カテゴリー「昆虫(蛾)」の23件の記事

2010年12月12日 (日)

コナガ(Plutella xylostella

 まだ、新しい写真の調整が出来ていないので、今日も、溜まっている昔の写真を出すことにしました。
 キャベツ等のアブラナ科の害虫として名高いコナガ(Plutella xylostella)、翅端まで7.5mm程度の小さな蛾です。一昨年の11月下旬に、今は草地になっている世田谷区の第一成城七丁目ファミリー農園で撮影しました。写真が2枚しかないので、倉庫に放り込んだままにしていたのですが、その後、見かけないので掲載してしまうことにしました。
 実は、写真を撮ってから図鑑で調べて漸く有名なコナガと分かった次第です。名前は当然よく知っていたのですが、害虫には余り興味が無かったので、実際の蛾がどんな虫かは知りませんでした。
 しかも、コナガは「粉蛾」だと思い込み、ノシメマダラメイガの様な穀類を食害する蛾だと思っていたのです。コナガは漢字で書くと「小菜蛾」で、野菜の害虫でした。全く赤面の至りです。

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第一成城七丁目ファミリー農園で撮影したコナガ
背中に菱形の模様が連なるので、英語では
Diamondback mothと呼ばれている
頭から先に出ているのは下唇鬚
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/23)

 コナガは、昔はそれ程重要な害虫とは見なされていなかったそうです。キャベツ等のアブラナ科の害虫としては、かつては何と言ってもモンシロチョウが最大の害虫でした。私が中学生の頃までは、キャベツ畑にはモンシロチョウが花吹雪の様に舞っていたものです。現在では一寸信じがたい光景でしょう。しかし、農薬の普及につれてモンシロチョウが激減し、代わりにこのコナガが大害虫として登場して来たのです。
 これはモンシロチョウは1世代にかかる時間が長いので薬剤耐性を獲得し難いのに対し、コナガは卵から成虫までの発育所要日数が25℃で約16日間と短く(シンジェンタジャパン株式会社のHPに拠る)、容易に薬剤耐性を獲得してしまうからです。謂わば、人間がコナガを大害虫にしてしまった訳です。
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横から見たコナガ.大害虫だが結構綺麗
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/23)

 このコナガ、殆どの書籍、図鑑、サイトでは、学名をPlutella xylostellaとしていますが、古い北隆館の「日本幼虫図鑑」ではP. maculipennisとなっていました。調べてみると、この学名も所々で使われています。しかし、現在ではP. xylostellaのシノニムとされている様です。
 一方、科名はラテン名、和名ともに図鑑やサイトにより様々です。保育社の蛾類幼虫図鑑や蛾類図鑑ではPlutellidae(クチブサガ科)ですが、九大目録、東京都本土部昆虫目録や神保宇嗣氏の「List-MJ 日本産蛾類総目録」ではYponomeutidae(スガ科)Plutellinae(クチブサガ亜科)、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」ではPlutellidae(コナガ科)となっています。
 コナガの様な小蛾類の大分類は、まだ、結論が出ていないことが多い様です。

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2010年11月 6日 (土)

ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta

 今年の夏は異常に暑かったそうで(私は日本に居なかったので実感はありません)、そのせいか、花の咲く時期がかなり遅れている様です。
 一昨年、サザンカの花に訪れる蛾やハチを何種か掲載しましたが(先日の「オオスズメバチ(雄)」もそのサザンカに来ていました)、これらを撮影したのは10月21~27日です。ところが、昨日そのサザンカを見に行ったところ、今年は今頃になって漸くポツポツと咲き始めた程度、2週間以上遅れています。
 このサザンカの花には色々な虫が来るので大いに楽しみにしているのですが、一昨年撮影してまだ掲載していない種が少し残っています。新たに写真を撮る前に、昔の写真を掲載してしまいましょう。なお、昨年はサザンカの剪定時期が遅かった様で開花が殆ど無く、写真は撮っていません。

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サザンカの花で吸蜜するホシホウジャク
吻が長いので余裕を持って吸蜜している
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 今日は、ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta)です。ホシホウジャクは、既にこのWeblogを始めた4年前に掲載してあるのですが、そこで紹介した写真は、8年前(2002年)にコンパクトカメラで撮影したもので、色が余り良くありません。今日の写真は、サザンカの花色も美しく、それなりに意義があると思い、敢えて重複掲載をすることにした次第です。
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少し近づいて撮影.体を覆っているのは鱗粉ではなく毛
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 同じサザンカに来ていたホシヒメホウジャクを2年前に掲載しましたが、この蛾は口吻が短く、花の中に顔を突っ込んでいました。それに対してホシホウジャクは口吻が長いので、余裕をもって吸蜜しています。
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ホシホウジャク君の顔を等倍撮影.目の模様が印象的
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 ホシホウジャクの生態等については、「ホシホウジャクの幼虫(5齢=終齢)」に詳しく書きましたので、此処では省略します。
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「虫我像掲示板」に掲載されている蛾LOVE氏のお話に拠ると
この写真の様に尾端が分かれているのは雄
触角は雌(次の写真)よりもやや太い
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 ホシホウジャクは、スズメガ科(Sphingidae)ホウジャク亜科(Macroglossinae)のホウジャク属(Macroglossum)に属します。この属だけで13種もありますが、基本的に南方系のグループらしく、多くは南西諸島以南に産し、本州に産するものは僅か5種だけです。
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尾端が分かれていないのは雌
触角は雄よりもやや細い
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/26)

 ホウジャク亜科には44種が属し、スズメガ科(80種)の半数以上を占めています。オオスカシバの様な見るからにホウジャク類に近そうな種類も居ますが、キイロスズメ、ヒメスズメ、ベニスズメ、セスジスズメの様な如何にもスズメガ的な種類も入っています。
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上と同一個体
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/26)

 今日掲載した写真の最後の2枚は、以前、蛾LOVE氏のHP「ある蛾屋の記録」の「似た蛾の比較図鑑」の中にある1ページ「ホシホウジャクとクロホウジャク 」用に提供した写真です(蛾LOVE氏は「虫我像掲示板」の主催者でもあります)。掲載画面の関係上、此方の方が余裕があるので写真を少し大きくしてあります。

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2010年3月25日 (木)

イヌビワハマキモドキ(Choreutis japonica

 先日、ゴボウハマキモドキを掲載しましたが、今日は同じハマキモドキガ科(Choreutidae)のイヌビワハマキモドキ(Choreutis japonica)を紹介します。場所はゴボウハマキモドキと同じ七丁目にある世田谷区の家庭菜園です。しかし、撮影したのは約1年遅く、昨年の10月下旬です。
 体長は約5.5mm、翅端まで約7.5mm、開張は図鑑に拠れば11~14mm、ゴボウハマキモドキよりはかなり大きいと言えます。食草は和名にある様にイヌビワやホソバイヌビワですから、家庭菜園の農業害虫ではありません。バジルの葉に留まっているところを撮りましたが、花が咲いていたので、或いは、吸蜜に来ていたのかも知れません。背側から数枚撮ったところで逃げられてしまい、使える写真はこの2枚しかありません。

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イヌビワハマキモドキ.1枚目は少し遠くから
体長約5.5mm、翅端まで約7.5mm
(写真クリックで拡大表示)
(2009/10/22)

 先日のゴボウハマキモドキでは、翅の部分により異なった形をした鱗粉がありました。しかし、このイヌビワハマキモドキでは、細長い鱗粉1種類に統一されています。
 九州大学の日本産昆虫目録を見ると、ハマキモドキガ科には2亜科しかなく、この2種共にハマキモドキガ亜科(Choreutinae)に属します。歩き方は、何れも良く似ており、ツッツーと素早く前進しては、ピタッと止まり、これを繰り返します。この仲間に共通した動きなのかも知れません。
 保育社の古い蛾類図鑑を見ると、「紀伊半島南部・四国・九州の太平洋岸地帯に普通におり、九州北部の海岸でも採れる.4~5月に幼虫、5~6月に蛾が現れる」とあります。南方系で年1化と云う印象を受けます。しかし、Webで検索すると東京都本土部昆虫目録を始め、東京都内にも記録があります。東京都本土部昆虫目録に載っているのは、皇居と赤坂御所の記録で、何れも21世紀に入ってからです。ヒョッとすると、これも温暖化による北上なのかも知れません。また、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、成虫出現月は5~10月となっています。年に複数回発生している可能性が大です。
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黒に近い焦げ茶色、茶色、薄黄色、濃い灰色、薄い灰色、殆ど白
と様々な色が調和良く配置されている
(写真クリックで拡大表示)
(2009/10/22)

 ハマキモドキガ科の蛾は、何れも開張10~20mm程度と小型ですが、中々味わいのある模様、色合いをしています。私としては、結構気に入ってしまいました。皇居にはこれまでに7種の記録がありますから、この辺り(東京都世田谷区西部)にももう少しは居るでしょう。是非見付けて紹介したいと思っています。

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2010年3月19日 (金)

ゴボウハマキモドキ(Tebenna micalis

 火曜日(16日)の朝から体の調子を崩して、3日ほど寝込んでしまいました。連続更新は敢えなく9日で中断です。
 今日は、また、一昨年の晩秋に撮った蛾を紹介します。ゴボウハマキモドキ(Tebenna micalis)、体長約3.5mm、翅端まで5mm弱、開張は図鑑に拠れば8~10mm、ハマキモドキガ科(Choreutidae)ハマキモドキガ亜科(Choreutinae)に属す昼行性の小蛾です。

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菊の花を訪れたゴボウハマキモドキ.少し翅を拡げている
翅端まで5mm弱.銀色に光る斑紋が散在する
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/23)

 七丁目にある世田谷区の家庭菜園に植えられている菊の花に来ていました。小さいですが、前翅に銀色に光る部分があり、良く見ると結構綺麗な蛾です。
 全体的に茶色を基調とするものが多いと思いますが、灰色を帯びる個体もある様です。この写真の場合は、黄色い菊の花が背景になっている為、黄色カブリを起こして少し変な色になっています。以前紹介した「シマバエ科の未記載種(その2:Steganopsis sp.2」と同じで、黄色カブリの写真は、トーンカーブを使って色補正をしても、本来の色から少しずれた色になってしまいます。
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翅を閉じたゴボウハマキモドキ
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/23)

 前翅にある銀色の部分の位置や数は、個体によりかなりの変化があります。少し前に、もう一つのWeblogで同じゴボウハマキモドキを紹介していますが、今日の写真の個体よりも、紋の数が少なくなっています。
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横から見たゴボウハマキモドキ
小さいので鱗粉が大きく見える
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/23)

 保育社の古い蛾類図鑑を見ると、「害虫として農業昆虫の書物に載っている」と書かれています。しかし、「"ゴボウハマキモドキ" 駆除」をキーワードにしてGoogle検索しても、有効なヒットは一つもありませんでした。殆ど、問題にならない程度の害虫なのでしょう。
 この辺りでは、私の子供の頃から現在に至るまで、ゴボウは全く植えられていません(砂地でないと真っ直ぐにならないし、収穫が大変)。ゴボウは独特の植物なので見れば一目で分かります。図鑑に拠れば、「各地で幼虫は種々の菊科植物にいるが、特にアザミに多いとある」とあります。ゴボウは、本来は薬用植物として支那から渡来した植物で、アザミ族に属します。恐らく、本来はアザミを中心的な食草としていたのが、渡来したゴボウも食べる様になったのでしょう。
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正面から見たゴボウハマキモドキ
余り可愛い顔をしていない
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/23)

 ここ数日暖かい日が続いて、兪々本格的に春になって来た様です。これからは、少し春らしい植物なども掲載したいと思っています。

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2010年3月12日 (金)

カブラヤガ(Agrotis segetum

 今日も著名な農業害虫を紹介します。カブラヤガ(Agrotis segetum)、開張40mm前後のかなり大きな蛾で、ヤガ科(Noctuidae)モンヤガ亜科(Noctuinae)に属します。
 幼虫は、昼間は土中に潜んでおり、夜になると出没して、野菜や花卉の根際を食べて枯らします。その為、ネキリムシと呼ばれています(コガネムシ類の幼虫もネキリムシと呼ばれます)。保育社の蛾類幼虫図鑑の解説には、食草はキャベツ、ハクサイ、ダイコン、カブラ、アブラナ、ナス、トマト、タバコ、ジャガイモ、ウリ類、エンドウ、ソバ、サツマイモ、ネギ、タマネギ、ムギ類、トウモロコシなど各種農作物、クローバーとあり、非常に広範囲の草本植物を食べる様です。当然、花卉の害虫にもなります。

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サザンカの花に来ていたカブラヤガ(雄)
触角が両櫛歯状になっている
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 農業害虫ですが、これは七丁目の家庭菜園で撮ったのではなく、一昨年の秋の夜、六丁目のサザンカの花に来ていたのを撮影したものです。
 現場で見たときは、何か白っぽく擦れた感じで、これでは撮っても仕方がないと思い、いい加減にしか撮らなかったのですが(写真が3枚しかないのはそのせいです)、家に帰って良く見てみると、鱗粉はチャンと付いて居り、本来こう云う感じの蛾であることが分かりました。
 この個体は、触角が両櫛歯状になっていますから、雄です。雌の触角は鞭の様な糸状に近い形です。また、一般に、雄で前翅後翅共に白っぽく、雌では茶色を帯びるそうですが、かなりの個体変異があるとのことです。
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横から見たカブラヤガ.一寸影になっているのが難点
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 真横からも撮ってみました。雄の個体ですが、何かムートンを羽織ったお嬢さんと云う感じです。
 もっと近づいて等倍で撮影したのが下の写真、黒い瞳?が中々印象的です。複眼の個眼が見えませんが、原画をピクセル等倍まで拡大すると、チャンと個眼が写っているのが分かります。個眼が非常に小さいのです。
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等倍接写したカブラヤガの横顔.複眼が印象的
雄だがムートンを羽織ったお嬢さんの如し
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 この六丁目のサザンカに訪花していた虫は、これまでにも色々紹介して来ました(ホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャクヘリグロヒメアオシャクワタヘリクロノメイガエグリヅマエダシャクコガタスズメバチ)。しかし、まだ未掲載の種類が少し残っています。倉庫に眠らせておいても仕方がないので、ドシドシ掲載することにします。

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2010年3月10日 (水)

シバツトガ(Parapediasia teterella

 今日は、また一昨年(2008年)の写真です。シバツトガ(Parapediasia teterella)、ツトガ科(Crambidae)ツトガ亜科(Crambinae)に属す小さな蛾で、芝の害虫としてよく知られています(以前はメイガ科ツトガ亜科とされていました)。
 撮影したのは七丁目の世田谷区の家庭菜園(第2)、9月の上旬ですからまだ暑い盛りです。この時は、かなりの数が飛んでいましたが、昨年は余り見なかった様に記憶しています。年により、発生量にかなりの変動があるのかも知れません。

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七丁目の家庭菜園に居たシバツトガ
シバの害虫として知られている
(写真クリックで拡大表示)
(2008/09/08)

 白っぽい蛾で、翅の大部分には明瞭な斑紋は有りませんが、前翅の翅端近くに小さな暗色斑が等間隔で並ぶのが特徴です。
 小蛾と云っても、下唇鬚(頭部の前方に突き出ている刷毛の様なもの)の先端から翼端まで約8mmです。このWeblogで紹介している昆虫としては大きな方で、この程度の大きさがあると写真を撮る方も気が楽です。
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前翅の翅端付近に暗色の小班が規則的に並ぶ
前翅の中央付近に不明瞭な暗色斑がある
一部に黄色い鱗粉が認められる
(写真クリックで拡大表示)
(2008/09/08)

 このシバツトガ、手元の蛾類図鑑や幼虫圖鑑には載っていません。と云うのは、この蛾は1964年に米国ジョージア州から芝と共に入った、かなり新しい移入種だからです(ビンボーなので新しい図鑑は買えません)。
 芝の害虫としてかなり恐れられている様です。しかし、この家庭菜園には芝は植えられていません。かなりの数が居たところを見ると、菜園の隅に生えているイネ科の雑草に寄生していた可能性もあります。
 よく考えてみると、近くに芝を植えた生産緑地があります。恐らく、そこからやって来たと考える方が順当でしょう。
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前から見たシバツトガ.一寸首を傾げている
(写真クリックで拡大表示)
(2008/09/08)

 家庭菜園は、色々な虫が居るので、私にとっては有難い撮影場所です。しかし、必然的に菜園に植えられた野菜に付く虫が多いので、その結果として農業害虫(例えば、ウリハムシホソヘリカメムシ)の紹介をしている様な感じになってしまいます。今後も農業害虫を扱う機会が多いと思いますが、まァ、それはそれで役に立つかも知れません。

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2009年3月15日 (日)

エグリヅマエダシャク

 最近はどうも掲載する虫の種類がハエやチャタテムシに偏っています。何か違うものを出そうと、迷っている間に1週間経ってしまいました。
 そこで、一寸翅が破けているのですが、久しぶりに蛾を紹介することにしました。蛾と言っても、冬に出る種類ではなく、昨年の10月下旬にサザンカの花に来ていたシャクガの1種です。
 エグリヅマエダシャク(Odontopera arida arida)、シャクガ科エダシャク亜科に属す、開張45mm前後の中型の蛾です。

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サザンカの花で眠るエグリヅマエダシャク
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/22)

 朝5時半頃、散歩の途中に寄ったサザンカの花に来ていました。まだ薄暗い時刻です。このサザンカは、以前紹介したホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャクコガタスズメバチ等を撮影した、6丁目のある御宅に垣根として植えられているサザンカです。  見付けたときは、上の写真の様に、上下逆さまに頭を花の中に突っ込んで、全く身動きしませんでした。夜の間に吸蜜に来てその儘寝てしまった、と言う感じです。
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チョッカイを出したら少し移動して葉に留まった
この蛾は屡々蝶の様に翅を垂直に畳んで留まる
(2008/10/22)

 これでは写真にならないので、一寸チョッカイを出して、眼を醒ましてやりました。幸いにも、遠くには逃げず、直ぐ近くの山茶花の葉に留まりましたが、初めは蝶の様に翅を垂直に畳んで居ました。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」を見ると、この蛾は屡々こう言う留まり方をする様です。
 蛾の生態写真では普通は見えない後翅の裏側が写っています。その中央付近に暗色の輪郭を持つ白斑があります。これはこの種の特徴の様です。
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普通の留まり方.翅が破けているのが残念
(2008/10/22)

 やがて普通の蛾の姿勢に変わりました。淡色と暗色からなる外横線があり、中室付近(小室?)に後翅の翅裏と同じ様な丸い紋があります。
 翅が少し破けていますが、前肢外縁に独特のデコボコがあります。これらがこの種の決め手です。
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真横から見たエグリヅマエダシャク
翅が破けているのが顕で本当は出したくない写真
(2008/10/22)

 今回は学名に亜種名まで入れてあります。種名と亜種名が同じですから、基亜種(原亜種、原名亜種)であることを示しています。基亜種であれば、亜種名は書かなくても良いのですが、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、他に伊豆諸島亜種(Odontopera arida melancholica)があるので、特に入れておきました。
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エグリヅマエダシャクの横顔
(2008/10/22)

 エグリヅマエダシャクの食草は、保育社の蛾類図鑑ではチャ(茶)となっています。しかし、「みんなで作る・・・」に拠ると、ツバキ科、ブナ科、バラ科、ミズキ科、ツツジ科、スイカズラ科等相当広い範囲の木の葉を食べるそうです。
 越冬態は幼虫です。サザンカはチャと同じツバキ科ですから、このサザンカに来ていた本当の目的は、吸蜜ではなく産卵であったのかも知れません。
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背面からの拡大(2008/10/22)

 やはりこう言う晩秋の象徴のようなサザンカに留まった虫の写真を今頃(初春)出すのは、些か気が引けます。調べてみると、今年はまだ1回しか撮影に出掛けていませんでした。今日は天気も良く風も無いので、これからカメラをぶら下げて散歩にでも行こうかと思っています。

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2008年11月19日 (水)

ワタヘリクロノメイガ

 今日は別の虫を紹介するつもりだったのですが、文章を書いている内に妙なことに気付き、作業が中断してしまいました。そこで、急遽予定を変更してこのノメイガを紹介することにしました。
 ワタヘリクロノメイガ(綿縁黒野螟蛾:Diaphania indica)、ツトガ科ノメイガ亜科に属します。開張は25mm前後、尾端に太いハタキの様な毛塊があるのでよく知られているノメイガです。
 一名ウリノメイガとも呼ばれ、農業上ではウリ科の害虫として著名な様です。しかし、アオイ科やクワ科の植物も食べるそうで、和名の頭にある「ワタ」は、ワタを食害するからか、或いは、尾っぽの毛塊を「ワタ」と見なして付けられたのか、良く分かりません。小笠原を含む日本全土、オーストラリア、旧大陸の熱帯等に広く分布します。

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ワタヘリクロノメイガ.一名ウリノメイガとも呼ばれる
尾端の毛塊が発達するのは雄の証拠
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/21)

 写真では良く見る蛾ですが、実物を見るのは初めてです。居たのは、先日紹介したホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャク等と同じく、六丁目にあるサザンカの垣根です。
 これまでの経験から、この手のノメイガは、ストロボを使うとその反射で実際とはかなり違う風に写ってしまうことが分かっていましたので、ストロボは使いたくなかったのですが、もう日没後のことでもあり、しかも葉裏の暗い所に居ましたので、仕方なくストロボを焚きました。案の定、反射で翅の一部だけ妙に光ってしまいました。
 当初は没にするつもりだったのですが、尾端の毛塊が面白いので、やはり掲載することにしました。
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尾っぽを振るワタヘリクロノメイガの雄
(2008/10/21)

 この尾端の毛塊は雌にもある程度はある様ですが、雄で特に良く発達するとのことです。と言うことは、この個体は雄と考えて良いのでしょう。
 この尾っぽを、ゆっくりではありますが、常に左右に振っていました。雌に「此処に居るぞ」と言う信号を送っているのでしょうか。開張25mm程度の蛾ですから、尾っぽを振っても大して目立ちません。しかし、昆虫は人間とは見える光の周波数帯が違うのが普通ですから、人間には目立たなくても、雌のワタヘリクロノメイガには際立って見えるのかも知れません。
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尾っぽの拡大写真.鱗片状で鳥の羽の様
高解像度で撮っていないので、画質はお粗末 (2008/10/21)

 尾端の毛を拡大してみると、毛状ではなく鱗片状で鳥の羽の様な感じです。白、淡黄褐色、暗灰色と白の斑など、色々な色をした「羽」が混ざっています。この尾端だけ高解像度で撮れば良かったのですが、どうせ掲載出来ないだろうと言う気持ちが強かったので、被写界深度をやや深くして(従って低解像度)、全体を撮るだけでお終いにしてしまいました。御蔭で、拡大写真の画質はかなりお粗末です。
 この町でもう一度この蛾を見る機会は少ないと思います。惜しいことをしました。

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2008年10月31日 (金)

ホシヒメホウジャク

 先日、サザンカの花にやって来た蛾を2種(ヘリグロヒメアオシャクウスキツバメエダシャク)掲載しましたが、私がそこで狙っていた虫の本命は、実は今日紹介するホシヒメホウジャク(Neocurelca(Aspledon、Curelca) sangaica)だったのです。
 私は毎日早朝に一寸だけ散歩します。丁度10日ほど前、近くの御宅の垣根になっているサザンカが咲いているだろうと思って、一寸寄り道をして見に行きました。まだ、かなり暗い5時半位の頃です。垣根に近づいて驚いたのは、そこに多数のホウジャク類が吸蜜に来ていたことでした。一昨年に紹介したホシホウジャクも来ていましたが、直ぐ近くの我が家には滅多に来ないホシヒメホウジャクが沢山いるのには、更にビックリさせられました。急いで家にカメラを取りに戻ったのは言うまでもありません。

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サザンカで吸蜜するホシヒメホウジャク
ホシホウジャクに比して体が太く短い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/22)

 その南に面した垣根の長さは10mもないと思います。しかし、非常に良く手入れの行き届いた垣根で沢山の花が咲き乱れており、そこに吸蜜に来ていたホシホウジャクとホシヒメホウジャクは、一番多い時で、合わせて15頭位は居たと思います。ブンブンと飛び交うホウジャクの羽音も相当なものでした。
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時には殆ど留まって吸蜜することもある
(2008/10/21)

 面白いことに、ホシホウジャクはまだ暗い内から来ていて、明るくなってもまだ居ましたが、ホシヒメホウジャクの訪花は、薄明時の一時期、僅か15分くらいの間に集中していました。普段余り見かけないのも、そう言う習性のせいかも知れません。
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後翅黄色斑の後縁は直線的.ホシホウジャクでは内側に曲がる
(2008/10/22)

 ホシヒメホウジャクはスズメガ科ホウジャク亜科に属し、ホウジャク類(Macroglossum属とNeocurelca(Aspledon、Curelca)属)の中では最も小さい部類に属します。図鑑に拠ると、開張は35~40mm、ホシホウジャクは開張40~45mmとなっていますから、高々5mmの差に過ぎないのですが、見た感じでは、ホシホウジャクよりかなり小さいと言う印象を受けます。これはホシヒメホウジャクの体が開張に比して短い(体長が小さい)せいだと思います。
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ホシヒメホウジャクの口吻はかなり短い
(2008/10/22)

 しかし、体長は小さくても、横幅があります。ホウジャク類は忙しく花から花へ飛び移りますから、見ていると何だか「豆タンク」が飛び回っている様な感があります。
 また、ホシホウジャクと較べて、かなり色が薄く黄色っぽく見えます。
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吸蜜中のホシヒメホウジャクを横から見た図
殆ど留まっていて居るので羽ばたきが小さい
(2008/10/21)

 ホシホウジャクと大きく異なる特徴の一つとして、口吻の長さがあります。一般にホシホウジャクの属すMacroglossum属のホウジャクは口吻が長い様です。ホシホウジャクの口吻は、サザンカの雄蕊の付根にある蜜線に充分に届き、花からかなり離れていても吸蜜出来ますが、ホシヒメホウジャクは口吻が短く、雄蕊の間に頭を突っ込む様にして吸蜜するのが普通です。
 ホシヒメホウジャクの口吻は、オオスカシバの口吻と大体同じ程度の長さかも知れません。オオスカシバも口吻がかなり短く、我が家に咲いたハナトラノオ(カクトラノオ)の花に頭を突っ込む様にして吸蜜していました。
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上の個体の等倍接写.何かネズミを想わせる顔
(2008/10/21)

 この辺り(東京都世田谷区西部)のホウジャク類としては、この他にヒメクロホウジャクが居ます。但し、数は少なく、ここ数年見たことがありません。
 九州大学の目録に拠ると、日本全国には15種のホウジャク類(Macroglossum属とNeocurelca(Aspledon、Curelca)属)が記録されています。しかし、多くは沖縄以南の南方系の種類で、東京で記録があるのは、「東京都本土部昆虫目録」に拠ると、この他にクロホウジャクが1種あるのみです。
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雄蕊の間に顔を突っ込んで吸蜜.口吻は体長程度の長さしかない
(2008/10/22)

 ホシヒメホウジャク幼虫の食草は、ホシホウジャクと同じヘクソカズラです。終齢幼虫には4つの色彩型があって体の色は様々ですが、尾角が非常に長くて12~13mmもあり、その色は色彩型に拠らずほぼ一定で、黒紫色に近い色をしています。また、ホシホウジャクの幼虫に比して頭部の比率がかなり大きい様です。
 スズメガの幼虫は、一般に地表或いは土中で蛹化します。しかし、ホシヒメホウジャクは例外で、枝上で葉を2~3枚綴って簡単な繭を作ります。越冬態も多くのスズメガでは蛹ですが、ホウジャク類の中にはクロホウジャクの様に成虫越冬するものがあり、ホシヒメホウジャクも成虫で越冬することがあるらしいと、図鑑には書かれています。
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オマケにもう1枚.最初の写真と似ている
(2008/10/21)

 ホシホウジャクは一昨年に掲載しています。しかし、幼虫の写真は体の一部が隠れたもの1枚だけで、成虫も6年前に撮った古い写真です。今回、ホシホウジャクの成虫も一緒に沢山撮りましたし、幼虫の詳細な写真も別に用意してあります。何れも、近日中に掲載する予定です。

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2008年10月27日 (月)

ウスキツバメエダシャク

 今日は時間がないので、また写真の少ない虫を選んで紹介します。シャクガ科エダシャク亜科のウスキツバメエダシャク(Ourapteryx nivea)です。
 先日紹介したヘリグロヒメアオシャクと同じ日の同じ場所(成城六丁目)で撮影しました。夜の10時半頃にサザンカの花にやって来たところです。

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サザンカの花にやって来たウスキツバメエダシャク
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/22)

 ツバメエダシャクは似た様な種類が多く、種類の判別に困ることが屡々あります。しかし、10月後半であること、尾状突起の形、皺の様な細かい横筋(さざ波)の分布などからウスキツバメエダシャクと判断しました。
 保育社の古い図鑑や「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、類似種のフトスジツバメエダシャクとは顔の色が異なり、本種では橙褐色と書かれています(フトスジでは白)。写真と見るとチャンとその通りの色をしていますから、ウスキツバメエダシャクで間違いないものと思われます。なお、フトスジツバメエダシャクの出現期は6月上旬~7月上旬と8月中旬であり、また、少なくとも関東では山地性の様ですから、今頃この辺り(東京都世田谷区西部)で見る可能性は無い様です。
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サザンカで吸蜜するウスキツバメエダシャク
(2008/10/22)

 この辺りでツバメエダシャクを見るのは、恐らく数十年ぶりでしょう。まだこう言う綺麗な蛾が残っているとは一寸驚きました。嬉しい話です。
 最近は街灯にやって来る蛾が皆無に近いので、蛾自体が非常に少なくなっているのだと思っていました。しかし、此処のサザンカの花を見ていると、随分色々な蛾がやって来ます。
 幼虫の方は結構色々居るのですから、成虫も当然居るはずなのですが、こう言うところで見られるとは思っても見ませんでした。
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後を向いてしまった.この後一寸突いたら一目散に逃げて行った
(2008/10/22)

 このウスキツバメエダシャク、吸蜜に夢中になっていて中々翅表を綺麗に見せてくれません。その内後を向いてしまったので一寸チョッカイを出した途端、物凄い勢いで夜空の中に逃げて行ってしまいました。

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