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2012年1月の2件の記事

2012年1月28日 (土)

ジョロウグモ(Nephila clavata)(雌)

 もう1月も終わりに近づいて来ました。今月(今年)はまだ1回しか記事を書いていないので、急いで更新することにします。
 前回掲載した「ケチャタテ科の1種(その5)」が居た、「三丁目緑地」に生えているタラヨウの木に「巣」を張っていたジョロウグモ(Nephila clavata)の雌です。

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越年したジョロウグモの雌.暗い林の中に居た
「巣」は1本の糸のみで保たれている
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(2012/01/06)

 ジョロウグモは、秋にはそこいら中に居て、しかも、陽の当たらない側に背を向けているので撮り難く、今まで掲載しないまま放置していました。
 ジョロウグモは卵越冬で、成体の多くは12月中にあの世に行ってしまうそうです。実際、越年したジョロウグモをこの辺りで見たのは初めてかも知れません。掲載することにした理由の一つです。
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横から見た越年ジョロウグモの雌
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 もう一つの理由は、暗い林の中の開けた空間に「巣」を張っていて、撮り易かったことがあります。表、裏、側面を容易に撮ることが出来ました。しかし、背景が暗いので補助光を必要とし、ストロボを焚けば腹部が白飛びするので、良い写真にはなりませんでした。
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裏から見た越年ジョロウグモの雌
尾端近くの赤い部分が目立つ
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 「巣」とカッコ付きにしているのは、写真でお分かりの様に、巣はもう殆ど壊れていて、1本の糸しか残っていなかったからです。
 しかし、蜘蛛はチャンと生きており、僅かながらも動いていました。
 眼は標準の8個です。後側眼は前側眼に隣接しており、角度によっては少し見難くなります。下2枚の写真は、少し確度を換えて撮ったのですが、右の後側眼はよく識別出来ません。
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ジョロウグモの頭部.前側眼の直ぐ後に後側眼がある
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 ジョロウグモは、文一総合出版の「日本のクモ」ではジョロウグモ科(Nephilidae)所属になっています。一方、Wikipediaではアシナガグモ科(Tetragnathidae)とされています。この辺りは、最近東海大学出版から出た「日本産クモ類」を見れば分かると思うのですが、高い本なので、未だに買っていません。また、かなり専門性の高い本のせいか、近くの図書館にも所蔵されていません。
 蜘蛛の研究者である谷川明男氏の「A Check List of Japanese Spiders ver. 2011R1」ではジョロウグモ科に属しているので、ジョロウグモ科の方が有力ですが、私は専門家ではないので、此処では判断しないことにします。
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少し確度を変えて撮影.右の後側眼はよく識別出来ない
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 このジョロウグモの写真は、先日のチャタテムシを撮る直前に撮影しました。しかし、チャタテムシの撮影を終わった時、ジョロウグモを振り返ってみると、もう其処にはジョロウグモの姿も巣の糸も見当たりませんでした。
 ジョロウグモが居たのはかなり急な斜面に生えているタラヨウの斜面の上側、チャタテムシを撮影したのは下側ですから、チャタテを撮っている時に巣に触れることは有り得ません。恐らく、糸が劣化して切れ、それと共にジョロウグモも下の藪の中に落ちてしまったのでしょう。
 撮影したのは1月6日、今日は28日ですから、もうこのジョロウグモは既に天国に召されているに違いありません。

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2012年1月 8日 (日)

ケチャタテ科の1種(Caeciliusidae gen. sp.)(その5)

 どうも最近は、体がすっかり熱帯向きになって来たのか、寒くなると外出するのが億劫になります。それでも先日、「四丁目緑地」のケヤキの樹が気になって、カメラを持って出掛けました。
 しかし、そのケヤキの樹皮下には、以前掲載した「ハイイロチビフサヤスデ(その2:集団越冬)」よりも、もっと高密度に集まったハイイロチビフサヤスデがいた程度で、目新しい被写体は何も見当たりませんでした(ヨツモンホソチャタテが1頭、樹皮下で越冬していました。これまで、樹皮下でホソチャタテ科の虫を見たことはありません)。
 そこで、1.2kmほど南にある「三丁目緑地」に行ってみました。緑地の北西部にある、泉の横に生えているタラヨウの葉裏には大概何かが居るのです。本当は、双翅目が目当てだったのですが、そこでこれまで見たことのないチャタテムシを見つけました。

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タラヨウの葉裏に居たケチャタテ科の1種
翅膜は淡黄褐色、翅脈は黄色い
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 翅脈(「YOSHIZAWA,Kazunori(2005):Morphology of Psocomorpha」に拠る)や体形からして、ケチャタテ科(Caeciliusidae)の1種なのは間違いないでしょう。翅端まで約4.0mm、前翅長約3.2mmですから、ケチャタテ科としては中程度の大きさです。
 上の写真の様な、目の黄色いケチャタテはこれまでにも何回か紹介しており、特に後小室(「ホソチャタテ」の3番目の写真を参照して下さい)が小さい点で「ケチャタテ科の1種(その2)」とよく似ています。
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横から見ると、全体的に結構毛深い
後小室は少し見難いが小さい
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 しかし、「その2」の方は、翅膜も翅脈も殆ど無色なのに対し、今日のチャタテムシは翅膜が薄い黄褐色で、翅脈は黄色をしています。特に縁紋の辺りの黄色が目立ちます(最後の写真)。
 黄色の目立つケチャタテ科としては、キイロケチャタテがよく知られています(但し、Web上にある「キイロケチャタテ」の多くは誤認です)。しかし、富田・芳賀(1991)の「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」を見ると、キイロケチャタテは後小室が大きく、縁紋は全体に黄色となっており、一致しません。
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小顎鬚(小腮鬚)は殆ど無色透明.先端も同様
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 そら氏のブログ「ご近所の小さな生き物たち」に掲載されている記事「キイロケチャタテでは無いそうです」に、psocodea氏(北海道大学吉澤教授のハンドルネーム)が次の様なコメントを書かれています。「キイロケチャタテに外観的に良く似た種はたくさんいるのですが,実は結構遠縁の仲間も含まれます.というか,キイロケチャタテは,ケチャタテ科から独立させた方が良いかとも考えています(現在論文が進行中).・・・」。どうやら、本当のキイロケチャタテは、少し普通のケチャタテとは違った虫の様です。
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斜めから見ると、縁紋付近の黄色が目立つ
(写真クリックで拡大表示)
(2012/01/06)

 ケチャタテ科であることは問題ないとして富田・芳賀の検索表を辿ると、和名のないValenzuela flavidorsalis(この検索表は少し古いので属名はCaesilius)が一番近い様です。この種の特徴は、「後小室が小さく、小顎鬚は淡黄褐色で、端節はやや暗色.翅脈及び翅膜は黄褐色.前翅長約3.0mm」となっています。しかし、今日のチャタテムシでは、小顎鬚は殆ど無色でその端が暗色とは言えません(3番目の写真)。
 学術論文ではないので、Valenzuela flavidorsalis?とする手もありますが、吉澤教授の上記コメントから察せられる様に、ケチャタテ科はまだ未整理部分が多い様です。此処では単にケチャタテ科の1種(Caeciliusidae gen. sp.)として置くことにしました。

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