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2010年4月の11件の記事

2010年4月28日 (水)

カワトビケラ科(Philopotamidae)の1種??

 先日、「神明の森みつ池特別保護区」の前を通った時、池(昔、近郊のお百姓のオバサンが大根などを洗っていた場所)の横でトビケラの1種が群飛していました。「群飛」と云っても全部で20頭位ですから、大したことはありません。全体的に黒っぽく、翅端まで1cm程度の小さめのトビケラです。
 以前にも「トビケラの1種」を紹介しましたが、今回のは触角が黒っぽく、また、大きな小腮鬚を持っており、明らかに別種です。

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「神明の森みつ池特別保護区」に居たカワトビケラ科(?)の1種
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 今回は背面、側面、前面の3方向から写真が撮れましたし、小腮鬚もシッカリ写っているので、科の検索を試みてみました。科への検索表は、北隆館の圖鑑と保育社の図鑑の両方にありますが、前者は写真からは良く分からない翅脈相が多くのキーに含まれているので、後者を使うことにしました。
 しかし困ったことに、キー2で単眼の有無が問題となります。背面からの写真は、上の写真以外にも何枚かあるのですが、果たして単眼(あれば3個)があるのか否か判断出来ません。そこで、「なし」とするとその先で該当する項が無くなり迷子になってしまいました。どうやら、「単眼はある」の方が正しい様です。
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別個体.小腮鬚が大きく、脚が4対あるが如し
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 「2.単眼はある」とすると、次に小腮鬚の節数や長さが問題となります。下の写真を見ると、小腮鬚は5節で、第5節は比較的長く第4節の倍以上あります。「3.小あごひげ[小腮鬚]は4節か5節」→「5.小あごひげは5節」→「7.小あごひげの[第]5節はたわみ、第4節の2~3倍ある」→「8.体は小さく、触角は太く前翅長よりはるかに長くならない」を経てカワトビケラ科(Philopotamidae)へ落ちました。
 毛翅目(トビケラ類)の形態学では、距式と云うものが問題となります。これは、脛節にある距の本数を前肢-中肢-後肢の順に並べたものです。写真のトビケラでは前肢に1本、中肢に4本、後肢にも4本(ここに示した写真では後肢の距が良く見えませんが、他の写真で4本見えます)の距がある様に見えますから、これは1-4-4と表されます。北隆館の圖鑑に拠れば、カワトビケラ科の中で、距式が2-4-4であればカワトビケラ亜科、1-4-4であればコタニガワトビケラ亜科であると書かれています。今日のトビケラはコタニガワトビケラ亜科に属すことになります。
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上の写真の部分拡大.小腮鬚は5節で、第5節は第4節の約2倍長
中肢の脛節距は全部で4本見える
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 保育社の図鑑では、カワトビケラ科は検索表にはありますが、図版・解説の方には1種も載っていません。北隆館の圖鑑を見ると、1種だけミミタニガワトビケラが出ていました。しかし、図版にある標本写真を見ても、似ているのか似ていないのかすら良く分かりません。
 そこで、またBugguide.netの御世話になります。カワトビケラ科成虫の生態写真が20枚近くあり、背面から見た頭部の形や小腮鬚の構造は今日のトビケラとよく似ています。
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別個体.正面からだと前肢脛節端に距が1本あるのが分かる
新葉の赤い植物に留まっているので色が一寸変
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 しかし、私はトビケラと云う虫には全く不慣れです。何処かで大きな過ちを犯しているかも知れません。そこで、「カワトビケラ科の1種??」と「?」を2つ付けておくことにしました。

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2010年4月25日 (日)

ナズナ(Capsella bursa-pastoris

 このところ用事があって忙しく、気が付くと1週間も更新をサボっていました。
 今日は、また昨年撮った春の雑草を紹介します。ナズナ(Capsella bursa-pastoris)、通称ペンペン草です。何処にでも生えている雑草で、日本全土の他、世界の温帯、暖帯に広く分布しています。在来種、或いは、史前帰化種とされている様です。

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「四丁目緑地」のナズナの群落(昨年).今年は消滅していた
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 昨年掲載しなかったのは、上に示した群落になっている写真が気に食わないので、今年撮り直そうと思っていたからです。場所は「四丁目緑地」ですが、今年行ってみたところ、大きな群落は消滅しており、他の場所にも大きな群落は見当たりませんでした。そこで仕方なく、この写真を出すことにした次第です。
 このWeblog用の写真を撮りに出掛ける時は、何時も100mmマクロ1本しか持って行きません。この手の写真は100mmでは一寸撮り難いのです。
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ナズナの株.ロゼットから伸びた感じは無い
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 株を1本だけ撮ってみました。越年草ですからロゼットで冬を越しますが、オニタビラコキウリグサの様な典型的なロゼットではありません。上の写真でも、ロゼットから伸びた感じはありません。
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上から見たナズナの花序.蕾、開花中の花、萎んだ花、
果実が放射状に整然と並んでいる
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 ナズナは春に花の咲く雑草の中でも最もありふれた種類です。しかし、花序を上から接写をしてみると中々綺麗です。蕾、咲いている花、萎んだ花、果実が放射状に配列されています。
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花序の中心部を拡大.結構綺麗である
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 ナズナは勿論アブラナ科(Brassicaceae)に属します。昔懐かしい十字花科(Cruciferae)と云う言い方もあります。その名の通り、花弁は4枚で、十字形に配列されています。
 しかし、雄蕊の数は、先日紹介したミチタネツケバナでは4本でしたが、ナズナでは6本です。アブラナ科に属していても、必ずしも4の倍数ではありません。
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斜めから見たナズナの花.花弁は4枚、雄蕊は6本
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 ナズナは春の七草の一つです。私は食べたことはありませんが、ロゼット状のものは甘味があって結構美味しいらしいです。また、春浅い内は、茎や根も食べられるそうです。
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上から見ると花柱は果実と同じで扁平
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 薬効もあって、e-yakusou.comと云うサイトに拠ると、「4~5月ころ、未熟果がついたまま地上部の全草を採取して、風通しのよい場所で陰干しにして乾燥させ」、「高血圧、解熱、利尿、便秘、肝臓病、吐血、血便、血尿、生理不順、下痢などには、乾燥した全草1日量10~15グラムとして、約0.5リットルの水で半量まで煮詰めて服用し」、また、「目の充血、痛みには、乾燥10グラムを水0.2リットルで煎じて、ガーゼで濾してから洗眼し」、更に、「下痢、腹痛には、葉や根を黒焼きにして服用」する、と書いてありました。
 こうしてみると、このナズナ、最もありふれた雑草と雖も、中々馬鹿には出来ない様です。
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オマケにもう1枚.ありふれた雑草の花でも拡大すれば綺麗
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 昨日、今日と良い天気になりました。しかし、気温はかなり低めです。まだ、暖房を入れ、羽毛のジャケットを着ています。あと数日で春の黄金週間に入りますが、この気温を考えると、一寸信じられない気がします。

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2010年4月18日 (日)

ヒメカメノコテントウ(Propylea japonica

 先日、買い物ついでに「三丁目緑地」に寄ったとき、一寸面白い色合いのテントウムシを見つけました。黒地に6つの白斑があり、その白い部分が所々で赤くなっています。ユキヤナギの葉上で交尾中でした。見たこともない模様ですし、2頭とも同じ模様をしていたので、新顔のテントウムシかと思い撮影しましたが、家に帰って調べると、残念ながら普通種のヒメカメノコテントウ(Propylea japonica)でした。テントウムシの仲間には、模様の変異が著しい種類が多く、時々この様なことがあります。
 体長は、何れの写真もやや斜めなので正確には分かりませんが、上(雄)が約3.5mm、下(雌)が約4.5mmです。

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ユキヤナギの葉上で交尾中のヒメカメノコテントウ
本来黄色の筈の部分が白と赤の斑
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/13)

 ヒメカメノコテントウには幾つかの型があり、カメノコ模様の基本型、上翅の殆どが黄色で会合線の部分だけが黒い背筋型、これの肩部に小黒斑を持つ肩紋型、更に後側部に小黒斑を加えた4紋型、殆ど真っ黒の黒色型等があります。更にこれらの型の中間形(例えば、基本型と黒色型の中間形)もありますので、模様の変化は非常に広くなります。
 しかし、今日のヒメカメノコテントウの様に、本来黄色の筈の明色斑が、白と赤の斑になっている場合があるとは知りませんでした。
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頭部と胸部の模様は、それぞれ雌雄の典型的な模様
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/13)

 実は、上翅(鞘翅)の模様に変化が多いテントウムシでも、頭部や胸部の模様はかなり一定しています。この雌雄の場合も、頭部と胸部は典型的なヒメカメノコテントウの模様をしています。上と下の個体で模様が違うではないか、と思われる読者も居られると思いますが、この頭胸部の模様は雌雄で異なるのです。上は雄の、下は雌の典型的な模様です(文教出版の「テントウムシの調べ方」に拠る)。
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雌は約4.5mm、雄は約3.5mm.蚤の夫婦??
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/13)

 昨日は時ならぬ春の雪が降ってビックリしました。虫達も困惑しているのではないかと思います。早く安定した暖かい陽気になって欲しいものです。

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2010年4月16日 (金)

ミチタネツケバナ(Cardamine hirsuta

 漸く春らしくなったと思ったのですが、昨日、今日と雨模様の寒い日が続いています。今朝7時の気温は4℃でした。気象庁の「過去の気象データ検索」で調べてみても、4月中旬でこんなに寒いのは、例外的な様です。
 それはさておき、今日はまた昨年撮った春の雑草を紹介します。ミチタネツケバナ(Cardamine hirsuta)です。アブラナ科(Brassicaceae)に属し、オオイヌノフグリヒメオドリコソウと同じく、これも帰化植物です。

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ミチタネツケバナ.帰化が報告されたのは1992年
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 撮影した場所は、国分寺崖線下の四丁目です。実は、今日の写真の中で、中程度の大きさで横から撮った写真の出来が良くないので、今年もう一度撮り直すつもりだったのですが、どういう訳か、今年は探しても見当たりませんでした。もう一年掲載を延ばす手もありますが、余り古い写真を抱え込むのも問題なので、もう紹介してしまうことにしました。
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ミチタネツケバナの果実は茎にくっ付く様に斜上する
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 タネツケバナの仲間には、このミチタネツケバナの他に、在来種のタネツケバナ、やはり帰化種のコタネツケバナ、アキノタネツケバナ等の他、多くの種類があり、中には判別のし難い種類もあります。しかし、ミチタネツケバナはかなり特徴的なので、容易に区別がつきます。
 植物全体の姿はタネツケバナに近いのですが、果実が茎にくっ付く様にして斜上する点が異なります。タネツケバナでは、もっと横に拡がりながら斜上します。
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ミチタネツケバナの花序.左下の花には雄蕊が5本ある
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 この様な違いは両方を較べないと分かり難いかも知れません。もっと明確な違いとしては、タネツケバナの雄蕊は6本ですが、ミチタネツケバナの場合はその多くが4本であることが挙げられます。必ずしも4本ではありません。上の写真を見ると、左手前の花には4本の雄蕊の他に成長不良の雄蕊と思われるものが1本写っています。
 また、タネツケバナの茎には細かい毛が散在しますが、ミチタネツケバナの茎は無毛です。
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ミチタネツケバナの花.余りチャンと開かない
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 ミチタネツケバナの花は、径5mm程度で肉眼的には目立たず、また余り綺麗とは思えません。しかし、拡大して見ると中々立派な花です。一寸、モクレンの花に似た雰囲気があります。尤も、アブラナ科ですから花弁は4枚で、モクレン程多くはありません。
 なお、ミチタネツケバナは、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」に拠ると、「1992年に工藤洋らが既往の標本を調べて宮城県から日本海側にかけて本種の侵入を報告し、和名を与えた」とあり、かなり最近になって認められた帰化植物です。保育社の帰化植物図鑑は1976年出版ですから、当然ミチタネツケバナは載っていません。
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肉眼的には冴えない花だが、拡大すると中々綺麗
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/15)

 どうも私は、気分が天候に左右される性格なので、こう寒くて暗い日が続くと滅入ってしまいます。Weblogの更新も気が乗らなくなります。早く、暖かく明るい日が続く様になって欲しいものです。

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2010年4月13日 (火)

マルトビムシの1種(その2)

 10日、11日と春らしく晴れた日が続きましたが、生憎色々な用事があって、虫撮りに出かけることが出来たのは11日の3時近くになってからでした。久しぶりに「みつ池緑地」に寄ってみました。夏にはホタルの発生する「神明の森みつ池特別保護区」の上側に隣接する公園の様な緑地です。
 小さなキウリグサ(キュウリグサ)が沢山咲いており、その径3mm位の小さな花にもっと小さなケシ粒の様な虫が来ていました。マルトビムシ科(Sminthuridae)の1種です。

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「みつ池緑地」のキウリグサの花に来たマルトビムシ科の1種
花の直径は約3.0mm、マルトビムシの体長は1.0mm
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)
 体長は1.0mm、普通の等倍接写では一寸キツイ大きさです。しかし、最近はテレプラスを持って行くことにしていますので、大して高精度ではありませんが、何とか細部も見える写真を撮ることが出来ました。
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隣の花にもマルトビムシがやって来た
色は少し違うが同種であろう
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 以前、タラヨウの葉裏で越冬中の「マルトビムシの1種」を紹介しましたが、そのマルトビムシにかなり似ています。しかし、同じ種類か否かはについては、何らの情報もなく、判断のしようがありません。
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もう少し接近.隣のマルトビムシが此方を向いている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/04/11)

 余りに小さいので容易に目に付きませんが、かなり彼方此方のキウリグサの花に来ている様でした。上の写真では、隣の花に来ている別の個体が写っています。色がかなり違いますが、多分、同じ種類でしょう。
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花の中に頭を突っ込むマルトビムシ
花粉を食べているものと思われる
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/04/11)

 日本産トビムシは、Wikipediaに拠れば、14科103属約360種が記録されているとのことです。多くは腐植質を食べますが、北隆館の圖鑑に載っているトビムシ目(粘管目)の解説を読むと、「口器の形態から咀嚼摂食性、吸収食性、捕食性に区分され、消化管内には腐植質、菌類の胞子や菌糸、花粉、土壌、動物質などが見られる」と書かれています。
 Webで調べると、花粉を食べているマルトビムシの写真が少しですが見付かりました。今日の写真では、花の中に頭を突っ込んでいるだけで何をしているのかは良く分かりませんが、やはり花粉を食べているのでしょう。
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キウリグサの花の上を歩くマルトビムシ
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/04/11)

 トビムシは代表的な土壌性昆虫です。しかし、圖鑑に寄れば、「海岸の岩礁上や砂礫の中、氷雪上、極地、アリやシロアリの巣穴、洞穴内のグアノなど」に生息する種類もあり、また、「土壌と樹上間を季節的に上下移動する種類も知られ」ているとのことです。この写真のマルトビムシや以前紹介した「マルトビムシの1種」も、或いは、土壌と植物体上を往復しているのかも知れません。
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頭部と腹部の両方に焦点があったのはこの1枚のみ
数個の小眼からなる眼斑を形成する
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/04/11)

 今日は、また、良い天気になりました。漸く、本格的な春がやって来た様です。サッサと投稿を済ませて、虫撮りにでも出かけることにしましょうか。

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2010年4月 9日 (金)

キウリグサ(Trigonotis peduncularis

 今日は、春の野草の一つ、キウリグサ(Trigonotis peduncularis:キュウリグサ)を紹介します。これも、実は、写真は昨年の春に撮ったものです。昨年の今頃は非常に多忙で、写真を調整したり原稿を書く時間がありませんでした。
 場所は、これまでに春の雑草として紹介したオオイヌノフグリコハコベホトケノザ等と同じく、国分寺崖線下の四丁目です。

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ロゼットから茎を出して花を着けたキウリグサ
夕方で酷い斜光なのでストロボを使用
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 キウリグサは越年草(2年草)で、ロゼット状で冬を越し、春になるとこのロゼットから茎が伸びて花を咲かせます。上の写真は、丁度ロゼットから茎が出て来た所ですが、もう既に花を着けています。
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キウリグサの群落.崖線下の四丁目には沢山生えている
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 次の写真は、もう少し伸びた状態。国分寺崖線下の四丁目にはキウリグサが非常に多く、写真の様に「密生」しているところもあります。
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キウリグサの大きな株.荒地に多い
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 キウリグサはかなり大きな株になります。上の写真では横に大部拡がっていますが、株としては1株です。これらの3枚の写真は、何れも同じ日に撮影しており、個体や場所により、生育の程度に大きな違いがあることが分かるでしょう。
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若い株の茎と花.緑色が鮮やか
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 茎の部分だけをもう少し近づいて見たのが上の写真。これはかなり若い株で、まだ横に拡がっていません。
 大きな株の茎は、下の写真の様に一寸違った感じになります。
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大きな株の茎と花.少し黄色味が強くなる
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 花序の先端がゼンマイ状に捲いているのが分かります。花序の先端を拡大してみました(下)。かなりシッカリと巻いています。虫に食われた様な花が写っていますが、これは花が咲き終わって萎む直前なのでしょう。
 しかし、この様に先端が捲くのは、キウリグサだけではありません。キウリグサの属すムラサキ科(Boraginaceae)には広く見られる形態的特徴の様です。
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花序の先端部.ゼンマイ状に捲いている
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 以前掲載したハナイバナも、キウリグサと同じくムラサキ科の植物です。花の色は違いますが、その形はよく似ています。また、ワスレナグサもムラサキ科で、これは花の色を含めてキウリグサとソックリです。しかし、何れもキウリグサとは別属です。
 5枚の花弁がある様にも見えますが、ムラサキ科ですから合弁花で、1つの花冠が5裂しています。
 花は小さく、写真の花は何れも直径3mm前後です。同科のハナイバナでは2.5mmでしたから、それよりは少し大きいと言えます。しかし、保育社の図鑑を見ると、キウリグサの花冠は径約2mm、ハナイバナは花径3mmと逆になっていました。地域により違いがあるのかも知れません。
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キウリグサの花と捲いた花序の先端部
蕾状の花は赤味が差す場合がある
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/20)

 図鑑に拠ると、キウリグサの名は、茎葉を揉むとキウリの匂いがするので付けられたのだそうです。実際にやってみましたが、明確にキウリの匂いと言えるほどの香ではありませんでした。
 因みに、キュウリウオと云う魚が居ますが、これはハッキリとキウリ的な青臭い匂いがします(キュウリウオは体長30cm位になる北方の回帰性海水魚で、北海道以外では余り馴染みのない名前かも知れませんが、ワカサギ、シシャモ、カラフトシシャモなどは何れもキュウリウオ科に属します)。
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別の花序.開花した花、萎んだ花、蕾の位置関係が前の写真と同じ
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/20)

 図鑑を見て少し驚いたのは、「タビラコ」がキウリグサの別名として載っていました。タビラコやオニタビラコ(この両者は名前は似ていますが別属)はキク科ですから、随分離れた間柄です。しかし、考えてみると、「タビラコ」は「田平子」で、冬の田や畑に見られる平らなロゼット状の植物を指して言うのだと思います。タビラコ(コオニタビラコ)やオニタビラコも、このキウリグサと同様に冬はロゼット状ですから、同じ「田平子」の名が付いてもおかしくないのでしょう。
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花は小さく、花径は約3mm.ハナイバナやワスレナグサの花と似る
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/20)

 なお、キウリグサを帰化植物としているサイトがあります。しかし、保育社の植物図鑑では「[分布]温帯、暖帯:北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・アジア」となっており、また、保育社や全農教の帰化植物図鑑、或いは、地人書館の「外来種ハンドブック」には載っていません。帰化種ではなく在来種の様です(史前帰化種の可能性はあります)。
 この辺り(東京都世田谷区西部)に生えている春の雑草で紹介していない種類はまだまだ沢山あります。どうも今年の春は天気が良くないので、中々写真を撮りに出かける気になりませんが、今の内にもう少し春の野草を紹介しておきたいと思っています。

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2010年4月 7日 (水)

ナガケチャタテ(Mepleres suzukii)の幼虫?(その2)

 先日、ニセケチャタテ科(Pseudocaeciliidae)に属すナガケチャタテ(Mepleres suzukiiの幼虫ではないかと思われるチャタテムシの幼虫を掲載しましたが、今日は、恐らくそれと同種で少し齢の若い幼虫を紹介します。
 場所は先日の幼虫と同じく国分寺崖線下の四丁目にある何も生産していない「生産緑地」で、そこに植えられているミカンの木の葉裏に居ました。体長は約1.6mm、先日のが約2.0mmでしたから、2回り程小さいと言えます。

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四丁目のミカンの葉裏に居たナガケチャタテ(?)の幼虫
翅の原基はまだ小さくやや長めの突起状
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/02/24)

 実は、これを撮影したのは先日紹介した幼虫より約1ヶ月前になります。今年はチャタテムシの幼虫を彼方此方で撮ったので、今日紹介する幼虫のことをすっかり忘れていたのです。
 先日の「ナガケチャタテの幼虫?」と較べると腹部がかなり白いですが、全体の色合い、体や触覚にある毛の生え方、顔付き等はソックリです。この辺りには、この様な長い毛を持つチャタテムシが他に居ないことも考慮に入れると、同種の若齢幼虫として間違いないでしょう。
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腹部や頭部、触覚に長い毛が生えている
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/02/24)

 明確に異なるのは、翅の原基です。先日の個体では原基の先端は腹部の半ばにまで達しており、如何にももう少しで翅になると云う感じでしたが、今日の幼虫では横に張り出してから後に折れて細まる突起に過ぎません。
 この様な突起を持つ幼虫が、何回脱皮すれば先日の様な長い原基を持つ幼虫になるのか、全く情報がありません。しかし、何となく、1回の脱皮でそうなる様な気もします。
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正面や側面から撮った写真は全て没になった
この写真はその代わりのつもり
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/02/24)

 今まで、チャタテムシの幼虫は小さ過ぎるのと種類が分かる可能性が少ないので余り撮りませんでした。しかし、色々な幼虫の写真を沢山撮り、それらを並べてみれば、その齢や種類まで分かる可能性があります(1種のKJ法です;KJは川喜田二郎の略)。
 また、この手の葉裏で生活するチャタテムシの幼虫は、脱皮を重ねても同じ場所にず~と留まっていることが多い様です。立った姿勢で焦点深度0.5mm以下の撮影をするのは非常にキツイ(命中率5%以下)のですが、努力をすれば、チャタテムシの幼虫に関する貴重な情報が得られるかも知れません。

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2010年4月 5日 (月)

ウズキコモリグモ(Pardosa astrigera

 日当たりの良い乾燥した草地を歩くと、脚を含めて2cm位の中型のクモが沢山飛び出して来ます。地表性のクモと云うのは、直ぐに草の下に逃げ込んでしまったり、撮影するのに無理な体勢を強いられるので、余り撮る気にならないのですが、「四丁目緑地」の草地には非常に沢山のクモが居たので一寸撮ってみました。
 撮影したのは、実はこれも昨年の春です。何頭か撮ったのですが、調べてみると全てコモリグモ科(Lycosidae)のウズキコモリグモ(Pardosa astrigera)の様です。

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「四丁目緑地」に沢山居たウズキコモリグモ
頭胸部の正中線に沿った凸凹の縦筋が特徴
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 コモリグモ科は似た様な種類が多くて種の判別が難しいグループです。コモリグモの多くには、頭胸部に正中線に沿った白っぽい縦筋があります。ウズキコモリグモの場合は、これが所々で膨らんでいる(或いは、太い筋の所々に切り込みがある)様な形になっているのが特徴の様です。文一総合出版の「日本のクモ」には「頭胸部の黒褐色の縦条の中央に、灰白色のT字型の斑紋があるのが本種の特徴」とありますが、掲げられている写真にはその様なT字型の紋は見当たりません。
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やや黒く脚は細い.雄の亜成体ではないかと思う
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 図鑑を見ると、フジイコモリグモにも類似の縦筋があります。しかし、このクモの場合は、縦筋の前半部が全体的に横へ拡がっており、ウズキの様な凸凹状にはならない様です。また、撮影したのは、落ち葉の沢山ありますが、日当たりの良い乾燥した場所です。図鑑に拠るとフジイコモリグモは「特に湿度の高い樹林内の落葉中に多い」とありますし、クモ蟲画像掲示板の主催者であるきどばん氏の「石神井公園の蟲日記:2006年12月前半3」に、「乾燥した荒地ではウヅキコモリグモ、水辺ではキバラコモリグモが優先種.そして林床での優先種はフジイコモリグモ」とあります。生息環境からも今日のクモはウズキコモリグモとして良いでしょう。
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別個体.後側眼は大きく後にあり横少し後を向いている
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 「コモリグモ」とは「子守り蜘蛛」のことで、雌は産卵後、卵嚢をお尻(糸疣)に付けて移動し、卵の孵化後は仔グモを腹部の載せて保護するのでその名があります。吉倉眞著「クモの生物学」に拠ると、ウズキコモリグモの場合、母子生活をするのは5~6日で、その間、仔グモは餌を摂らない(水は飲む)そうです。また、仔グモが親からはぐれた場合、仔グモは違った親の体へも上がって行き、登られた方も平気でそれを受け入れ、保育に努めるとのことです。
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別個体.肉眼で見れば結構保護色になっている筈
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 コモリグモ科のクモの眼は、前中眼と前側眼が何れも小さく横一列に並び、後中眼と後側眼は大きく、後中眼は前列眼の直ぐ後にあって前を向き、後側眼は少し後に離れて位置し、横少し後方を向いています。
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正面から見た同一個体.中々格好良い
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 コモリグモ科に一見類似した同じく地表性のクモとしては、ヤチグモ科があります。しかし、眼の配列は随分違います(こちらをどうぞ)。また、ヤチグモの正面から見た顔は、ヴァイキングに似てかなり凶暴な感じがしますが、コモリグモの場合は下の写真の様に、結構愛嬌のある顔をしています。
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上の写真の部分拡大.後中眼が大きく前を向いている
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 全く今年の春は碌でもない天気の日ばかりです。この2週間の間、雨は多いし、寒くなければ大風が吹くかで、春らしく晴れた日は1日もありません。今、世田谷区百景の一つ「成城の桜並木」は満開ですが、こんな天気では見に行く気にもなりません。

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2010年4月 4日 (日)

オニタビラコ(Youngia japonica

 今年の「春の野草(雑草)」第2回目はオニタビラコ(Youngia japonica)です。しかし、これも写真は昨年の今頃撮ったものです。
 撮影したのは「四丁目緑地」ですが、この辺り(東京都世田谷区西部)ならば、道端を含めて何処にも生えている極くありきたりの雑草です。

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「四丁目緑地」に生えていたオニタビラコ
茎の高さは25cm程度と大きくない
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 多くは、茎の高さ30cmに満たない小振りな植物です。しかし、保育社の図鑑には「茎は直立し高さは20-100cm」と書かれていますから、かなり大きくなる場合もある様です。葉は羽状に深裂し、その殆どは下部に集まっていますが、茎にも小さな葉が付きます。
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咲き始めたオニタビラコの花
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 頭花の径は1cm程度、頭花は全て舌状花からなり、筒状花はありません。これは、キク科(Asteraceae、Compositae)タンポポ亜科(Cichorioideae)の特徴です。その舌状花も20を少し越える程度しか付きませんので、「花弁」の間に少し隙間が出来ているのが普通です。
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横から見たオニタビラコの花
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/19)

 この辺りの雑草と云えば、多くは帰化植物ですが、このオニタビラコは先日紹介したホトケノザ同様、日本の在来種です。図鑑に拠れば、分布は日本全土、中国、インド、ヒマラヤ、ミクロネシア、オーストラリアとなっています。
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オニタビラコの花.径は約1cmと小さく隙間が多い
花柱が個々の舌状花に対応しているのが分かる
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 その「ホトケノザ」の記事の中で、春の七草の一つに数えられている「ほとけのざ」は、現在ホトケノザと呼ばれているシソ科の植物ではなく、キク科のコオニタビラコのことである、と書きました。このコオニタビラコは何も形容の付かないタビラコとも呼ばれますが、今日のオニタビラコ(Youngia japonica)とは少し遠い間柄で、オニタビラコ(Yougia)属ではなくヤブタビラコ(Lapsana)属の植物です。この属の植物は、キク科としては珍しく痩果に冠毛がありません。オニタビラコの痩果には、勿論冠毛が付いていますが、かなり短めです。
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開花後、花柱が次第に起き上がる
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

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オマケに同じ様な写真をもう1枚
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/21)

 今年に入ってからは、かなり精力的に更新して来たつもりですが、昨年の冬から春にかけて撮った写真がまだ残っています。しかし、もう4月も4日となり、越冬中の虫を紹介するには余り適当でない季節になってしまいました。余剰の在庫は来年に回すことになりそうです。
 もう一つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」の方はかなり前からネタ切れ状態が続いています。しかし、こちらの方はまだまだ大丈夫です。当分の間、ネタ切れになる心配はありません。

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2010年4月 2日 (金)

ナガケチャタテ(Mepleres suzukii)の幼虫?

 今年はチャタテムシの当たり年?なのか、常緑樹の葉裏をめくると、チャタテムシの幼虫が屡々見付かります。多くは小さ過ぎて余り撮る気にならないのですが、今日紹介する幼虫は一寸大きめだったので撮影することにしました。
 場所は国分寺崖線下の「四丁目緑地」と「神明の森みつ池」との丁度中間で、何も生産していない「生産緑地」に植えられているミカンの木の葉裏に居ました。体長は2.0mmを少し越えています。幸い、テレプラスを持っていたので、約2倍で撮ることが出来ました。

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四丁目に植えられているミカンの葉裏に居たチャタテムシの幼虫
ナガケチャタテの幼虫ではないかと思うが定かでない
翅の原基、腹部、触角に長毛を持つ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 撮影している時は、腹部に白い斑があるので、以前掲載した「ウスイロチャタテ科の1種(Ectopsocus sp.」の幼虫かと思っていました。しかし、家に帰って写真を良く見ると、触角に長毛が密生しています。更に、触角だけでなく、翅の原基や腹部にも長毛が生えています。Ectopsocus属の幼虫と思われるものは、以前、我が家の庭に居たのを撮影していますが、長毛は生えていません。どうやら、別種の幼虫の様です。
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横から見たナガケチャタテ?の幼虫
体長は2.0mmを少し越える
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 圖鑑やWeb上にあるチャタテムシの情報は少なく、ましてや幼虫となると殆ど絶望的です。しかし、幼虫の触角に長毛が生えているのならば、成虫の触角でも同様ではないか、と云う気がします。
 成虫の触角に長毛が生えている種類を調べることはある程度は出来ます。北海道大学農学部の吉澤教授のHPにある「Checklist of Japanese Psocoptera」に載っている全ての科について、BugGuide.netで成虫の写真を調べてみました。幸い、リストに載っている20科全ての写真がありました。ザッと写真を見てみると、その中で、触角に長毛が生えているのは、ニセケチャタテ科(Pseudocaeciliidae)だけの様でした。
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正面から見たナガケチャタテ?の幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 しかし、1つの科の中で、触角に生える長毛の有無が分類学的にどれだけ意味を持つのか良く分かりません。吉澤教授のリスト(2004)より少し古い「富田・芳賀:日本産チャタテムシ目の目録と検索表(1991)」では、ナガケチャタテはケチャタテ科に属していました。他の科の中にも、触角に長毛を持つ種類が居る可能性は否定出来ません。そこで、もう少し調べてみると、ケブカチャタテ科のハグルマチャタテも触角に長毛を持つことが分かりました。翅に長毛を持つ種類は、触角にも長毛がある可能性があります。
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オマケにもう1枚.上の写真と同じ位置で動いていない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 しかし、これまで葉裏に潜むチャタテムシをかなり一生懸命探してきましたが、この辺り(東京都世田谷区西部)では、触角に長毛を持つ種類はニセケチャタテ科のナガケチャタテ(Mepleres suzukii)以外には見付かっていません。また、吉澤教授の「皇居の動物相調査で得られたチャタテムシ目昆虫(2000)」を見ると、翅に長毛を持つケブカチャタテ科とニセケチャタテ科の昆虫としてはナガケチャタテしか採集されておらず、ハグルマチャタテは「関東地方も含め平野部でごく普通に採集される種であるにも拘わらず、本調査で採集されなかった種」の1つとして挙げられています。
 ナガケチャタテMepleres suzukii)の成虫は以前「三丁目緑地」で撮影したものを掲載しました。このナガケチャタテ成虫と今日のチャタテムシ幼虫の正面から撮った写真を見比べると、かなりよく似た顔付きをしています。また、触角の形やその毛の生え方もソックリです。体長も成虫の方が2.3mm、今日の幼虫は2.0mm強でおかしくありません。
 この両者の写真を見ていると、どうもこの幼虫はやはりナガケチャタテの幼虫ではないか、と云う気がして来ました。しかし、断定するには根拠が稀薄です。「?」を付けて「ナガケチャタテの幼虫?」としておきました。

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2010年4月 1日 (木)

オナシカワゲラ科(Nemouridae)の1種

 先日、「三丁目緑地」にある泉の横で撮影した「トビケラの1種」を掲載しましたが、今日は、同じ場所で撮影したカワゲラを紹介します。ムクノキの樹皮上に居ました。尾端が見えないので体長は分かりませんが、翅端まで約1cm、前翅長は約7.5mmです。
 トビケラもカワゲラも似た様な名前で紛らわしいですが、全然違うグループで、外見も全然異なります。トビケラは毛翅目、カワゲラは襀翅目(せきしもく)に属します。以前も書きましたが、毛翅目は鱗翅目に近いかなり高等な連中ですが、襀翅目はトンボに近い原始的なグループとされています。
 「襀」と云う字は、画面では一寸表示がおかしく、分かり難いかも知れません。「衣偏に責」です。シフトJIS・コードには無い漢字なので、今日の原稿はUTF-8・コードで書いています。妙な具合に表示されているのはそのせいです。

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「三丁目緑地」の泉の脇に居たカワゲラ
オナシカワゲラ科の1種と思われる
翅の下から出る尾は見えない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 漢和辞典で「襀」の字の意味を調べると、字義は「衣服の折りこみ」となっています。襀翅目のラテン名であるPlecopteraの「pleco-」の意味は「folded」で、「pter」は勿論「翅・翼のあるもの」の意ですから、襀翅目はPlecopteraの正しい訳なのです。なお、「カワゲラ目」と云う「ゆとり教育」的な分かり易い呼び方もありますが、私は好みません(半翅目をカメムシ目、双翅目をハエ目、鱗翅目をチョウ目等とするのは誤解の元です)。
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ムクノキの樹皮上を歩くオナシカワゲラ科の1種
額に3個の単眼があるのが分かる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 さて、このカワゲラ、例によって?種類が分かりません。北隆館の新訂圖鑑(2008年)に拠ると、「現在までに記載されている日本産カワゲラ目の種類は約200種であるが、未記載種が多く、実際に日本に生息している種数を350~400種とする推定もある」とあります。研究は余り進んでいない様ですが、大きなグループではないと言えます。
 しかし、その同定は外見からは困難で、生殖器(外部、内部)を見る必要があるそうです。写真からの判別は無理と云うことですが、まァ、科まで落ちれば万々歳です。北隆館の圖鑑には検索表は付いていませんが、保育社の昆虫図鑑には科への検索表がありますので、それで科まで落としてみましょう。
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樹皮の上にある何か(地衣類?)を食べているらしい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 写真のカワゲラを見ると、翅は腹部を捲かず、大きな単眼が3個あり、尾(種類によっては尾端に左右1対の長い尾がある)は見えません。検索表の「翅がある・単眼を持つ→尾は非常に短い」で可能性は3科に絞られます。次に、各肢の付節第2節が第1節や第3節とほぼ等長であればミジカオカワガラ科(Taeniopterygidae:シタカワゲラ科)、付節第2節が短かくて翅が腹部を捲かなければオナシカワゲラ科(Nemouridae)の何れかになります(付節第2節が短かくて翅が腹部を捲けばハラジロオナシカワゲラ科)。
 写真のカワゲラには等倍でシッカリ撮る前に逃げられてしまったので細部が分からず、付節の長さが良く分かりません。写真によっては第2節は第1第3節より短く見えますが、等長の様に見える写真もあります。
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横から見たオナシカワゲラ科の1種
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 こうなると絵合わせしかありません。そこで、また、BugGuide.netの御世話になることと相成ります。幸いこの両科とも北米に分布しており、かなりの写真があります。両科の写真を比較してみると、ミジカオカワゲラ科とオナシカワゲラ科では翅脈相が少し異なり、写真のカワゲラはオナシカワゲラ科の翅脈をしています。また、頭部の形もオナシカワゲラ科の虫に似ており、ミジカオカワゲラ科とは一寸違います。
 些か怪しげなところもありますが、ここでは、「オナシカワゲラ科の1種」としておきます。
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上の写真の部分拡大.付節が良く見えない
翅は腹部を捲いていない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 カワゲラの幼虫は例外なく水生で、清水をを好みます。北隆館の圖鑑には、「水生昆虫の中でも水質の有機汚濁に最も弱い群のひとつとされ、山地渓流など有機汚濁に乏しい河川に種に生息し、都市河川、平地の農業用水、池沼などには殆ど生息しない」とあります。三丁目緑地の泉(2つある内の北西側の方)は、少なくともカワゲラが棲む程度には綺麗な水が湧いていると言うことになります。
 なお、財団法人「世田谷トラストまちづくり」が行った「国分寺崖線保全調査~昆虫調査 崖線の昆虫類」(夏と秋の2回、調査年不詳)に拠ると、カワゲラは「三丁目緑地」では確認されていますが、「神明の森みつ池」では見付かっていません。
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触角を除いた本体部分?を拡大
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 圖鑑に拠れば、カワゲラ類には冬から早春に羽化する種類が多いそうです。実は、昨年の3月にも今日のカワゲラより大きい別の種類を撮影しています。その内紹介の予定です。

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