プラタナスグンバイ(その2:集団越冬中)
これまでプラタナスの樹皮下に居た生き物として、チリグモ、ハイイロチビフサヤスデを紹介しました。しかし、居ておかしくない、或いは、居るはずの虫が見当たりませんでした。
3年前の秋に掲載したプラタナスグンバイ(Corythucha ciliate:グンバイムシ科)です。プラタナスの樹皮下で集団越冬すると聞いていたのですが、1頭も見付かりませんでした。
![]() プラタナスグンバイ.成城学園大学正門のイチョウ並木の続きに 植えられているプラタナスの樹皮下にいた.100頭近く居る (写真クリックで拡大表示) (2010/02/08) |
最初に調べたのは七丁目の成城学園高校の前に街路樹として植えられている数本のプラタナスです(この通りに植えられている街路樹の大半はユリノキ)。そこで、別の日に成城学園大学正門のイチョウ並木の続きにあるプラタナス(六丁目)を調べてみました。
居ました、居ました。それも相当な数です。
![]() 同じ樹の別の場所.90頭前後は居る (写真クリックで拡大表示) (2010/02/08) |
プラタナスの樹皮は、ケヤキの樹皮に似て、普通は薄く剥がれます。その薄く剥がれた(剥がした)部分(最初の2枚の写真)にも沢山居ましたが、少し病変した様な裂け目状の部分(下)にも固まって越冬していました。
部分的には折り重なって越冬しています。正確な数は分かりませんが、印象として、樹1本当たり数1000頭は居る感じです。
![]() 病変した様な裂け目状の部分に固まって越冬している (写真クリックで拡大表示) (2010/02/03) |
3年前に掲載したときは、プラタナスグンバイの寄生はそれ程酷くはなかったと記憶しています。そこで、かなり呑気に「アワダチソウグンバイとは異なり、プラタナスグンバイで樹が枯れたと言う話は聞きません。また、吸汁性昆虫に良く見られるウィルスを媒介すると言う話も無い様です。グンバイムシを殺す為に強力な殺虫剤を使って、周囲の生態系にまで影響を及ぼすよりは、そのままにしておいた方が良いのかも知れません」等と書いていました。しかし、最近ではかなり猛威を振るっています。8月頃から葉が黄色に変色し始めます。
![]() 2番目の写真の左上を拡大。折り重なっている (写真クリックで拡大表示) (2010/02/08) |
樹1本当たり数1000頭も越冬しているのでは、今年は春からかなりの被害が出そうです。世田谷区にプラタナスグンバイの駆除に関して問い合わせをしてみましょう。
しかし、小田急線の成城学園駅前北口に植えられている数本のプラタナスでは、プラタナスグンバイは見付かりませんでした。駅前のプラタナスは毎年酷く寄生されていますから、或いは、区の方で既に殺虫剤を撒いたのかも知れません。
なお、プラタナスグンバイは北米原産の帰化種(外来種)です。虫自体についての話は既に書きましたので、今回は省略します。
![]() 数頭のプラタナスグンバイを拡大. (写真クリックで拡大表示) (2010/02/03) |
3年前に掲載したときは、虫の拡大率が余り高くありませんでした。そこで、今回はもう少し倍率を上げ、また、見やすい様に明るめに、且つコントラストを少し高くしました。拡大し過ぎて粗い像になってしまった様ですが、連続4枚張ることにします。
![]() 3年前の写真は些か倍率が低かったので、今回は拡大率を 高くした.翅端まで4mm弱、外骨格は脆く壊れ易い この個体は胸部と左前翅の先端付近が壊れている (写真クリックで拡大表示) (2010/02/03) |
![]() この個体も右前翅先端が欠けている (写真クリックで拡大表示) (2010/02/03) |
![]() 斜め横から見たプラタナスグンバイ 横から見ると吻は丸くなっている (写真クリックで拡大表示) (2010/02/03) |
![]() 略正面から見ると、吻は尖っている (写真クリックで拡大表示) (2010/02/03) |
3日連続で更新しました。最近では奇跡に近いくらい珍しいことです。しかし、明日は外出せねばならず、更新は一寸無理でしょう。
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