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2010年4月28日 (水)

カワトビケラ科(Philopotamidae)の1種??

 先日、「神明の森みつ池特別保護区」の前を通った時、池(昔、近郊のお百姓のオバサンが大根などを洗っていた場所)の横でトビケラの1種が群飛していました。「群飛」と云っても全部で20頭位ですから、大したことはありません。全体的に黒っぽく、翅端まで1cm程度の小さめのトビケラです。
 以前にも「トビケラの1種」を紹介しましたが、今回のは触角が黒っぽく、また、大きな小腮鬚を持っており、明らかに別種です。

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「神明の森みつ池特別保護区」に居たカワトビケラ科(?)の1種
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 今回は背面、側面、前面の3方向から写真が撮れましたし、小腮鬚もシッカリ写っているので、科の検索を試みてみました。科への検索表は、北隆館の圖鑑と保育社の図鑑の両方にありますが、前者は写真からは良く分からない翅脈相が多くのキーに含まれているので、後者を使うことにしました。
 しかし困ったことに、キー2で単眼の有無が問題となります。背面からの写真は、上の写真以外にも何枚かあるのですが、果たして単眼(あれば3個)があるのか否か判断出来ません。そこで、「なし」とするとその先で該当する項が無くなり迷子になってしまいました。どうやら、「単眼はある」の方が正しい様です。
01_100411_017
別個体.小腮鬚が大きく、脚が4対あるが如し
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 「2.単眼はある」とすると、次に小腮鬚の節数や長さが問題となります。下の写真を見ると、小腮鬚は5節で、第5節は比較的長く第4節の倍以上あります。「3.小あごひげ[小腮鬚]は4節か5節」→「5.小あごひげは5節」→「7.小あごひげの[第]5節はたわみ、第4節の2~3倍ある」→「8.体は小さく、触角は太く前翅長よりはるかに長くならない」を経てカワトビケラ科(Philopotamidae)へ落ちました。
 毛翅目(トビケラ類)の形態学では、距式と云うものが問題となります。これは、脛節にある距の本数を前肢-中肢-後肢の順に並べたものです。写真のトビケラでは前肢に1本、中肢に4本、後肢にも4本(ここに示した写真では後肢の距が良く見えませんが、他の写真で4本見えます)の距がある様に見えますから、これは1-4-4と表されます。北隆館の圖鑑に拠れば、カワトビケラ科の中で、距式が2-4-4であればカワトビケラ亜科、1-4-4であればコタニガワトビケラ亜科であると書かれています。今日のトビケラはコタニガワトビケラ亜科に属すことになります。
01_100411_017p
上の写真の部分拡大.小腮鬚は5節で、第5節は第4節の約2倍長
中肢の脛節距は全部で4本見える
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 保育社の図鑑では、カワトビケラ科は検索表にはありますが、図版・解説の方には1種も載っていません。北隆館の圖鑑を見ると、1種だけミミタニガワトビケラが出ていました。しかし、図版にある標本写真を見ても、似ているのか似ていないのかすら良く分かりません。
 そこで、またBugguide.netの御世話になります。カワトビケラ科成虫の生態写真が20枚近くあり、背面から見た頭部の形や小腮鬚の構造は今日のトビケラとよく似ています。
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別個体.正面からだと前肢脛節端に距が1本あるのが分かる
新葉の赤い植物に留まっているので色が一寸変
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 しかし、私はトビケラと云う虫には全く不慣れです。何処かで大きな過ちを犯しているかも知れません。そこで、「カワトビケラ科の1種??」と「?」を2つ付けておくことにしました。

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