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2010年11月の7件の記事

2010年11月30日 (火)

チャバネアオカメムシ(Plautia crossota)(成虫)

 速いもので、もう11月も晦日になってしまいました。11月の更新はこれで漸く7回目、我ながらかなり低調と言わざるを得ません。
 今日は、以前掲載したチャバネアオカメムシの終齢幼虫(その1その2)の成虫になった姿を紹介します。

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羽化したチャバネアオカメムシ.羽化後丸1日は経っていない
小楯板の先端がまだ充分白くなっていない
また、革質部の赤味が足らない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/12)

 「終齢幼虫(その2)」の写真は10月10日に撮影したものです。その2日後の朝には4頭の内3頭が羽化していました。12日の朝に3個の脱皮殻が落ちているのに気が付いたので、実際の羽化は前日であった可能性もあります。
 残りの1頭は次の日に成虫になりました。
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大害虫でも中々愛嬌のある顔をしている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/12)

 今日の7枚の写真の内、最初の5枚はその羽化に気付いた日の夕方に撮影したものです。1頭だけまだテネラルと思われる色のやや薄い個体が居ましたが、他は一見普通の色彩になっていました。
 しかし、よく見てみると、小楯板の先端が充分白くなっていません(最初の写真)。また、革質部(小楯板の左右にある翅の固い部分)が周囲を除いて余り赤くありません。これらの特徴は他の個体でも同じでした。色が完全に安定するには、丸1日位はかかるのでしょうか。
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体の下側はかなり色が薄い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/12)

 写真は自宅のベランダ(当然屋外)に置いてあるテーブル上で撮ったのですが、羽のある成虫になっても逃げようとはしませんでした。これは最後の2枚の写真を撮影した2日後でも同じでした。
 このチャバネアオカメムシ(Plautia crossota)はカメムシ科(Pentatomidae)カメムシ亜科(Pentatominae)に属す典型的なカメムシです。いじめると相当臭い汁を出しますが、撮影中にチョッカイを出しても臭い匂いがしたことはありませんでした。
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斜め上から見たチャバネアオカメムシ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/12)

 チャバネアオカメムシは、現在「悪者度」の非常に高い果樹害虫として知られています。堤隆文著「果樹カメムシ」に拠ると、果樹を食害するカメムシの代表選手はこのチャバネアオカメムシの他、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシの3種で、特にこのチャバネは日本全国に分布し、広い地域で果樹カメムシの優占種となっている、最重要犯だそうです。
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コムラサキの種子を吸汁してご満悦のチャバネアオカメムシ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/12)

 しかし、これらのカメムシが果樹カメムシとして顕著な害虫になったのは高度成長期以降なのだそうです。昔は様々な雑木林に生える木の種子等を吸汁してその数も多くはなかったのが、スギやヒノキの造林地化が進むにつれて個体数が増え、それが同じ頃に面積を拡大した果樹園に飛来して害虫として嫌われる様になったとのことです。まァ、人間が自分の利益の為に環境を変化させ、それに伴ってたまたま増加した虫を、勝手に害虫と称して撲滅に躍起になっている訳です。
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上の写真から2日後に撮影.小楯板の先端が白く
革質部もチャンと赤くなっている.個体識別は
していないので上と同一個体かは不明
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/14)

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別個体.同様に小楯板の先端が白く縁取られ、革質部も赤い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/14)

 上の2枚の写真は、最初の5枚を撮った2日後に撮影したものです。本当は4頭全部撮ってあるのですが、同じ様な写真を沢山並べても意味がないので、その内の2頭を載せることにしました。
 何れも、最初の写真と比べると、小楯板の先端が白くなっているのが分かります。革質部もシッカリ赤くなっています。これが「正しい」チャバネアオカメムシ成虫の配色です。なお、越冬前には、緑色の部分が赤味を帯びた茶色に変化します。
 チャバネアオカメムシは果樹の大害虫でも、この辺りで果樹を栽培している農家は殆どありません(クリ園はあります)。モデルになって貰った御礼?として、4頭全部、我が家に植えてあるコムラサキの辺りに放してやりました。

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2010年11月23日 (火)

ハモリダニ科の1種(Anystidae gen. sp.)

 今日は一寸変わった生き物を紹介します。と言っても大したものではありません。葉の上を忙しく走り回っているのをよく見かける、体長1mm程度の赤い真丸いダニです。
 ダニと言うと、ハダニとか吸血性ダニなどを思いだして、余りよい印象はありません。しかし、この赤いダニ、ハモリダニ(葉守ダニ)と呼ばれる捕食性のダニで、ハダニ(例えばこちら)やアブラムシ等の「害虫」を退治してくれる「益虫」です。

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ヤツデの葉裏をこちら側に突進してきたハモリダニの1種
写真が鮮明でないので、何処に眼があるのか分からない
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/11/18)

 小さい上に厚みがあり、しかも矢鱈に速い速度で走り回るので、中々良い写真が撮れません。しかし、上の写真の様に何とか使える写真が偶然撮れることもあります。ヘタな鉄砲何とやら、と云うヤツです。これはヤツデの葉裏を葉脈に沿って走って来たところです。
 2枚目以降は、アブラムシを補食している最中だったので動きはありませんでした。しかし、等倍を越えて撮影する(超接写)機材を持って行かなかったので、余り精緻な写真を撮ることが出来ませんでした。
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アブラムシを補食中のハモリダニの1種
クモに近いだけあって、よく似ている
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/11/18)

 成城から喜多見に抜ける不動坂を下り、小田急線のガードをくぐった辺りに植えてあるモクレンの葉裏に居ました。
 アブラムシの種類は良く分かりませんが、マダラアブラムシ亜科(Drepanosiphinae)の1種だと思います。全農教の「日本原色アブラムシ図鑑」を見ると、モクレンに付くマダラアブラムシの仲間としてモクレンヒゲナガマダラアブラムシが挙げられていますが、これとは一寸違う様です。
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丸い体に白っぽい剛毛が目立つ
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/11/18)

 芝実教授(松山東雲短期大学:現名誉教授)の「日本のハモリダニ科Anystidae」(一般講演、第14回日本ダニ学会大会講演要旨[2006年])に拠ると、日本産ハモリダニ科には、ハモリダニ(Anystis baccarum)、キイロハモリダニ(A. salicinus)、エゾハモリダニ(Tencatei toxopei)、イエハモリダニ(Chaussieria domesticus)の3属4種が知られており、イエハモリダニ以外は植物上に生息し捕食性だそうです。また、他に小笠原諸島と関西以西に、それぞれ新種と思われる未記載種が居るとのことです。
 従って、写真のハモリダニは最初の3種の何れかと云うことになります。
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オマケにもう1枚
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/11/18)

 この3種のハモリダニの区別については、全く情報が得られませんでした。そこで、今日の題目は「ハモリダニ科の1種(Anystidae gen. sp.)」としておきました。「gen. sp.」とは属も種も不詳と云う意味です。

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2010年11月17日 (水)

クロスズメバチ(Vespula flaviceps)(雄)

 先日、サザンカに訪花しているクロスズメバチを紹介しましたが、昔撮った写真の整理をしていたところ、別の場所で撮影したクロスズメバチの写真が1枚出て来ました。一昨年、「三丁目緑地」に生えているシャクリチソバの葉上に居るのを撮影したものです。
 その日は、ずっと以前に紹介したワカバグモワカバグモの捕食ヒメフンバエウスイロアシブトケバエの雌、その他の実に沢山の写真を撮った日で、未だに掲載していない種類が幾つか残っている位です。その中のたった1枚の写真ですから、未掲載のまま放置されていたのも当然でしょう。
 しかし、このクロスズメバチ、拡大して見てみると、顔や体に長毛が沢山生えており、先日の個体とは随分雰囲気が違います。シダクロスズメバチかとも思いましたが、複眼内側上部の白斑は幅広く広がっており、明らかにクロスズメバチです。
 それでは、これはヒョッとしてクロスズメバチの雄ではないかと思い、文献やWeb上で雄の写真を探してみました。しかし、働きバチや女王の写真はあっても、雄の詳細な写真は見付かりませんでした。

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シャクチリソバの葉上で休むクロスズメバチの雄
1枚撮っただけで直ぐに逃げられてしまった
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/10)

 他人の撮った写真は見付からなくても、雄か否かは、写真が精緻であれば判別することが出来ます。
 先日紹介したクロスズメバチオオスズメバチの雄のところで書いた様に、スズメバチ科の雄の触角は13節で、雌よりも1節多いのです。そこで、触角の部分を拡大して節の数を調べれば雄か雌かの区別は付く筈です。幸いなことに、右の触角は全体に亘って焦点が合っており、各節の判別が充分可能です。
 今まで、ハチの触角節数の違いには触れても、実際に番号を付けて表示したりはしませんでした(何分にもメンドーなので・・・)。しかし、今回は写真が1枚しかないので、部分拡大の写真を作り、番号を振ってみました。
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上の写真の触角を部分拡大.基部から各節に番号を振った
先頭は第13節で、この個体が雄であることが判明
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/10)

 番号1が柄節で1節のみです。2は梗節で他の節よりもずっと短くこれも1節だけです。3以降が鞭節で、その第1節(番号3)は他の節(番号4以上)よりもずっと長いのが分かります。順に番号を振って行くと、先端は番号13、と云うことは触角は全部で13節、この個体が雄であることを示しています。
 真っ正面からの写真がないので良く分かりませんが、頭楯にある錨形の黒紋が一寸雌より細い様に思います。また、腹部の白帯が6本あるか否か(雌は5本)は、お尻の先の方が良く見えないので何とも言えません。今後、晩秋に毛深いクロスズメバチを見つけたら、シッカリ写真を撮って腹部の白帯の数も勘定してみようと思っています。

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2010年11月15日 (月)

ネコハグモ(Dictyna felis

 今日は一寸気分を変えて、クモを紹介することにしました。ネコハグモ(Dictyna felis)と云うハグモ科(Dyctynidae)に属すクモです。体長は4mm程度、小さいですが、結構綺麗なクモだと思います。

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小さなハバチを捕まえたネコハグモ
クモの眼がボケているが御寛恕を!
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/11)

 ハグモ科は、谷川明男氏の「日本産クモ類目録 ver.2010R2」に拠れば16種記録があります。しかし、文一総合出版の「日本のクモ」には6種しか載っていません。このネコハグモ以外の5種は、何れも体長2~3.5mm程度の相当小さな種ばかりです。小さくて余り眼に付かないので、図鑑には少ししか載せていないのでしょう。
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獲物を放してしまったネコハグモ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/11)

 見付けたのは四丁目の国分寺崖線下で、何も生産していない「生産緑地」の中です。表面が窪んだミカンの葉上に居ました。「日本のクモ」の解説には、「人家、神社、寺院、倉庫、屋外トイレの周囲、壁、窓枠、壁、フェンス、門扉、鉄册、看板、歩道橋などの隅に棚網または不規則網が壊れたようなボロ網を張る.庭木、生け垣(種に広葉樹)の葉上に張られた網では白色の天幕状の覆いを付けたものが多く、天幕網と呼ばれる」とあります。
 しかし、写真でお分かりの通り、木の葉の上に数本の糸が張ってある、と云う程度の網です。まだ作成中だったのかも知れません。
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撮影の為に葉を手で持ったりしたので警戒して
防備体勢に入ったネコハグモ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/11)

 丁度、小型のハバチが網に掛かっていました。ハバチの種類は一寸分かりません。
 獲物としては特に大きいとは思えませんが、かなり手こずっていました。ハチであることを知っていて、刺される可能性を考えていたのでしょうか。しかし、ハバチには毒針はありませんから、刺される心配は要りません。
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今度は翅(前縁脈)を捕まえている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/11)

 何時もクモを撮る時は、出来るだけ眼を撮ることにしています。しかし、この日はかなり強い風が吹いており、左手で葉を持って撮ろうとしてもクモが風に揺れ、鮮鋭度を高くして撮ることが出来ません。結果としては、白く光る1対の眼以外は良く分かりませんでした。
 この白い眼(恐らく後中眼だと思います)の下にある黒い部分に他の眼があるのだと思いますが、良く分かりません。「日本のクモ」に拠れば、ハグモ科は「8眼または6眼」となっています。ヒョッとすると、このネコハグモは6眼なのかも知れません。
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獲物の翅が、クモの眼の下にある上顎(鋏角)の間に挟まれている
上顎の内側に牙があり、その先端から毒液を出す
翅脈には血リンパが流れている筈なので
やがてハバチの体に毒がまわる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/11)

 どうも最近はまたサボリ気味になって来ました。写真は余っているので、ドンドン更新しようと思うのですが、中々思う通りには行かない様です。

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2010年11月11日 (木)

クロスズメバチ(Vespula flaviceps

 今日は、また一昨年にサザンカの花に来ていた虫を紹介します。体に纏わり付いたりすることもよくあるクロスズメバチ(Vespula flaviceps)です。このサザンカの花には、かなり沢山のクロスズメバチが来ていました。ミツバチならともかく、クロスズメバチがこんなに沢山訪花するとは知りませんでした。

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サザンカの花に早朝やって来たクロスズメバチ
腹部の白帯が5本であり雄ではない
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 クロスズメバチは、スズメバチ科(Vespidae)スズメバチ亜科(Vespinae)に属し、クロスズメバチ属(Vespula)には、「日本の真社会性ハチ」に拠ると6種7亜種が生息しています(この文献には1新種が含まれているので、九大目録では5種6亜種になっています)。
 しかし、本州以南の平地でみられる白黒模様のクロスズメバチ属には、クロスズメバチとシダクロスズメバチの2種が居るだけです。
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横から見たクロスズメバチ.サザンカの花に比して随分小さい
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 この両者の区別は、やはり顔を見れば分かります。頭楯(大まかに言えば左右の触角基部から口の間)は両側が白く、中央に黒い太い錨の様な紋があります。この黒い紋が頭楯の下端に達しているがシダクロスズメバチ、達していないのがクロスズメバチです。
 また、複眼の内側から上部にかけて白い部分がありますが、これの上部が膨らんで、先の文献の表現を借りれば「ヌスビトハギの実に酷似」しているのがクロスズメバチ、細く「くの字」形になっているのがシダクロスズメバチです。
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葉の間から顔を出したクロスズメバチ
頭楯の黒紋は口に達していない
複眼内側の白紋は上部が丸い
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 上の写真のクロスズメバチの顔を見ると、頭楯の黒斑は明らかに下端には達して居らず、複眼内側の白斑は上部が丸まっています。従って、何も形容の付かない只のクロスズメバチ(Vespula flaviceps)となります。
 この写真を撮影したのは2008年10月25日です。もう雄バチが発生して良い時期ですが、写真のハチは雄でしょうか。
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訪花中のハチの多くはこの様に体を丸めるので
写真を撮る方としては苦労が絶えない
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 先日紹介した「オオスズメバチ(雄)」のところで、雄バチは触角が長く、雌では12節であるのに対し雄では1節多い13節あり、個々の節の長さも雌より長いので、全体としては雌よりもかなり長くなる、と書きました。これは、クロスズメバチにも当てはまります。
 ハチの触角は基本的に3部分に分けることが出来ます。基部にある普通は長い柄節が1節、その次に脚ならば転節に当たる短い梗節が1節、その先の鞭状の部分を鞭節と呼びます。この鞭節は、分類群や種類によって節数が違いますが、大型のハチの多くでは雌10節(触角全体で12節)、雄11節(同13節)です。
 スズメバチ科の場合、鞭節の第1節がそれ以降の節よりもかなり長くなっています。このクロスズメバチでも鞭節第1節が非常に長く、第2+第3節とほぼ同じ長さがあります。このことを頭に入れて、3番目の写真を拡大して見ると、鞭節は10節、全体で12節です。雄ではなく、雌、多分、働きバチでしょう。
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複眼内側の白紋は「ヌスビトハギの実」に似ている
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/25)

 クロスズメバチの幼虫や蛹は「蜂の子」として食用に供され、長野県伊那谷周辺の名物として知られています。多くは、クロスズメバチではなくシダクロスズメバチ(巣がずっと大きく、最大3万房を越える)だそうですが、かの地では一般に「ヘボ」と総称されています。
 Web上で調べると、同様の食習慣は隣県にも及び、岐阜県加茂郡東白川村では「ヘボ」ではなく「タカブ」と呼ばれ、「東白川タカブ研究会」と云うシダクロスズメバチに関する研究会があることを知りました。そのHPの中に、雄の特徴として、触角の節数や全体の長さの違いだけでなく、「腹部の白い帯の数も違う・・・メスは5本、オスは6本である」と書かれています。これは、腹節が雌では第6節までなのに対し、雄では第7節(何れも見かけの腹部で前伸腹節を含まない)まであるからでしょう。
 最初や2番目の写真を見ると、白帯の数は明らかに5本です。この点でも、これは雌であることを示しています。

[追記]:同じ一昨年に撮影したクロスズメバチの雄の写真を1枚見つけましたので、新たに別記事として掲載しました。興味ある読者諸氏は此方を御覧下さい。(2010/11/17)

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2010年11月 9日 (火)

チャバネアオカメムシの幼虫(終齢:その2)(Plautia crossota

 前々回、「チャバネアオカメムシの幼虫(終齢:その1)」を掲載しましたが、今日は「その2」です。
 「その1」を撮影したのは10月2日で、今日のは10日ですから、8日後と云うことになります。前々回書いた様に、今日の子亀たちは飼育中のものです。6日か7日に「四丁目緑地」に行って、透明なポリ袋に4頭入れて持ち帰ってきました。

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チャバネアオカメムシの老熟した終齢幼虫
2日に撮った写真とは大変わり
第7腹節にも黒い紋がある
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/10)

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別個体.上の写真とよく似ている(当たり前か)
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/10)

 最初に背側から撮った2頭の写真を出しておきます。2頭、互いによく似ています。10月2日に撮影した終齢幼虫とは随分雰囲気が違います。固い外骨格に被われた頭部胸部は殆ど変わらない筈ですが、腹部が大幅に伸長して、「図説 カメムシの卵と幼虫」に載っている図よりも細長くなっています。
 図版とは異なり、第7腹節背板(と思います)にも臭線盤の様な黒い細い部分があります。しかし、原画を拡大してみても、臭線は開口していない様です(当然でしょう)。
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真横から見たチャバネアオカメムシの終齢幼虫
短日条件で飼育したがお腹が大きい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/10)

 4頭の幼虫の内、3頭は12日の早朝には、既に成虫に羽化していました。その2日前ですから、写真の幼虫は老熟した終齢幼虫と言えます。
 随分大きなお腹をしています。これから卵を産むのでしょうか?
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横斜め上からみたチャバネアオカメムシの終齢幼虫
やはりお腹の大きさが目立つ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/10)

 農文教の「果樹カメムシ」に拠ると、チャバネアオカメムシの産卵臨界日長は13.5~14時間で、これより短日条件で飼育すれば、年内には産卵しない筈です。
 東京天文台のHPにある「こよみの計算」を使って、夜明けから日暮れまでの時間が13.5時間になる日を調べると、東京では9月15日でした(夜明け・日暮れの時刻は太陽の中心高度が-7°21’40”[随分細かい!!]となる時刻で、標高0mでの計算値だそうです)。
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葉の上(裏側)を歩くチャバネアオカメムシの終齢幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/10)

 このことを考えて、飼育は屋内ではなく、戸外で行いました。10月ですから、明らかに臨界日長には達していませんが、都会は明るいですし、これだけお腹が大きいと言うことは、やはり年内に卵を産むつもりなのかも知れません。
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真っ正面から見たチャバネアオカメムシの終齢幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/10)

 10月2日の写真はコムラサキの枝先に自然状態で居たのを撮影したので、他の枝が邪魔になったりして良く写真を撮れませんでした。今回は飼育条件なので、角度を任意に変えられますし、幼虫ですから飛んで逃げることもありません。また、ポトリと隠遁の術で逃げようとしても下は草原ではありませんからこれも通用しません。
 ・・・と云う訳で、沢山写真を撮ってしまいました。
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オマケの1枚
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/10)

 次は成虫と云うことになりますが、写真はまだ調整中ですし、次回は別の虫を紹介することになるでしょう。
 どうも、毎年撮影する動植物の種類数の方が掲載する種類数よりもかなり多く、未掲載のままお蔵入りになってしまう写真が増える一方です。もう少し更新の頻度を上げたいと思うのですが、中々難しい様です。

[追記]:これらの幼虫から羽化した成虫を「チャバネアオカメムシ(成虫)」として11月30日に掲載しました。(2010/12/16)

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2010年11月 6日 (土)

ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta

 今年の夏は異常に暑かったそうで(私は日本に居なかったので実感はありません)、そのせいか、花の咲く時期がかなり遅れている様です。
 一昨年、サザンカの花に訪れる蛾やハチを何種か掲載しましたが(先日の「オオスズメバチ(雄)」もそのサザンカに来ていました)、これらを撮影したのは10月21~27日です。ところが、昨日そのサザンカを見に行ったところ、今年は今頃になって漸くポツポツと咲き始めた程度、2週間以上遅れています。
 このサザンカの花には色々な虫が来るので大いに楽しみにしているのですが、一昨年撮影してまだ掲載していない種が少し残っています。新たに写真を撮る前に、昔の写真を掲載してしまいましょう。なお、昨年はサザンカの剪定時期が遅かった様で開花が殆ど無く、写真は撮っていません。

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サザンカの花で吸蜜するホシホウジャク
吻が長いので余裕を持って吸蜜している
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 今日は、ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta)です。ホシホウジャクは、既にこのWeblogを始めた4年前に掲載してあるのですが、そこで紹介した写真は、8年前(2002年)にコンパクトカメラで撮影したもので、色が余り良くありません。今日の写真は、サザンカの花色も美しく、それなりに意義があると思い、敢えて重複掲載をすることにした次第です。
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少し近づいて撮影.体を覆っているのは鱗粉ではなく毛
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 同じサザンカに来ていたホシヒメホウジャクを2年前に掲載しましたが、この蛾は口吻が短く、花の中に顔を突っ込んでいました。それに対してホシホウジャクは口吻が長いので、余裕をもって吸蜜しています。
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ホシホウジャク君の顔を等倍撮影.目の模様が印象的
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 ホシホウジャクの生態等については、「ホシホウジャクの幼虫(5齢=終齢)」に詳しく書きましたので、此処では省略します。
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「虫我像掲示板」に掲載されている蛾LOVE氏のお話に拠ると
この写真の様に尾端が分かれているのは雄
触角は雌(次の写真)よりもやや太い
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/23)

 ホシホウジャクは、スズメガ科(Sphingidae)ホウジャク亜科(Macroglossinae)のホウジャク属(Macroglossum)に属します。この属だけで13種もありますが、基本的に南方系のグループらしく、多くは南西諸島以南に産し、本州に産するものは僅か5種だけです。
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尾端が分かれていないのは雌
触角は雄よりもやや細い
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/26)

 ホウジャク亜科には44種が属し、スズメガ科(80種)の半数以上を占めています。オオスカシバの様な見るからにホウジャク類に近そうな種類も居ますが、キイロスズメ、ヒメスズメ、ベニスズメ、セスジスズメの様な如何にもスズメガ的な種類も入っています。
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上と同一個体
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/26)

 今日掲載した写真の最後の2枚は、以前、蛾LOVE氏のHP「ある蛾屋の記録」の「似た蛾の比較図鑑」の中にある1ページ「ホシホウジャクとクロホウジャク 」用に提供した写真です(蛾LOVE氏は「虫我像掲示板」の主催者でもあります)。掲載画面の関係上、此方の方が余裕があるので写真を少し大きくしてあります。

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