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2010年3月30日 (火)

トビケラの1種

 先日掲載したカジイチゴを撮影したのは「三丁目緑地」の北西部にある泉の脇でしたが、その泉ではトビケラやカワゲラが発生しており、周囲の樹に留まっていました。今日はその内のトビケラの1種を紹介します。
 尾端が隠れているので体長は分かりませんが、翅端までは13~14mm、裸眼でもトビケラであることが分かりました。

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「三丁目緑地」の泉で発生したトビケラの1種
毛が多く、触角が非常に長い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 と言っても、種はまるで分かりません[追記参照]。種どころか科すらも分かりません。保育社の図鑑でも北隆館の圖鑑でも、検索表は翅脈と小腮鬚(口器の一部)の構造を検索キーに使用しています。翅脈は翅表面の毛を除去しなければ分からず、小腮鬚はこの写真では良く見えません。
 また、図鑑の図版はその殆どが展翅した標本写真です。この写真のトビケラを展翅するとどんな風になるのか良く分かりませんし、載っている種類数は多くありません。絵合わせをするのも一寸無理な様です。
 仕方なく、「トビケラの1種」です。トビケラは毛翅目に属し、毛翅目には「トビケラ」の名の付く虫しか居ませんから、分類名を使用するのならば「毛翅目の1種」とすべきでしょうが、科にも落ちないと云うのは一寸カッコ悪いので「トビケラの1種」としておきます[追記参照]。
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上から見るとこんな感じ.翅を屋根型に畳んでいる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 トビケラ、カワゲラ、カゲロウ等の水棲昆虫は、一般には余り縁のある生き物ではないでしょう。私もこの類の虫には縁が薄く、トビケラを撮影したのは実はこれが初めてです。
 しかし、有名な天竜川の食用昆虫「ザザムシ」はトビケラの幼虫が主体ですから、そう云う点では、多少の縁があるとも言えます(10年ほど前に食べたことがあります)。
 北隆館の圖鑑に拠れば、「日本からは現在約430種が記録されている.しかし、この種類数は将来には倍近くなる可能性もある」とのことです。翅長は5~40mm程度ですから、昆虫としては決して小さい方ではありませんが、その割りには研究が進んでいない様です。やはり、水のある所にしか生息しない虫は、研究するのに制約があるのかも知れません。
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頭部の拡大.毛が邪魔をしてどれが小腮鬚か良く分からない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/22)

 写真を見ると、トビケラはかなり原始的な昆虫の様にも感じられます。しかし、カゲロウ、カワゲラとは異なり、トビケラは鱗翅目(蝶、蛾)に近い、相当に高等な昆虫です。「人は見かけによらぬもの」と言いますが、虫も外見で決めつけると、往々にして誤りを犯す様です。

[追記]: Caddis<英語でトビケラの意>氏より、「写真の種は,サイズや触角基部の形態からオオカクツツトビケラ(Lepidostoma crassicorne)だと思います」とのコメントを賜りました。
 オオカクツツトビケラはカクツツトビケラ科(Leoidostomatidae)に属し、北隆館の圖鑑には「成虫の体長8mm前後、開翅長20mm前後.(中略)(触角)第1節は2節とほぼ同長(中略).燈火に良く飛来する.年に1世代あるいは2年に3世代で、夏あるいは春から初夏と秋に成虫が出現.終齢幼虫は、樹皮などの木質植物片で四角錐の筒巣を作るが、その前は葉片で井桁型の巣も作る.湧水流や細流に多い傾向がある.分布:北海道・本州・四国・九州」とあります。
 また、筑波大学の生物学研究者、田邉(田辺)晶史の公式個人Webサイトを見ると、「河川細流部の捕食者(魚、肉食性トビケラ)のほとんどいない環境に生息する、カクツツトビケラ科で最も大きくなる種.巣には飛行機の羽のような突起があり、特徴的.幼虫は1齢から落葉を巣材に使う」と書かれています。(2010/04/26)

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コメント

Caddis様.

 コメント有り難う御座いました。コメントの内容は「追記」として、本文中に引用させて頂きました。今後とも宜敷御指導下さい。

投稿: アーチャーン | 2010年4月26日 (月) 10時07分

美しいトビケラの写真に目をひかれ立ち止まった通りすがりのものです.
写真の種は,サイズや触角基部の形態からオオカクツツトビケラLepidostoma crassicorneだと思います.目立たないけれど身近にもいるトビケラを取り上げてくださりありがとうございました.

投稿: Caddis | 2010年4月25日 (日) 07時40分

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