カテゴリー「昆虫-4」の34件の記事

2008年9月19日 (金)

アオメアブ


 七丁目の家庭菜園(世田谷区第2ファミリー農園)には、これまでに紹介した大害虫のウリハムシホソヘリカメムシの他にも、様々な農業上の害虫がかなりの密度で棲息しています。しかし、その割に少ないと思われるのが、これらの害虫の数を制限するはずの捕食者です。

 クモ類はかなり居ますが、多くは地面を徘徊する種類で、葉っぱの上に上がってくる種類は少ない様です。カマキリは1,2度見かけたかも知れませんが、記憶が定かでありません。また、トンボ類は居ますが、空中の小昆虫しか補食しませんし、その数は、この様な開けた場所としては、かなり少ないと思います。

 そんな中で、今日紹介するアオメアブはこの家庭菜園で特に目立った強力な捕食者です。しかし、その数は余り多くはありませんでした。


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アオメアブ.シオヤアブと並んで大型のムシヒキアブ

胴体は黄褐色、腿節は黒く、脛節は赤い

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/08/20)



 「青目虻」と書くと、何故かアブ科に属すウシアブやメクラアブの様な吸血性のアブと誤解しそうですが、写真を見てお分かりの通り、ムシヒキアブの仲間です。大きさは、以前ムシヒキアブ科最大級として紹介したシオヤアブと殆ど同じです。北隆館の圖鑑によれば、シオヤアブは23~30mm、アオメアブは20~29mmとなっていますので、シオヤアブより僅かに小さいと言う程度です。


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翅が胴体より長いので交尾器が見えない

(2008/08/20)



 実を言うと、成城でアオメアブを見るのは今回が初めてです。これまで、この辺りにはシオヤアブは居ても、アオメアブは棲息しないものだと思っていました。しかし、この家庭菜園では反対に、アオメアブしか居らず、シオヤアブは全く見ませんでした。どうも、シオヤアブは林に近い草原や静閑な住宅地の様な樹木の多い場所を好み、一方、アオメアブは広い草原や畑に代表される開けた場所を好む様です。


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かなり弱っているので掴まり方が何となく頼りない

(2008/08/20)



 また、行動面でも違いが認められます。シオヤアブは地面や水平に近い草の葉の上にもよく留まりますが、アオメアブは垂直或いは傾斜のある細い棒状のもの(木の枝、草の茎、畑の支柱など)以外に留まることは少ない様です。

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正面から見たアオメアブ.弱っているので

右中脚が変な方を向いている

(2008/08/20)



 「青目」ですから、眼は青い(緑色)はずですが、光線の具合によっては赤くも見えます。これは、以前紹介した”ニセ”アシナガキンバエマダラホソアシナガバエ等でも同じです。

 特にこのアオメアブは、ストロボを焚くと眼が真っ赤になってしまう様です。もうかなり夕方に近く、ストロボを焚かずには撮り難い状況でしたが、この次、アオメアブに遭ったら、自然光で撮ってみようと思います。

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アオメアブの顔写真.光の加減で眼の上半分は赤く下半分は緑色

複眼の間、触角の上に妙な構造があり、そこに単眼らしきものが

3個見える(画像をクリックして拡大して見て下さい)

(2008/08/20)



 実は、この写真のアブ君、炎天下の菜園に敷設されていた鳥避けの網の中に閉じこめられていて、既にフラフラになっていたのです。それを出してやったのですが、飛ぶことは出来ても、急に落下して身動きしなくなったり、かなり危うい状態でした。終わりの2枚の写真はトマトの果実に留まって居るのですが、普通はこんな所に留まることは、まずないと思います。

 一休みした後で、また獲物を捕らえて体力を回復するだけの力が残っていたのか、かなり疑問です。その後のアブ君の運命を思い、少し憂鬱な気分で菜園を後にしました。


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2008年9月17日 (水)

チャイロハバチの幼虫


 今日は些か疲れ気味なので、また、写真1枚の虫で勘弁してください。

 しかも、2年前に掲載した「ホシホウジャク(幼虫と成虫)」の幼虫と、同じ日に同じ場所(成城六丁目)で撮った写真で、何と、ホシホウジャクの幼虫の次のコマなのです。

 非常に面白い形をした幼虫なので、是非掲載したいと思っていたのですが、何の幼虫だか幾ら調べても分かりませんでした。それが今日、一寸ハバチ類の幼虫を調べていたら、この幼虫の写真に出会したのです。チャイロハバチの幼虫でした。食草はヘクソカズラなので、ホシホウジャクと一緒に居た訳です。


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チャイロハバチの幼虫.食草はホシホウジャクと同じヘクソカズラ

腹脚が7対。腹脚が全部で6対以上ある芋虫はハバチの幼虫

頭部は左側、黒色で胸部の中に完全に隠れている


(クリックで拡大表示)

(2006/09/26)



 撮った時の記憶が不確かで、3~4cmはあったと思っていたのですが、実際はもっと小さかった様です(「日本幼虫圖鑑」には15~18mmと書かれています)。しかも、こんな妙な形をした幼虫は鱗翅目に違いないと思って形態をよく調べなかったのが、種類が分からなかった最大の原因です。

 写真を良く見てみれば、腹脚が7対あります。これは明らかなハバチ幼虫の特徴です。鱗翅目幼虫の腹脚は最後尾の尾脚を入れても最大5対で、先日紹介した尺取り虫(フタナミトビヒメシャクの幼虫)などの様に尾脚を含めて2対に退化することもあります。私としては、「反省、反省・・・」ですが、やはり種類が分かったのは喜ぶべきでしょう。

 このチャイロハバチ、成虫を調べてみると体色は茶色ではなく鮮やかな赤橙色で、複眼単眼は真っ黒、触角の先は黄色で、大変な美麗種です。こんなハバチはこの辺りでは、生まれてこの方、見たことがありません。あの時分かっていれば、連れて帰って飼育したのに・・・、と2年前のことを今悔しがっているところです。


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2008年9月16日 (火)

ウリハムシ


 これまでにウリハムシモドキクロウリハムシを紹介しましたが、今日は、その本家?とも言うべき、何も形容の付かないただのウリハムシを紹介します。

 このウリハムシは有名なウリ科植物の害虫です。ウリハムシモドキやクロウリハムシも害虫として認知されていますが、それらより「悪者度」がかなり高い様です。


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ウリハムシ.ウリ科植物の大害虫

七丁目の第2ファミリー農園で撮影

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/08/19)



 以前も書きましたが、名前に「ウリハムシ」と付いても、クロウリハムシはウリハムシと同じヒゲナガハムシ亜科のウリハムシ属(Aulacophora)に属しますが、ウリハムシモドキは、亜科は同じですが別属(Atrachya:和名不詳)になります。


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お腹が膨らんではみ出しているのは雌

(2008/08/19)



 撮影場所は七丁目の第2家庭菜園(世田谷区第2ファミリー農園)です。農園の中のウリ科栽培植物、例えば、キウリ、ズッキーニ、カボチャ(スイカも有ったか?)の周りには沢山居ましたが、それらの植物の無いところでは見ませんでした。クロウリハムシやウリハムシモドキがかなり色々な植物を食害するのに対し、このウリハムシは専らウリ科植物を餌としている様です。

 しかし、同じウリ科でもニガウリの周辺では全く見ませんでした。調べてみると、ニガウリにはある種のハムシ類に対する「摂食阻害物質」が含まれているのだそうです。


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頭部胸部は赤いが、鞘翅は黄褐色ないし金色を帯びる

(2008/08/19)



 かなり敏感な虫で、近づくと直ぐに飛んで逃げます。しかし、余り遠くへは飛びません。ウリ科以外の植物に居るのを見ることも多いですが、それは近くのウリ科植物から一寸逃げて来ただけで、やがて、ウリ科植物の方へ戻ります。

 成虫はウリ科植物の葉を食べ、幼虫はウリ科植物の根を食害するそうです。親子揃って、ウリ科の大害虫なのです。

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近づくと直ぐ逃げるのでウリ科植物以外の葉上にも居ることも屡々ある

(2008/08/19)



 写真ではやや赤褐色に見えます。しかし、肉眼的には真っ赤に近い感じがします。ウリハムシモドキよりもずっと色鮮やかで、こう言うと農業関係者には怒られるかも知れませんが、結構綺麗なハムシです。

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正面から見たウリハムシ.結構「悪辣」な顔

(2008/08/19)



 ハムシ類の顔は、中にはキベリクビボソハムシの様に愛嬌のある種類もいますが、一般に「獰猛」或いは「凶暴」な顔をしたものが多い様です。このウリハムシも結構キツそうな顔をしています。

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オマケにもう1枚(2008/08/19)



 やはり農園には農園に相応しい虫、即ち、農業害虫が居ます。今日のウリハムシや少し前に紹介したホソヘリカメムシ等はその典型ですし、昨日のクルマバッタモドキも農園の害虫である可能性が高い様です。

 しかし、七丁目の家庭菜園で一番害をなしているのは、恐らくオンブバッタでしょう。農園内にはシソがかなり沢山植えられていますが、オンブバッタに食べられて丸坊主に近くなっている株もあります。オンブバッタは、ハムシやカメムシとは違って、多少は人気のある虫なので、余り眼の仇にされないのかも知れません。


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2008年9月15日 (月)

クルマバッタモドキ


 七丁目の家庭菜園にはバッタ類が沢山います。特に第2農園の方に多く、今日紹介するクルマバッタモドキの他にもショウリョウバッタ、オンブバッタ、クビキリギスなどの比較的大型のバッタが沢山居ますし、ヒシバッタやコオロギの類など小型のバッタを含めたら、一体何種類居るのか解らない位です。


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クルマバッタモドキ.体調は30~45mm程度

幅があるのでかなり大きく感じられる

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/08/19)



 このクルマバッタモドキは、バッタ科トノサマバッタ亜科に属します。体長は保育社の図鑑では31~45mmとありますが、もっと大小に差がある様な気もします。農園内を歩いていると、急に飛び出して来て3m位先の地面に降りることが多いですが、時には植物の上に留まることもあります。

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後肢腿節に白黒の模様がある(2008/08/19)



 クルマバッタモドキの特徴は、下の写真の様に、胸部の背中に略X字型の白紋があり、また、後肢腿節が白黒の斑になっていることです。これは、かなり離れていても良く見えます。もう少し詳しく見ると、下の写真の様に胸部の正中線は稜になっていますが殆ど盛り上がらず、胸部後縁は丸くなっています。なお、此処に掲載した写真は全て褐色型ですが、稀に緑色型があります。この場合、背中の略X字はかなり不明瞭になります。

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クルマバッタモドキの胸部背面(2008/08/19)



 近縁種に「モドキ」の付かないクルマバッタがいます。「モドキ」よりも少し大型で、胸部背面にX字型の紋は無く、後肢腿節には模様が殆どありません。また、正中線に沿って山形の明確な隆起があり、胸部後縁は尖っています。

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カボチャの葉に留まったクルマバッタモドキ(2008/08/19)



 このバッタは御行儀が大変宜しく、後肢脛節は何時も腿節の内側に畳まれてしまって良く見えません。Internetで探しても、後肢脛節が全部見える写真は見当たりませんでした。どうせ白黒模様だろう、と思っていたのですが、1枚だけ後肢脛節が全部見えている写真(下)がありました。何と、脛節の先端2/3は真っ赤でした。これがこの種の特徴なのか、図鑑には何も書かれていませんので良く分かりませんが、他の部分が地味な色合いなので、際だって鮮やか見えます。

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クルマバッタモドキの後肢脛節は先端2/3が真っ赤

(2008/08/19)



 クルマバッタモドキの眼は、白黒の筋のある何とも奇妙な模様の眼をしています。これを拡大して見たたのが下の写真です。白黒の斑模様になっていますが、個眼は模様とは関係なく規則正しく配列しているのが分かります。

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クルマバッタモドキの眼.眼に焦点を合わせたので

全体的には前ピンになっている(2008/08/20)



 最後に、例によって真っ正面から顔写真を撮ってみました。以前掲載したコバネイナゴの顔とは違い、何とも言い難い渋い表情をしています。泥が一杯付いていて、地面から掘り起こされたばかりの古代石像と言った感じです。

 写真をクリックして拡大表示し、暫く睨めっこしてみるのも一興です。何か斬新なアイディアが浮かんで来るかも知れません。

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クルマバッタモドキの顔.古代遺跡の石像の様(2008/08/20)



 このクルマバッタモドキは、イネ科植物を食草としているそうです。第2農園にはイネ科の雑草がかなり生えていますが、イネ科雑草の中には殆ど居ませんし、また、それらしき食痕を見た記憶もありません。お目当ては、やはり、農園に植えてある何かの作物(トウモロコシ?)の様です。


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2008年9月14日 (日)

キオビベニヒメシャク


 今日は少し写真の多い虫を掲載するつもりだったのですが、朝、庭に出た途端にミドリヒョウモンに出会すと言う一大椿事が出来した為、其方の方に時間を取られてしまいました。其処で、仕方なく規模を縮小して、写真1枚だけの蛾を紹介することにします。

 シャクガ科ヒメシャク亜科のキオビベニヒメシャクです。開張(展翅標本にしたときの横幅)15mm、図鑑に拠ると開張10~14mmとあり「夏生は小さくて、開張11mm位の個体も少なくない」と書かれていますから、これは随分大きな個体と言えます。

 写真では大きく拡大してありますし、少し黄色っぽい感じがしますが、実際に見た時は、小さな桃色で縁取りされた白い蛾という感じでした。


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キオビベニヒメシャク.開張15mm、この種としては大きい

(クリックで拡大表示)

(2008/07/)



 撮影場所は「三ツ池緑地」です。まだ七丁目の家庭菜園で撮った写真が沢山あるのですが、一寸偵察に行ったついでに撮って来ました。2頭見ましたが、何れもイネ科の雑草のかなり低い位置にある翅表に留まっていました。

 留まっている位置が低く、周りは草だらけなので、背側以外からの撮影は無理でした。何処か撮り易い所に留まらないかと、何回も追い立てたのですが、何れも葉裏に留まってしまい、その内見失ってしまいました。それで、写真は1枚しか有りません。

 図鑑には「きわめて普通」と書かれています。しかし、Internetで調べても、食草はまだ分かっていない様です。


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2008年9月11日 (木)

ハリカメムシの幼虫(5齢:脱皮直後)


 ハリカメムシの成虫5齢(終齢)幼虫は昨年紹介しましたが、今年我が家の庭で脱皮したばかりの5齢幼虫を見付けたので、こちらに掲載することにしました。なお、他に3齢幼虫も既に掲載してあります。

 5齢幼虫は時間が経つと色が濃くなって非常に貫禄が出て来ます。しかし、脱皮したては白っぽくて弱々しく、これがあの5齢幼虫かと一寸意外な感じです。見付けたときは、余りに貫禄がないので4齢かと思ったのですが、体の構造を比較してみると、5齢でした。


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脱皮直後のハリカメムシ5齢幼虫

翅の原基(前翅包)が4齢よりもずっと大きい

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/08/13)




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脱皮殻の傍から離れない(2008/08/13)



 4齢幼虫と5齢幼虫とでは翅の原基(前翅包)の大きさが違います。4齢では原基の腹部に出っ張った部分は略半月形をしており、長さは幅より小さいですが、5齢では明らかに幅よりも長さの方が上回っています。



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4齢は棘だらけだが、5齢では腹背盤の棘だけが残っている

(2008/08/13)



 ハリカメムシの幼虫は、4齢までは「体中棘だらけ」です。しかし、5齢ではこの棘の大部分が無くなります。特に目立つ腹部の側板から出ている棘は、4齢ではかなり大きく鋭いですが、5齢では痕跡程度になります。また、胸部、頭部の背側にあった棘は5齢では見られません。腹部の腹背盤(腹部背側の中央にある構造)の左右から出ている棘は5齢にもありますが、4齢と比較するとずっと小さく細くなっています。

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前から見た5齢幼虫.胸部の背側に小班が1対ある

(2008/08/13)




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真横から見た5齢幼虫.眼の色が淡いがこれで見えるのだろうか?

(2008/08/13)



 脱皮殻が直ぐ横に写っていますから、脱皮後まだ殆ど動いていないのでしょう。眼はまだそれらしい色をしていません。しかし、触角の辺縁は既に黒っぽくなっています。この部分が最も早く色付く様です。

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脱皮後少し(2日?)経った5齢幼虫.まだ色が淡い

(2008/08/15)



 普通の昆虫は、脱皮後かなり急速に本来の色になりますが、どうもハリカメムシの幼虫は中々色が出てこない様です。上の写真はそれより前の写真の2日後に撮ったものです。同じ個体か否かは分かりませんが、多少は色が濃くなっています。しかし、昨年撮った5齢幼虫と較べると、比較にならないほど色が薄いと言えます。上の写真程度に色付いた個体は、その後何回も見ました。しかし、シッカリ黒くなった個体を見かける様になったのは、かなり経ってから(1週間以上?)です。

 このハリカメムシの幼虫が居るところは余り日当たりが良くなく、しかも、丁度その頃陽の射さない雨模様の日が続きました。或いは、陽の光が弱いと色が濃くならないのかも知れません。

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同じ個体を、横から見たもの(2008/08/15)



 最近は、我が家の庭の虫も場合によってはこちらで掲載する事にした為、些かネタがダブ付き気味です。このWeblogを始めてからそろそろ2年になりますが、成城の昆虫の大半を紹介し尽くすには、まだ何年もかかりそうです。


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2008年9月10日 (水)

フタナミトビヒメシャクの幼虫


 尺取り虫はシャクガ類の幼虫で、膨大な種類があります。撮影しても大概は種類が分からないので、見付けても撮らなかったり、たとえ撮っても往々にしていい加減になりがちです。

 今日紹介する虫はその尺取り虫です。異常と言っても良いほど細長く、まるで、切れた輪ゴムが動いているかの様でした。普段なら撮らないのですが、余りに細長いので撮ることにしました。

 しかし、この尺取り虫君、何故か非常に急いで移動しており、横から撮ろうと思ったときには、既に葉の茂みの中に入ってしまい、幾ら探してももう見つかりませんでした。その為、写真はこの1枚しかありません。


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フタナミトビエダシャクの幼虫.長さ25mm程度、齢は不明

(2008/09/02)



 調べてみると、やはり非常に特徴的な尺取り虫のせいか、直ぐにシャクガ科ヒメシャク亜科のフタナミトビヒメシャクの幼虫であることが分かりました。北隆館の「日本幼虫圖鑑」にも載っています。幼虫はどう見ても相当な変わり者ですが、蛹や成虫は極く普通のシャクガの形をしており、些かガッカリです。

 写真を見ると、頭部が尺取り虫らしからぬ面白い形をしています。今回は撮れませんでしたが、ぜひ前や横の方から頭部を撮ってみたいものです。特に珍しい種類でもない様なので、また出合う機会があるかも知れません。巧く撮れたら、また、紹介したいと思います。

 なお、撮影場所は七丁目の家庭菜園です。菜園の内部ではなく、隣家との垣根に居ました。


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2008年9月 9日 (火)

ホソヘリカメムシ


 今日はホソヘリカメムシ科のホソヘリカメムシを紹介します。このカメムシはこのWeblogで初登場ですが、ホソヘリカメムシ科自体が初めてです。

 体長は15mm位あり、此処で紹介しているカメムシの中ではかなり大型と言えます。しかし、名前が示す様にほっそりとしています。


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ホソヘリカメムシ.ホソヘリカメムシ科に属し体長15mm前後

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/07/20)



 非常に機敏なカメムシで、大きいにも拘わらず、一瞬で飛び立ちます。飛び方も早く、羽音もするので、虫をよく知らない人の中には、これを蜂と間違える人も居るそうです。しかし、蜂とは異なり、余り遠くへ行くことはありません。大概は2~3m以内の近場に留まります。

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メヒシバの穂に留まるホソヘリカメムシ(2008/07/20)



 撮影場所は、七丁目の家庭菜園です。これまで明記しませんでしたが、七丁目の家庭菜園は世田谷区の運営するもので、実は七丁目には2個所あり、「七丁目緑地」に近いのが「ファミリー農園」、桜並木の一本東の通りを北に行った突当たりにあるのが「第2ファミリー農園」です。このホソヘリカメムシは何方の家庭菜園にも居ましたが、「七丁目緑地」に近い方の農園に特に沢山居ました。


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撮影の為にメヒシバの穂を動かしたので

妙な格好で穂にしがみ付くホソヘリカメムシ

(2008/07/20)



 初めて見付けたときはシソに沢山留まっていたのでシソに寄生するのかと思いました。しかし、図鑑に拠るとマメ科やイネ科の害虫だそうです。その後、大豆の実(枝豆)に沢山集っているのを見付けましたから、これが本来の目当てなのでしょう。

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カメムシも斜め前から見ると中々リッパ(2008/07/20)



 ホソヘリカメムシをInternetで調べてみると、このカメムシ、かなり「悪者度」が高い様です。やはり大豆の害虫として問題視されており、「ホソヘリカメムシ 大豆」で検索すると1000件位ヒットします。

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正面から見たホソヘリカメムシ.口吻が良く見える(2008/07/20)



 ホソヘリカメムシは後腿節が太いのが特徴です。多分、ヨコバイ類と同じく、飛び立つときにまずこの太腿の力で跳ね上がり、その後、翅で飛ぶのでしょう。

 しかし、この太腿にはその後側に強力な棘があります。これは一体何に使うのでしょうか?

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裏側からだと、随分色が違って写る(2008/07/20)



 実は、ホソヘリカメムシを見るのはこれが初めてです。その後も、この家庭菜園以外では見ていません。やはり、農園にはそれなりの農業害虫が居る、と言うことなのでしょう。

 今後暫く、この七丁目の家庭菜園で撮った虫の紹介が続くと思います。しかし、「害虫」は思ったほど多くはなく、畑の中よりも周りの空き部分に生えているイネ科の雑草の方に色々な虫が居ました。イネ科の雑草が生える空地は、多くの虫にとって天国の様なものなのかも知れません。


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2008年9月 7日 (日)

クロウリハムシ


 今日は、我が家にいる普通種を紹介します。クロウリハムシ、この辺り(東京都世田谷区西部)には何処にでも居る体長6~7mmのハムシです。

 「クロ」と名が付いていていも、黒いのは鞘翅、脚、触覚、眼、口の周辺で、他は黄褐色をしています。


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デュランタ・タカラズカの葉に留まるクロウリハムシ

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/08/29)



 我が家では春から秋まで見ることが出来ますが、今頃が一番多いかも知れません。丁度今咲いているデュランタ・タカラズカによく来ています。花を食べているのではないかと思いますが、下の写真の様に、葉っぱを囓っている風に見える時もあります。しかし、少なくとも我が家では、被害と言うほどの被害は認められません。


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デュランタの葉を囓る?クロウリハムシ(2008/08/29)



 そんな訳で、大した悪者ではないと思っていたのですが、調べてみると、ウリ科植物を中心に、様々な農作物に被害を与えるかなりの害虫の様です。

 また、花卉でもキキョウやナデシコ類を丸坊主にしたりすることもあるとのことです。園芸をされている方は、充分注意をされた方が良いでしょう。

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腹が大きいので雌であろう(2008/08/29)



 図鑑を見ると、クロウリハムシによく似た同属の仲間が2種居ます。しかし、何れも分布は屋久島以南ですから、この辺りで見ることはありません。

 参考までに書いておくと、屋久島から東南アジアにかけて棲息するヒメクロウリハムシは、脚も触角も赤褐色なので、簡単に区別が付きます。もう一つのルリバネウリハムシは奄美や沖縄に分布し、体が2回り位大きい(7.5~9.0mm)ことと、腿節が黄褐色なので区別できます。

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正面から見ると結構勇ましい顔(2008/08/29)



 九州大学の日本産昆虫目録を参照すると、ハムシ科には556種も登録されています。しかし、この辺りではハムシ類は非常に少なく、この2年間でたったの8種類しか見ていません。これは、日本産全種の僅か1.4%程度です。何故、こんなにハムシが少ないのでしょうか。

 ハムシは名前の通り葉っぱを食べます。種類が少ないと言うことは、ハムシの餌となる植物の種類がそれだけ少ない、言い換えれば、多様性に欠けると言うことを如実に表しているのかも知れません。

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デュランタの花に留まるクロウリハムシ(2008/08/29)



 クロウリハムシはハムシ科ヒゲナガハムシ亜科に属し、ウリ科作物の大害虫ウリハムシと同属(Aulacophora)です。一方、以前紹介したウリハムシモドキは、亜科は同じですが、別属(Atrachya)になります。

 名前からすれば本家に当たるウリハムシはまだ掲載していませんが、七丁目の家庭菜園に沢山居るのを見付けました。近日中に紹介の予定です。なお、クロウリハムシはもう一つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」にも掲載してあります。御覧になりたい方はこちらをどうぞ。


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2008年9月 4日 (木)

アワダチソウグンバイ


 昨年、プラタナスに寄生するアメリカ大陸原産のプラタナスグンバイを掲載しましたが、今日は、同じアメリカ大陸原産のアワダチソウグンバイを紹介します。アワダチソウグンバイは平成11年に兵庫県西宮市で初めて確認された後、次第に北上して3年程前から関東地方にも姿を現したのだそうです。

 昨年以降、成城のプラタナスは、その殆ど全部がプラタナスグンバイに寄生されている様で、今年も夏の盛り頃から葉っぱが段々黄色くなって来ました。アワダチソウグンバイの方はどうかと言うと、これも空地や道端に生えているセイタカアワダチソウを調べてみたところ、非常に多くの株に寄生が認められました。


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アワダチソウグンバイ.中南米原産.翅端まで3.0mm

写真はセイタカアワダチソウの隣に生えている

イネ科の雑草に留まっていたもの

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/07/11)



 プラタナスグンバイは翅端まで3.3mm、翅がガラス状でよく光を反射する為かなり目立ちます。しかし、アワダチソウグンバイは翅端まで3.0mmとやや小型で、しかも、色がセイタカアワダチソウの葉裏と似ているので、その気になって探さないと中々見つからないでしょう。

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真横から見たアワダチソウグンバイ.その後にも一匹いる(2008/07/11)



 アワダチソウグンバイはセイタカアワダチソウばかりでなく、その他のキク科植物にも寄生します。我が家では、北米原産のシオンの1種に寄生しているのを、昨年の春に見付けました(これは「我が家の庭の生き物たち」に掲載してあります)。ところが、調べてみると、キク、ヒマワリなどのキク科植物ばかりでなく、ヒルガオ科のサツマイモ、アメリカンブルー、更にナスなどへの寄生も確認されています。かなり広食性の様です。


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セイタカアワダチソウの葉裏と同じ様な色をしているので

かなりコントラストを高くしてある

(2008/07/11)



 アブラムシ、グンバイムシ、コナジラミ、キジラミなどの吸汁性昆虫は、単に吸汁によって農作物等に被害を与えるばかりでなく、植物病原性ウィルスを媒介することの多い「危険な虫」でもあります。調べた範囲では、アワダチソウグンバイは特に病気の媒介はしていない様ですが、一昨年以来、我が家のシオンの1種は開花の少し前から葉が茶色になり、枯れて来ます。単なる吸汁による衰えなのかも知れませんが、或いは、何かのウィルスを媒介しているのかも知れません。

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正面から見たアワダチソウグンバイ(2008/07/11)



 写真のグンバイムシは、5丁目の空地に生えていたセイタカアワダチソウに居たものです。しかし先日、七丁目の家庭菜園でも見かけました。また、初めに書いた様に、町中のセイタカアワダチソウが寄生されていると言ってもよい状態です。かなり広食性の様ですし、今の内に何らかの対策を立てる必要があるかも知れません。


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