トラフコメツキ
早春の虫、その第2段はトラフコメツキ(Selatosomus onerosus)です。コメツキムシが早春の虫とは少し意外かも知れませんが、このトラフコメツキは、先日のビロウドツリアブ同様、春にしか現れません。
「四丁目緑地」の草の葉に逆さ向きに留まっていました。体長10~15mm、中型のコメツキムシで、コメツキムシ科ベニコメツキ亜科(Denticollinae)に属します。
![]() トラフコメツキ.早春に現れるコメツキムシ (クリックで拡大表示、以下同じ) (2009/03/19) |
コメツキムシと言うと、以前紹介したクロクシコメツキ?やサビキコリの様に、褐色~黒色の種類が多いのですが、鞘翅に模様を持つものも少なからず居ます。
しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)にいるコメツキムシで、鞘翅に斑紋がある種類は、このトラフコメツキ以外に知りません。
![]() 暖かい陽射しの中で居眠り? (2009/03/19) |
保育社の昆虫図鑑(甲虫図鑑ではない)には、「早春平地でみられるが多くない」と書かれています。しかし、この日は写真の個体よりもう少し小さい別個体も見ましたし、一昨年(2007年)の4月には我が家でも何度か見かけた位で、極く普通種の様です。東京都本土部昆虫目録を見ても、東京都内の多くの場所で記録されています。
![]() ストロボの光を浴びて目を覚ましたところ (2009/03/19) |
この日は、東京(大手町)の最高気温が23.2度にも達し、暖かいを通り過ぎて暑い位でした。コメツキムシ君、葉の上でうたた寝をしていた様子でしたが、ストロボで目を覚まされ、その内ゴソゴソ動き始めました。予想通り、やがて翅を拡げて近くのぺんぺん草(ナズナ)に移りました。最後の2枚はそのぺんぺん草に居るところを撮ったものです。
![]() 何となく、飛んで逃げそうな雰囲気 (2009/03/19) |
コメツキムシの幼虫は土中や朽ち木の中に棲息し、中には雑食性や捕食性ものも居ます(サビキコリ類等)が、多くは植食性です。クロクシコメツキ、クシコメツキ、マルクビクシコメツキ、コガネコメツキ等、農業害虫とされている種類もかなりあります。
![]() ぺんぺん草(ナズナ)に移ったトラフコメツキ(2009/03/19) |
幼虫の形は、小鳥や爬虫類、両棲類等の生き餌として養殖・販売されているミールワームによく似ています。しかし、ミールワームは、コメノゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ等のゴミムシダマシ科の幼虫です。ゴミムシダマシ科はコミムシダマシ上科、コメツキムシはコメツキムシ上科に属しますから、かなり遠縁なのですが、肉眼的には殆ど区別が付かない位よく似ています。
![]() トラフコメツキの顔.かなり険悪 (2009/03/19) |
春の植物はもう色々咲いているのに、春の虫はの方はまだ余り見かけません。次回はまた雑草を紹介することになります。
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