カテゴリー「昆虫-5」の30件の記事

2008年11月25日 (火)

シワバネキノコバエ(Allactoneura akasakana)?

 ハエやカの仲間には、実に多くの科があります。正体の分からない双翅目(蠅、蚊、虻)を撮ったときは、図鑑の標本写真と生態写真ではまるで違って見えることが多いので、普通は検索表を引きます。双翅目の検索には、翅脈と刺毛の生え方が重要です。翅脈と刺毛がキチンと写っていれば、科の検索は何とかなることが多いのですが、翅を畳んで留まる虫の場合は、幾ら写真が鮮明でも翅脈が良く見えないことが多く、科の検索は直ぐに行き詰まってしまいます。
 今日紹介する虫も、触角が長い(8節を越える)ので糸角亜目(蚊の仲間)であることはハッキリしていますが、翅を畳んで留まるので、科の検索は不可能です。こう言うときは、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」を頭から辿って行くことにしています。かなり時間はかかりますが、多くの場合、「コレだ!!」と言うのが見つかります。
 この虫も、「一寸のハエにも五分の大和魂」を辿った結果、キノコバエ科のシワバネキノコバエに酷似していることが分かりました。しかし、若干不明瞭な点があったので、御伺いを立ててみました。すると、何と九大名誉教授の三枝先生から、たちどころに御回答を賜りました。

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シワバネキノコバエ(A. akasakana)?
名前はハエでも蚊の仲間、見た感じは確かに蚊に近い
七丁目の家庭菜園で撮影(以下4枚目まで同一個体)
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/02)

 三枝先生(私が先生と言うのもおかしいのですが・・・)は、北隆館の「新訂 原色昆虫大図鑑第3巻」の該当部分を執筆された方です。先生のお話では、このキノコバエは、キノコバエ科のSciophilinae(亜科名、和名なし)に属するAllactoneura(シワバネキノコバエ属)の1種で間違いないそうです。しかし、これがシワバネキノコバエか否かについては、若干の問題があります。また、シワバネキノコバエの学名は、図鑑にあるものではなく、Allactoneura akasakanaが正しいとのことです。
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触角が8節以上あるのは蚊の仲間
幼虫は腐敗した植物質を餌にする
(2008/10/02)

 何が問題なのかと言うと、日本でハッキリと記録されているシワバネキノコバエ属はこのシワバネキノコバエのみですが、台湾には酷似するA. formosanaが居り、これが日本まで長距離移動している可能性が高いのです。しかも、このA. formosanaの記載は雌に基づいており、その雄と思われる個体には4つの型があって、日本のシワバネキノコバエ(A. akasakana)との関係はキチンと研究されていません。従って、日本産のシワバネキノコバエ属は、雄の交尾器をシワバネキノコバエ(A. akasakana)の記載と比較して一致すればシワバネキノコバエであると言えますが、それ以外の場合は良く研究されていない台湾のシワバネキノコバエ属かも知れず、或いはまた、新種の可能性もある訳です。
 写真では交尾器は比較出来ません。ここでは「シワバネキノコバエ(Allactoneura akasakana)?」とする以外に為す術が無い様です。
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真っ正面から見ると変な顔をしている
(2008/10/02)

 ところで、読者諸氏の中には、最初の方で「糸角亜目(蚊の仲間)であることはハッキリしています」と書いておきながら、キノコバエと言う名前に「ハエ」の付く虫だったことに疑問を感じられている方が居られるかも知れません。キノコバエは、名前に「ハエ」が付きますが、本当は蚊の仲間なのです。
 この様な紛らわしい名称は双翅目の中には沢山あります。○○キノコバエばかりでなく、タマバエ、カバエ、ケバエ、チョウバエも蚊の仲間で、また、ブユ(ブヨ)やヌカカも形はハエに似ていますが蚊の仲間です。
 アブとハエも混乱しています。オドリバエ、アシナガバエ等は「ハエ」と付いてもアブの仲間ですし、ハナアブ、ヒラタアブ(ハナアブ科です)、アタマアブ等は「アブ」の名があってもハエの仲間です。保育社の原色日本昆虫図鑑(下)では、これらの名称を分かり易い様に変更したのですが、普及しませんでした。
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斜めから見た図(2008/10/02)

 それでは、蚊、ハエ、アブは何処が違うのか、と言うことになると思いますので、その違いを一寸書いておきましょう。
 広義の蚊とは糸角亜目(長角亜目)に属す昆虫の総称で、触角が通常8節以上あります。これだけで決定的な決め手となります。体が細い、或いは、脚が長いこと等は、分類学では一切考慮されません。
 ハエとアブは短角亜目に属し、触角は基本的に3節です(例外的に第3節が幾つかに分節する場合があります)。ハエと総称される昆虫の蛹は環状の部分から成っており、羽化するときにはこの輪に沿って蛹が横に割れます。蛹の縫い目が環状になっているので、環縫短角群(環縫群)と名付けられています。このグループは、蛹になるときに脱皮せず、表皮が固まって俵の様な囲蛹と呼ばれるものになり、その中で蛹化します。
 アブと呼ばれる虫の場合は、他の完全変態する普通の昆虫と同じく、羽化の際に蛹の背中が縦に割れます。蛹の縫い目が真っ直ぐになっているので、分類学では、直縫短角群(直縫群)と呼ばれています。この連中の蛹は、実物はまだ見たことが無いのですが、普通の昆虫の蛹の形をしています。
 お解り頂けたでしょうか?
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「3丁目緑地」で撮ったキノコバエ.毛の生え方は異なるが
多分上と同じ種類(2008/11/13)

 最初の4枚の写真は七丁目の家庭菜園で撮ったもので、全て同一個体の写真です。此処まで書いたところで、これらとは別に先日「三丁目緑地」で撮った同じ種類と思われるキノコバエの写真を調整しました。すると、上の4枚の写真とは異なり、かなり体に毛が生えています。別種かも知れません。そこでまた、「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立てることと相成りました。何しろ、この属は日本ではまだ1種しか記録されていないのです。
 暫くして、また、三枝先生から御回答を賜りました。やはりこの仲間の種の識別には雄の交尾器を見る以外に確実な方法はないとのお話です。双翅目の毛も、鱗翅目(蝶、蛾)の鱗粉の様に脱落することが多く、毛の有無は基本的な判断材料にはなら無い様です。別種の可能性も否定はできませんが、そうであればどちらかが未記載種と言うことになります。恐らくは、同一種で毛の脱落の程度が異なるだけなのでしょう
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横から見ると胸部の背に沢山毛が生えているのが分かる
(2008/11/13)

 一昨日、昨日と連続で、久しぶりに七丁目の家庭菜園に行って来ました。隣との境に菊の花が沢山咲いていて、これに色々なアブやハエがやって来ているのです。かなりの多くの種類を撮りました。微小なハエが多いのですが、中々綺麗なものもあります。種の判定にかなり時間が掛かると思いますが、今後少しずつ紹介して行きたいと思います。

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2008年11月22日 (土)

オオクロセダカカスミカメ

 今年の7月に「三ツ池緑地」で撮影した小さなカスミカメ、ヒメセダカカスミカメを掲載しました。今日は、それによく似たオオクロセダカカスミカメ(Proboscidocoris varicornis)を紹介します。
 これは我が家の庭に居た虫です。もう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」では既に紹介済みですが、他所では全く見かけないのでこちらでも掲載することにしました。撮影は9月上旬で、夏の虫らしく、今はもう居ません。

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オオクロセダカカスミカメ.小楯板はほぼ均一な配色
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/05)

 ヒメセダカカスミカメと非常によく似ています。日本原色カメムシ図鑑の第1巻でヒメセダカカスミカメとして載っている写真は、実はオオクロセダカカスミカメの誤りであったと言う位です(第2巻に訂正が出ています)。また、全体の形ばかりでなく、脚にある斑模様までよく似ています。
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横から見ると全身に微毛が映えているのが分かる
(2008/09/05)

 この両者の相違点としては、先ず大きさ挙げられます。ヒメセダカの方が小型で体長は3mm強、オオクロセダカの方は4mm以上あります。カメムシ図鑑には4.5mm以上と書かれていますが、写真のオオセダカは丁度4mmです。幼虫時代に御飯を充分食べられなかったのでしょう。
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真っ正面から見た図(2008/09/05)

 形態的には、よく見ると、ヒメセダカの方は小楯板(背中にある三角形の部分)の後端が白っぽくなっています。これに対し、オオクロセダカの小楯板はほぼ均一に配色されています。
 また、触角の第1節が異なります。オオクロセダカでは、まァ、普通のカメムシの触角第1節と言う感じですが、ヒメセダカの方は太くて短く、先端に浅い括れがあり、一寸した節の様になっています。
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触角の掃除をするオオクロセダカカスミカメ
(2008/09/05)

 ヒメセダカとオオクロセダカは互いに非常によく似ているのですが、ヒメセダカはCharagochilus属、オオクロセダカはProboscidocoris属と属が異なります。カスミカメムシ科の属に付いて詳しく書かれた文献は持っていませんので、何が重要な違いなのか分かりませんが、或いは、触角の違いが効いているのかも知れません。まァ、素人には分からない世界です。
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正面上方から見た図(2008/09/05)

 食草に関しては情報が余りありません。ヒメセダカの方は色々な植物に寄生する様です。オオクロセダカの方は、カメムシ図鑑には何も書いてありませんが、どうもツユクサが好きな様です。我が家ではツユクサに付いて居ましたが、Internetで調べると、やはりツユクサに居たと言う記事が幾つか見つかりました。ツユクサに居れば、先ずオオクロセダカだと思って良いのかも知れません。
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オマケにもう1枚.中々勇ましい感じ
(2008/09/05)

 もう11月も下旬となりました。しかし、9月に撮った写真はまだまだあります。完全に季節外れですが、時折季節の動植物も交えながら、一つずつ紹介して行くつもりです。

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2008年11月21日 (金)

コガタスズメバチ

 これまで、六丁目のある御宅に植えられているサザンカの花に来ていた虫を何種か紹介しましたが、それらは全て蛾類でした。しかし、ハチ類もかなり来ていました。今日はその中から、コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)を紹介します。
 以前、このWeblogを始めた頃に、オオスズメバチをコガタスズメバチと間違えて掲載してしまったことがあります(この記事は既に訂正してあります)。しかし、今回のは間違いなくコガタスズメバチです。

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コガタスズメバチ(越冬前の新女王).右側にある
開きかけのサザンカのに潜り込む直前
頭部胸部は既に花粉だらけ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/23)

 コガタスズメバチは、名前の通り、オオスズメバチより一般に小型ですが、小型のオオスズメバチと大型のコガタスズメバチは非常によく似ています。尾端は何方も黄色で、腹部の配色はよく似ており、しかも個体変異が大きいので、腹部の模様では全く区別ができません。
 よく知られているのは、頭楯の形の違いです。顔を正面から見て、頭楯と呼ばれる顔の中心にある橙色の構造の下側が2つに分かれているのがオオスズメバチ、3つに分かれているのがコガタスズメバチです。
 この時は正面からの写真を遂に撮ることが出来ませんでしたので、これではオオスズメかコガタスズメか分かりません。
 しかし、違いはもう一つあります。オオスズメバチの胸部背中には橙色の斑紋(小楯板が橙色)があるのに対し、コガタスズメバチでは胸部はほぼ真っ黒です。写真のスズメバチの背中には紋がありませんから、これはコガタスズメと言うことになります。
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コガタスズメバチ.小楯板は無紋
(2008/10/23)

 写真を撮ったのは10月下旬で、晩秋にはよく雄蜂が花に吸蜜に来ます。現にオオスズメバチの雄が来ていました。しかし、この個体は雌です。時期を考えると、越冬前の新女王でしょう。雄は触角が雌よりも長く、雌が12節なのに対し、13節あります。一番最後の写真の触角部分を拡大して勘定してみると12節しかないのが分かります。
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サザンカの花に頭を突っ込む
(2008/10/23)

 日本全土には7種のスズメバチ(Vespa属)が棲息しています。その内、この辺り(東京都世田谷区西部)に居るのは、オオスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチの3種だけの様です。ヒメスズメバチは尾端が黒いので見分けやすい種類ですが、子供の頃を含めて一度も見たことがありません。専らアシナガバチの巣を襲って生活する種類ですから、この辺り程度のアシナガバチの数では生存できないのでしょう。
 キイロスズメバチも見たことがありません。この種類は、元々「田舎」に住むハチだと思っていましたが、最近は都市部や住宅地にも進出している様です。その内、見る機会があるかも知れません。ハチ好きとしては楽しみな話です。
 チャイロスズメバチは分布が局限されており、この辺りに出現したら新聞ネタになります。また、ツマグロスズメバチの分布は宮古島以西ですから、この辺りで会いたいと思っても、それは無理と言うものです。
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吸蜜中、花粉も食べているのかも知れない
お尻の先は黄色(2008/10/23)

 コガタスズメバチは成城の住宅地内では一番普通のスズメバチです。オオスズメバチが土中や樹洞などに営巣するのに対し、コガタスズメバチは灌木の間などの樹上に巣を作りますから、営巣できる場所は住宅地の中に幾らでもあります。
 我が家の様な極々狭い庭でも何回か営巣したことがあります。巣の大きさは最大直径20cm位でハチの数も少ないですし、温和しい性格なので、刺される可能性は先ずありません。私がこちらに移る前(両親が住んでいた頃)には、年末に植木屋さんが来て漸く巣のあることに気が付いた、と言うこともありました。
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サザンカの花から出て来て飛び立つ瞬間
触角を数えると12節ある (2008/10/23)

 今日6時過ぎの気温は2℃、真冬並みです。雲一つ無い快晴で陽射しは強いのですが、日中でも風の冷たい一日でした。写真を撮りに行く予定を取り止めにして、Weblogの更新をすることにしました。

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2008年11月19日 (水)

ワタヘリクロノメイガ

 今日は別の虫を紹介するつもりだったのですが、文章を書いている内に妙なことに気付き、作業が中断してしまいました。そこで、急遽予定を変更してこのノメイガを紹介することにしました。
 ワタヘリクロノメイガ(綿縁黒野螟蛾:Diaphania indica)、ツトガ科ノメイガ亜科に属します。開張は25mm前後、尾端に太いハタキの様な毛塊があるのでよく知られているノメイガです。
 一名ウリノメイガとも呼ばれ、農業上ではウリ科の害虫として著名な様です。しかし、アオイ科やクワ科の植物も食べるそうで、和名の頭にある「ワタ」は、ワタを食害するからか、或いは、尾っぽの毛塊を「ワタ」と見なして付けられたのか、良く分かりません。小笠原を含む日本全土、オーストラリア、旧大陸の熱帯等に広く分布します。

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ワタヘリクロノメイガ.一名ウリノメイガとも呼ばれる
尾端の毛塊が発達するのは雄の証拠
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/21)

 写真では良く見る蛾ですが、実物を見るのは初めてです。居たのは、先日紹介したホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャク等と同じく、六丁目にあるサザンカの垣根です。
 これまでの経験から、この手のノメイガは、ストロボを使うとその反射で実際とはかなり違う風に写ってしまうことが分かっていましたので、ストロボは使いたくなかったのですが、もう日没後のことでもあり、しかも葉裏の暗い所に居ましたので、仕方なくストロボを焚きました。案の定、反射で翅の一部だけ妙に光ってしまいました。
 当初は没にするつもりだったのですが、尾端の毛塊が面白いので、やはり掲載することにしました。
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尾っぽを振るワタヘリクロノメイガの雄
(2008/10/21)

 この尾端の毛塊は雌にもある程度はある様ですが、雄で特に良く発達するとのことです。と言うことは、この個体は雄と考えて良いのでしょう。
 この尾っぽを、ゆっくりではありますが、常に左右に振っていました。雌に「此処に居るぞ」と言う信号を送っているのでしょうか。開張25mm程度の蛾ですから、尾っぽを振っても大して目立ちません。しかし、昆虫は人間とは見える光の周波数帯が違うのが普通ですから、人間には目立たなくても、雌のワタヘリクロノメイガには際立って見えるのかも知れません。
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尾っぽの拡大写真.鱗片状で鳥の羽の様
高解像度で撮っていないので、画質はお粗末 (2008/10/21)

 尾端の毛を拡大してみると、毛状ではなく鱗片状で鳥の羽の様な感じです。白、淡黄褐色、暗灰色と白の斑など、色々な色をした「羽」が混ざっています。この尾端だけ高解像度で撮れば良かったのですが、どうせ掲載出来ないだろうと言う気持ちが強かったので、被写界深度をやや深くして(従って低解像度)、全体を撮るだけでお終いにしてしまいました。御蔭で、拡大写真の画質はかなりお粗末です。
 この町でもう一度この蛾を見る機会は少ないと思います。惜しいことをしました。

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2008年11月17日 (月)

ハギメンガタカスミカメ+ナミヒメハナカメムシ?

 昨年の秋は、色々なカメムシが居ましたが、今年の秋は何故か、余りその姿を見ません。昨年は、四丁目緑地にオオケタデ(オオベニタデ)オオイヌタデが沢山咲いており、それに沢山のカメムシが来ていました。しかし、今年は除草が何回も入ったせいか、タデ類は1本も無く、カメムシも当然居ません。我が家の庭でも、昨年はセイタカアワダチソウに、スカシヒメヘリカメムシアカヒメヘリカメムシヒメナガカメムシなどが来ていたのですが、今年はサッパリです。この町全体として、今年の秋はカメムシが少ない様です。
 そんな訳で、些かガッカリしていたのですが、七丁目の空地でカスミカメムシの「新種」を見付けました(実は、もう大分前のことなのですが・・・)。
 ハギメンガタカスミカメ(Eurystylus luteus)、体長6mm強で体高のある分厚いカスミカメです。

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ハギメンガタカスミカメ.この仲間はみな触角が太い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/02)

 見付けたのは、以前掲載したイヌホオズキの生えていた空地です。カメムシの名前には「ハギ」と付いていますが、フヨウの花を吸汁していました。「日本原色カメムシ図鑑第2巻」に拠ると、「(幼虫は)ハギに寄生するが、成虫は他の植物の花からも見つかる」のだそうで、全くその通りでした。。
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前胸背後縁近くに縦長の小さな暗色斑が
左右に一対あるが分かり難い
(2008/10/02)

 メンガタは「面形」で、「ハギ」の付かない只のメンガタカスミカメでは前胸背後縁近くの左右に白い輪郭を持つ黒斑があるので、これを目玉に見立てて付けられた名前の様です。ハギメンガタカスミカメでは、その様な目玉模様は有りませんが、同じ位置に縦長の小さな暗色斑があります。非常に不明瞭な斑で、良く見ないと気が付かない程度の斑紋です。
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斜め上からみたハギメンガタカスミカメ
(2008/10/02)

 メンガタカスミカメ類は、カスミカメムシ科の中で一つの属(メンガタカスミカメ属:Eurystylus)を構成しています。先の「カメムシ図鑑」に拠れば、旧世界の熱帯を中心に50種ほどが属すそうで、日本には3種、上に上げた2種の他に、奄美諸島以南に分布するタイワンメンガタカスミカメが居るだけです。
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フヨウの花弁の上を歩くハギメンガタカスミカメ
下からストロボの反射を受けて、まるで銀レフで照らされた様
(2008/10/02)

 このハギメンガタカスミカメ、Googleで検索すると僅か23件しかヒットしません。学名で検索しても同じ程度です。しかし、成城の様な都会の住宅地にも居るのですから、決して珍種ではないでしょう。恐らく、先の図鑑以外には載っておらず、写真を撮っても種名が分からないので、御蔵にしている御同類が多いのではないでしょうか。
 そこで、その様な御同類の為に、沢山写真を貼っておきました。
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フヨウの萼の上を歩くハギメンガタカスミカメ
(2008/10/02)

 種として確立されたのもかなり最近のことらしく、メンガタカスミカメと混同されたり、タイワンメンガタカスミカメ(ザウターメンガタメクラガメ:E. sauteri)とされていたこともある様です。学名としてEurystylus luteusが当てられたのはごく最近で、1993年に出版されたカメムシ図鑑の第1巻では、Eurystylus sp.Eurystylusに属すが、種名は不明)となっています。この学名自体、キチンと書くとEurystylus luteus Hsiao,1941ですから、比較的新しい命名です。
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同上.中々カッコイイ
(2008/10/02)

 このハギメンガタカスミカメが居たのは、先日紹介したフタトガリコヤガの幼虫が居たのと同じフヨウの株です。こちらの方がずっと小さいにも拘わらず、見付けたのはカメムシの方が先です。どうも毛虫よりもカメムシの方に注意が行ってしまう様です。或いは、最近は小さな虫ばかり撮っていますので、毛虫は大きすぎて目に写らなかったのかも知れません。
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フヨウの花弁に口吻を突き刺すハギメンガタカスミカメ
この写真だけ拡大率が大きいので少し鮮明度が低い
(2008/10/02)

 最後の写真には、手前にこのカスミカメよりもずっと小さな虫が写っています。撮影時には絞り開放でファインダーを覗いていますから、かなりぼけて見えていたと思いますが、全く気が付きませんでした。この虫、良く見ると、ナミヒメハナカメムシの様です。
 ハナカメムシ科はまだこのWeblogには登場していません。また、この科のカメムシはみな捕食性なので農業害虫の天敵として注目され、ナミヒメハナカメムシなどは生物農薬として登録されているにも拘わらず、虫が非常に小さい(多くは2mm以下)せいか、Internet上に掲載されている写真は僅かです。気が付けばシッカリ撮って堂々初公開だったのですが、どうして気が付かなかったか、悔しがることしきりです。
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ハギメンガタカスミカメと手前は多分ナミヒメハナカメムシ
撮影時はこのハナカメムシの存在に全く気が付かなかった
(2008/10/02)

 最近は、ネタのストックが十二分にあるので、ついつい簡単に掲載出来る写真の少ないネタを選んでしまう傾向があります。今日は、少し反省して写真の多い虫を選びました。
 写真が多いと、その選択・調整にも文章を書くのにも、かなりの時間を要します。今後は、写真の多いネタと少ないネタを交互に掲載することになるでしょう。

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2008年11月13日 (木)

ホソヘリカメムシの幼虫(5齢=終齢)

 少し前にホソヘリカメムシの4齢幼虫を掲載しましたが、今日はその続きとでも言うべき5齢(終齢)幼虫を紹介します。写真を撮影したのは2ヶ月以上前で、些か旧聞に属します。しかし、このWeblogには余り日記的要素はありませんので、特に問題は無いでしょう。

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枝豆の葉上に居たホソヘリカメムシの5齢幼虫
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/02)

 これまでカメムシ類の幼虫は、各齢を1回ずつ掲載していました。そこで、このホソヘリカメムシの幼虫も4齢と5齢で分けたのですが、この5齢幼虫、4齢とかなり似ています。違うのは、色が成虫に似た茶色に変わったこと、体がやや幅広くなると共に後肢も成虫に似て太くなり、翅の原基が伸長したこと位です。体長も多少は増加していますが、少し大きいかな?、と言う程度です。
 前にも書いた様に、ホソヘリカメムシの幼虫はアリに擬態しているとよく言われます。確かに若齢幼虫はアリに似ていますが、4齢幼虫になると体もかなり大きくなるのでアリとの色や形の違いが目立ち、5齢では最早アリという感じは殆どありません。
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横から見ると少しアリ的だが、色や腹部の形が異なる
(2008/09/02)

 撮影場所は、4齢と同じ七丁目の第1家庭菜園(ファミリー農園)で、4齢幼虫と一緒に枝豆(大豆)の葉上に居ました。ホソヘリカメムシは、成虫、幼虫共に大豆の害虫としてその名が知られています。枝豆の上に居たところを見ると、やはり大豆が目当てでこの家庭菜園にやって来たのでしょう。この農園には成虫も含めて、ホソヘリカメムシがかなりの数居ました。1回でも吸汁されると豆はもうダメになってしまいますから、枝豆の大半はやられてしまったのではないかと思います。
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斜めから撮ったホソヘリカメムシの5齢幼虫
触角が長い(2008/09/02)

 ホソヘリカメムシの成虫を掲載したのは9月9日で、その写真を撮ったのは7月20日です。今日紹介している5齢幼虫を撮影したのは9月2日なので、成虫を撮った約40日後になります。多分、7月に居た成虫が産んだ卵から成長したのが、この5齢や以前紹介した4齢幼虫なのでしょう。
 ホソヘリカメムシはホソヘリカメムシ科に属します。カメムシ科のクサギカメムシやアオカメムシ類は年1回の発生ですが、ホソヘリカメムシは最近の研究(日本応用動物昆虫学会講演要旨:ホソヘリカメムシ生活史の解明)に拠ると、関東では年2~3世代を経過する様です。この幼虫は成虫になった後、その儘越冬して来年の春、クローバー等のマメ科やイネ科の植物に産卵し、そこで1~2世代経た後、また、大豆等の豆類にやって来るのでしょう。
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ホソヘリカメムシ5齢幼虫の顔.成虫よりもヒゲ面
(2008/09/02)

 今日は久しぶりの好天です。この記事を投稿した後は、カメラでもぶら下げて「三丁目緑地」辺りへ行こうかと思っています。9月、10月に撮影してまだ未掲載の写真がゴッソリあるのですが、これでは写真が溜まる一方です。今年の冬は、余り写真を撮らなくても済むかも知れません。

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2008年11月12日 (水)

キバラルリクビボソハムシ

 新しいネタも沢山あるのですが、今日はまだ暑い内に我が家の庭で撮ったハムシを紹介することにします。
 キバラルリクビボソハムシ(Lema concinnipennis:黄腹瑠璃首細葉虫)と言う長い名前のハムシです。ハムシ科クビボソハムシ亜科に属します。体長は6mm前後で、まァ、葉虫としては普通の大きさですが、かなり細めです。

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キバラルリクビボソハムシ
背面からでは腹の黄色いのがよく見えない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/01)

 このキバラルリクビボソハムシは、成虫、幼虫共に、ツユクサに寄生します。我が家には自然に生えたツユクサが沢山あるので(草取りをサボっている)、これに毎年やって来る様です。或いは、我が家の何処かで越冬して、既に棲み着いているのかも知れません。越冬態は、調べてみましたが、分かりませんでした。
 逆に、我が家以外でこのハムシを見たことはありません。この付近(東京都世田谷区西部)でツユクサが沢山ある所へ行けばまず居ると思いますが、何処へ行けばツユクサの「大群落」が見られるのか、残念ながら知りません。
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横から見ると、腹の先の方が黄色いのが見える
この手のハムシはイヌの様な格好でお座りすることが多い
(2008/09/01)

 このキバラルリクビボソハムシには、ルリクビボソハムシと言うよく似た種類が居ます。キバラの方は腹部末端3節が黄褐色なので、その名が付いていますが、ルリクビボソハムシは全身真っ黒です。
 しかし、保育社の甲虫図鑑に拠ると、キバラでも稀に全身黒色の個体があるそうです。こうなると、区別が少し難しくなります。図鑑には、キバラの方が一般に細く、また、前胸背板の点刻はより弱い、と書かれています。なお、ルリクビボソハムシの食草は、アザミ類です。
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斜め横から見たキバラルリクビボソハムシ
腹部が黒つぶれしない様に現像してある
(2008/09/04)

 ツユクサと言う植物は、どう見ても余り栄養がありそうに見えません。こんなものを食べていて栄養失調にならないのかと些か心配になる位です。ところが、ツユクサに寄生するハムシはキバラルリクビボソハムシだけではありません。同属近縁のトゲアシクビボソハムシ、アカクビボソハムシ、セアカクビボソハムシ、キオビクビボソハムシ等、みなツユクサ専門のハムシです。恐らく、ツユクサを食べる共通の祖先から、分化して来たのでしょう。
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正面から見たキバラルリクビボソハムシ.凶暴そうな顔
(2008/09/01)

 以前、ルリマルノミハムシの顔写真を紹介しましたが、まるで凶悪犯の様な顔をしていました。このキバラルリクビボソハムシも相当な悪漢に見えます。しかし、時には下の写真の様に、おどけた感じにもなります。これは身繕いをしているところです。厳つく恐い顔をしたオジサンでも、痒いところを掻いているときなどは、時に滑稽な顔になるのと同じかも知れません。
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身繕いするキバラルリクビボソハムシ.おどけた顔をしている
(2008/09/01)

 草取りをサボった御蔭で、キバラルリクビボソハムシを見ることが出来ました。そればかりでなく、この辺りでは他所で見たことのない、ツユクサに付くカスミカメムシもやって来ました。このカスミカメ、近日中に紹介の予定です。

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2008年11月 7日 (金)

ビロウドコガネ

 今日もまた時間がないので、写真3枚の虫を掲載します。ビロウドコガネ、肉眼的には黒っぽくて丸味の強い、体長1cm位の小さなコガネムシです。コガネムシ科コフキコガネ亜科に属します。
 撮影場所は「三ツ池緑地」で、ナツツバキの葉に留まっていました。

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ビロウドコガネ.体長約1cm.不思議な光沢を発している
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/12)

 ビロウドコガネにはよく似た近似種が何種類も居ます。その中で東京都に記録のあるのは、ビロウドコガネの他に、ヒメビロウドコガネ、オオビロウドコガネ、マルガタビロウドコガネの合わせて4種です。
 保育社の図鑑に拠ると、この内、ヒメとマルガタは頭楯が皺状に点刻されるとのことですので、写真(下)のコガネムシとは異なります。また、オオビロウドは後脛節の外端棘が第1付節よりも長いとありますが、最初の写真を見ると、この棘は第1付節よりも短い様です。棘が斜めになっていれば、棘の方が長い可能性もありますが、2番目の写真を見ると、この棘はほぼ水平に出ているものと思われます。従って、オオビロウドでもなく、消去法により最普通種のビロウドコガネ、と言うことになります。
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頭楯の点刻が粗く深い
(2008/09/12)

 しかし、このビロウドコガネ、既に我が家で撮ったものをもう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」に掲載してあるのですが、随分感じが違います。ここに掲載した写真では、鞘翅の表面に微細な毛でも生えているのか、名前の通りビロウド的な質感があり、鞘翅上の凹凸による縦筋は余り明確ではありません。しかし、「我が家の庭・・・」に載せた写真では、鞘翅にはあまりビロウド的な感じがしない代わりに、縦筋の方はハッキリしています。また、頭楯の点刻はここの写真では非常に際立っていますが、「我が家の庭・・・」の方ではあまり目立ちません。更に、体色も「我が家の庭・・・」では、赤味が非常に強くなっています。
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ナツツバキから逃げてイネ科の葉にしがみついたビロウドコガネ
上の写真と色調が異なるが、これ以上の修正は不可能
(2008/09/12)

 こうなると、私の様な素人には、もうお手上げです。本当は別種なのか、或いは、同一種内の個体変異なのか、雌雄の差なのか、個体の鮮度の違いなのか、撮影条件の違いによる見え方の差なのか・・・、一寸判断は無理な様です。Internetで検索してみてもこの両者が見られます。思うに、「我が家の庭・・・」よりも、こちらの方がビロウド的な質感がありますから、ここでは一応ビロウドコガネとしておきます。

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2008年11月 6日 (木)

ホシホウジャクの幼虫(5齢=終齢)

 ホシホウジャクの幼虫は一昨年に紹介しましたが、写真はたったの1枚で、しかも、体の一部が隠れた写真でした。そこで今日は、ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta)の終齢(5齢)幼虫の詳細を沢山の写真で紹介し直すことにします。
 一昨年撮影したのと同じく、6丁目のある空地の柵に絡んでいるヘクソカズラに居た個体です。もう2ヶ月も前のことですが、つい最近まで同じ場所に別の個体が居ましたから、そう時季遅れと言う訳でもありません。
 なお、ホシホウジャクはスズメガ科ホウジャク亜科に属します。成虫の方も、近くのサザンカの垣根で撮った写真を近日中に再掲載する予定です。

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ホシホウジャクの終齢幼虫.緑色型.良く太っており蛹化が近い
隠れていたのをこの場所に移動して貰ったので、些か緊張気味
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/02)

 幼虫の探し方は、先日「コエビガラスズメの幼虫」の所で書いたのと同じです。ヘクソカズラの絡んだ柵の下に新しい糞が落ちていれば、まずホシホウジャクの幼虫が居ます。
 先日紹介したホシヒメホウジャクもヘクソカズラを食草とし、この辺りにも少しは居るヒメクロホウジャクもヘクソカズラを食べることがあるそうですが、残念ながら、それらの幼虫は見たことがありません。ヒメクロホウジャクは兎も角、ホシヒメホウジャクの成虫はかなりの数居るので、幼虫を見付ける機会もあって良い筈ですが、未だに見ていないのは些か不可解です。
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少し時間が経って緊張が解れつつあるところ
(2008/09/02)

 写真の個体は、始めはヘクソカズラの蔓の中に頭を突っ込んで隠れていました。しかし、それでは写真が撮れないので、もう少し撮り易い所に移動して貰いました。最初の写真で、些か体を突っ張っているのは、そのせいです。
 ホシホウジャクの幼虫には、緑色型と褐色型があります。写真の幼虫は、見てお分かりの通り、緑色型です。ホシホウジャクの幼虫は、今までかなりの数見ていますが、全て緑色型で、褐色型はまだ見たことがありません。
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背側から見た図.頭の幅が小さい(2008/09/02)

 ホシホウジャクの幼虫は頭が非常に小さく、写真の様な老熟に近い終齢幼虫の場合、頭の幅は体の幅の1/4位しかありません。ホシヒメホウジャクの幼虫は、もう少し頭が大きい様です。
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真っ正面からみたホシホウジャクの終齢幼虫
頭が小さい(2008/09/02)

 背側から撮った頭部の写真(下)を見ると、頭頂に4本の縦筋があるのが分かります。ホシホウジャクの幼虫は頭が少し上向きになっており、本来ならばこの面は正面からでないと見え難い部分です。普通の鱗翅目の幼虫では、もう少し頭が下向きになっています。
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背側から見た頭部.4本の縦筋がある.両側にある粒々は単眼
(2008/09/02)

 下の写真は、少し緊張が解けて、頭を下に向けたところです。頭部の構造については、「セスジスズメの幼虫」或いは「ナミアゲハの幼虫」を参照して下さい。
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少し上側から見た頭部.頭部の構造は複雑
(2008/09/02)

 ホシホウジャク幼虫の尾角(下)は真っ直ぐで余り長くなく、やや太めで先細り、全体に棘(顆粒)があります。配色は一寸ややこしくなっています。基部寄り半分の背側は紫色を帯びており、先端寄り半分は全体黄色です。しかし、棘は、特に基部寄りで、黒っぽい色を帯びています。褐色型でも、やはり尾角の先端部は黄色で、基部寄りは紫を帯びるそうです。
 因みに、ホシヒメホウジャク幼虫の尾角は非常に長く、特に若齢幼虫では、体長の1/2位の長さがあります。
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ホシホウジャクの尾角.複雑な配色.写真上側に見える
橙色の構造は気門(2008/09/02)

 尾角の写真の上部に、少しボケていますが、楕円形をした橙色で両端が白い構造が写っています。これは第8複節の気門です。褐色型でも、この気門の色は変わりません。気門の色は幼虫の種類を見分けるのに重要な指標になります。
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真横から見た頭部と胸部.胸脚の色も尾角に劣らず複雑な配色
頭部に6個の単眼が見える(2008/09/02)

 幼虫の頭部、胸部を横から見てみました。胸脚も尾角に劣らず、ややこしい配色になっています。腿節の側面は黒く、先の方は上面(側面)が赤で反対側は黄色です。なお、複脚の拡大写真はありませんが、最初に示した全身の写真を良く見ると、基部の周囲は黒色で、先端部は赤く、その中間は黄色を帯びているのが分かります。
 この写真では、頭頂の下側(写真では前方)に6個の単眼があるのが良く見えます(写真をクリックして拡大してみて下さい)。単眼6個が全て良く見える写真は、何故か、中々撮れません。
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緊張が解れて歩き始めたホシホウジャクの終齢幼虫
(2008/09/02)

 最後の写真は、緊張が解けて、ヘクソカズラの茎を歩き始めたところです。
 この芋虫君には、しっかりモデルになって貰いました。数日後には、新しい糞が落ちていなかったところをみると、どうやら蛹化した様です(捕食者にやられた可能性もありますが・・・)。
 保育社の図鑑に拠れば、終齢幼虫は11月まで居ることもあるそうです。この芋虫君も、或いは、蛹化後に羽化して、今頃、その子孫がヘクソカズラの茂みの中に潜んでいるかも知れません。

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2008年11月 3日 (月)

ヒラタヤドリバエ亜科の1種(Euthera tuckeri

 今日は一寸珍しいかも知れない虫を紹介します。ヤドリバエ科ヒラタヤドリバエ(ヒラタハナバエ)亜科のEuthera tuckeriです。和名はまだありません。
 普通、ヤドリバエ科の種の検索はごく一部の専門家以外には無理なのですが、翅に特徴的な模様があるのでこのハエであると判断しました。九州大学の目録を見ると、Euthera属にはこのtuckeri1種しかありませんので、まず間違いないでしょう。体長は、6mm弱です。

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Euthera tuckeri.ヤドリバエ科ヒラタヤドリバエ亜科に属す
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/12)

 ミバエ科やヒロクチバエ科には模様のある翅を持つ種類が沢山います。ヤドリバエ科には、色の付いた翅を持つものはかなり居るようですが(以前紹介したアシナガヤドリバエの1種(Phyllomya sp.も黒っぽい翅をしています)、この様なハッキリした模様を持つのは珍しいと思います。
 この白黒の翅は結構目立ちます。遠くから見ても普通のハエではないことは直ぐに分かりました。
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横から見ると上胸弁と思われる構造が目立つ
触角が長く、眼は宇宙人?の様
(2008/09/12)

 このEuthera tuckeriは、他にも普通のヤドリバエと違ったところがあります。例えば、翅の付根近く、小楯板の左右に真っ黒な三角形の突起があります。この突起、板状をしており、胸弁(覆弁、鱗弁)と基部で繋がっているので、所謂上胸弁(前胸弁、端覆弁)と呼ばれる構造だと思います。どんな役目があるのか知りませんが、ジェット機やスポーツカーに付いている安定翼?の様な感じです。
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真横から見たEuthera tuckeri.腹部に顕著な剛毛を欠く
(2008/09/12)

 また、眼も、背側から見るとそれ程でもないですが、側面から見ると変な形をしています。丸くなく細型で、漫画に出て来る「宇宙人の目」の様な感じです。
 触角も、ヤドリハエとしてはかなり長い触角を持っています。特に第3節が長く、第1節と第2節を合わせた分よりも長く見えます。
 なお、ヤドリバエと言うと以前紹介したヨコジマオオハリバエの様な長い剛毛を持つハエを想像しますが、ヒラタヤドリバエ亜科のハエの腹部には顕著な剛毛はありません。
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Euthera tuckeriの顔.触角の下に正中線に沿った黒い筋がある
(2008/09/12)

 撮影したのは、四丁目の「三ツ池緑地」です。写真でお分かりの通り、イネ科の雑草(多分メヒシバ)の先っぽに下向きに留まってしました。こう言う柔らかい雑草の穂先に留まった虫と言うのは、撮り難いものです。等倍接写をする程度に近づくと、どうしても草の根元にある程度の力が加わり、草が動いて逃げられてしまうことが多いのです。しかし、このハエ、余り逃げる気が無かったらしく、温和しくカメラに収まりました。
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斜め横から見た図.体が少し明るくなる様に現像してある
(2008/09/12)

 ヒラタヤドリバエ亜科のハエは、カメムシ類に内部寄生します。ノースダコタ州立大学のホームページ内にある「Diptera Parasitoid Records(双翅目捕食寄生目録)」を見ると、このEuthera tuckeriの宿主として、Acrosternum gramineum(この属は日本には記録はないが、アオカメムシの仲間)、Dolycoris indicusブチヒゲカメムシの仲間)、Eysarcoris ventralis(シラホシカメムシ)、Piezodorus hybneri(イチモンジカメムシ)の4種が挙げられています。
 シラホシカメムシは体長6mm前後のかなり小さなカメムシです。この写真のヤドリバエ(Euthera tuckeri)の体長は約6mmですから、宿主はもう少し大きい筈です。恐らく、シラホシカメムシに寄生した場合はもっと小型にしかならないのだと思います。
Euthera_080912_046
オマケにもう1枚(2008/09/12)

 Internetで検索してみると、このヤドリバエの写真は余り見つかりませんでした。そこで、同じ様な写真ですが、少し大目に貼り付けておきました。

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