« 2010年6月 | トップページ | 2010年11月 »

2010年10月の8件の記事

2010年10月31日 (日)

チャバネアオカメムシの幼虫(終齢:その1)(Plautia crossota

 コムラサキ(植物のコムラサキです)は、秋になると紫色の房状の実を一杯着けて枝垂れ、中々風情があります。我が家の庭にもあり、この実を目当てにカメムシが来ないか時々見に行くのですが、残念ながら何時も「外れ」です。
 ところが、先日、「四丁目緑地」に植えられているコムラサキに、体長6mm位のまん丸いカメムシの幼虫が群れているのを見つけました。

03_l5_101002_009
コムラサキの葉に群れるチャバネアオカメムシの終齢幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 頭部胸部と腹部の臭線盤は真っ黒で、腹部のその他の部分もかなり濃い色をしています。キンカメムシ類の幼虫ではないかと思って、シッカリ写真を撮ってしまいました。
 しかし、家に帰って「日本原色カメムシ図鑑」で調べてみると、どうも違う様です。そこで、養賢堂の「図説 カメムシの卵と幼虫」を引っ張り出し、1種ずつ図版(初齢から終齢までの精緻な描画が出ています)と比較してみました。
03_l5_101002_042
詳細な写真を撮った後の分散したチャバネアオカメムシの終齢幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 すると、色は全然違いますが、翅芽や臭線盤(腹背盤)の形など、どうも最普通種のチャバネアオカメムシの終齢幼虫が最もよく似ていました。些か、ガッカリです。カメムシ科(Pentatomidae)カメムシ亜科(Pentatominae)に属す、典型的なカメムシです。
 しかし、図説の描画よりも形はずっと丸いですし、色も終齢としては余りに真っ黒です。本当にチャバネアオカメムシの終齢幼虫なのか確信が持てません。
03_l5_101002_015
翅芽が発達しているので終齢幼虫であることが分かる
体は真ん丸に近く、体の殆どは真っ黒
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 そこで、数日後、また「四丁目緑地」に出掛けて、4頭を確保してきました。飼育箱(100円ショップの食パンケース)に入れ、餌には我が家のコムラサキの実を与えました。
03_l5_101002_033
コムラサキの果実から吸汁中と思われる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

03_l5_101002_038
同じ様な写真をもう1枚、上と同一個体
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 数日経つと、幼虫は成長してかなり体長が増加し(細長くなり)、全体的な感じも同じ種類とは思えない程違ってきました。しかし、その成長した終齢幼虫については、また、次の機会に紹介することにしましょう。
03_l5_101002_026
正面から見たチャバネアオカメムシの終齢幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 チャバネアオカメムシは「悪者度」の非常に高いカメムシとされています。しかし、その割にはWeb上に幼虫の写真が少ない様に思います。変異が大きく、また、類似種も多いので、野外で写真を撮っただけでは確実なことが言えないせいではないでしょうか。今回は、飼育をして最終的にチャバネアオカメムシであることを確認しました。同じ終齢幼虫の成長度に応じた違いを詳しく紹介するのも、何らかの役に立つのではないかと思い、別に紹介することにしたのです。

[追記]:成長した終齢幼虫を「チャバネアオカメムシの幼虫(終齢:その2)」として11月9日に、更にそれから羽化した成虫を「チャバネアオカメムシ(成虫)」の表題で11月30日に掲載しました。(2010/12/16)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月28日 (木)

オオスズメバチ(Vespa mandarinia)(雄)

 毎年秋になると、「オオスズメバチ 雄」のキーワードで検索して、拙Weblogを来訪される読者が居られます。4年前に「オオスズメバチ」を掲載しているせいでしょうが、これは働きバチで雄ではありません。
 そこで、最近撮ってまだ掲載していない写真は沢山あるのですが、今日は一昨年の今頃に撮ったオオスズメバチ(Vespa mandarinia)の雄を紹介することにしました。スズメバチ科(Vespidae)スズメバチ亜科(Vespinae)に属します。

_m_081027_018
オオスズメバチの雄.触角は女王や働きバチより長く13節
寒さで凍えてヘタっている.勿論、飛ぶことは全く出来ない

(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/27)

 写真は手乗りになっていますが、見つけた時は、2年前の10月から11月にかけてウスキツバメエダシャクホシヒメホウジャクワタヘリクロノメイガ等を掲載したサザンカの垣根の根元にある溝蓋の上を這っていました。夜の11時頃でした。
 多分、まだ暖かい頃にサザンカの花に吸蜜にやって来たのが、夜になって寒くなり、飛べなくなって下に落ちてしまったのでしょう。こう云う感じの虫は、手を出すと直ぐに乗ってきます。手は温かいし、また、爪の引っ掛かりが良いのかも知れません。
 これは雄バチですから刺すことはあり得ませんが、雌でもこの様に弱ったハチは簡単に手乗りになり、決して刺すことはありません。
_m_081027_037
サザンカの花粉で真っ黄色.腹部の黄帯もこれに劣らず黄色い
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/27)

 オオスズメバチの雄は、働きバチや女王蜂とはかなり違った感じの蜂です。何処が違うかと言うと、一般に働きバチよりもかなり大きく、全体的に黄色味が強いのです。今日の写真のオオスズメバチも一目で雄と分かりましたし、私は小学生の頃からクヌギの樹液に集るオオスズメバチを追い払いながらクワガタその他の昆虫を採って来たので、この区別にはかなり自信があります。もし、区別を間違えていたのなら、今までに何回もオオスズメバチに刺されていたことでしょう。
 しかし、北隆館の圖鑑やWebでこのことを確認しようとすると、これが何とも怪しいのです。雄が平均的に働きバチよりも大きいのは確かですが、特に黄色い部分が多い様には見えません。そこで、以前撮った働きバチの写真と今日の写真を比較してみると、どうも働きバチの方は黄紋と云っても橙色に近く、雄の方は橙色よりは黄色に近いのではないかと思います。圖鑑の場合は標本写真ですから、作成後に時間が経てば、黄色と橙色の区別は少し難しくなるでしょう。
_m_081027_044
もう1枚、上とは反対側から
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/27)

 その他の違いとしては、雄は触角が長く、雌では12節であるのに対し、雄では、最初の写真でお分かりの通り、13節あります(基部から2番目の梗節は非常に短い)。個々の節の長さも雌より長いので、全体としては雌よりもかなり長くなります。
 また、頭楯の形が違います。頭楯とは、大まかに言えば、触角の付け根と口器との間の部分です。以前掲載したオオスズメバチの写真には頭楯がよく写っていませんが、オオスズメバチの女王蜂や働きバチには頭楯の下半分に先の尖った突起が左右に2対あります(コガタスズメバチでは、更に中央に短い突起が1本あります)。しかし、雄では下の写真の様に、先の丸まった突起、と言うか、単なる凸凹程度のものになっています。
 これらが一番確実な違いですが、捕まえるか精緻な写真を撮って良く見なければ、一寸分かり難いでしょう。
_m_081027_042
正面から見たオオスズメバチの雄
頭楯の突起は丸く、凸凹程度
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/27)

 この写真をこれまで掲載しなかったのは、拡大して見ると、私の手が非常に荒れていてまるでオジイサンの手の様だったからです。多分、水仕事でもした後だったのでしょう。本当は、こんなに荒れてはいません。
 私も結構見栄っ張りの様で・・・。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月25日 (月)

マクガタテントウ(Coccinula crotchi

 先日、成城町内のある草地でダンダラテントウに似た、斑紋が橙色のテントウムシを見つけました。生憎、細かい枝の沢山あるヨモギの茎の辺りを歩き回っており、枝が邪魔をして中々写真が撮れません。やがてポトリと下に落ちてしまい(隠遁の術)、それっきりになってしまいました。
 そんな訳で、辛うじて使える写真が2枚撮れただけでした。出来映えは良くありませんが、後述の様に、この辺り(東京都世田谷区西部)では「珍種」の部類に入るテントウムシの様ですから、何卒御勘弁下さい。

_101017_011
ヨモギの花の上を歩くマクガタテントウ
ダンダラテントウに似るが別属
前ピンで触角がぼけている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/17)

 家に帰って調べてみると、どうやらマクガタテントウ(Coccinula crotchi)の様です。体長は約3.5mm。ダンダラテントウと同じく、テントウムシ亜科(Coccinellinae)テントウムシ族(Coccinellini)に属し、斑紋もよく似ていますが、マクガタテントウはジュウシホシテントウ属(Coccinula)、ダンダラテントウはダンダラテントウ属(Menochilus)で別属です。
 保育社の甲虫図鑑にある「テントウムシ族の属の検索表」を読むと、ダンダラテントウ属の特徴は「触角は前頭の幅と等長かより短い.触角末端節は前節より狭く先端は尖る.触角基節は長[さ]より幅広く、内方に強くふくらむ」とあり(カギ括弧内の「さ」は恐らく誤植で抜けたと思われる)、ジュウシホシテントウ属を含む数属(ナナホシテントウ属、ウスキホシテントウ属、ナミテントウ属)では、「触角は前頭の幅よりも短くない.触角末端節は横長で先端は裁断状か長卵形.触角第1節は細長く、正常」とあります。
 ダンダラテントウはもう一つのWeblogの方で紹介していますが、確かに触角は短く、その基節は随分太く、また、先端は尖っています(Weblogの写真ではやや小さく、余りハッキリしませんが、原画がを見ると明らかです)。
 これに対し、今日のテントウムシでは、触角は前頭の幅(両複眼間の距離)よりも長く、触角の基部はダンダラテントウの様に太くはなく、先端は丸くなっており、ダンダラテントウ属ではないことは明らかです。
 検索表のその先は、写真からは見えない中胸腹板や前胸腹板等の特徴により、先に挙げた数属の内の何れかに落ちることになりますが、この数属の中で、写真のテントウムシの様な斑紋を持つのはマクガタテントウ1種のみです。マクガタテントウとして問題無いと思います。
 また、ダンダラテントウの斑紋は赤いのに対し、マクガタテントウでは写真でお分かりの通り橙色で、見た時の感じがかなり違います。
_101017_016
斜め前から見たマクガタテントウ
触角が前頭幅よりも長く、先端は丸い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/17)

 マクガタテントウは、Webで調べると、河川敷の様な場所に特異的に見出される種類だそうで、図鑑にも「やや少ない」とあります。日本全国で「やや少ない」のであれば、この辺りでは「珍種」と言って良いでしょう。
 不思議なのは、河川敷などに見出されるテントウムシが、何故、成城の様な住宅地に出現したかと云うことです。成城の東西には野川と仙川が流れていますが、河川敷と言える程のものはありません。
 実は、このマクガタテントウを見つけた同じ場所で、やはり河川敷に特異的に見られると云うシママメヒラタアブが多数居るのを見付けました(我が家の庭にも来ました→こちら)。このハナアブは、東京都本土部昆虫目録に載っていない、東京都未記録種です。
 今年の夏は記録的な猛暑だったそうで(私は日本に居なかったので実感がありません)、それで普通の草地が河川敷と同じ様な環境条件になってしまったのかも知れません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月23日 (土)

ツバメシジミ(Everes argiades:雌)

 先日紹介した「第一成城七丁目ファミリー農園」の跡地に生えているイヌタデの群落で、久しぶりにツバメシジミ(Everes argiades:シジミチョウ科(Lycaenidae)シジミチョウ亜科(Lycaeninae)ヒメシジミ族(Polyommatini))に出遭いました。雌の個体でした。私が子供の頃(昭和30年後半)は極く普通種で、我が家のハギの花などにもよく来ていたのですが、私が北海道へ行っている間に何故か居なくなってしまいました。東京へ帰ってきて約20年、その間、実に1度も見ることが出来ませんでした。

_f_101005_083
横から見たツバメシジミの雌.焦点が僅に外れている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/05)

 イヌタデの花は幾らでも咲いていますし、撮影する時間は充分あると思って油断していたところ、雄のヤマトシジミらしきものが突如として現れ、もつれ合って隣の家に行ってしまいました。御蔭で、写真の枚数は少なく、品質も良くありません。
 特に真横から鮮明な写真が撮れなかったのが何とも残念です。しかし、現在ツバメシジミはこの辺り(東京都世田谷区西部)では「珍種」の部類に入りますから、紹介することにしました。
_f_101005_074
最初に撮った写真.肉眼的にはもっと黒く見えた
夏型で青色鱗を欠く.後翅後縁の赤色斑は顕著
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/05)

 この辺りにツバメシジミが居なくなったのは、夏に咲くマメ科の雑草が少なくなったせいだと思っていました。しかし、学研の「日本産蝶類標準図鑑」を見ると、食草になるマメ科植物(新芽、花蕾、実)の種類はボーダイで、夏に食草が無くなることはない様です。
 分布は西南諸島を除く日本全土ですから、最近問題にされている温暖化とも関係はないでしょう。一体、何が理由で居なくなったのでしょうか。
_f_101005_085
翅を少し開いて留まることが多い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/05)

 ヤマトシジミとは異なり尾状突起があって、雄の表面の色ももっと鮮やかです。私の最も好きなシジミチョウの一つなのですが、最近は見る機会が無く、残念に思っていたところです。この次は、ぜひ雄を見て(紹介もして)みたいと思っています。
_f_101005_080
花の上をクルクル回って中々焦点を合わせられない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/05)

 なお、ここでは所属をシジミチョウ亜科(Lycaeninae)としましたが、Lycaeninaeはベニシジミ亜科とし、ヒメシジミ族はヒメシジミ亜科(Polyommatinae)に属すとしているサイトもあります。ここでは、先の学研の図鑑に従い、シジミチョウ亜科(Lycaeninae)としておきました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月20日 (水)

アオマツムシ(Truljalia hibinonis

 今年の秋は虫が少ないと思っていたのですが、最近になって漸く色々姿を現す様になってきました。しかし、夜鳴く虫の数は明らかに少ない様です。毎年、我が家の周辺ではアオマツムシが彼方此方で大声を競っていて喧しい位なのですが、今年はお隣の雑木の中で寂しく1頭が鳴いて居るだけです。
 そのアオマツムシ(Truljalia hibinonis、九大目録ではCalyptotrypus hibinonis)の雄を4丁目の国分寺崖線下で見つけました。

_m_101002_099
ヤブガラシの葉に留まっていたアオマツムシの雄
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 アオマツムシは樹上性で、普段は木の枝の茂みの中に居て「声はすれども姿は見えず」なのですが、高さ50cm位の所にあるヤブガラシの葉表に留まっていました。余り元気がないのか、回りの葉を退けたり、留まっている葉を傾けたりしても、全く逃げようとはしませんでした。
_m_101002_101
横から見ると、体側上縁の黄色い線が目立つ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 アオマツムシは在来種ではありません。北隆館の新訂圖鑑には1917年に東京で発見されたと書いてありますが、Wikipediaを見ると「日本での初記録年月日も1898年(明治31年)という説と1908(明治41年)年ごろという説があり、データの付いたタイプ標本が残っていないため判然としていない。ただし、初記録地は東京都の赤坂榎木坂である」と書かれています。何方が正しいのか判断出来ませんが、同じ外来種のウスグモスズよりは相当昔から日本に生息している古参の虫と云うことになります。
_m_101002_112
アオマツムシの頭部と胸部.脚の付節は3節
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 体長は2cm強、触角がかなり長く、綺麗な緑色をしているので、遠目にはキリギリスの仲間の様に見えます。しかし、コオロギ科(Gryllidae)マツムシモドキ亜科(Podoscirtinae)に属します(九大目録ではコオロギ上科(Grylloidea)マツムシ科(Eneopteridae))。
_m_101002_108
雄の翅には「芸術的」な模様がある
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 雄の翅は複雑な、芸術的とも言える翅脈を持っています。しかし、雌の方は普通の網目模様です。以前、我が家で雌の個体を撮影し別のWeblogに載せてありますので、興味がお有りの方は此方をどうぞ。
_m_101002_116
アオマツムシの顔.中々良い顔をしている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 直翅目(バッタ、コオロギ、キリギリス)の顔と云うのは、私はどうもあまり余り好きになれません。しかし、このアオマツムシは中々良い顔をしていると思います。そこで、上と同じ様な写真ですが、もう1枚斜めから撮った写真を載せることにしました。
_m_101002_121
オマケにもう1枚.位置の関係で真っ正面からは撮れなかった
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/02)

 なお、調べてみると、アオマツムシの学名は上記のTruljalia hibinonisCalyptotrypus hibinonisの他に、更にMadasumma (Calyptotrypus) hibinonis(属名と種名の間にある括弧内は亜属名)と云うのも見付かりました。しかし、この3番目のMadasummaと云う属名は1922年に出版された論文で使われているもので、恐らく最初に記載された時の属名なのでしょう。北隆館の新訂圖鑑は九州大学の昆虫目録より新しいので、ここでは新訂圖鑑にあるTruljalia hibinonisを使用しておきました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月15日 (金)

イヌタデ(Persicaria longiseta

 今は草地になっているかつての第一成城七丁目ファミリー農園には、イヌタデ(Persicaria longiseta)のかなり大きな群落があります。イヌタデが占有する面積は、畳3枚分位はあるでしょう。中々綺麗で見事なので紹介することにしました。

00_101005_001
イヌタデの群落、画面全部イヌタデ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/05)

 タデの仲間としては、これまでにオオケタデ(オオベニタデ)オオイヌタデを紹介していますが、これらが高さ1m以上もある大型の草本です。しかし、イヌタデは高くても精々50cmで、我が家の庭などでは20cm位のものもあります。
00_101005_012
別の所でもう少し拡大.アカマンマの名に相応しい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/05)

 写真でお分かりの通り、ビッシリと咲いています。これだけ沢山咲いていればワンサと虫が来ると思うのですが、今年の秋は虫が少ない様で、思った程来ていませんでした(勿論、ある程度は来ており、今後紹介する予定です)。
00_101005_006
更に拡大.葉鞘の先に同じ程度の長さの縁毛がある
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/05)

 タデの花と云うのは、中々咲いているところを見る機会がありません。撮影に行った時には、花は沢山あるにも拘わらず、僅かに開きかけ(閉じかけ?)が見つかった程度です(下の写真)。
 花の咲いたところや、イヌタデの形態的特徴については、2年程前にもう一つのWeblogで詳しく書きました。興味のある読者は、其方を御覧下さい。
00_101003_113
イヌタデの花を等倍マクロで撮影.咲いている花は殆どない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 此処では学名をPersicaria longisetaとしておきましたが、Polygonum longisetaとしているサイトもあります。かつてはタデ類はPolygonum属でしたが、この属は非常に範囲が広く、タデ類の他に、ミズヒキ、ミチヤナギ、イブキトラノオ、ウナギツカミ類、ソバ類、イタドリ類、ツルドクダミ等を含んでいました。余りに多様なので現在では幾つかの属に分け、タデ類はPersicaria属に入れるのが普通です。しかし、分類は確定して居らず、数10属に分ける研究者もあるそうです。なお、Polygonum属の和名は、今ではミチヤナギ属となっています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月10日 (日)

ゴマフウンカ(Cemus nigropunctatus

 前回、世田谷区の「第一成城七丁目ファミリー農園」は昨年の秋に廃止され、現在は草地になっていると書きました。メヒシバを優先種とする最近では珍しい茫々たる草地となっていますが、かつて植えられていた野菜やハーブの名残も所々に生えています。その名残の一つであるアップルミントらしきハーブの葉の上に一寸変わったウンカを見つけました。

_101005_041
ミントの葉に留まるゴマフウンカ(多分)の短翅型
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/10/05)

 Internetで調べてみると、ウンカ科(Delphacidae)ウンカ亜科(Criomorphinae)に属すゴマフウンカ(Cemus nigropunctatus)の様です。短翅型と長翅型がありその双方が居ましたが、今日は短翅型の方だけを紹介することにします。体長は3.5mm弱、個体による変異がかなりあります。
_101005_046
脚は青黒く、肩板の辺りが白っぽい
因みに、ヨコバイ類には肩板はない
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/10/05)

 このゴマフウンカはミントの葉の上にかなりの数が留まっていました。しかし、ミントから吸汁しているのかは些か疑問です。と云うのは、このミントは約1平方メートル位の範囲に生えているのですが、ゴマフウンカはその一端にしか付いていないのです。
_101005_048
葉裏に逃げようとするゴマフウンカの短翅型
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/10/05)

 そのゴマフウンカの付いている辺りには、ミントの他にアスパラガスとメヒシバが生えています。そこでアスパラガスが寄主なのではないかとも思いましたが、メヒシバに留まっている個体はかなり居ても、アスパラガスに付いている個体は幾ら探しても見付かりませんでした。
 一方、メヒシバが寄主ならば、この雑草はこの草地に幾らでも生えているのですから、此処に集中していると云うのは解せません。・・・と云う訳で、このゴマフウンカの寄主が何であるのかは結局分かりませんでした。
_101005_062
同じ様な写真をもう1枚.正面からは取り損ねた
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/10/05)

 ゴマフウンカは、害虫としては殆ど問題にならないらしく、Web上には寄主などの生態に関する情報は殆どありません。しかし、「長池公園ぶらぶら日記」と云うサイトに「リュックサックなどを草原に放置しておくと、天気の良いときには草原から飛び出してきた個体がかなりたくさん止まっていました」との記述を見つけました。私も、虫除けスプレーを入れた白いポリ袋を近くに置いていたところ、暫くするとその上に何頭ものゴマフウンカが集っていました。良く分かりませんが、何か均一な色のものに集まる習性がある様にも思えます。
 ミントの葉の上に沢山留まっていたのも、或いは、この習性に拠るのかも知れません。
_101005_065
別個体.腹節の境目が分かり難い
羽化後余り日が経っていない?
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/10/05)

 北隆館の圖鑑に拠ると、ゴマフウンカによく似て雄の把握器の先端が尖鋭なクロモンウンカ(クロモンヒラアシウンカ:Cemus nigromaculosus)と云う種類があるそうです。そこで、東京都本土部昆虫目録を見てみると、何故かゴマフウンカの記録はなく、このクロモンヒラアシウンカが皇居や板橋区で記録されています。今日のウンカは、或いはゴマフウンカではなく、クロモンヒラアシウンカなのかも知れません。
 なお、九州大学の日本産昆虫目録では、ゴマフウンカの学名はPhyllodinus nigropunctatusとなっており、属が異なっています。此処では、九大目録よりも新しい北隆館の新訂大圖鑑に従ってCemus nigropunctatusとしておきました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年10月 8日 (金)

イボバッタ(Trilophidia annulata japonica

 先月の8日に帰国しました。1ヶ月前です。出発したのは6月8日ですから、丁度4ヶ月間休んでいたことになります。
 涼しくなってから帰国したので良く知らないのですが、今年の夏は大変な酷暑だったそうで、そのせいか、秋になっても虫の姿を余り見かけません。駅から約250mに位置する我が家の庭などは酷いもので、時折ホソヒラタアブ、ヤマトシジミやキタキチョウがやって来るだけ、ひっそり閑としています。しかし、少し町の奥の方に行けば、少しは新顔の虫を見つけることが出来ます。
 今日は、その中から、イボバッタ(Trilophidia annulata japonica)を紹介しましょう。

01_101003_002
イボバッタ.背側を除いて粗い剛毛で覆われている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 バッタ科(Acrididae)トノサマバッタ亜科(Oedipodinae)に属します。体長は、北隆館の圖鑑に拠れば、25~35mmですから、この仲間としては最も小さい方と言えます。撮影したのは世田谷区の「第二成城七丁目ファミリー農園」です。「第一」の方は、昨年の秋に廃止され、現在は草地になっています。
01_101003_009
後脚の内側にだけ目立つ模様がある
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 以前紹介したクルマバッタモドキと同様、地面の上が好きな様です。土や枯れ草の上に居ると、周囲に紛れて多少見付け難くなります。上の写真の様に、後脚の内側にはハッキリした白黒の模様がありますが、外側には目立つ模様は無いと言って良いでしょう。
01_101003_013
斜めから見た図.右前脚、触角が草と一緒になってやや見辛い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 この家庭菜園でイボバッタを見るのは初めてです。一昨年はクルマバッタモドキが沢山居たのですが、その後は殆ど見ていません。年によるバッタ類の消長は結構激しい様です。
01_101003_007
横から見た頭部と胸部.背面中央に大きな瘤状突起た2つ見える
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 イボバッタの名は、胸部や頭部にある疣状の突起から来ているのだそうです。頭部の突起は横(上の写真)ら見るとハッキリしませんが、背面(下の写真)や前方(更に下の写真)から見ると良く分かります。しかし、胸部の突起と較べると高さは低く、単なる凸凹と言った方が適切の様な気がします。
01_101003_029
背側から見た頭部と胸部.頭部背面は凸凹している
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 例によって、真っ正面から顔写真を撮ってみました。どうもこの手のバッタは、口がかなり引っ込んだところにあり、口器と複眼の両方に焦点を合わせるのは一寸難しい様です。
 顔の中心近くにある白っぽい斑は単眼の一つ(中央単眼)でしょう。他の2角単眼は、複眼の内側にあります。これらの単眼の位置は、クルマバッタモドキ(同じくトノサマバッタ亜科)と同じですし、少し遠縁のショウリョウバッタ(ショウリョウバッタ亜科)でも殆ど同じです。
01_101003_037
前から見たイボバッタの顔.単眼が3個見える
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 カマキリやキリギリス類は良く触角の掃除をします。バッタ科では余り見た記憶がないのですが(そもそもバッタ類を余り観察していないので自信はありません)、このイボバッタは触角の掃除が好きな様です。前脚で触角を地面に押さえ付け触角を引っ張って居ました。端から見ると、かえって土が付いて掃除にならないのではないかという気がします。或いは、掃除をしているのではなく、痒いのかも知れません。
01_101003_042
触角の掃除をしているところ.触角を下げると何とも変な顔!!
(写真クリックで拡大表示)
(2010/10/03)

 このイボバッタに関しては、もう一つ面白い習性を見つけました。前進する前に必ず後脚を左右交互にモゾモゾと動かすのです。何か準備体操をしている様で、何となく微笑ましく感じられました。
 なお、此処では学名としてTrilophidia annulata japonicaを採用しましたが、Trilophidia japonica、或いは、Trilophidia velnerataとしているサイトもあります。北隆館の大圖鑑、保育社の原色日本昆虫図鑑(下)、九州大学の日本産昆虫目録、東京都本土部昆虫目録ではTrilophidia annulata japonicaとなっています。何れの学名が正しいのか、私には良く分かりませんが、手元にない(近くの図書館にもない)高価な「日本直翅類学会編:バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」を見れば正しい学名が出ているのではないかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年6月 | トップページ | 2010年11月 »