« ホトケノザ(Lamium amplexicaule | トップページ | ナガケチャタテ(Mepleres suzukii)の幼虫? »

2010年4月 1日 (木)

オナシカワゲラ科(Nemouridae)の1種

 先日、「三丁目緑地」にある泉の横で撮影した「トビケラの1種」を掲載しましたが、今日は、同じ場所で撮影したカワゲラを紹介します。ムクノキの樹皮上に居ました。尾端が見えないので体長は分かりませんが、翅端まで約1cm、前翅長は約7.5mmです。
 トビケラもカワゲラも似た様な名前で紛らわしいですが、全然違うグループで、外見も全然異なります。トビケラは毛翅目、カワゲラは襀翅目(せきしもく)に属します。以前も書きましたが、毛翅目は鱗翅目に近いかなり高等な連中ですが、襀翅目はトンボに近い原始的なグループとされています。
 「襀」と云う字は、画面では一寸表示がおかしく、分かり難いかも知れません。「衣偏に責」です。シフトJIS・コードには無い漢字なので、今日の原稿はUTF-8・コードで書いています。妙な具合に表示されているのはそのせいです。

_100322_040
「三丁目緑地」の泉の脇に居たカワゲラ
オナシカワゲラ科の1種と思われる
翅の下から出る尾は見えない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 漢和辞典で「襀」の字の意味を調べると、字義は「衣服の折りこみ」となっています。襀翅目のラテン名であるPlecopteraの「pleco-」の意味は「folded」で、「pter」は勿論「翅・翼のあるもの」の意ですから、襀翅目はPlecopteraの正しい訳なのです。なお、「カワゲラ目」と云う「ゆとり教育」的な分かり易い呼び方もありますが、私は好みません(半翅目をカメムシ目、双翅目をハエ目、鱗翅目をチョウ目等とするのは誤解の元です)。
_100322_032
ムクノキの樹皮上を歩くオナシカワゲラ科の1種
額に3個の単眼があるのが分かる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 さて、このカワゲラ、例によって?種類が分かりません。北隆館の新訂圖鑑(2008年)に拠ると、「現在までに記載されている日本産カワゲラ目の種類は約200種であるが、未記載種が多く、実際に日本に生息している種数を350~400種とする推定もある」とあります。研究は余り進んでいない様ですが、大きなグループではないと言えます。
 しかし、その同定は外見からは困難で、生殖器(外部、内部)を見る必要があるそうです。写真からの判別は無理と云うことですが、まァ、科まで落ちれば万々歳です。北隆館の圖鑑には検索表は付いていませんが、保育社の昆虫図鑑には科への検索表がありますので、それで科まで落としてみましょう。
_100322_033
樹皮の上にある何か(地衣類?)を食べているらしい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 写真のカワゲラを見ると、翅は腹部を捲かず、大きな単眼が3個あり、尾(種類によっては尾端に左右1対の長い尾がある)は見えません。検索表の「翅がある・単眼を持つ→尾は非常に短い」で可能性は3科に絞られます。次に、各肢の付節第2節が第1節や第3節とほぼ等長であればミジカオカワガラ科(Taeniopterygidae:シタカワゲラ科)、付節第2節が短かくて翅が腹部を捲かなければオナシカワゲラ科(Nemouridae)の何れかになります(付節第2節が短かくて翅が腹部を捲けばハラジロオナシカワゲラ科)。
 写真のカワゲラには等倍でシッカリ撮る前に逃げられてしまったので細部が分からず、付節の長さが良く分かりません。写真によっては第2節は第1第3節より短く見えますが、等長の様に見える写真もあります。
_100322_044
横から見たオナシカワゲラ科の1種
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 こうなると絵合わせしかありません。そこで、また、BugGuide.netの御世話になることと相成ります。幸いこの両科とも北米に分布しており、かなりの写真があります。両科の写真を比較してみると、ミジカオカワゲラ科とオナシカワゲラ科では翅脈相が少し異なり、写真のカワゲラはオナシカワゲラ科の翅脈をしています。また、頭部の形もオナシカワゲラ科の虫に似ており、ミジカオカワゲラ科とは一寸違います。
 些か怪しげなところもありますが、ここでは、「オナシカワゲラ科の1種」としておきます。
_100322_044p
上の写真の部分拡大.付節が良く見えない
翅は腹部を捲いていない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 カワゲラの幼虫は例外なく水生で、清水をを好みます。北隆館の圖鑑には、「水生昆虫の中でも水質の有機汚濁に最も弱い群のひとつとされ、山地渓流など有機汚濁に乏しい河川に種に生息し、都市河川、平地の農業用水、池沼などには殆ど生息しない」とあります。三丁目緑地の泉(2つある内の北西側の方)は、少なくともカワゲラが棲む程度には綺麗な水が湧いていると言うことになります。
 なお、財団法人「世田谷トラストまちづくり」が行った「国分寺崖線保全調査~昆虫調査 崖線の昆虫類」(夏と秋の2回、調査年不詳)に拠ると、カワゲラは「三丁目緑地」では確認されていますが、「神明の森みつ池」では見付かっていません。
_100322_028
触角を除いた本体部分?を拡大
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 圖鑑に拠れば、カワゲラ類には冬から早春に羽化する種類が多いそうです。実は、昨年の3月にも今日のカワゲラより大きい別の種類を撮影しています。その内紹介の予定です。

|

« ホトケノザ(Lamium amplexicaule | トップページ | ナガケチャタテ(Mepleres suzukii)の幼虫? »

昆虫-8」カテゴリの記事

昆虫(その他)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/156274/34030082

この記事へのトラックバック一覧です: オナシカワゲラ科(Nemouridae)の1種:

« ホトケノザ(Lamium amplexicaule | トップページ | ナガケチャタテ(Mepleres suzukii)の幼虫? »