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2010年11月11日 (木)

クロスズメバチ(Vespula flaviceps

 今日は、また一昨年にサザンカの花に来ていた虫を紹介します。体に纏わり付いたりすることもよくあるクロスズメバチ(Vespula flaviceps)です。このサザンカの花には、かなり沢山のクロスズメバチが来ていました。ミツバチならともかく、クロスズメバチがこんなに沢山訪花するとは知りませんでした。

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サザンカの花に早朝やって来たクロスズメバチ
腹部の白帯が5本であり雄ではない
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 クロスズメバチは、スズメバチ科(Vespidae)スズメバチ亜科(Vespinae)に属し、クロスズメバチ属(Vespula)には、「日本の真社会性ハチ」に拠ると6種7亜種が生息しています(この文献には1新種が含まれているので、九大目録では5種6亜種になっています)。
 しかし、本州以南の平地でみられる白黒模様のクロスズメバチ属には、クロスズメバチとシダクロスズメバチの2種が居るだけです。
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横から見たクロスズメバチ.サザンカの花に比して随分小さい
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 この両者の区別は、やはり顔を見れば分かります。頭楯(大まかに言えば左右の触角基部から口の間)は両側が白く、中央に黒い太い錨の様な紋があります。この黒い紋が頭楯の下端に達しているがシダクロスズメバチ、達していないのがクロスズメバチです。
 また、複眼の内側から上部にかけて白い部分がありますが、これの上部が膨らんで、先の文献の表現を借りれば「ヌスビトハギの実に酷似」しているのがクロスズメバチ、細く「くの字」形になっているのがシダクロスズメバチです。
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葉の間から顔を出したクロスズメバチ
頭楯の黒紋は口に達していない
複眼内側の白紋は上部が丸い
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 上の写真のクロスズメバチの顔を見ると、頭楯の黒斑は明らかに下端には達して居らず、複眼内側の白斑は上部が丸まっています。従って、何も形容の付かない只のクロスズメバチ(Vespula flaviceps)となります。
 この写真を撮影したのは2008年10月25日です。もう雄バチが発生して良い時期ですが、写真のハチは雄でしょうか。
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訪花中のハチの多くはこの様に体を丸めるので
写真を撮る方としては苦労が絶えない
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 先日紹介した「オオスズメバチ(雄)」のところで、雄バチは触角が長く、雌では12節であるのに対し雄では1節多い13節あり、個々の節の長さも雌より長いので、全体としては雌よりもかなり長くなる、と書きました。これは、クロスズメバチにも当てはまります。
 ハチの触角は基本的に3部分に分けることが出来ます。基部にある普通は長い柄節が1節、その次に脚ならば転節に当たる短い梗節が1節、その先の鞭状の部分を鞭節と呼びます。この鞭節は、分類群や種類によって節数が違いますが、大型のハチの多くでは雌10節(触角全体で12節)、雄11節(同13節)です。
 スズメバチ科の場合、鞭節の第1節がそれ以降の節よりもかなり長くなっています。このクロスズメバチでも鞭節第1節が非常に長く、第2+第3節とほぼ同じ長さがあります。このことを頭に入れて、3番目の写真を拡大して見ると、鞭節は10節、全体で12節です。雄ではなく、雌、多分、働きバチでしょう。
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複眼内側の白紋は「ヌスビトハギの実」に似ている
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 クロスズメバチの幼虫や蛹は「蜂の子」として食用に供され、長野県伊那谷周辺の名物として知られています。多くは、クロスズメバチではなくシダクロスズメバチ(巣がずっと大きく、最大3万房を越える)だそうですが、かの地では一般に「ヘボ」と総称されています。
 Web上で調べると、同様の食習慣は隣県にも及び、岐阜県加茂郡東白川村では「ヘボ」ではなく「タカブ」と呼ばれ、「東白川タカブ研究会」と云うシダクロスズメバチに関する研究会があることを知りました。そのHPの中に、雄の特徴として、触角の節数や全体の長さの違いだけでなく、「腹部の白い帯の数も違う・・・メスは5本、オスは6本である」と書かれています。これは、腹節が雌では第6節までなのに対し、雄では第7節(何れも見かけの腹部で前伸腹節を含まない)まであるからでしょう。
 最初や2番目の写真を見ると、白帯の数は明らかに5本です。この点でも、これは雌であることを示しています。

[追記]:同じ一昨年に撮影したクロスズメバチの雄の写真を1枚見つけましたので、新たに別記事として掲載しました。興味ある読者諸氏は此方を御覧下さい。(2010/11/17)

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