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2010年5月 6日 (木)

エゾホソルリミズアブ(Actina ezoensis


 連休ですっかりサボり癖が付いてしまいました。尤も、連休前もかなりサボっていましたが・・・。今朝、我が家のベランダから見える通勤・通学者の数はまだ多くありません。連休は明けても、今週一杯をお休みにしている人が多い様です。

 そこで今日は、このWeblogもまだ半ば休み、写真の少ないサボリねたにすることにしました。ミズアブ科(Stratiomyidae)のエゾホソルリミズアブ(Actina ezoensis)(雄)です。「三丁目緑地」の一番下にある、昔から生えているエゴノキやサワラを切り倒して造成した公園の中に居ました。直ぐに逃げられてしまったので、写真は背側からの2枚しかありません。尾端が翅で隠れており体長は不明ですが、翅端までは約7mmです。かなり弱々しい飛び方をしていました。


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「三丁目緑地」に居たエゾホソルリミズアブ

緑色の金属光沢を帯びている

(写真クリックで拡大表示)

(2010/04/13)



 周囲が全部緑色で、アブ自体も緑色の金属光沢を持っているので、緑カブリした様なスッキリしない写真になっています。実際、まだある程度はカブリが残っていると思います。

 ミズアブ科の特徴としては、触角の第3節が細かく分節していること、Rs脈が短いこと(上の写真で、右縁紋の左上に沿った部分)、また、これは今日の写真からは見えませんが、脚の付節末端に3個の嚢状物があること、等が上げられます。

 これまでミズアブ類とは縁が薄かったせいもあり、今まで知らなかったのですが、ミズアブ科昆虫の中には小楯板後縁に棘状の突起を持つ種が少なからずあります(下)。

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触角第3節は細かく分節している

複眼や胸部には毛が生えている

小楯板の端には4本の棘がある

(写真クリックで拡大表示)

(2010/04/13)



 Actina属には、このエゾホソルリミズアブ(A. ezoensis)の他に、キアシホソルリミズアブ(A. diadema)とA. nigripes(和名なし)の2種が居ます。これらの違いについては、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂・改」のNo.4485で、アノニモミイア先生(某旧帝大を退官された双翅目の大御所です)が添付された検索表を見れば分かります。

 この表では、雌雄を別々に検索する様になっています。検索表にある雌雄の区別は前から見ての比較なのでここでは使えませんが、写真の個体は眼の間隔が狭く、これは雄です。雌では間隔がこの1.5倍位あります。

 今日は「サボリねた」の日ですから、これら3種の雄雌全部について解説するのは止めにして、エゾホソルリミズアブ雄の特徴だけを簡単に書いておきましょう。腿節と上部を除く脛節は黒っぽく、脛節には長い毛があり、M1脈とM2脈(最初の写真で、翅の中央やや右下に見える6角形の中室の右下から翅端近くへ走るのがM1脈、左下から斜に下へ走るのがM2脈)の基部は通常分離しており、後脚の第1付節は先端部を除いて黄褐色、であればエゾホソルリミズアブの雄です。

 なお、種小名にezoensis<蝦夷の>、和名にも「エゾ」とありますが、分布は、北隆館の圖鑑に拠ると、北海道、本州、四国、九州、極東ロシアとなっています。


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