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2010年3月 7日 (日)

キイロクビナガハムシ(Lilioceris rugata

 この辺り(東京都世田谷区西部)に昔から生えている背の高い落葉広葉樹と云えば、武蔵野の樹とされているケヤキが目立ちますが、ムクノキもかなり彼方此方に生えています。
 ムクノキは、ケヤキとは異なり、縦に樹皮が剥がれます。今日はそのムクノキの樹皮下で越冬していたキイロクビナガハムシ(Lilioceris rugata)を紹介しましょう。「七丁目緑地」には何本かのムクノキが生えており、その内の1本です。

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ムクノキの樹皮下に居たキイロクビナガハムシ
「キイロ」と付くが、黄色ではない
頭頂部に縦溝が見える
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 キイロクビナガハムシの鞘翅は、普段は赤味の強い綺麗な色をしています(決して「キイロ」ではありません)。しかし、越冬中は部分的に黒みを帯びた赤褐色で、始めは何ハムシなのか、良く分かりませんでした。
 こう云う首の長いハムシは、ハムシ科(Chrysomelidae)内の数亜科に亘っています。しかし、鞘翅の先端が尖らず、全体的にガッチリしており、頭頂に縦溝を持ち、前胸背板が中央部で括れるのは、クビボソハムシ亜科(Criocerinae)です。
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ムクノキの根の上を歩くキイロクビナガハムシ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 九州大学の日本産昆虫目録ではクビボソハムシ亜科は27種、東京都本土部昆虫目録では14種が記録されています。保育社の甲虫図鑑を見ると、クビボソハムシ亜科には24種の図版が載っています。まァ、この辺りに珍種は居ないと思いますので、この図鑑の中に載っていると考えて良いでしょう。
 鞘翅の点刻が強く赤色系、脚は全体黒色、前胸は膨らまないと云う基準で図鑑と絵合わせすると、候補はルイスクビナガハムシ、ホソクビナガハムシ、キイロクビナガハムシの3種になりました。
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キイロクビナガハムシの顔.ハムシ類の顔はみな険悪
テレプラスを挟んで撮ったので少し解像度が高い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 鞘翅の色ではルイスクビナガハムシが一番近かったのですが、Web上の写真を見ると多くは縦に明確な3本の黒条があり、また、図鑑の図版を天眼鏡で拡大して見ると前胸背の点刻は数がずっと少ない様です。ルイスは除外しても良いでしょう。
 次に、ホソクビナガの特徴は、図鑑に拠れば「6.8-7.0mm.(中略)小楯板には細い剛毛を全面に密生する.体腹面は黒色の中・後胸側方部を除き赤褐色.肢は赤褐色の腿節基部を除き黒色・・・」とあります。
 写真のハムシは、体長8.0mm、小楯板に剛毛は見えず、腹面も腿節基部も全て黒色です(ここには載せていない写真から明らかです)。これでホソクビナガも失格となり、キイロクビナガだけが残りました。
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斜めに見たキイロクビナガハムシ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 キイロクビナガの特徴は「6.2-8.0mm.前種[ホソクビナガ]に似るが、小楯板は殆ど剛毛を欠き、触角はやや幅広く、末端節近くでは幅は長さよりわずかに狭く、前胸背板は赤褐色.頭部・触覚・体腹面・肢は全体黒色.小楯板はほとんど暗褐色」となっています。写真のハムシとほぼ一致します。・・・と云うことで、写真のハムシはキイロクビナガハムシと相成りました。
 「キイロクビナガハムシ」で検索すると、「越冬中のキイロクビナガハムシ」がかなりの数出て来ます。同定の根拠は一切書かれていないので、本当にそうなのか良く分かりませんが、今日のハムシに酷似していました。
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最初の写真とほぼ同じ.頭頂部の溝はこの方が明らか
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 上の写真のハムシは、樹皮を剥がしたときに落ちてきた為、地上に出ているムクノキの根に乗せて写真を撮りました。かなりゴミで汚れていますが、落ちてきたときに樹皮の断片が付着したのでしょう。
 実は、これらの写真を撮る1ヶ月程前に、同じ樹の樹皮下で同じキイロクビナガハムシを見付け、写真もシッカリ撮ってあるのです。しかし、露出が不足で増感したところ、かなり荒れてしまったので、掲載はしませんでした。しかし、その時の写真を1枚だけ載せることにします。アリグモと思われる幼体と一緒に居ました。ハムシにはクモの糸がかかっていて、一見死んでいる様に見えますが、チャンと生きていました。この写真を撮った後、ストロボの光に刺激されたらしく、少しずつ動き始めました。
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これまでの写真の1月前に撮ったもの
アリグモらしき幼体と同居していた
体にはクモの糸が絡んでいる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 キイロクビナガハムシは、クビボソハムシ亜科なのに、「クビボソハムシ」ではなく「クビナガハムシ」と名が付いています。図鑑を見ると、「クビナガハムシ」の名は、Crioceris属とこのLilioceris属に属す全てのハムシに付けられている様です。
 調べてみると、この2属はCriocerini族に属しており、逆にこのCriocerini族にはこの2属しかありません。Criocerini族は、「クビナガハムシ族」とでも言うべきグループなのでしょう。

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