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2010年5月12日 (水)

クモガタテントウ(Psyllobora vigintimaculata


 今日は我が家の庭に居たテントウムシを紹介します。クモガタテントウ(Psyllobora vigintimaculata)、体長2.3mmのかなり小さなテントウムシです。

 我が家の庭で撮影した虫は、本来、もう一つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」に掲載することになっています。しかし、我が家の庭ではこのテントウムシはかなり普通で、もう3回も「我が家の庭・・・」に掲載しているのですが、家の外では全く見ていません。この分では、此方に掲載する機会は無いかも知れないので、この際出してしまうことにしたのです。


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セイタカアワダチソウに居たクモガタテントウ

個体により模様にかなりの変異がある

体長は約2.3mmでかなり小型

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/04/26)



 クモガタテントウはテントウムシ科(Coccinellidae)テントウムシ亜科(Coccinellinae)カビクイテントウ族(Halyziini=Psylloborini)に属す北米原産の帰化種です。2009年11月に発行された文教出版の「テントウムシの調べ方」に拠ると、発見は1984年で、分布は九州、本州、北米となっています。

 日本には、イセリアカイガラムシを捕食させる為に導入されたベダリアテントウの他にもかなり多くの外来テントウムシが棲んでおり、「テントウムシの調べ方」には12種の外来テントウムシのリストが載っています。これらの種類の多くは、普通の昆虫図鑑には載っていません。図鑑で迷子になったら、外来種を疑った方が良いかも知れません。

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横から見たクモガタテントウ.まだ寝ている

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/04/26)



 テントウムシには鞘翅の模様に変化のある種類が多いですが、このクモガタテントウにもかなりの変異が認められます。しかし、ナミテントウヒメカメノコテントウの様に2紋型とか4紋型と云うのではなく、模様がハッキリしているか否かの違いと言えます。日本では、今日の写真の様な、象牙色の下地に薄い茶色から黒に近い茶色の斑がある個体が多い様ですが、全体的にかなり薄い場合もあります。

 原産が北米ですから、学名で画像検索すると非常に多くの写真が出て来ます。それらを見ると、北米では象牙色の下地に殆ど一様に黒に近い斑を持つ個体が多い様です。そのせいか、英語ではTwenty-Spotted Lady Beetle<ニジュウホシテントウ>と呼ばれています。因みに、テントウムシの和名で「ニジュウホシテントウ」と云う種はありません。

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正面から見たクモガタテントウ.キイロテントウに似た可愛い顔

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/04/26)



 クモガタテントウはカビクイテントウ族ですから、葉の上に繁殖した白渋菌(うどん粉病菌)を餌にしています。Webにあるクモガタテントウの記事を読むと、セイタカアワダチソウ、エノキなどで良く見つかるそうですが、餌は菌で植物ではありませんから、色々な植物上で見付かります。但し、うどん粉病は寄主により菌の種類が違うそうですから、特定の植物に寄生する白渋菌を好む傾向があるかも知れません。

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斜めから見たクモガタテントウ

(写真クリックでピクセル等倍)

(2010/04/26)



 現在、日本産カビクイテントウ族としては、クモガタテントウの他に、キイロテントウ、シロジュウロクホシテントウ、シロホシテントウ、アラキシロホシテントウの4種が記録されて居ます。後三者は何れも赤っぽい下地に白斑を持つ種で、外見的にはシロトホシテントウやムーアシロホシテントウ等のCalvia属のテントウムシとよく似ています。しかし、これらのテントウムシはテントウムシ族(Coccinellini)に属し、捕食性です。名前もかなり紛らわしいので、注意が必要です。

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テレプラスを挟んで撮影したクモガタテントウ

激しく動き回るので少しブレている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/04/26)



 この個体は、虫集めの為に植木鉢で栽培しているセイタカアワダチソウに居ました。カメラは普段からベランダのテーブルに置いてあるので、葉を切り取って直ぐにテーブルの上で写真を撮ったのですが、体長2.3mmの虫を撮るには普通の等倍マクロではやや力不足です。そこで一通り撮ってから、部屋に戻ってテレプラスを持って来て撮り直しをすることにしました。テントウムシ君、始めはすっかり寝込んでいる様子でしたが、戻って来た時には目覚めて葉の上を忙しく歩き回って居ました。数枚撮ってから、動きを止めさせようと思い一寸息を吹きかけたところ、小さなテントウムシ君は吹っ飛んでしまい、それっきり行方不明になってしまいました。そんな訳で、テレプラスを挟んで撮った高倍率の写真は1枚しかありません。


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