カテゴリー「クモ」の7件の記事

2009年3月 5日 (木)

ワカバグモ(その2:捕食)

 以前、ワカバグモ(Oxytate striatipes)を掲載しましたが、今日は、そのワカバグモが捕食しているところを紹介したいと思います。獲物は、これも既に紹介済みのウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄です。撮影場所は、それぞれを紹介したのと同じく、「三丁目緑地」の上部にあるシャクチリソバの群落で、時期は昨年の11月です。

__081110_0_049
ウスイロアシブトケバエの雄を捕らえたワカバグモ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 丁度この時期、シャクチリソバの葉上には、ワカバグモもウスイロアシブトケバエもかなり沢山いました。だから、こう言う光景が生ずるのは、まァ、必然的と言えます。
__081110_0_058
触肢でウスイロアシブトケバエの頭を押さえている
ケバエの腹部が良く見える
(2008/11/10)

 食べられている方のケバエ(ハエと付いても蚊の仲間)は翅を開いているので翅脈も腹部も良く見え、ウスイロアシブトケバエであると同定するのに役立ちました。普通、この連中は翅を畳んで留まるので、翅脈も腹部も良く見えないのです。ワカバグモに同定の協力をして貰った様なものです。
__081110_0_062
正面からの図.ケバエの翅脈が良く見える
(2008/11/10)

 クモは獲物を捕らえるとき、上顎(鋏角)で挟むと同時にその先端にある牙から毒液を出して相手を倒し、消化液を注入して獲物の組織を溶かした後、その溶けた汁を吸います。
 下の写真で、ケバエを押さえているのは脚と構造のよく似た触肢で、眼の下方にある太い1対の構造が上顎です。この下側(裏側)に、左右の触肢の基部から内側に伸びた下顎(顎葉)があり、口はその間にあります。
 よく知らない頃は、上顎の牙から出る毒液に消化作用もあるのだと思っていましたが、クモ学の聖典とも言える吉倉眞著「クモの生物学」を読むと、消化液は下顎(顎葉)の篩域という場所に多数開口する唾液腺から出るのだそうです。
__081110_0_044
食事中のワカバグモの顔.眼域の下に見える1対の上顎で
獲物を挟んでいる筈なのだが、良く見えない
(2008/11/10)

 クモの上顎(鋏角)がどの様に獲物を挟んでいるのか、上の写真では良く分かりません。そこで別の上から撮った写真を部分拡大してみました(下)。しかし、これでも上顎の先端が獲物に触れているだけの様にしか見えません。この辺りが良く分かる写真を撮るのは、獲物が邪魔になることが多いので、中々難しい様です。
__081110_0_066p
背側から撮った写真の部分拡大.やはり上顎が
どう獲物を挟んでいるのか良く分からない
(2008/11/10)

 前回、「次回は埼玉県昆虫誌にSteganopsis sp.2として載っているもう一方の未記載種を紹介する」と言う意味のことを書きました。しかし、最近は余りにハエが続くので、今日は一寸気分転換をしてみました。
 Steganopsis sp.2は、次回に必ず紹介します。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月26日 (月)

キハダカニグモ

 此の冬は樹皮の裏に潜んで越冬している虫を紹介するつもりでした。ところが、先日「四丁目緑地」に植えられているケヤキその他の大きな樹の樹皮を剥がしてみましたが、生き物は一匹も見つかりませんでした。11月下旬から12月上旬にかけては、かなり色々な種類が居て、既に「トビムシの1種」やヒメコバネナガカメムシ等を掲載していますが、真冬になったら居なくなってしまった様です。
 そこで、今日はそのまだ虫の居る頃に撮った、キハダカニグモ(Bassaniana decorata)を紹介することにします。カニグモ科に属す体長4~7mm(写真の個体は5.5mm)のハナサキガニの様な格好をしたクモです。

_081130_0_136
ケヤキの樹皮下にいたキハダカニグモ(左).中央は他種のクモの巣
右に見える小さな虫はヒメコバネナガカメムシ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/30)

 上の写真は「四丁目緑地」に植えられているケヤキの樹皮を剥がしたところです。写真中央左にキハダカニグモが居ます。真中の白いのは他の種類のクモの巣で、キハダカニグモはこう言う樹皮下に巣を作るクモを捕食することもある様です。カニグモ科やエビグモ科のクモは徘徊性で、住居は作りません。しかし、同じ徘徊性のクモでも、フクログモやハエトリグモはそれなりの住居を作ります。
 写真の右側に何か小さな虫が写っています。これは、ヒメコバネナガカメムシで、以前紹介したのは、実は、この個体なのです。
_081130_0_138
第1歩脚と第2歩脚が大きく長い
名前の通り蟹に一寸似ている
(2008/11/30)

 Wikipediaに拠ると、カニグモ類の特徴は脚の配置にあり、4対の歩脚の内、前3対が前を向き、最後の1対のみが後ろを向きます。前2対は良く発達して左右に大きく張り出し、抱え込むように前方に曲げます。
 以前紹介したワカバグモもカニグモ科ですから、この点では全く同じです。しかし、ワカバグモがカニグモ科の中で最もスマートなクモであるのに対し、このキハダカニグモは厳つい方の筆頭と言えるでしょう。
_081130__1_016
キハダカニグモの背面は樹皮と区別が付き難い
(2008/11/30)

 キハダと付いていますが、このキハダカニグモの「キハダ」がミカン科の大木であるキハダ(黄檗)なのか、或いは、ただの木肌なのか良く分かりません。同じく「キハダ」の付くキハダエビグモの場合も同じです。
 大木の樹皮上に居た場合、このクモの背面の色調は完成度の高い保護色になります。体長5mm前後と小さいこともあり、気を付けないと見逃します。この点で、「黄檗」よりは「木肌」の方が有力です。「キハダカニグモ 黄檗」でGoogle検索しても有意なヒットは一つもありませんでした。
_081130__1_051
正面から見たキハダカニグモ.一番大きな眼は前側眼
(2008/11/30)

 クモ類の目は単眼で4対8個あるのが普通です。カニグモ科の場合は、前中眼と前側眼で一列、その後に後中眼と後側眼がまた1列になっていますが(ワカバグモを参照のこと)、キハダカニグモの後列の眼は写真からは良く分かりません。一番大きいなのが前側眼で、その間にある少し小さいのが前中眼です。因みに、ハエトリグモ科(例えばマミジロハエトリ)では反対で、前中眼が断然大きく、前側眼は中程度の大きさです。
_081130__1_050
こんな厳ついクモでも斜め前から見ると結構可愛い
(2008/11/30)

 多くの昆虫は斜め前方から撮ると一番可愛く写ります。このキハダクモの場合も、上の写真の様に、斜め前方から撮ったのが一番カッコ良く、また、可愛い様です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月30日 (火)

マルゴミグモ

 やはり暮れになると、雑用に追われて更新が滞りがちになります。もう今年はサボってしまおうか、と思ったのですが、写真の方は溜まりに溜まって居ます。そこで、今年最後として一寸変わったクモを紹介することにしました。
 マルゴミグモ(Cyclosa vallata)と言う腹部が真ん丸に近いクモです。ゴミグモは漢字で書けば塵蜘蛛で、捕まえた獲物の残骸や風で飛んで来て巣に引っ掛かったもの等を巣の中心近くに並べておくので、その名があります。

_081208_008
ほぼ水平に張った網に背位占座するマルゴミグモ
折り畳んだ脚からお尻の端まで5mm弱
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/12/08)

 オニグモや、ジョロウグモに一寸似たコガネグモ等が属すコガネグモ科のクモです。コガネグモ科の下にゴミグモ属(Cyclosa)があり、日本には20数種が棲息している様です。細長い体をした種を除けば、何れも体長1cm未満の小さなクモで、このマルゴミグモは5mm前後です。
_081208_043
近くで見るとこんな感じ(2008/12/08)

 図鑑には、最近急激な北上傾向が認められる、と書いてありますから、南方系の種の様です。Internetで調べてみると、1960年代の太平洋側での北限は紀伊半島の潮岬だったのが、1982年に横浜市、2002年に世田谷区で1匹ずつ見つかり、今年(2008年)の7月下旬には国会議事堂周辺で、何と67匹ものマルゴミグモが見つかったそうです。東京では、もう普通種と言っても良い様です。
_081208_022
体の下にある白い糸の固まりは何?
(2008/12/08)

 また図鑑には、海岸地域に多く棲息、とありました。成城は海岸地帯とは言えません。図鑑に載っていない、マルゴミグモに似た別の種類があるのかも知れません。こでまた検索してみると、ゴミグモ属に関する「Akio TANIKAWA1:A Revisional Study of the Japanese Spiders of the Genus Cyclosa MENGE (Araneae:Araneidae)」と言う論文が見つかりました。これを読んでみると、似た様な形をしたヒメマルゴミグモはずっと小型ですし、トゲゴミグモはこの辺りに分布していないので、候補はマルゴミグモしか残りません。しかし、それでも多少の不安が残ります。そこで、「クモ蟲画像掲示板」に御伺いを立ててみたところ、マルゴミグモで間違いないとの御回答を得ました。
 「海岸性」と言うのは余り関係なく、東京では少なくとも、小金井、八王子当たりまでは進出しているそうです。
_081208_052
正面から見たマルゴミグモ.脚の間から頭が覗いている
(2008/12/08)

 居たのは「三丁目緑地」です。国分寺崖線の上側に当たる、シャクチリソバの群落近くに植えられたドウダンツツジの間に、ほぼ水平に巣を張り、その上側に乗っかっていました。「クモ蟲画像掲示板」に拠ると、こう言うのを背位占座と称すのだそうで、一般にマルゴミグモ以外では見られない占座方式なのだそうです(前の方で「一寸変わったクモ」と書いた所以です)。しかし、マルゴミグモの占座様式はこれに限らず、水平、垂直、斜め等の網に上向き、横向き、下向きなど様々とのことです。
_081208_055
オマケにもう1枚.網は少し傾斜していたが
この写真では実際よりも傾斜が急に見える
(2008/12/08)

 今年はこれが最後の更新になります。このWeblogに関して今年を振り返ると、書き込み回数は今回を入れて134回、昨年と比較すると、私が日本に居なかった時期を除いて、マァマァの更新率でした。もう一方のWeblogは、我が家の庭で撮った写真しか載せませんので、今後、段々と慢性的なネタ切れ状態になるものと思われます。
 しかし成城の町全体としては、容易にネタ切れになることはありません。来年は、結果的に此方の方に重点が移るのではないかと思われます。
 それでは皆様、良い御年をお迎え下さい。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年12月18日 (木)

マミジロハエトリ(雄)

 今日は、昨日掲載したウスグモスズと同じ場所(「四丁目緑地」横の植込み)に居たマミジロハエトリ(Evarcha albaria)の雄を紹介します。ウスグモスズが葉裏に隠れて一時的に見えなくなったとき、近くの葉裏から現れました。ウスグモスズはまた現れましたが、このマミジロは直ぐに葉陰に入ってそれっきりだったので、写真は少ししかありません。
 雄の体長は6~7mm、雌はこれより1mm程度大きく、ハエトリグモとしては中位の大きさです。北海道から九州まで、高地を除く平地や山地に分布するとのことです。

_080924_033
正面から見たマミジロハエトリの雄.白い眉毛が特徴
双眼鏡の様な前中眼がハエトリグモの特徴、その横にある
少し小さな眼は前側眼
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/24)

 目の上に真っ白な「1本眉」があります。これが雄の一大特徴で、これ一つで雄のマミジロであることが分かります。
 雌には白い眉はありませんが、その代わり、眼域の後にそれを囲む様に淡色の帯があります。丁度、襟巻きをした様な格好です。更に、雌の腹部後端近くには縦に長い楕円形の黒色斑が1対あります。
 なお、「日本のクモ」に拠れば、それ以外の部分は、非常に色彩の変化に富んでいるとのことです。
_080924_035
マミジロハエトリの雄.頭胸部中央の端にある眼は
後側眼.後中眼は小さく白帯の直後にある
引き糸が写っている(2008/09/24)

 2、3番目の写真には、お尻から出ている引き糸が写っています。先日のワカバグモでも引き糸が写っていました。引き糸は、普通は中々写らないものですが、偶然2種連続で写りました。
 前にも書きましたが、クモ類は常にこの引き糸を出しており、何かの拍子で落下しても、この引き糸を手繰ることにより元の場所に戻ることが出来ます。
_080924_036
跳躍する前には脚を内側に曲げて体を丸める
(2008/09/24)

 ハエトリグモはチョコマカと落ち付きなく動き回りますし、小さい割りには体高があります。私の様に焦点深度の浅い100mmマクロで撮るものにとっては嫌な相手です。ついつい絞り込んで撮ってしまうので、余りカチッとした写真になりません。もう少し焦点深度の深いレンズ、或いは、焦点距離の短いコンパクトカメラを使えば、もっと楽に綺麗な写真が撮れると思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年12月13日 (土)

ワカバグモ

 今日は久しぶりにクモを紹介します。ワカバグモ(Oxytate striatipes)、何処にでも居る極く普通のクモで、カニグモ科に属します。「三丁目緑地」に群生しているシャクチリソバの葉の上に居ました。クモに関しては初心者なので良く分からないのですが、まだ、幼体か亜成体で、越冬してから成体になるものと思われます。
 第1歩脚と第2歩脚を思いっきり拡げて獲物が来るのをジッと待っていました。ハエトリグモの様に獲物を求めて徘徊することは基本的にない様です。

_081110_075
脚を拡げて獲物を待つワカバグモ
引き糸が光って見える
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 上の写真では、クモのお尻から出ている糸が写っています。偶々ストロボの光の加減で写りましたが、普段は人の目には見えない「引き糸」と呼ばれる糸です。クモは何時もこの引き糸を出しており、何か突然の衝撃を受けて落下しても、この糸を手繰ることによって元の場所に戻ることが出来ます。
_081110_066
黄緑色の葉の上に黄緑色のクモで分かり難い
(2008/11/10)

 文一総合出版の「日本のクモ」には、ワカバグモは(昼間は)葉や枝の間に潜み、夕方になると葉の上に出て来て獲物を待つ、と書いてあります。写真を撮ったのは、11月10日の午後2時過ぎです。この日の日の入りは午後4時半過ぎですが、晩秋の太陽の位置は低いですから、クモはもう夕方だと思ったのかも知れません。
_081110_069
前方から見ると綺麗に左右対称
(2008/11/10)

 多くのクモは4対8個の単眼を持っています。このワカバグモも、頭部を拡大すると、8個の単眼が整然と並んでいるのが見えます。一番手前の内側にあるのを前中眼、その外側にあるのを前側眼、後の内側のを後中眼、後外側のを後側眼と呼びます。
 しかし、原始的なクモの中には6個しか眼を持たない仲間も居ますし、洞窟に棲息する様な種類では眼が退化して眼が無くなっているものもあります。
_081110_079
ワカバグモの頭部.8個の眼が良く見える
(2008/11/10)

 このワカバグモの眼を良く見ると、前中眼は正面、前側眼は斜め前方、後中眼は上方、後側眼は横上方を向いており、種々の方向を見ることが出来る様になってるのが分かります。ワカバグモで一番大きな眼は前側眼ですが、ハエトリグモでは前中眼が特別に大きく、双眼鏡で覗いている様な感じになります。
_081110_068
斜めから見た図(2008/11/10)

 今日の写真を撮影したシャクチリソバの群落には、まだ紹介はしていませんが、小型のハエやケバエ(ハエと付いても蚊の仲間です)がかなりの数いて、ワカバグモもこれを目当てにしていた様です。彼方此方の葉上で待機して居ましたが、中には獲物を捕らえているものも居ました。ワカバグモが捕食しているところは、また別の機会に紹介したいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年10月 8日 (水)

アオオビハエトリ(捕食)

 今日は、一寸気分を変えて、ハエトリグモを紹介します。アオオビハエトリが獲物を捕まえているところです。
 アオオビハエトリは外観はハエトリグモの形をしていますが、普段は絶えず第1歩脚を振り上げて触角の様に振り回すので、遠くから見るとアリにかなり似た感じになります。しかし、今日の写真は、全部獲物を咥えた状態ですから、その感じは分からないと思います。「手ぶら」のアオオビハエトリはもう一つのWeblogに掲載してありますので、普段の状態を御覧になりたい読者はこちらをどうぞ。

_080819_003
クロオオアリを捕まえたアオオビハエトリ.体長は7mm程度
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/08/19)

 ハエトリグモの形をしているのに、動きはアリグモみたいなクモです。しかし、アリグモもハエトリグモ科ですから、普通のハエトリグモとアリグモの中間的な存在と言えるかも知れません。
_080819_019
クロオオアリを捕らえたアオオビハエトリ(その2)
(2008/08/19)

 掴まっているアリは、色艶と大きさからしてクロオオアリだと思います。脚を伸ばしきっていますから、もう毒が回って絶命しているのでしょう。
 アオオビハエトリは専らアリを獲物としています。「蠅獲り蜘蛛」ではなく「蟻獲り蜘蛛」なのです。アリ的な行動を取るのも、アリに自分の仲間と思わせる為なのでしょうか。
_080819_022
クロオオアリを捕らえたアオオビハエトリ(その3)
(2008/08/19)

 アリを主食にしているクモには、他にカニグモ科のトラフカニグモやセマルトラフカニグモ、ヒメグモ科のミジングモ類やクロササヒメグモ等があります。しかし、何れもアリとは全然似ていません。また、アリグモはアリに非常によく似ていますが(正面から見なければ)、アリは滅多に食べないそうです。生き物の世界は、人間の思うほど簡単には出来ていない様です。
_080819_024
クロオオアリを捕らえたアオオビハエトリ(その4)
(2008/08/19)

 撮影場所は七丁目の第1家庭菜園(ファミリー農園)です。最初は葉の上に居たのですが、写真を撮るために色々葉っぱを掴んで角度を変えたりしている間に、地面に落ちてしまいました。或いは、自分から飛び下りたのかも知れません(糸を引いている様には見えませんでしたが・・・)。
_080819_028
クロオオアリを捕らえたアオオビハエトリ(その5)
(2008/08/19)

 以前紹介したヒメオオメカメムシは、撮影中に獲物のハエを刺したまま花の上をグルグル逃げ回っていましたが、最後まで獲物を放しませんでした。このアオオビハエトリも、地面の上を逃げながらも、決して獲物を放そうとはしませんでした。「身に迫った危険」よりも餌の方が大事なのでしょう。
 しかし、ストロボの光を浴びたり、直ぐ近くにカメラのレンズが迫っても、実質的には何の危害もありません。棒で突っつかれる様な本当に危険な状態に陥ったら、獲物を放すかも知れません。
_080819_014_2
クロオオアリを捕らえたアオオビハエトリ(その6)
(2008/08/19)

 前々から気にはしていたのですが、今年はまだ一度も植物を紹介していません。「成城の動植物」なのですから、次回は植物を紹介しようと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年6月22日 (日)

ヤサアリグモ

 このWeblogは、表題からすると「動植物」を万遍なく紹介すべきなのですが、最近掲載するのは殆ど昆虫ばかりです。調べてみると、昨年の11月19日以降植物は1回もありません。また、その日から前回までの43回の内、昆虫が36回、鳥が7回となっています。
 植物が随分虐げられている?様ですが、春に日本に居なかったのが大きな原因でしょう。雑草や栽培品種のエスケープは余り撮る気がしません・・・。動物は昆虫と鳥以外にも色々居ます。もう1つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」では、クモ類、カナヘビ、ヒキガエル等も紹介しているのですが、この「成城の動植物」では何故か1回も登場していません。
 そこで今日は、クモを紹介することにします。ヤサアリグモ、ハエトリグモ科に属す、アリによく似たクモです。

_080519_099
背面から見たヤサアリグモ.頭胸部の中央に括れがある
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/19)

 このヤサアリグモ、今年の冬に「チャタテムシの1種」や「ハチの1種」を撮影した、「三丁目緑地」に生えているタラヨウの葉裏に居たものです。冬の間、このタラヨウの葉裏には、紹介した虫の他にも色々な小昆虫が居たので、春も何か居ないかと思って行ってみたのですが、このヤサアリグモ以外は何も居ませんでした。
_080519_104
横から見ても頭胸部の間に括れが認められる(2008/05/19)

 この辺り(東京都世田谷区)では、何も前に付かない只のアリグモは普通に居ますが、このヤサアリグモは初めて見ました。写真のクモの体長は丁度5mm、アリグモよりも少し小さく、細長くなっています。
 この個体は雌で、雄は上顎(牙の様に見える)が異常とも言えるほど長く大きくなります。
_080519_098
背面斜めから見たヤサアリグモ(2008/05/19)

 日本産アリグモ属(Myrmarachne)は、知る限りでは8種ほど記録されており、よく似ていて区別が難しい種類が多い様です。しかし、このヤサアリグモは頭胸部(クモは昆虫とは異なり頭部と胸部の区別がない)の中央部に深い括れがあり、まるで昆虫の様な外形をしているので、他種からの判別は容易です。
_080519_109
正面から見ると、眼鏡の様な前中眼が真っ正面を向いているのが
分かる.前中眼の横にある小さな眼が前側眼、ずっと後にあるのが
後側眼.後中眼はハエトリグモの場合小さくて分かり難い
(2008/05/19)

 アリグモの行動しているところを少し遠くから眺めると、まるで本物のアリの様に見えます。時々、お尻から出す糸を使うことがあるので、やっとクモであることが分かるくらいです。
 しかし、正面から見ると、これは全くのクモです。前中眼(クモには複眼はなく、前中眼、前側眼、後中眼、後側眼の4対の単眼がある)が眼鏡の様に大きく、真っ正面を向いていますが、これはハエトリグモ科の特徴です。
_080519_100
斜め前方からみたヤサアリグモ.脚の先は細く小さく
バレーシューズを履いている様(2008/05/19)

 ハエトリグモの仲間には、接写をすると、中々可愛らしい種類が沢山居ます。しかし、小さい割りに体高が高く(焦点深度の関係から撮り難い)、また、歩くのが速く、危険と見ると直ぐに茂みの中に隠れてしまうので、任意の位置から1~2枚撮ることは出来ても、背面、正面、側面の3方向を全部揃えて撮るのは、かなり難しいのが実情です。

| | コメント (0)