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2012年2月の1件の記事

2012年2月19日 (日)

ツマグロコシボソハナアブ(Allobaccha apicalis


 私のもう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」は楽天のWeblogなのですが、楽天という会社はWeblogと言うものを金儲けの手段としか考えていないらしく、3週間程前からアクセス情報はカウンターのみとなり、また、メール機能も削除してしまいました。その上、品のない派手な広告が増えてすっかり厭になり、記事を書く気が萎えてしまいました。

 これが、此方にも波及して、暫く更新が途絶えていましたが、これはcocologには関係ない話なので、急いで更新することにします。

 今日、紹介するのは、前回、前々回と同じく、「三丁目緑地」で撮影したツマグロコシボソハナアブ(Allobaccha apicalis)です。コシボソハナアブ類は、「三丁目緑地」では屡々目にするのですが、何時も何処にも留まらず飛び去ってしまい、今まで撮影出来たことがありませんでした(「三丁目緑地」以外では、八丁目の駐車場で撮影したマダラコシボソハナアブを2006年に掲載しています)。

 写真の個体は複眼が離れているので雌です。名前の通り翅端近くに黒斑がありますが、雄では翅全体が黒化するそうです(「一寸のハエにも五分の大和魂・改」No.4663、ハナアブ研究者の市毛氏の談)。


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「三丁目緑地」に有る杭に留まるツマグロコシボソハナアブ(雌)

翅が些か捻れていて、右側は焦点が合っていない

(写真クリックで拡大表示)

(2012/01/06)



 「三丁目緑地」内の西北部にある、泉の横に打ち込まれた杭に留まっていました。翅が少し歪になっていたので、背面から撮った写真では、右前翅の翅脈の大部分は焦点を外れています。

 コシボソハナアブ類は、この辺り(東京都世田谷区西部)では、暖かい時期には時々見かけるのですが、冬に入ってから見るのは初めてかも知れません。果たして、越冬個体なのか、前回のジョロウグモの様に、秋の生き残りなのか、コシボソハナアブ類の越冬態を調べて見ましたが、良く分かりませんでした。

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横から見たツマグロコシボソハナアブ

(写真クリックで拡大表示)

(2012/01/06)



 コシボソハナアブは、腹部が細長くて独特の形をしています。しかし、ハナアブ科(Syrphidae)ヒラタアブ亜科(Syrphinae)コシボソハナアブ族(Bacchini)に属す、捕食性ヒラタアブの仲間です。

 永井正身氏の「大阪城公園の哺乳類,爬虫類,両生類」(追手門学院創立120周年記念事業大阪城プロジェクト調査報告書 いのちの城・大阪城公園の生きもの,103−105,2008)に、本種に関する記述があります。ヤツデの葉裏でアブラムシを捕食していたヒラタアブ類の幼虫を持ち帰って飼育したところ、本種の成虫が得られたそうです。幼虫や蛹の写真も載せられていますが、全く普通のヒラタアブ類の幼虫・蛹の形をしています。成虫の形態は随分違うのに、面白いものです。

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斜め前から見たツマグロコシボソハナアブ

真っ正面からは撮影出来なかった

(写真クリックで拡大表示)

(2012/01/06)



 コシボソハナアブ族は、九州大学の目録では2属10種、これより新しい「みんなで作る双翅目図鑑」に付属する目録では2属13種、市毛氏による「ハナアブ写真集」には2属6種が載っています。かなり違いがある所をみると、まだ良く整理されていないのかも知れません。

 なお、「コシボソハナアブ」の名が付くハナアブは、コシボソハナアブ族以外にも何種かあります。同じヒラタアブ亜科に属すオオコシボソハナアブ(Doros profuges:ヒラタアブ族)の他、ナミハナアブ亜科(Milesiinae)タマヒラタアブ族(Chrysogasterini)Neoascia属に「チビコシボソハナアブ」の名が付くものが数種あります。

 また、名前は違いますがタマヒラタアブ族ハナダカチビハナアブ(Sphegina)属の種は、市毛氏の「ハナアブ写真集」を見る限り、何れも(10数種)腹部が細長く先が膨らんでおり、コシボソハナアブ類と間違える可能性があります。しかし、この仲間は、後退節が非常に太く、また、翅脈も異なるので、コシボソハナアブ族とは容易に区別が付きます。


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