょう。
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カナムグラの種子.上の種子の裏側
(2008/11/14)

 カナムグラを掲載したのであれば、当然ヤブガラシも紹介すべきでしょう。しかし、もうヤブガラシの葉は枯れて落ちつつあります。来年の盛夏にでも、キチンと紹介することにします。

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2008年11月20日 (木)

ヒヨドリジョウゴ

 どうも「成城の動植物」の植物部門は非常に低調です。これまでに掲載した全214件の記事の内、植物全体で僅か24件、しかもその内、栽培種を除く自然に生えて来た植物は17種しかありません。
 最近は出入りの出来る空地が非常に少なくなったのは困ったものです。しかしまァ、物騒な世の中になってきましたから、隣に出入り自由の空地があると、その隣家としては不安を感じるのでしょう。
 世田谷区の管理する「緑地」には色々な雑草その他の植物が自然に生えてきます。しかし、屡々除草作業が行われます。植物の成長には時間がかかり、また、昆虫と違って動けませんから、除草が1回入ると、もうそれでお終いになってしまうことが多いのです。
 今日紹介するヒヨドリジョウゴ(Solanum lyratum)も、花が着くまでは撮れたのですが、赤い綺麗な実が成るのを待っていたら、その前に除草されてしましました。

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ヒヨドリジョウゴ.蔓性と言うが典型的な蔓植物ではない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/09)

 見てお分かりの通り、ナス科の植物です。例によって帰化植物かと思いましたが、調べてみると在来種でした。在来種と思うと、何となく心が和みます。
 写真のモデルになってくれたのは、6丁目のある御宅の垣根になっているサツキの合間と、つい最近出来た世田谷区の「成城三丁目崖(はけ)の林市民緑地」(以下「崖の林緑地」)に生えていた2本です。何方も、残念ながら実を結ぶ前に除草されてしまいました。
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ヒヨドリジョウゴの花穂.茎や花軸は非常に毛深い
葉の形は朝顔を思わせる.「崖の林緑地」で撮影
(2008/10/07)

 花の大きさは、以前掲載したイヌホオズキとほぼ同じで、直径1cm位です。小さい花ですが、白い花冠の中心に黄色い雄蕊があるのが目立ちます。花弁は5枚あります。しかし、ナス科ですから、花冠が5裂しただけで、基部は繋がっています。
 蔓性の植物とされていますが、ヤマノイモの様な蔓ではなく、半蔓性とでも言うべきでしょう。一番上の写真を見ても、蔓には見えません。茎が細いので、長くなると自分で立っていられないと言う感じで、アメリカイヌホオズキ(近日中に掲載予定)と似ています。
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ヒヨドリジョウゴの花と蕾
(2008/10/09)

 ヒヨドリジョウゴは漢字で「鵯上戸」と書きます。ヒヨドリが好むと言う意味だそうですが、全草にソラニン(ナス科植物の多くに見られるアルカロイド系毒素)を含みますので、実際は殆ど(全く?)食べないそうです。
 毒は屡々薬になります。中国語ではヒヨドリジョウゴを白英、その乾燥したものを白毛藤と呼んで帯状疱疹(帯状ヘルペス)、解熱、利尿等に利用するとのことです。
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上と同じ花を別角度から撮影
(2008/10/09)

 ヒヨドリジョウゴには、直径8mm程度の真っ赤な実が付きます。真ん丸で艶がありとても綺麗な実です。除草されてしまったので、今回は撮れませんでしたが、今後もし見付けたら、追記として写真を載せるつもりでいます。
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ヒヨドリジョウゴの花(拡大).「崖の林緑地」で撮影
(2008/10/07)

 昨日から急に気温が下がり、今日の朝は約3℃でした。昼間はかなり強い陽が射していましたが、庭で見かける虫は真冬と同じホソヒラタアブクロヒラタアブだけになってしまいました。兪々、冬の到来の様です。

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2008年10月20日 (月)

イヌホオズキ

 もう時季遅れになってしまいましたが、今日はナス科の雑草、イヌホオズキ(Solanum nigrum)を紹介します。家庭菜園(第2ファミリー農園)に行く途中の七丁目にある空地に生えていたものです。
 学名でお分かりの通り、食用のナスと同じナス属の植物です。しかし、果実は直径7mm程度と小さく、熟すと紫黒色になります。勿論、食べられません。
 イヌホオズキは全草にソラニンを含んでいる有毒植物です。しかし、漢方では「龍葵」と称し、解熱剤、利尿剤として使用する様です。なお、ある書籍に拠ると、柔らかい茎や葉は、よく茹でこぼしをすれば、食べて美味しいとのことです。

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イヌホオズキ.茎が部分的に紫黒色になっている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/02)

 イヌホオズキと言うと、何となく在来種の様な響きがあります。しかし、保育社の「原色日本帰化植物図鑑」には、「日本には古い時代に入ったものと思われ・・・」と書かれており、有史前に渡来した所謂史前帰化植物の様です。
 類似種にテリミノイヌホオズキ(S. photeinocarpum)、アメリカイヌホオズキ(S. americanum)があります。
 なお、上記図鑑に拠れば、その他にもムラサキイヌホオズキ、アカミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキ等があり、「この一群は似たものが多く再検討しないとよくわからない」と書かれています。また、Internetで検索すると、更にオオイヌホオズキという種も出て来ます。残念ながら、こららの種に付いては文献の持ち合わせがありません。此処では、只のイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキの3種に限って考えることにします。
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イヌホオズキ.上と同じ群落(2008/09/02)

 テリミノイヌホオズキは、名前の通り果実に強い光沢があるので、容易に見分けることが出来ます。
 しかし、これでは果実が無いときには区別が出来ません。私はテリミノイヌホオズキを見たことがないので困るのですが、かなりアメリカイヌホオズキ(後述)に似ている様です。ただし、葉は全縁のことが多く、花数はイヌホオズキに似て多く、また、花色は白で紫色を帯びることは無いそうです。花の付き方は、図鑑に拠れば、アメリカイヌホオズキの様に一点から散形に付きますが、1花だけ離れて付くことがあるとのことです。
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イヌホオズキの花(その1).白色で紫色を帯びない
(2008/09/02)

 アメリカイヌホオズキは北米からの帰化植物です。北米からの帰化植物と言うと、ヒメムカシヨモギ、セイタカアワダチソウ、オオハンゴンソウ、オオマツヨイグサ等、背が高くて頑丈な植物を思い浮かべますが、このアメリカイヌホオズキはイヌホオズキよりずっと華奢で一寸意外な植物です。写真のイヌホオズキが生えていた空地にアメリカイヌホオズキの群落もありましたので、何れ紹介する予定です。
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イヌホオズキの花(その2)
(2008/09/02)

 「ずっと華奢」と言っても良く分からないでしょうから、イヌホオズキとアメリカイヌホオズキの具体的な違いを書いておくことにしましょう。
 先ず、葉がイヌホオズキでは色濃くやや厚めで幅も広くシッカリした感じですが、アメリカイヌホオズキの葉は、やや細めで薄くペラペラしており、色も薄めです。なお、図鑑によると、何方も粗い鋸歯があることが多いとのことですが、写真のイヌホオズキでは全縁になっています。
 茎は何れも斜上します。しかし、前者では太めでシッカリ立つのに対し、後者では細く半分蔓の様な感じで横に拡がります。また、前者の茎の色は濃く、時に紫黒色を帯びることがありますが、後者は葉と同じ薄めの色です。
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花の拡大(2008/09/02)

 花は何れも基本的に同じ形をしています。しかし、花冠の径はイヌホオズキが6~7mm、これに対してアメリカイヌホオズキでは4~5mmとやや小さめで、また、少し細めです。
 大きく異なるのは、花の色です。前者の花は白だけですが、後者の花は屡々紫色を帯びます。近縁種で花が紫(青)色を帯びるのはアメリカイヌホオズキだけだそうですから、これは大いに役立つ区別点になります。
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色づき始めた果実(2008/09/02)

 果実は何方も艶の少ない紫黒色です。しかし、アメリカイヌホオズキの方がやや小さい様で、また、若干艶があります。イヌホオズキでは花枝に数~10個程度付くのに対し、アメリカイヌホオズキでは2~5個しか付きません。
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上から見た未熟な果実.花軸に沿って交互に花柄が出る
(2008/09/08)

 イヌホオズキでは、写真で示したとおり、花柄は花軸に沿って交互に1つずつ出ます。一方、アメリカイヌホオズキでは、花柄は集中して花軸のほぼ1個所と言って良い位の狭い範囲から散形に出ます。これも変化の少ない重要な区別点です。
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熟した果実.艶がない(2008/09/08)

 イヌホオズキはアメリカイヌホオズキよりも花期が1ヶ月程早い様です。比較のためにアメリカイヌホオズキの実が熟すのを待っていたのですが、その実が熟す頃には、イヌホオズキの方はもう枯れ始めていました。

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