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2011年2月 3日 (木)

ヒメコバチ科の1種(Euplectromorpha nigromaculatus

 今日は、昨年の今頃に撮影したコバチを紹介することにします。虫体が小さいにも拘わらず普通の等倍接写をしたので画質は相当酷いのですが、綺麗な種であるのと、種名が判明したので紹介することにしました。
 四丁目の何も生産していない「生産緑地」に生えていたビワの木の葉裏に居ました。ビワもヤツデと並んで、越冬中の虫を探すのには良い場所の様です(残念ながら、このビワの木は昨年の春に伐採されてしまいました)。

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ビワの葉裏に居たEuplectromorpha nigromaculatus
ヒメコバチ科に属す.胸部の構造が独特
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/18)

 体長は2.3mm、この小さいハチがコバチ上科に属すことは、翅脈が著しく退化していること、前胸背版の側面が肩板に達しないこと、触角が膝状(柄節=第1節と梗節=第2節の間で折れ曲がる)であることなどから推定出来ます。しかし、コバチ上科には20もの科があり、科を検索表で調べようとすると迷子になってしまいました。
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ビワの葉裏を歩き回るEuplectromorpha nigromaculatus
前翅にはかなり長い縁毛が認められる
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/18)

 しかし、北隆館の圖鑑を見ると136種ものコバチの図が載っています。そこで、胸部の構造が類似している科を探すと、ヒメコバチ科(Eulophidae)がよく似ていました。しかし、手元の検索表では、何れもヒメコバチ科は最後の方にあってどうしても辿り着けません。インチキして、ヒメコバチ科から逆に辿っても一寸無理の様です。
 暫く迷っていたのですが、結局ハチ類の掲示板「蜂が好き」にヒメコバチ科で合っているか否かを御伺いすることと相成りました。
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肩には1本のかなり長い剛毛がある
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/18)

 コバチやヒメバチは種類が多く、未記載種や未記録種も相当あり、科だけでも分かればよいと思っていたのですが、何と、コバチの研究をされているいしざき氏より、「写真のハチはヒメコバチ科のEuplectromorpha nigromaculatusです.今のところ、この属は日本から1種しか記録されていません」との御回答を賜りました。外見が非常に特徴的な種とは思いますが、科どころか種まで分かってしまったのには、一寸驚きました。
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転節は2節から成るそうだが写真では良く分からない
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/18)

 この種は、九州大学の日本産昆虫目録や東京都本土部昆虫目録には載っていません。学名を全て記すとEuplectromorpha nigromaculatus (Ashmead 1904) ですから、目録作成後に記載された新種ではなく、日本では最近まで未記録種であったことになります。[追記:ezo-aphid氏の御指摘により、命名当初の属名はEuplectrusであり、その後Euplectromorpha属に移されたこと、九大目録には昔の儘のEuplectrusで載っていることが分かりました。原記載地は箱根なので、日本では命名年の1904年(明治37年)から知られていたことになります]。
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顔には「人」の形をした黒色の筋がある
前ピンの酷い写真だが、御勘弁を
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/18)

 また、いしざき氏の御話では「寄主はわかっていませんが、他種がガ類の幼虫に寄生することが知られています。私も現在寄主探索中です」とのことです。
 実は、このコバチは一昨年に、このビワの木から僅か2~3m離れた所に植わっているミカンの木の葉裏で見つけたことがあります。この話を掲示板に書き込んだところ、いしざき氏もミカンの木で採集されたことがあるそうです。ミカンに付く蛾に寄生するのかも知れませんが、周りには他にも色々な木が植わっており、当然草本もありますから、これだけでは何とも言えません。
 今頃の常緑樹の葉裏や樹皮下を探すと、越冬中のコバチが結構見付かります。小さ過ぎて中々旨く撮れないのですが、金属光沢を放つ綺麗な種類も多く、出来るだけ紹介して行きたいと思います。

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コメント

ezo-aphid様.

 急いで書いたので、属名が異なっていることに気が付きませんでした(命名者にカッコが付いているのですから、原記載とは属名が異なっているのは明らかなのですが・・・)。九大目録を見ると、Euplectrusにはnigromaculatusを含め7種が載っていました。学名が変更になったことを追記しておきます。

 御指摘有り難う御座いました。


投稿: アーチャーン | 2011年2月 7日 (月) 09時22分

説明が舌足らずだったようですので、詳しく申し上げます。同定違いと申し上げているのではありません。
 Ashmeadは1904年に日本産の標本に基づき、Eupeltcrus属の種としてnigrotuberculatusを記載しました(先の原記載のことです)。それは、間もなく別人によってEuplectromorpha属に移された(これはChalcidoidea database の valid namesに根拠が示されています)のですが、九大目録には反映されず、元の属のまま載せられました。石崎氏はdatabaseの方にのっとり表題の学名をお知らせしたものと思います。ですから、この画像の種は、九大目録のEupeltcrusに所属し、原記載とも一致するはずです。そこで、同じはずの「両者のサイズが違うのは不思議ですね、Ashmeadの測定部はどこだろう?」、という意味でした。

投稿: ezo-aphid | 2011年2月 6日 (日) 21時23分

ezo-aphid様.

 今日は外出していて対応が遅くなりました。

 論文中のlenghtは前翅長なのか体長なのか良く分かりませんが、このハチの場合、体長と翅長で大した差はありませんから、1.6mmと約2.3mmでは相当な違いと言えます。ホソヒラタアブやクロヒラタアブ等は体長に著しい変異がありますが、コバチの場合は変化は少ないものと思います。
 しかし、この「いしざき氏」は東京農大大学院博士課程でヒメコバチ科の研究をされている石崎剛氏(2006年に博士課程前期を終了、ありますから、もう学位を取っているかも知れません)の様で、信頼度は相当高いと推定されます。
 一介の素人に過ぎない私にとって、この問題は何とも判断出来かねます。今のところいしざき氏の同定に従って置くことに致します。

 御連絡どうも有り難う御座いました。

投稿: アーチャーン | 2011年2月 6日 (日) 18時17分

おじゃまします。コントラストが明瞭で、眼をひくコバチですね。
九大目録の出版時点までは未検討だった種のようで、原記載のままにEuplectrus属で載っています。下記の163pに原記載があり、記述は合ってるのですが、サイズに大差があります。  ご参考までに。
http://www.nhm.ac.uk/resources/research-curation/projects/chalcidoids/pdf/Ashmea904e.pdf

投稿: ezo-aphid | 2011年2月 5日 (土) 08時44分

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