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2010年3月22日 (月)

ハナグモ(Misumenops tricuspidatus)(雄)


 最近紹介するクモは、ケヤキやプラタナス等の樹皮下に潜んでいたものばかりでしたが、今日は一寸趣向を変えて、菊花の上に居たハナグモ(Misumenops tricuspidatus)を紹介します。しかし、撮影したのは一昨年の晩秋、場所は七丁目に位置する世田谷区の家庭菜園です。

 ハナグモはカニグモ科(Thomisidae)に属します。写真の個体は、体長4mm前後ですが、脚が長く、しかもかなり太いので、もっと大きく感じられます。


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先ずは全体写真.菊花の上で食事中のハナグモ

体長は4mm前後だが、脚が太い長い

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/23)



 丁度、獲物を捕らえて居ました。餌食になっているのはハナバエ科の1種で、種類は分かりませんが(このハエの写真はシッカリ撮ってあるのですが、属も分からないので未掲載の儘放置されています)、此処に植えられている菊に沢山来ていた普通種です。

 文一総合出版の「日本のクモ」を見ると、写真の様に、第1~第2歩脚が縞模様で、頭胸部が褐色を帯びてその背面に1対の縦筋があるハナグモは雄で、雌にはこの様な紋はありません。代わりに、腹部背面に雄には見られない三角に配置された不定型の褐色斑を持ち、頭胸部や脚は全て緑色です。しかし、腹部の斑紋を欠く個体も多いとのことです。

 なお、雄であることは、触肢が膨らんで移精器官になっていることでも分かります。

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犠牲者?はハナバエ科の1種(属不明)

前側眼が一番大きくやや横向き

後側眼も大きくやや後ろ向き

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/23)



 これまで、カニグモ科のクモとしては、ワカバグモキハダカニグモコカニグモを紹介して来ました。このハナグモも、これらのクモと同様、前側眼が大きく、前中眼と後中眼は小さく、また、後側眼も大きくて側方やや後を向いています。また、個々の単眼の大きさや方向だけでなく、その配置も殆ど同じです。

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脚や頭胸部が茶色を帯び縞があるのは雄

雌は緑色で腹部以外に縞は無い

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(2008/11/23)



 ハナグモは、その名前の様に、花の上やその近く、或いは、葉や枝先等に居て獲物を待ち伏せています。私が子供の頃には極く普通に見かけたのですが、最近はその機会がずっと少なくなりました。餌となる昆虫の絶対数の減少に伴って、それを補食するクモの数も減らざろうを得ないのでしょう。

 何処かで書きましたが、昔はサツキやドウダンに無数と言っても良い程のタナグモの巣がありました。子供の頃、祖母に命じられて、よく箒で巣を取り除いたものです。しかし、最近では殆ど見なくなりました。クモ類も昔と較べ、種、個体数共に相当減少しているのは間違いありません。

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少しブレボケがあるがアンシャープで誤魔化した

(写真クリックで拡大表示)

(2008/11/23)



 昨日は、早朝は台風並み(以上?)の風、以降は黄砂と酷い天気でしたが、今日はスッキリと晴れ、風も穏やかです。午後は、カメラを持って散歩に出掛けることにします。

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