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2010年3月13日 (土)

アリグモ(Myrmarachne japonica)の幼体

 先日、越冬中のキイロクビナガハムシを掲載しましたが、その最後の写真にアリグモらしきクモの幼体が一緒に写っていました。今日はこのクモの幼体を紹介します。
 「七丁目緑地」に生えている大きなムクノキの樹皮下に居ました。左の第4歩脚がありませんが、気にしないことにします。体長は約5mm、図鑑に拠れば成体雌では7~8mmとありますから、まだその点でも大人にはなっていません。

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七丁目緑地のムクノキの樹皮下に居たアリグモの幼体
色は薄く、体長も5mmでまだ小さい
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(2010/01/19)

 成体のアリグモは全体的に黒っぽい色をしています。しかし、幼体は写真で示した様に色が薄く、余りアリグモ的な感じがしません。
 アリグモには、成体での体色は違いますが、体形の良く似たヤガタアリグモとネッタイアリグモと云う近縁種が居ます。写真のクモはこれらの種類の幼体かも知れません。
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同じ様な写真だが、腹が光っていないの見易い
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(2010/01/19)

 文一総合出版の「日本のクモ」にあるタイリクアリグモの解説を読むと、「アリグモより茶色が強く、成体での区別はつけやすいが、アリグモも幼体期は茶色であるため、幼体での正確な同定は不可能」とあります。
 そこで、このクモを無印アリグモの幼体としてよいか、クモの掲示板「クモ蟲画像掲示板」に御伺いを立ててみました。
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横から見たアリグモの幼体.後側眼はかなり大きい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 掲示板の主催者きどばん氏が対応して下さいました。「識別しにくいのはタイリクアリグモです.我流の識別ポイントは体長と腹部白斑の位置関係です.投稿していただいた画像[2番目と下の写真]の個体は白斑が前方にありますよね.タイリクアリグモではこれほど前方に来ることはありません.無論例外もあり得るので確実な識別法ではありませんが」との御話でした。
 不確定要素はありますが、ここではクモに詳しいきどばん氏に従い「アリグモの幼体」としておきます。
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斜め前から.後中眼は後側眼の前にあるが分かり難い
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(2010/01/19)

 アリグモ類は、名前ばかりでなく、実際アリによく似ています。形ばかりでなく、獲物を求めて徘徊しているときには、第1歩脚をアリの触覚の様に上下に忙しく振るので、動作もアリとソックリになります。
 しかし、暫く見ていると、時折ジャンプしたり、お尻から出る糸を使ってツーと下に降りたりするので、クモであることが分かります。
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正面から見たアリグモの幼体.前中眼が大きい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 また、正面から見ると、上の写真の様に双眼鏡の様な大きな前中眼が目立ち、とてもアリには見えません。
 この様な眼の形は、ハエトリグモと非常によく似ています。それもその筈、アリグモは、ハエトリグモ科(Salticidae)のMyrmarachninae(和名無し、「アリグモ亜科」とでも訳すか?)亜科に属します。だから、眼の配置や形はハエトリグモと基本的に同じなのです。
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同じ様な写真をもう1枚.厚レンズの前中眼が印象的
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 このアリグモの幼体には、左の第4歩脚がありません。この様なことは極く普通で、以前もう一つのWeblogで紹介したアリグモの成体(雌)(2、3番目の写真)も左の第1歩脚が取れていました。
 クモの聖典とも呼ばれる吉倉眞著の「クモの生物学」に拠ると、クモは自ら脚を放棄して逃げること(自切)があり、その場合、切れる場所は普通決まっていて、多くのクモでは基節と転節の間であり、そこで切れると再生が上手く行くのだそうです。写真のアリグモも、基節しか見えませんから、基節と転節の間で切れたことになります。なお、サラグモ科の脚の長い種では、膝節と脛節の間が切れやすいとのことです。
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オマケにもう1枚
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 今日は、風は強いですが、気温は既に20℃を越えています。寒さを大の苦手とする私としては、一刻も早く本物の春が来て欲しいと思います。

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