ウスイロチャタテ科(Ectopsocus sp.)の卵塊
昨日、ウスイロチャタテ科(Ectopsocidae)に属すEctopsocus sp.の雄を掲載しました(雌の方はこちら)。今日は、その直ぐ近くで「ついでに撮った」同種の卵塊と思われるものを紹介しましょう。
ついでに撮った(と言うかチャタテムシの卵の記録として参考程度に撮った)ので写真は1枚しか無く、しかも、親と思われる個体と卵塊の両方に焦点を合わせようとしたので、卵塊の右上は焦点を外れています。
ところで、先日、私もよく御邪魔しているBABA氏のWeblog「虫をデザインしたのはダレ?」の2012年2月19日付記事に、常緑樹の葉裏に屡々見られる、これまで正体不明であった金属光沢を持つドーム状の構造が、実はチャタテムシの卵であったと云う「大発見」が載っていました。この「金属ドーム」は私も屡々見ており、例えば、2010年3月15日に掲載した記事「マルトビムシの1種」の写真1枚目の左下に写っています。
そのBABA氏の記事に関して、Psocodea氏(チャタテムシの専門家、北大准教授の吉澤和徳氏のハンドルネーム)が「・・・.チャタテ科などでは,産卵したあと糞で卵を覆い隠したりします.・・・」とコメントされており、それに対してBABA氏が「・・・.糸の上や糞で隠す等、1度お目にかかって見たいものです.・・・」と答えて居られました。
そこで今日は、その糞(と思われるもの)がかかっている卵塊の写真を載せることにしたのです。
![]() ウスイロチャタテ科のEctopsocus sp.の成虫雌と卵塊 この卵塊は横に居る成虫雌が産んだものと思われる (写真クリックで拡大表示) (2010/03/15) |
撮影したのは昨日のと同じく、国分寺崖線下の4丁目の何も生産していない「生産緑地」に植えてある、セイヨウヒイラギと思われる木の葉裏です(因みに、赤い実を着けるセイヨウヒイラギは、ヒイラギの属すモクセイ属:Osmanthusではなく、モチノキ属:Ilexです。モクセイ属植物の実は総て濃い黒っぽい色をしています)。昨日のEctopsocus sp.の雄を撮影したミカンの木から僅か7m程度しか離れていません(なお、撮影日は何れも3月15日ですが、成虫の方は2009年、この卵塊は2010年に撮ったものです)。
この年(2010年)、この木の葉裏には色々なチャタテムシの卵・幼虫・成虫が居たのですが、その後は、残念ながら殆ど見かけません。ここから幼虫や卵を拉致して飼育してみようと思っていたのですが惜しいことをしました。
![]() 上の写真を部分拡大(ピクセル等倍)したもの.卵の上には糸が 掛けられており、それに糞の様なものやゴミが付着している (写真クリックで拡大表示) (2010/03/15) |
卵の上には糸が張り巡らされており、その糸にほぼ確実に糞と思われるものやゴミの様なものが付着しています。
問題は、卵の横にいるEctopsocus sp.の成虫が本当にこの卵を産んだのかと云うことでしょう。「ウスイロチャタテ 卵塊」で画像検索してもそれらしきものは何も出てきませんでした。しかし、「Ectopsocus eggs」で検索すると、「My Bit of The Planet」と云う英国のサイトに、 Ectopsocus petersiの成虫が、糞の様なゴミの付いた卵塊の上に乗っている写真が見つかりました(原文は ・・・obviously being watched over by an adult (I assume the parent) Ectopsocus petersi)。
写真は撮っていませんが、私は今日のと同じ様な卵塊のすぐ近くにEctopsocus sp.の成虫が居るのをこれまでに何回か見ています。これらのことから、この卵塊は横にいるEctopsocus sp.の成虫が産んだものと思って先ず間違いないと思います。表題に「?」は付けませんでした。
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