ナガケチャタテ(Mepleres suzukii)の幼虫?
今年はチャタテムシの当たり年?なのか、常緑樹の葉裏をめくると、チャタテムシの幼虫が屡々見付かります。多くは小さ過ぎて余り撮る気にならないのですが、今日紹介する幼虫は一寸大きめだったので撮影することにしました。
場所は国分寺崖線下の「四丁目緑地」と「神明の森みつ池」との丁度中間で、何も生産していない「生産緑地」に植えられているミカンの木の葉裏に居ました。体長は2.0mmを少し越えています。幸い、テレプラスを持っていたので、約2倍で撮ることが出来ました。
![]() 四丁目に植えられているミカンの葉裏に居たチャタテムシの幼虫 ナガケチャタテの幼虫ではないかと思うが定かでない 翅の原基、腹部、触角に長毛を持つ (写真クリックで拡大表示) (2010/03/15) |
撮影している時は、腹部に白い斑があるので、以前掲載した「ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.)」の幼虫かと思っていました。しかし、家に帰って写真を良く見ると、触角に長毛が密生しています。更に、触角だけでなく、翅の原基や腹部にも長毛が生えています。Ectopsocus属の幼虫と思われるものは、以前、我が家の庭に居たのを撮影していますが、長毛は生えていません。どうやら、別種の幼虫の様です。
![]() 横から見たナガケチャタテ?の幼虫 体長は2.0mmを少し越える (写真クリックで拡大表示) (2010/03/15) |
圖鑑やWeb上にあるチャタテムシの情報は少なく、ましてや幼虫となると殆ど絶望的です。しかし、幼虫の触角に長毛が生えているのならば、成虫の触角でも同様ではないか、と云う気がします。
成虫の触角に長毛が生えている種類を調べることはある程度は出来ます。北海道大学農学部の吉澤教授のHPにある「Checklist of Japanese Psocoptera」に載っている全ての科について、BugGuide.netで成虫の写真を調べてみました。幸い、リストに載っている20科全ての写真がありました。ザッと写真を見てみると、その中で、触角に長毛が生えているのは、ニセケチャタテ科(Pseudocaeciliidae)だけの様でした。
![]() 正面から見たナガケチャタテ?の幼虫 (写真クリックで拡大表示) (2010/03/15) |
しかし、1つの科の中で、触角に生える長毛の有無が分類学的にどれだけ意味を持つのか良く分かりません。吉澤教授のリスト(2004)より少し古い「富田・芳賀:日本産チャタテムシ目の目録と検索表(1991)」では、ナガケチャタテはケチャタテ科に属していました。他の科の中にも、触角に長毛を持つ種類が居る可能性は否定出来ません。そこで、もう少し調べてみると、ケブカチャタテ科のハグルマチャタテも触角に長毛を持つことが分かりました。翅に長毛を持つ種類は、触角にも長毛がある可能性があります。
![]() オマケにもう1枚.上の写真と同じ位置で動いていない (写真クリックで拡大表示) (2010/03/15) |
しかし、これまで葉裏に潜むチャタテムシをかなり一生懸命探してきましたが、この辺り(東京都世田谷区西部)では、触角に長毛を持つ種類はニセケチャタテ科のナガケチャタテ(Mepleres suzukii)以外には見付かっていません。また、吉澤教授の「皇居の動物相調査で得られたチャタテムシ目昆虫(2000)」を見ると、翅に長毛を持つケブカチャタテ科とニセケチャタテ科の昆虫としてはナガケチャタテしか採集されておらず、ハグルマチャタテは「関東地方も含め平野部でごく普通に採集される種であるにも拘わらず、本調査で採集されなかった種」の1つとして挙げられています。
ナガケチャタテ(Mepleres suzukii)の成虫は以前「三丁目緑地」で撮影したものを掲載しました。このナガケチャタテ成虫と今日のチャタテムシ幼虫の正面から撮った写真を見比べると、かなりよく似た顔付きをしています。また、触角の形やその毛の生え方もソックリです。体長も成虫の方が2.3mm、今日の幼虫は2.0mm強でおかしくありません。
この両者の写真を見ていると、どうもこの幼虫はやはりナガケチャタテの幼虫ではないか、と云う気がして来ました。しかし、断定するには根拠が稀薄です。「?」を付けて「ナガケチャタテの幼虫?」としておきました。
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