アオメアブ
七丁目の家庭菜園(世田谷区第2ファミリー農園)には、これまでに紹介した大害虫のウリハムシやホソヘリカメムシの他にも、様々な農業上の害虫がかなりの密度で棲息しています。しかし、その割に少ないと思われるのが、これらの害虫の数を制限するはずの捕食者です。
クモ類はかなり居ますが、多くは地面を徘徊する種類で、葉っぱの上に上がってくる種類は少ない様です。カマキリは1,2度見かけたかも知れませんが、記憶が定かでありません。また、トンボ類は居ますが、空中の小昆虫しか補食しませんし、その数は、この様な開けた場所としては、かなり少ないと思います。
そんな中で、今日紹介するアオメアブはこの家庭菜園で特に目立った強力な捕食者です。しかし、その数は余り多くはありませんでした。
「青目虻」と書くと、何故かアブ科に属すウシアブやメクラアブの様な吸血性のアブと誤解しそうですが、写真を見てお分かりの通り、ムシヒキアブの仲間です。大きさは、以前ムシヒキアブ科最大級として紹介したシオヤアブと殆ど同じです。北隆館の圖鑑によれば、シオヤアブは23~30mm、アオメアブは20~29mmとなっていますので、シオヤアブより僅かに小さいと言う程度です。
実を言うと、成城でアオメアブを見るのは今回が初めてです。これまで、この辺りにはシオヤアブは居ても、アオメアブは棲息しないものだと思っていました。しかし、この家庭菜園では反対に、アオメアブしか居らず、シオヤアブは全く見ませんでした。どうも、シオヤアブは林に近い草原や静閑な住宅地の様な樹木の多い場所を好み、一方、アオメアブは広い草原や畑に代表される開けた場所を好む様です。
また、行動面でも違いが認められます。シオヤアブは地面や水平に近い草の葉の上にもよく留まりますが、アオメアブは垂直或いは傾斜のある細い棒状のもの(木の枝、草の茎、畑の支柱など)以外に留まることは少ない様です。
「青目」ですから、眼は青い(緑色)はずですが、光線の具合によっては赤くも見えます。これは、以前紹介した”ニセ”アシナガキンバエやマダラホソアシナガバエ等でも同じです。
特にこのアオメアブは、ストロボを焚くと眼が真っ赤になってしまう様です。もうかなり夕方に近く、ストロボを焚かずには撮り難い状況でしたが、この次、アオメアブに遭ったら、自然光で撮ってみようと思います。
実は、この写真のアブ君、炎天下の菜園に敷設されていた鳥避けの網の中に閉じこめられていて、既にフラフラになっていたのです。それを出してやったのですが、飛ぶことは出来ても、急に落下して身動きしなくなったり、かなり危うい状態でした。終わりの2枚の写真はトマトの果実に留まって居るのですが、普通はこんな所に留まることは、まずないと思います。
一休みした後で、また獲物を捕らえて体力を回復するだけの力が残っていたのか、かなり疑問です。その後のアブ君の運命を思い、少し憂鬱な気分で菜園を後にしました。
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