カテゴリー「昆虫(蛾)」の16件の記事

2009年3月15日 (日)

エグリヅマエダシャク

 最近はどうも掲載する虫の種類がハエやチャタテムシに偏っています。何か違うものを出そうと、迷っている間に1週間経ってしまいました。
 そこで、一寸翅が破けているのですが、久しぶりに蛾を紹介することにしました。蛾と言っても、冬に出る種類ではなく、昨年の10月下旬にサザンカの花に来ていたシャクガの1種です。
 エグリヅマエダシャク(Odontopera arida arida)、シャクガ科エダシャク亜科に属す、開張45mm前後の中型の蛾です。

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サザンカの花で眠るエグリヅマエダシャク
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/22)

 朝5時半頃、散歩の途中に寄ったサザンカの花に来ていました。まだ薄暗い時刻です。このサザンカは、以前紹介したホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャクコガタスズメバチ等を撮影した、6丁目のある御宅に垣根として植えられているサザンカです。  見付けたときは、上の写真の様に、上下逆さまに頭を花の中に突っ込んで、全く身動きしませんでした。夜の間に吸蜜に来てその儘寝てしまった、と言う感じです。
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チョッカイを出したら少し移動して葉に留まった
この蛾は屡々蝶の様に翅を垂直に畳んで留まる
(2008/10/22)

 これでは写真にならないので、一寸チョッカイを出して、眼を醒ましてやりました。幸いにも、遠くには逃げず、直ぐ近くの山茶花の葉に留まりましたが、初めは蝶の様に翅を垂直に畳んで居ました。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」を見ると、この蛾は屡々こう言う留まり方をする様です。
 蛾の生態写真では普通は見えない後翅の裏側が写っています。その中央付近に暗色の輪郭を持つ白斑があります。これはこの種の特徴の様です。
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普通の留まり方.翅が破けているのが残念
(2008/10/22)

 やがて普通の蛾の姿勢に変わりました。淡色と暗色からなる外横線があり、中室付近(小室?)に後翅の翅裏と同じ様な丸い紋があります。
 翅が少し破けていますが、前肢外縁に独特のデコボコがあります。これらがこの種の決め手です。
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真横から見たエグリヅマエダシャク
翅が破けているのが顕で本当は出したくない写真
(2008/10/22)

 今回は学名に亜種名まで入れてあります。種名と亜種名が同じですから、基亜種(原亜種、原名亜種)であることを示しています。基亜種であれば、亜種名は書かなくても良いのですが、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、他に伊豆諸島亜種(Odontopera arida melancholica)があるので、特に入れておきました。
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エグリヅマエダシャクの横顔
(2008/10/22)

 エグリヅマエダシャクの食草は、保育社の蛾類図鑑ではチャ(茶)となっています。しかし、「みんなで作る・・・」に拠ると、ツバキ科、ブナ科、バラ科、ミズキ科、ツツジ科、スイカズラ科等相当広い範囲の木の葉を食べるそうです。
 越冬態は幼虫です。サザンカはチャと同じツバキ科ですから、このサザンカに来ていた本当の目的は、吸蜜ではなく産卵であったのかも知れません。
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背面からの拡大(2008/10/22)

 やはりこう言う晩秋の象徴のようなサザンカに留まった虫の写真を今頃(初春)出すのは、些か気が引けます。調べてみると、今年はまだ1回しか撮影に出掛けていませんでした。今日は天気も良く風も無いので、これからカメラをぶら下げて散歩にでも行こうかと思っています。

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2008年11月19日 (水)

ワタヘリクロノメイガ

 今日は別の虫を紹介するつもりだったのですが、文章を書いている内に妙なことに気付き、作業が中断してしまいました。そこで、急遽予定を変更してこのノメイガを紹介することにしました。
 ワタヘリクロノメイガ(綿縁黒野螟蛾:Diaphania indica)、ツトガ科ノメイガ亜科に属します。開張は25mm前後、尾端に太いハタキの様な毛塊があるのでよく知られているノメイガです。
 一名ウリノメイガとも呼ばれ、農業上ではウリ科の害虫として著名な様です。しかし、アオイ科やクワ科の植物も食べるそうで、和名の頭にある「ワタ」は、ワタを食害するからか、或いは、尾っぽの毛塊を「ワタ」と見なして付けられたのか、良く分かりません。小笠原を含む日本全土、オーストラリア、旧大陸の熱帯等に広く分布します。

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ワタヘリクロノメイガ.一名ウリノメイガとも呼ばれる
尾端の毛塊が発達するのは雄の証拠
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/21)

 写真では良く見る蛾ですが、実物を見るのは初めてです。居たのは、先日紹介したホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャク等と同じく、六丁目にあるサザンカの垣根です。
 これまでの経験から、この手のノメイガは、ストロボを使うとその反射で実際とはかなり違う風に写ってしまうことが分かっていましたので、ストロボは使いたくなかったのですが、もう日没後のことでもあり、しかも葉裏の暗い所に居ましたので、仕方なくストロボを焚きました。案の定、反射で翅の一部だけ妙に光ってしまいました。
 当初は没にするつもりだったのですが、尾端の毛塊が面白いので、やはり掲載することにしました。
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尾っぽを振るワタヘリクロノメイガの雄
(2008/10/21)

 この尾端の毛塊は雌にもある程度はある様ですが、雄で特に良く発達するとのことです。と言うことは、この個体は雄と考えて良いのでしょう。
 この尾っぽを、ゆっくりではありますが、常に左右に振っていました。雌に「此処に居るぞ」と言う信号を送っているのでしょうか。開張25mm程度の蛾ですから、尾っぽを振っても大して目立ちません。しかし、昆虫は人間とは見える光の周波数帯が違うのが普通ですから、人間には目立たなくても、雌のワタヘリクロノメイガには際立って見えるのかも知れません。
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尾っぽの拡大写真.鱗片状で鳥の羽の様
高解像度で撮っていないので、画質はお粗末 (2008/10/21)

 尾端の毛を拡大してみると、毛状ではなく鱗片状で鳥の羽の様な感じです。白、淡黄褐色、暗灰色と白の斑など、色々な色をした「羽」が混ざっています。この尾端だけ高解像度で撮れば良かったのですが、どうせ掲載出来ないだろうと言う気持ちが強かったので、被写界深度をやや深くして(従って低解像度)、全体を撮るだけでお終いにしてしまいました。御蔭で、拡大写真の画質はかなりお粗末です。
 この町でもう一度この蛾を見る機会は少ないと思います。惜しいことをしました。

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2008年10月31日 (金)

ホシヒメホウジャク

 先日、サザンカの花にやって来た蛾を2種(ヘリグロヒメアオシャクウスキツバメエダシャク)掲載しましたが、私がそこで狙っていた虫の本命は、実は今日紹介するホシヒメホウジャク(Neocurelca(Aspledon、Curelca) sangaica)だったのです。
 私は毎日早朝に一寸だけ散歩します。丁度10日ほど前、近くの御宅の垣根になっているサザンカが咲いているだろうと思って、一寸寄り道をして見に行きました。まだ、かなり暗い5時半位の頃です。垣根に近づいて驚いたのは、そこに多数のホウジャク類が吸蜜に来ていたことでした。一昨年に紹介したホシホウジャクも来ていましたが、直ぐ近くの我が家には滅多に来ないホシヒメホウジャクが沢山いるのには、更にビックリさせられました。急いで家にカメラを取りに戻ったのは言うまでもありません。

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サザンカで吸蜜するホシヒメホウジャク
ホシホウジャクに比して体が太く短い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/22)

 その南に面した垣根の長さは10mもないと思います。しかし、非常に良く手入れの行き届いた垣根で沢山の花が咲き乱れており、そこに吸蜜に来ていたホシホウジャクとホシヒメホウジャクは、一番多い時で、合わせて15頭位は居たと思います。ブンブンと飛び交うホウジャクの羽音も相当なものでした。
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時には殆ど留まって吸蜜することもある
(2008/10/21)

 面白いことに、ホシホウジャクはまだ暗い内から来ていて、明るくなってもまだ居ましたが、ホシヒメホウジャクの訪花は、薄明時の一時期、僅か15分くらいの間に集中していました。普段余り見かけないのも、そう言う習性のせいかも知れません。
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後翅黄色斑の後縁は直線的.ホシホウジャクでは内側に曲がる
(2008/10/22)

 ホシヒメホウジャクはスズメガ科ホウジャク亜科に属し、ホウジャク類(Macroglossum属とNeocurelca(Aspledon、Curelca)属)の中では最も小さい部類に属します。図鑑に拠ると、開張は35~40mm、ホシホウジャクは開張40~45mmとなっていますから、高々5mmの差に過ぎないのですが、見た感じでは、ホシホウジャクよりかなり小さいと言う印象を受けます。これはホシヒメホウジャクの体が開張に比して短い(体長が小さい)せいだと思います。
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ホシヒメホウジャクの口吻はかなり短い
(2008/10/22)

 しかし、体長は小さくても、横幅があります。ホウジャク類は忙しく花から花へ飛び移りますから、見ていると何だか「豆タンク」が飛び回っている様な感があります。
 また、ホシホウジャクと較べて、かなり色が薄く黄色っぽく見えます。
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吸蜜中のホシヒメホウジャクを横から見た図
殆ど留まっていて居るので羽ばたきが小さい
(2008/10/21)

 ホシホウジャクと大きく異なる特徴の一つとして、口吻の長さがあります。一般にホシホウジャクの属すMacroglossum属のホウジャクは口吻が長い様です。ホシホウジャクの口吻は、サザンカの雄蕊の付根にある蜜線に充分に届き、花からかなり離れていても吸蜜出来ますが、ホシヒメホウジャクは口吻が短く、雄蕊の間に頭を突っ込む様にして吸蜜するのが普通です。
 ホシヒメホウジャクの口吻は、オオスカシバの口吻と大体同じ程度の長さかも知れません。オオスカシバも口吻がかなり短く、我が家に咲いたハナトラノオ(カクトラノオ)の花に頭を突っ込む様にして吸蜜していました。
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上の個体の等倍接写.何かネズミを想わせる顔
(2008/10/21)

 この辺り(東京都世田谷区西部)のホウジャク類としては、この他にヒメクロホウジャクが居ます。但し、数は少なく、ここ数年見たことがありません。
 九州大学の目録に拠ると、日本全国には15種のホウジャク類(Macroglossum属とNeocurelca(Aspledon、Curelca)属)が記録されています。しかし、多くは沖縄以南の南方系の種類で、東京で記録があるのは、「東京都本土部昆虫目録」に拠ると、この他にクロホウジャクが1種あるのみです。
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雄蕊の間に顔を突っ込んで吸蜜.口吻は体長程度の長さしかない
(2008/10/22)

 ホシヒメホウジャク幼虫の食草は、ホシホウジャクと同じヘクソカズラです。終齢幼虫には4つの色彩型があって体の色は様々ですが、尾角が非常に長くて12~13mmもあり、その色は色彩型に拠らずほぼ一定で、黒紫色に近い色をしています。また、ホシホウジャクの幼虫に比して頭部の比率がかなり大きい様です。
 スズメガの幼虫は、一般に地表或いは土中で蛹化します。しかし、ホシヒメホウジャクは例外で、枝上で葉を2~3枚綴って簡単な繭を作ります。越冬態も多くのスズメガでは蛹ですが、ホウジャク類の中にはクロホウジャクの様に成虫越冬するものがあり、ホシヒメホウジャクも成虫で越冬することがあるらしいと、図鑑には書かれています。
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オマケにもう1枚.最初の写真と似ている
(2008/10/21)

 ホシホウジャクは一昨年に掲載しています。しかし、幼虫の写真は体の一部が隠れたもの1枚だけで、成虫も6年前に撮った古い写真です。今回、ホシホウジャクの成虫も一緒に沢山撮りましたし、幼虫の詳細な写真も別に用意してあります。何れも、近日中に掲載する予定です。

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2008年10月27日 (月)

ウスキツバメエダシャク

 今日は時間がないので、また写真の少ない虫を選んで紹介します。シャクガ科エダシャク亜科のウスキツバメエダシャク(Ourapteryx nivea)です。
 先日紹介したヘリグロヒメアオシャクと同じ日の同じ場所(成城六丁目)で撮影しました。夜の10時半頃にサザンカの花にやって来たところです。

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サザンカの花にやって来たウスキツバメエダシャク
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/22)

 ツバメエダシャクは似た様な種類が多く、種類の判別に困ることが屡々あります。しかし、10月後半であること、尾状突起の形、皺の様な細かい横筋(さざ波)の分布などからウスキツバメエダシャクと判断しました。
 保育社の古い図鑑や「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、類似種のフトスジツバメエダシャクとは顔の色が異なり、本種では橙褐色と書かれています(フトスジでは白)。写真と見るとチャンとその通りの色をしていますから、ウスキツバメエダシャクで間違いないものと思われます。なお、フトスジツバメエダシャクの出現期は6月上旬~7月上旬と8月中旬であり、また、少なくとも関東では山地性の様ですから、今頃この辺り(東京都世田谷区西部)で見る可能性は無い様です。
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サザンカで吸蜜するウスキツバメエダシャク
(2008/10/22)

 この辺りでツバメエダシャクを見るのは、恐らく数十年ぶりでしょう。まだこう言う綺麗な蛾が残っているとは一寸驚きました。嬉しい話です。
 最近は街灯にやって来る蛾が皆無に近いので、蛾自体が非常に少なくなっているのだと思っていました。しかし、此処のサザンカの花を見ていると、随分色々な蛾がやって来ます。
 幼虫の方は結構色々居るのですから、成虫も当然居るはずなのですが、こう言うところで見られるとは思っても見ませんでした。
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後を向いてしまった.この後一寸突いたら一目散に逃げて行った
(2008/10/22)

 このウスキツバメエダシャク、吸蜜に夢中になっていて中々翅表を綺麗に見せてくれません。その内後を向いてしまったので一寸チョッカイを出した途端、物凄い勢いで夜空の中に逃げて行ってしまいました。

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2008年10月25日 (土)

ヘリグロヒメアオシャク

 最近はどうも記事1回分の為に撮影する写真の枚数が増えて、その選択や調整に時間が掛かってしまい、文章を書く時間が不足気味になっています。そこで今日は、枚数の特に少ない虫を選びました。
 この数日、近くの御宅の垣根として植えられているサザンカ(一昨年掲載した「サザンカ」の最初の写真がそのサザンカ)の花に多くの虫、特に蛾類がやって来るので、毎日の様に写真を撮りに行っています。その時に撮ったアオシャクの仲間です。少し翅の周辺部が擦り切れていて、種類の判別に時間が掛かりましたが、どうやらヘリグロヒメアオシャク(Hemithea tritonaria)の様です。シャクガ科アオシャク亜科に属します。この蛾は、保育社の古い図鑑には載っていません。例によって「みんなで作る日本産蛾類図鑑」の御世話になりました。

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ヘリグロヒメアオシャク.小型で開張20mm程度
辺縁部が一寸擦り切れている
(クリックで横幅1024ピクセルに拡大表示)
(2008/10/22)

 「ヘリグロ(縁黒)」と言っても、黒いのは殆ど線状と言ってもよい細い部分で、しかも辺縁部が全て黒いのではなく、一定間隔で白斑が配置されています。これは、正面から撮った上の写真では、少し分かり難いのですが、下の横から撮った写真を見ると明らかです(上の写真は鱗粉模様が綺麗なので、それが分かる様に、拡大したときの横幅を1024ピクセルにしてあります)。
 また、この蛾の腹部には妙に色の薄くなった部分があります。そこで、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に掲載されている写真を見てみると、やはり大多数の個体が同様の感を呈しています。しかし、緑色の毛の生えている個体も1頭だけありました。毛の色が薄いのか、それとも毛自体が剥がれているのか難しいところですが、上の写真を良く見てみると、剥がれているのではなく、色の異なる毛が生えている様に見えます。
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横から見れば、縁が黒く白斑が一定間隔にあるのが分かる
(クリックで横幅750ピクセルに拡大表示)
(2008/10/22)

 この御宅の垣根は常に手入れが行き届いており、チャドクガが大発生した年でも全く被害を受けていませんでした。垣根の枝は密に繁り、その表面はキチンと平らになっています。こう言う垣根に咲く花に留まった虫は、背側から撮るのは楽ですが、横から撮るのは中々大変で、正面から撮ることは殆ど不可能です。御蔭で、このエダシャクの写真は2枚しかありません。

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2008年10月18日 (土)

ウコンカギバ

 今日は昨日の朝に撮った蛾を出すことにします。カギバガ科のウコンカギバ(Tridrepana crocea)、早朝散歩の途中で見付けました。手ぶらで出掛けたのですが、幸い六丁目の家の直ぐ近くだったので急いで帰り、カメラを持って来て撮影しました。
 図鑑に拠れば、ウコンカギバは開張30~45cm、大きさの変異がかなりあります。また、雌は一般に雄より開張が大きいそうです。この個体は、正確に測定していませんが、相当に小さく開張3cmギリギリと言うところでしょう。掲載した写真では少し分かり難いですが、触角は枝の長い両櫛歯状になっており、また、開張が小さいので、雄の個体と思われます。

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ウコンカギバ(Tridrepana crocea).反射で全体の調子が少し変
本当はもっと素直な黄色地に暗色紋
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/17)

 このWeblogに載せている写真は、殆どストロボを焚いて撮っています。上の写真の場合、鱗粉がそのストロボの光を反射して一寸変な白っぽい色合いになってしまいました。蝶ではストロボで撮ってもまず問題ないのですが、蛾の場合は、時々、余りに妙な色調になってしまい、没にすることもあります。今回は、辛うじてセーフと言うところでしょうか。
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横から見ると、まるでステルス機の様.これが本来の色
(2008/10/17)

 ウコンカギバにはヒメウコンカギバ(Tridrepana unispina)と言う類似種が居ます。本来は外見から区別は出来ないのだそうですが、ウコンカギバは翅頂付近の紋が薄いとのことなので、ウコンカギバとしました。
 食草は、保育社の古い図鑑ではクヌギとなっています。しかし、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、ブナ科のコナラ属(Quercus)の常緑樹種と落葉樹種の双方、シイ属等、もう少し広い範囲の植物を食べる様です。この個体は、丁度かなり大きなスダジイ(普通のシイ)の樹の下に居ました。
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頭を下にくっ付けている.触角が両櫛歯状であるのが分かる
(クリックで拡大表示、他も同じ)
(2008/10/17)

 カギバは前翅の先端が鉤の様に曲がっているのでその名があります。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると74種記録されている様ですが、この辺り(東京都世田谷区西部)で見ることは余りありません。尤も、蛾類自体が非常に少なくなっています。街灯に集る蛾を見ることは滅多にありません。昔は、嫌になるほど家の電灯にやって来たのですが・・・。
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ウコンカギバの顔(2008/10/17)

 「みんなで作る日本産蛾類図鑑」には、この蛾の幼虫の写真が載っています。背中にカタツムリの眼の様な先の巻いた角が8本、お尻にも長い尻尾があり、何ともキッカイな姿をしています。この個体が雌だったら、卵を産ませて飼育しようかと思うほどです。
 なお、このWeblogではこれまで特に必要な場合を除いて学名を記していませんでした。学名は屡々変更されるので、誤解を避ける為です。ところが、最近は海外からのアクセスも多くなり、先日はとうとうリンクを張られてしまいました。そこで、今回から動植物名に学名を付けることにしました。日本語が分からなくても、学名があれば何とかなるでしょう。英語版を作っても良いのですが、それだけの時間的余裕はありません。

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2008年9月28日 (日)

ブドウトリバ

 今日は、七丁目の家庭菜園で撮った虫を紹介するつもりだったのですが、昨日、家の庭でブドウトリバと言う面白い形の蛾を撮ったので、急遽こちらでも紹介することにしました。
 家で撮った写真は、もう一つのWeblogである「我が家の庭の生き物たち」に掲載するのが基本です。しかし、その楽天のWeblogでは、画像倉庫がたったの50Mバイトと言う前世紀的な大きさなので、写真の横幅を500ピクセルに統一しています。しかし、この蛾の面白さを表現するには、横幅500ピクセルでは明らかに大きさが不足です。其処でこちらのココログの方で、かつてアヤニジュウシトリバを掲載した時と同じ様に、大きな画像を表示させることにしました。今回は、何時の750ピクセルもよりも大きく、横幅1024ピクセルに拡大表示出来ます。

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北米原産シオンの1種で吸蜜するブドウトリバ
脚の棘(脛節の距)が非常に長い
(クリックで横幅1024ピクセルに拡大表示)
(2008/09/27)

 写真のブドウトリバは、開張15mm程度、北米原産のシオンの1種(園芸店で買ったもの)で吸蜜していました。トリバガ科の蛾が花に来ているのを見るのは、これが始めてかも知れません。トリバガ類が草むらから飛び出した場合、普通は何処かの葉裏に留まってしまい撮影に苦労するのですが、今回は花の上に居るので、実に楽に撮ることが出来ました。
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花に顔を突っ込んで吸蜜しているので顔が撮れず、
少し花を突いて緊張させたところ
(クリックで横幅1024ピクセルに拡大表示)
(2008/09/27)

 トリバガ類はトリバガ科に属し、前翅の先は2つに分かれ、後翅は根元から3本に分かれています。留まる時は、これらを一緒に纏めて畳んでしまうので、翅とは思えない奇妙な格好になってしまいます。しかも、脚には長い棘(脛節の距)が沢山あるので、知らない人は蛾だとは全く思わない様です。
 しかし、このブドウトリバは、以前紹介したヒルガオトリバと較べると、少しは畳んだ翅に幅があります。
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また、吸蜜を開始、口吻は結構長い
(クリックで横幅1024ピクセルに拡大表示)
(2008/09/27)

 ブドウトリバはブドウの害虫とされており、ブドウの他、ノブドウ、エビヅル、ヤブガラシ等のブドウ科の植物を食べるとのことです。葉っぱよりも、花、蕾、幼果などがお好みの様です。この辺り(東京都世田谷区西部)では、ブドウを庭に植えている御宅がないとは言えませんが、決して多くはないでしょう。しかし、ヤブガラシなら幾らでも生えていますから、食草には困らない筈です。
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斜めから見たブドウトリバ.後翅後縁の羽毛は細毛状
(クリックで横幅1024ピクセルに拡大表示)
(2008/09/27)

 写真を撮っている時には気が付かなかったのですが、後翅の後縁から細い糸状の羽毛が沢山出ています。以前紹介したヒルガオトリバには、その様なものは見られませんでした。しかし、図鑑を良く見てみると、トリバガ類では、後翅後縁の羽毛はみな細毛状になっており、ヒルガオトリバでも、翅の畳み方によっては細毛状の羽毛が見えることがある様です。
 下に、その細毛状の部分を拡大してみました。この写真だけは、拡大しても横幅750ピクセルです。何分にも部分拡大なので、1024ピクセルにするには一寸無理があります。
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後翅後縁の羽毛を拡大(上とは別の写真).虫の凹凸が大きいので
かなり絞り込んで撮影した為、解像度が低下し大きく表示出来ない
(クリックで横幅750ピクセルに拡大表示)
(2008/09/27)

 世の中には面白い形をした虫が色々居ます。以前紹介したハリカメムシの3齢幼虫なども中々のものですが、こう言う面白い虫が出て来ると、掲載する側としては元気が出て来ます。
 しかし、次回からはまた、些か平凡な虫の紹介が続く予定です。

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2008年9月14日 (日)

キオビベニヒメシャク

 今日は少し写真の多い虫を掲載するつもりだったのですが、朝、庭に出た途端にミドリヒョウモンに出会すと言う一大椿事が出来した為、其方の方に時間を取られてしまいました。其処で、仕方なく規模を縮小して、写真1枚だけの蛾を紹介することにします。
 シャクガ科ヒメシャク亜科のキオビベニヒメシャクです。開張(展翅標本にしたときの横幅)15mm、図鑑に拠ると開張10~14mmとあり「夏生は小さくて、開張11mm位の個体も少なくない」と書かれていますから、これは随分大きな個体と言えます。
 写真では大きく拡大してありますし、少し黄色っぽい感じがしますが、実際に見た時は、小さな桃色で縁取りされた白い蛾という感じでした。

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キオビベニヒメシャク.開張15mm、この種としては大きい
(クリックで拡大表示)
(2008/07/)

 撮影場所は「三ツ池緑地」です。まだ七丁目の家庭菜園で撮った写真が沢山あるのですが、一寸偵察に行ったついでに撮って来ました。2頭見ましたが、何れもイネ科の雑草のかなり低い位置にある翅表に留まっていました。
 留まっている位置が低く、周りは草だらけなので、背側以外からの撮影は無理でした。何処か撮り易い所に留まらないかと、何回も追い立てたのですが、何れも葉裏に留まってしまい、その内見失ってしまいました。それで、写真は1枚しか有りません。
 図鑑には「きわめて普通」と書かれています。しかし、Internetで調べても、食草はまだ分かっていない様です。

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2008年8月22日 (金)

ヒルガオトリバ

 今日はトリバガ科の1種を紹介します。トリバガとは「鳥羽蛾」の意で、翅が前翅後翅の2片ではなく、前翅は普通2本、後翅は3本の羽毛状の枝に分かれている変わり種です。以前紹介したアヤニジュウシトリバ(ニジュウシトリバガ科)に近い仲間で、ニジュウシトリバの場合は各翅が6本に分かれ、左右の前翅後翅で合計24本になるのでその名があります。
 九州大学の目録には56種が載っていますが、この辺り(東京都世田谷区)にも少なくとも数種類以上が居る様です。しかし、何分にも留まるときには写真の様に翅を極端に畳んでしまうので、種類の判別が中々困難です。この写真も、どうせ種類が分からないだろうと思い、没にする予定だったのですが、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」その他で調べてみるとヒルガオトリバの様なので、掲載することにした次第です。

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ヒルガオトリバ.「昼顔鳥羽」の意.トリバガ科
これでも蛾である
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 しかし、何とも奇妙な形をした蛾です。このヒルガオトリバは比較的大型で、開帳が2cm前後あり、少しは蛾という感じがしますが、もっと小さいと、一見大きな蚊が留まっている様にも見えます。
 虫のことを余り御存知ない方には、これが蛾とはとても思えないらしく、虫の掲示板やWeblogなどで「不可解な虫」として登場しているのを屡々見かけます。
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留まっているところを真上から撮ったもの
ぶら下がる様に留まることが多いので背側からは撮影し難い
(2008/07/05)

 トリバガは格好は奇妙ですが、決して珍しい蛾ではなく、我が家の庭でも時々見かけます。しかし、夜行性の小さな蛾と同じで、直ぐに葉裏に逃げ込んでしまうので中々撮影の機会がありません。
 今日掲載した写真は「三ツ池緑地」で撮りましたが、偶々周囲にイネ科の雑草しかなかったので身を隠すところがなく、比較的楽に撮影することが出来ました。
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こう言う角度でトリバを撮る機会は非常に少ない(2008/07/05)

 トリバガと間違え易い名前にトガリバがあります。「鳥羽蛾」と「尖羽」ですから全然違うのですが、カタカナで書かれていると間違える可能性があります。トガリバガ類はトガリバガ科、或いは、カギバガ科トガリバガ亜科に属し、多くは開帳3cm程度の普通の蛾です。
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斜め横から見るとこんな感じ.留まっているイネ科の葉は
ほぼ垂直であったと記憶している(2008/07/05)

 蛾類の名称では、科名には「・・・ガ科」と蛾の意味を付けますが、種名には最後の「ガ」を付けません。このヒルガオトリバも名前の終わりに「ガ」が付きませんが、科名はトリバ科ではなくトリバガ科です。トガリバガ科がトガリバ科になっていたりするのを屡々見かけますが、私自身もつい書き間違えることがあります。

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2008年7月18日 (金)

タイワンキシタアツバ

 成城には、世田谷区やその関連団体が管理する「緑地」が沢山あります。「三ツ池緑地」もその一つで、「神明の森みつ池特別保護区」に接してその上側(国分寺崖線の東側)に位置します。
 少し前は民間の植木貯めだったと思います。現在の「三ツ池緑地」の横にある世田谷区の植木貯めの様なものが全面に拡がっていました。その前は良く憶えていませんが、確か大根か何かの畑だった様な気がします。
 最近は「神明の森みつ池特別保護区」と言うと、如何にも貴重な動植物の宝庫の様な感があります。しかし、この辺りで一番虫が多かったのは、成城ではなく調布市入間町になりますが、かつて「中央電気通信学園」と呼ばれていた、現在の「NTT東日本研修センタ」の斜面(南~西向)です。三ツ池の辺りは暗くて湿り気が多いせいか虫は少なく、私たち「虫取り少年」からは完全に無視されていました。
 今ではNTTの研修所となり、柵も出来て入り難くなったので良く分かりませんが、例えば蝶ならばミズイロオナガ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミなどのゼフィルスやギンイチモンジセセリなどが居ました。当時(昭和30年代後半)は既に居ませんでしたが、その少し前にはミドリシジミやウラナミアカシジミも居た様です。
 郵政省から民間のNTTとなり、サクラ(此処のサクラは有名で、開花時には一般にも開放されます)の管理と称して殺虫剤を定期的に撒く様になってから、野球グラウンドの裏に棲息していたギンイチモンジセセリは絶滅し、ミズイロオナガなどもずっと減少した様です。
 ウラゴマダラシジミが居たのは、東にある谷間に食草のイボタが群生していたからです。20年程前、調布市が公園を作る為にこのイボタを全部切ってしまったので、ウラゴマダラは簡単に絶滅してしまいました。何時行っても誰も居ない様な公園を作るのも考えものですが、せめて作る前にシッカリ生態調査をして欲しいものです。
 少し話題が逸れました。今日は「三ツ池緑地」で撮ったタイワンキシタアツバを紹介します。開帳30mm前後の中型の蛾です。
 アツバ類はヤガ科、アツバ亜科に属し、何れも留まると写真の様に3角形のステルス機的な形になります。

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タイワンキシタアツバ.台湾と付いても外来種ではない.「キシタ」は
「黄下」の意で後翅の大部分は写真に一部見えている様に黄色
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 結構敏捷な蛾で、何回も逃げられては追いかけるのを繰り返した挙げ句、ようやく撮ることができました。何となく、昼行性の蛾の様な感じです。逃げ回っていた虫が一旦動かなくなると、普通はかなり刺激しても逃げないのですが、ファインダーを覗いている間にまた逃げられてしまいました。飛ぶところを見てませんので、どの方向へ行ったのかも分からず、完全に見失ってしまいました。
 ・・・と言う訳で、今回は普段はある筈の正面から撮った写真がありません。下唇髭が非常に長いので、前面から撮ったら面白い写真になるのではないかと思ったのですが、残念です。
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下唇髭が非常に太くて長く、上方に反っている(2008/07/05)

 なお、よく似た蛾にクロキシタアツバがあります。クロキシタでは写真に見える前翅中央の色の濃い三角形の辺がぼやけて歪んだ四角形になります。
 「三ツ池緑地」は、立ち入り禁止の「神明の森みつ池特別保護区」に接しているせいか、他の緑地よりも虫の種類は多い様です。その多くは既に紹介済みの虫でしたが、それでも新顔が何種類も居ました。次回は何を紹介するか思案中です。

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