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2012年3月の3件の記事

2012年3月11日 (日)

クチキムシ(Allecula melanaria


 6日、7日と春の様な日が訪れましたが、それ以外はここ2週間ばかし雨模様の肌寒い日が続いています。それでも、今日は、少し薄日が射してきました。しかし、まだ土はグチャグチャ、草木も濡れたままです。虫撮りに行くのはまだ一寸無理の様です。

 そこで、今回も昨年の冬に撮った写真を出すことにしました。


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ケヤキの樹皮下で越冬するクチキムシ

右下の白いのは越冬中のクモの巣

(写真クリックで拡大表示)

(2011/01/11)



 クチキムシ(Allecula melanaria)です。昨年の1月に掲載した「マドチャタテ科の1種」が居たのと同じ、7丁目にあるケヤキの樹皮下で、3頭一緒に越冬していました。

 「集団越冬」と云うには少な過ぎますが、条件によっては多くの個体が集まって越冬することがあるのかも知れません。同属近縁種のオオクチキムシは時に集団越冬することが知られています。

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胸部は、腹部に向かって細まらず、側面には稜が無い

鞘翅、胸部背面、頭部上部は黒、他は赤褐色

オオクチキムシとは異なりツヤがある

(写真クリックで拡大表示)

(2011/01/11)



 どうも、この手の虫は(も)苦手で、見つけた時はゴミムシ類かと思いました。しかし、正面から見ると(下)、大顎がよく見えず、ゴミムシダマシ科かその近縁の虫の顔をしています。

 以前(2008年8月)、「七丁目緑地」に生えているケヤキの樹皮下に居たゴミムシダマシ科のセスジナガキマワリを紹介しましたが、その顔ととかなりよく似ています。

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一見ゴミムシに似ているが、顔は全く異なる

触角第3節と第4節はほぼ等長

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(2011/01/11)



 家に帰り、早速、保育社の甲虫図鑑第3巻で探してみました。胸部は、腹部に向かって細まらず、側面には稜が無く、釣鐘に近い形です。脚や頭部前半、触角、胸部下面は赤褐色で他は黒色、胸部や鞘翅の上には黄色い短毛が生えています。残念ながら、ゴミムシダマシ科には該当する種がありませんでした。

 そこで、近縁の科を調べて見たところ、名前だけはよく知っているが実物は見た記憶のない、超普通種のクチキムシ(Allecula melanaria)であることが分かりました。些かガッカリ・・・。

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胸部下面は赤褐色をしており、前腿節が太い

胸部、鞘翅には黄色の短毛が生えている

(写真クリックで拡大表示)

(2011/01/11)



 クチキムシはクチキムシ科(Alleculidae)クチキムシ亜科(Alleculinae)に属し、ゴミムシダマシ科と同じゴミムシダマシ上科(ヒラタムシ上科)に属します。

 名前の通り朽木に多く、幼虫も、「虫ナビ」に拠れば、朽木を餌とするそうです。また、同サイトには「触れるとやや臭い匂いを出す」とあります。写真の虫には触れてはいないので確認は出来ませんでしたが、この次見つけたら試してみましょう。

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斜め上から見たクチキムシ.撮影中全く動かなかった

(写真クリックで拡大表示)

(2011/01/11)



 本種に似た種として、先に挙げたオオクチキムシ(A. fuliginosa)が居ます。写真のクチキムシの体長は10mm強(甲虫図鑑では10~12mm)ですが、オオクチキムシは14~16mm(同図鑑に拠る)とかなり大型です。図鑑に拠れば、上翅には黒褐色短毛があり、触角第3節は第4節よりも明らかに短いとのこと。

 また、図鑑では良く分かりませんが、Web上の写真を見ると、キクイムシにはツヤがあるのに対し、オオキクイムシは体全体が「艶消し」になっており、かなり印象が異なります。

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オマケの1枚.

(写真クリックで拡大表示)

(2011/01/11)



 保育社の図鑑を見ると、クチキムシ科の近縁に、クチキムシダマシ科(Elacatidae)と云う科があります。日本には2属4種しか居ない小さな科です。この科はチビキカワムシ科(Salpingidae)に入れられることもあるとのことで、九大の目録では、この科に属す4種はチビキカワムシ科所属となっていました。

 この辺りの科には、「ダマシ」や「モドキ」がゴマンと居るので、充分に注意する必要があります。


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2012年3月 4日 (日)

ウスイロチャタテ科(Ectopsocus sp.)の卵塊


 昨日、ウスイロチャタテ科(Ectopsocidae)に属すEctopsocus sp.の雄を掲載しました(雌の方はこちら)。今日は、その直ぐ近くで「ついでに撮った」同種の卵塊と思われるものを紹介しましょう。

 ついでに撮った(と言うかチャタテムシの卵の記録として参考程度に撮った)ので写真は1枚しか無く、しかも、親と思われる個体と卵塊の両方に焦点を合わせようとしたので、卵塊の右上は焦点を外れています。

 ところで、先日、私もよく御邪魔しているBABA氏のWeblog「虫をデザインしたのはダレ?」の2012年2月19日付記事に、常緑樹の葉裏に屡々見られる、これまで正体不明であった金属光沢を持つドーム状の構造が、実はチャタテムシの卵であったと云う「大発見」が載っていました。この「金属ドーム」は私も屡々見ており、例えば、2010年3月15日に掲載した記事「マルトビムシの1種」の写真1枚目の左下に写っています。

 そのBABA氏の記事に関して、Psocodea氏(チャタテムシの専門家、北大准教授の吉澤和徳氏のハンドルネーム)が「・・・.チャタテ科などでは,産卵したあと糞で卵を覆い隠したりします.・・・」とコメントされており、それに対してBABA氏が「・・・.糸の上や糞で隠す等、1度お目にかかって見たいものです.・・・」と答えて居られました。

 そこで今日は、その糞(と思われるもの)がかかっている卵塊の写真を載せることにしたのです。


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ウスイロチャタテ科のEctopsocus sp.の成虫雌と卵塊

この卵塊は横に居る成虫雌が産んだものと思われる

(写真クリックで拡大表示)

(2010/03/15)



 撮影したのは昨日のと同じく、国分寺崖線下の4丁目の何も生産していない「生産緑地」に植えてある、セイヨウヒイラギと思われる木の葉裏です(因みに、赤い実を着けるセイヨウヒイラギは、ヒイラギの属すモクセイ属:Osmanthusではなく、モチノキ属:Ilexです。モクセイ属植物の実は総て濃い黒っぽい色をしています)。昨日のEctopsocus sp.の雄を撮影したミカンの木から僅か7m程度しか離れていません(なお、撮影日は何れも3月15日ですが、成虫の方は2009年、この卵塊は2010年に撮ったものです)。

 この年(2010年)、この木の葉裏には色々なチャタテムシの卵・幼虫・成虫が居たのですが、その後は、残念ながら殆ど見かけません。ここから幼虫や卵を拉致して飼育してみようと思っていたのですが惜しいことをしました。

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上の写真を部分拡大(ピクセル等倍)したもの.卵の上には糸が

掛けられており、それに糞の様なものやゴミが付着している

(写真クリックで拡大表示)

(2010/03/15)



 卵の上には糸が張り巡らされており、その糸にほぼ確実に糞と思われるものやゴミの様なものが付着しています。

 問題は、卵の横にいるEctopsocus sp.の成虫が本当にこの卵を産んだのかと云うことでしょう。「ウスイロチャタテ 卵塊」で画像検索してもそれらしきものは何も出てきませんでした。しかし、「Ectopsocus eggs」で検索すると、「My Bit of The Planet」と云う英国のサイトに、 Ectopsocus petersiの成虫が、糞の様なゴミの付いた卵塊の上に乗っている写真が見つかりました(原文は ・・・obviously being watched over by an adult (I assume the parent) Ectopsocus petersi)。

 写真は撮っていませんが、私は今日のと同じ様な卵塊のすぐ近くにEctopsocus sp.の成虫が居るのをこれまでに何回か見ています。これらのことから、この卵塊は横にいるEctopsocus sp.の成虫が産んだものと思って先ず間違いないと思います。表題に「?」は付けませんでした。


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2012年3月 3日 (土)

ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.)(雄)


 今日はひな祭り。余りこちとらには関係ありませんが、もう3月です。本年2月の更新は1回のみ、すっかりサボリ癖がついてしまった様です。

 最近は虫撮りに出かけていないので、今日は、以前「今日は雌のみにして、雄の方は、また別の機会に紹介したいと思います」と書いたウスイロチャタテ科(Ectopsocidae)のEctopsocus sp.の雄を掲載することにしました。雌に関する記事は2010年3月に掲載、写真はその前年(2009年3月)に撮影したものです。今日の写真も同じ日に同じ場所で撮影したものですから、何と4年前、我ながら一寸酷いですね。

 なお、この頃は普通の等倍マクロで撮影していました。従って、画質は最近のものと較べてかなり落ちますが、何卒御容赦下さい。


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「三丁目緑地」の何も生産していない「生産緑地」に植えてある

ミカンの木の葉裏にいたEctoscopus sp.の雄

体は雌よりずっと小さいが翅は大きく長い

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 今日のチャタテムシの写真は、2個体を撮影しています。最初の7枚は同じ個体で、体長約1.9mm前翅長約2.8mm、最後の2枚は別個体で体長約2.0mm前翅長約2.9mmです。

 3年前に載せたの方は、体長2.9mm前翅長2.4mmでしたから、体長では雌の方が大きく、前翅長では雄の方が大きいと云うことになります。

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上の写真の拡大(ピクセル等倍).白い矢印で示したのが

ウスイロチャタテ科の特徴の1つである

後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 その雌の方の記事に、ウスイロチャタテ科の特徴として、「前翅は後小室を欠き、M脈とRs脈がほぼ1点で交わり、また、後翅のM脈とRs脈の間に横脈があります」と書きました(前翅の翅脈相についてはこちらの3番目の写真をどうぞ)。前翅の方は雌の写真でも良く分かったのですが、「後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」は良く見えませんでした。それが、この雄の写真では見えています。

 上の写真はその上の写真をピクセル等倍にしたものです。前翅と後翅の翅脈の両方が写っており、些か見難いですが、白い矢印で示した横脈が「後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」です。矢印先端の外側にあるぼやけた黒斑は、前翅の「M脈とRs脈がほぼ1点で交わっている」部分です。

 なお、翅脈相については北海道大学農学部吉澤和徳准教授の学位論文「Morphology of Psocomorpha」を参照しました。

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横から見たEctoscopus sp.の雄.上と同一個体(以下同じ)

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 実は、3年前と今日の記事に載せたチャタテムシが本当に同種の雄雌なのか、確実な証拠はありません。しかし、「Pscoptera of Texas」と云うチャタテムシの専門家が掲載しているサイトに、チャタテムシ類の雌雄の写真が対になって示されており、本種に近いと思われるEctopsocus californicusを見ると、胴体が短く、翅の長いのは雄となっていますから、今日のチャタテが雄であることは間違いないでしょう。

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斜め上から見たEctoscopus sp.の雄

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 雄雌の問題はヨシとしても、本当に同種なのかには、些か疑問があります。吉澤教授が執筆された「皇居の動物相調査で得られたチャタテムシ目昆虫」には、Ectopsocus属は2種しか載っていません。しかし、同教授の「Checklist of Japanese Psocoptera(Jul. 9, 2004)」には7種(その内本州産は4種)が載っており、また、「Psocodea Species File Online」と云うサイトを見ると、このEctopsocus属は世界で174種が記録されている大所帯です。

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正面から見たEctoscopus sp.の雄

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 吉澤教授に拠れば、「本属(Ectopsocus)の種は外見上きわめてよく似ているが・・・」とあり、また、日本国内での研究が充分行われている様には思えませんので(日本国内の種について充分研究が行われている属では、吉澤教授の命名した新種が必ず多数入っているのですが、このウスイロチャタテ科にはその様な種は1つもありません)、2種が混ざっているかも知れません。しかし、その可能性は少ないと思いますので、本記事の表題はEctopsocus spp.ではなく、Ectopsocus sp.としておきました。

 なお、このEctopsocus sp.は、多分E. briggsiではないかと思うのですが、確証がないのでEctopsocus sp.としてあります。その判断については、3年前の記事に詳しく書きましたので、此処では繰り返しません。

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ミカンの葉裏を逃げ回るEctoscopus sp.の雄

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 最初に書いた通り、今日の写真は4年前の2009年3月に撮影したものです。場所は国分寺崖線下の4丁目にある、何も生産していない生産緑地内のミカンの木の葉裏です。この年は、このEctopsocus sp.が非常に多く、他の場所でも沢山見付けましたが、この辺り(東京都世田谷区西部)では、普段はそれ程多い種ではありません。

 次の2010年は、ヨツモンホソチャタテが非常に多く見られました。驚いたことに、今まで一度も見たことがない我が家の庭でも発生しました(この時は、卵から成虫までを写真に収めることが出来ました。その記録は此方をどうぞ)。年により、特定のチャタテムシが多くなると云うのは、些か興味のある現象です。

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オマケに同一個体の正面からの写真をもう1枚

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 下に、別個体の写真を2枚載せておきます。何れも同じ日に同じ場所で撮影したものです。

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別個体.此方の方がやや大きい

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 

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上の個体を正面上方から見たところ

(写真クリックで拡大表示)

(2009/03/15)



 今年の冬は、雨や雪が多く、また、晴れの日は霜柱が例年になくリッパに立って、地面がグチャグチャです。「三丁目緑地」やこのチャタテムシを撮った「生産緑地」もグチャグチャだと思うと中々虫撮りに出掛ける気がしません。しかし、昨年以前に撮った未掲載の写真が倉庫に沢山眠っていますので、それらをボチボチと紹介して行くつもりです。


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