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2010年10月31日 (日)

チャバネアオカメムシの幼虫(終齢:その1)(Plautia crossota


 コムラサキ(植物のコムラサキです)は、秋になると紫色の房状の実を一杯着けて枝垂れ、中々風情があります。我が家の庭にもあり、この実を目当てにカメムシが来ないか時々見に行くのですが、残念ながら何時も「外れ」です。

 ところが、先日、「四丁目緑地」に植えられているコムラサキに、体長6mm位のまん丸いカメムシの幼虫が群れているのを見つけました。


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コムラサキの葉に群れるチャバネアオカメムシの終齢幼虫

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(2010/10/02)



 頭部胸部と腹部の臭線盤は真っ黒で、腹部のその他の部分もかなり濃い色をしています。キンカメムシ類の幼虫ではないかと思って、シッカリ写真を撮ってしまいました。

 しかし、家に帰って「日本原色カメムシ図鑑」で調べてみると、どうも違う様です。そこで、養賢堂の「図説 カメムシの卵と幼虫」を引っ張り出し、1種ずつ図版(初齢から終齢までの精緻な描画が出ています)と比較してみました。

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詳細な写真を撮った後の分散したチャバネアオカメムシの終齢幼虫

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(2010/10/02)



 すると、色は全然違いますが、翅芽や臭線盤(腹背盤)の形など、どうも最普通種のチャバネアオカメムシの終齢幼虫が最もよく似ていました。些か、ガッカリです。カメムシ科(Pentatomidae)カメムシ亜科(Pentatominae)に属す、典型的なカメムシです。

 しかし、図説の描画よりも形はずっと丸いですし、色も終齢としては余りに真っ黒です。本当にチャバネアオカメムシの終齢幼虫なのか確信が持てません。

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翅芽が発達しているので終齢幼虫であることが分かる

体は真ん丸に近く、体の殆どは真っ黒

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(2010/10/02)



 そこで、数日後、また「四丁目緑地」に出掛けて、4頭を確保してきました。飼育箱(100円ショップの食パンケース)に入れ、餌には我が家のコムラサキの実を与えました。

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コムラサキの果実から吸汁中と思われる

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(2010/10/02)




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同じ様な写真をもう1枚、上と同一個体

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(2010/10/02)



 数日経つと、幼虫は成長してかなり体長が増加し(細長くなり)、全体的な感じも同じ種類とは思えない程違ってきました。しかし、その成長した終齢幼虫については、また、次の機会に紹介することにしましょう。


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正面から見たチャバネアオカメムシの終齢幼虫

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(2010/10/02)



 チャバネアオカメムシは「悪者度」の非常に高いカメムシとされています。しかし、その割にはWeb上に幼虫の写真が少ない様に思います。変異が大きく、また、類似種も多いので、野外で写真を撮っただけでは確実なことが言えないせいではないでしょうか。今回は、飼育をして最終的にチャバネアオカメムシであることを確認しました。同じ終齢幼虫の成長度に応じた違いを詳しく紹介するのも、何らかの役に立つのではないかと思い、別に紹介することにしたのです。



[追記]:成長した終齢幼虫を「チャバネアオカメムシの幼虫(終齢:その2)」として11月9日に、更にそれから羽化した成虫を「チャバネアオカメムシ(成虫)」の表題で11月30日に掲載しました。(2010/12/16)

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