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2012年3月 3日 (土)

ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.)(雄)

 今日はひな祭り。余りこちとらには関係ありませんが、もう3月です。本年2月の更新は1回のみ、すっかりサボリ癖がついてしまった様です。
 最近は虫撮りに出かけていないので、今日は、以前「今日は雌のみにして、雄の方は、また別の機会に紹介したいと思います」と書いたウスイロチャタテ科(Ectopsocidae)のEctopsocus sp.の雄を掲載することにしました。雌に関する記事は2010年3月に掲載、写真はその前年(2009年3月)に撮影したものです。今日の写真も同じ日に同じ場所で撮影したものですから、何と4年前、我ながら一寸酷いですね。
 なお、この頃は普通の等倍マクロで撮影していました。従って、画質は最近のものと較べてかなり落ちますが、何卒御容赦下さい。

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「三丁目緑地」の何も生産していない「生産緑地」に植えてある
ミカンの木の葉裏にいたEctoscopus sp.の雄
体は雌よりずっと小さいが翅は大きく長い
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 今日のチャタテムシの写真は、2個体を撮影しています。最初の7枚は同じ個体で、体長約1.9mm前翅長約2.8mm、最後の2枚は別個体で体長約2.0mm前翅長約2.9mmです。
 3年前に載せたの方は、体長2.9mm前翅長2.4mmでしたから、体長では雌の方が大きく、前翅長では雄の方が大きいと云うことになります。
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上の写真の拡大(ピクセル等倍).白い矢印で示したのが
ウスイロチャタテ科の特徴の1つである
後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 その雌の方の記事に、ウスイロチャタテ科の特徴として、「前翅は後小室を欠き、M脈とRs脈がほぼ1点で交わり、また、後翅のM脈とRs脈の間に横脈があります」と書きました(前翅の翅脈相についてはこちらの3番目の写真をどうぞ)。前翅の方は雌の写真でも良く分かったのですが、「後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」は良く見えませんでした。それが、この雄の写真では見えています。
 上の写真はその上の写真をピクセル等倍にしたものです。前翅と後翅の翅脈の両方が写っており、些か見難いですが、白い矢印で示した横脈が「後翅のM脈とRs脈の間にある横脈」です。矢印先端の外側にあるぼやけた黒斑は、前翅の「M脈とRs脈がほぼ1点で交わっている」部分です。
 なお、翅脈相については北海道大学農学部吉澤和徳准教授の学位論文「Morphology of Psocomorpha」を参照しました。
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横から見たEctoscopus sp.の雄.上と同一個体(以下同じ)
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 実は、3年前と今日の記事に載せたチャタテムシが本当に同種の雄雌なのか、確実な証拠はありません。しかし、「Pscoptera of Texas」と云うチャタテムシの専門家が掲載しているサイトに、チャタテムシ類の雌雄の写真が対になって示されており、本種に近いと思われるEctopsocus californicusを見ると、胴体が短く、翅の長いのは雄となっていますから、今日のチャタテが雄であることは間違いないでしょう。
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斜め上から見たEctoscopus sp.の雄
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 雄雌の問題はヨシとしても、本当に同種なのかには、些か疑問があります。吉澤教授が執筆された「皇居の動物相調査で得られたチャタテムシ目昆虫」には、Ectopsocus属は2種しか載っていません。しかし、同教授の「Checklist of Japanese Psocoptera(Jul. 9, 2004)」には7種(その内本州産は4種)が載っており、また、「Psocodea Species File Online」と云うサイトを見ると、このEctopsocus属は世界で174種が記録されている大所帯です。
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正面から見たEctoscopus sp.の雄
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 吉澤教授に拠れば、「本属(Ectopsocus)の種は外見上きわめてよく似ているが・・・」とあり、また、日本国内での研究が充分行われている様には思えませんので(日本国内の種について充分研究が行われている属では、吉澤教授の命名した新種が必ず多数入っているのですが、このウスイロチャタテ科にはその様な種は1つもありません)、2種が混ざっているかも知れません。しかし、その可能性は少ないと思いますので、本記事の表題はEctopsocus spp.ではなく、Ectopsocus sp.としておきました。
 なお、このEctopsocus sp.は、多分E. briggsiではないかと思うのですが、確証がないのでEctopsocus sp.としてあります。その判断については、3年前の記事に詳しく書きましたので、此処では繰り返しません。
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ミカンの葉裏を逃げ回るEctoscopus sp.の雄
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 最初に書いた通り、今日の写真は4年前の2009年3月に撮影したものです。場所は国分寺崖線下の4丁目にある、何も生産していない生産緑地内のミカンの木の葉裏です。この年は、このEctopsocus sp.が非常に多く、他の場所でも沢山見付けましたが、この辺り(東京都世田谷区西部)では、普段はそれ程多い種ではありません。
 次の2010年は、ヨツモンホソチャタテが非常に多く見られました。驚いたことに、今まで一度も見たことがない我が家の庭でも発生しました(この時は、卵から成虫までを写真に収めることが出来ました。その記録は此方をどうぞ)。年により、特定のチャタテムシが多くなると云うのは、些か興味のある現象です。
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オマケに同一個体の正面からの写真をもう1枚
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 下に、別個体の写真を2枚載せておきます。何れも同じ日に同じ場所で撮影したものです。
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別個体.此方の方がやや大きい
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 
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上の個体を正面上方から見たところ
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 今年の冬は、雨や雪が多く、また、晴れの日は霜柱が例年になくリッパに立って、地面がグチャグチャです。「三丁目緑地」やこのチャタテムシを撮った「生産緑地」もグチャグチャだと思うと中々虫撮りに出掛ける気がしません。しかし、昨年以前に撮った未掲載の写真が倉庫に沢山眠っていますので、それらをボチボチと紹介して行くつもりです。

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