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2010年3月21日 (日)

ヒゲブトハムシダマシ(Luprops orientalis

 成城名物の桜並木を真っ直ぐ北に進むと、やがて一寸した行き止まりとなり、そこから更に北へ細い路が続いています。これを道なりに進んで暫く行くと、ケヤキ、ムクノキ、シラカシ等の生い茂った藪の前を通ります。一寸前までは竹藪もあったのですが、今は刈り取られてしまいました。七丁目にあるこの藪は個人の所有地とは思いますが、隣家とは壁で隔たっているので、一寸中に入って虫を探してみました。
 今日は、そこで見付けた虫を紹介します。ケヤキの樹皮下に居た、体長8mm強の少し平べったい甲虫です。

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ケヤキの樹皮下に居たヒゲブトハムシダマシ
剥がした樹皮の側にくっ付いていた
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/11)

 見付けたときは、ゴミムシの1種かと思いました。しかし、良く見ると、触角も脚も太くて短く、ゴミムシの仲間ではありません。更に、大顎の目立たないテントウムシの様な口器をしています。また、小腮鬚も斧型で、この点でもテントウムシに良く似ています。一体、何処の科に属す虫なのか、少し考えてしまいました。
 こう云う格好をした、鞘翅に模様が無い、茶~黒色の良く分からない甲虫は、先ず、ゴミムシダマシ科を調べることにしています。何故かと云えば、以前、ゴミムシダマシ科に属す「セスジナガキマワリ」の記事で書いた様に、「このゴミムシダマシ科には、外見的な統一がまるで有りません.オサムシの様な格好をしたのもいれば、テントウやシデムシみたいな連中も居ますし、シバンムシと間違える様なのも居ます.まるで、○○○モドキ、×××ダマシの百貨店の様な科です」、と云う訳だからです。
 しかし、保育社の甲虫図鑑でゴミムシダマシ科を調べても、写真の様な虫は見付かりませんでした。
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ケヤキの樹に移した後、樹皮面を歩くヒゲブトハムシダマシ
かつてはヒゲブトゴミムシダマシと呼ばれていた
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/11)

 その後、色々探し回って、漸く直ぐ隣のハムシダマシ科(Lagriidae)に属すヒゲブトハムシダマシであることが分かりました。余りに近すぎて見逃してしまった様です。
 ハムシダマシは既に紹介済みですが、毛むくじゃらのかなり細長い多少華奢な感じのする虫で、写真のヒゲブトハムシダマシとはかなり感じが違います。調べてみると、ハムシダマシ科には2亜科があり、前者の様な細長いのはハムシダマシ亜科、後者の様なややズングリしたのはチビヒサゴゴミムシダマシ亜科(Adeliinae)に属す様です。
 ハムシダマシ科なのにチビヒサゴゴミムシダマシ亜科と云うのはどう見ても変です。しかし、この亜科はかつてはゴミムシダマシ科所属で、九州大学の目録でも「チビヒサゴゴミムシダマシ亜科」とされており、まだ、何方も「チビヒサゴハムシダマシ亜科」とは呼んで居ない様です。この手の科の変更に伴う和名の混乱は時として色々な分類群に生じます。例えば、ハナバエ科ではなくイエバエ科なのに、○○○ハナバエと云う和名がかなりの数ありました(現在では篠永氏が「日本のイエバエ科」で全て○○○イエバエに変更されています)。
 このヒゲブトハムシダマシの和名も、以前はヒゲブトゴミムシダマシと呼ばれて居たとのことです。一寸気になったので、保育社の甲虫図鑑より古い「原色日本昆虫図鑑(上)甲虫編」を見てみると、やはり、ゴミムシダマシ科のヒゲブトゴミムシダマシになっていました。
 まァ、そんな訳で、始めゴミムシダマシ科を調べたのも、そう見当違いでは無かった様です。
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テントウムシの様に、大顎が不明瞭で、小腮鬚は斧型
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/11)

 この藪は、通りに面した部分では頑丈な壁で隣家と隔てられています。しかし、中に入ってゆくと、何と、その御宅の庭と繋がっていました。写真の枚数が少ないのは、不審者と間違えられるといけないので、急いで帰って来たからです。

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