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2010年3月26日 (金)

キンケハラナガツチバチ(Campsomeris prismatica

 先日、「四丁目緑地」に行った帰りに、今の季節としては珍しいハチを見付けました。ツチバチ科(Scoliidae)ツチバチ亜科(Scoliinae)に属すキンケハラナガツチバチ(Campsomeris prismatica)の雌です。
 「四丁目緑地」の南に「十一山市民緑地」と云う殆ど階段だけの小さな緑地があり、その入り口近くの地面を這っていました。かなり大型のハチで、体長25mm位はあります。

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越冬から目覚めたキンケハラナガツチバチの雌
体長は25mm位で、かなり大きい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 ツチバチ亜科のハチとしては、かなり以前にキオビツチバチの雄を紹介しました。しかし、この種はツチバチ族(Scoliini)に属し、このキンケハラナガツチバチの方は別族のハラナガツチバチ族(Campsomerini)に属します。
 キンケハラナガツチバチは、普通は晩夏から秋にかけて出現する虫です。今頃いるとは一寸驚きで、晩春に現れる何も形容のつかないハラナガツチバチ(北隆館の新訂圖鑑ではシロオビハラナガツチバチ)かとも思ったのですが、腹部には黄白帯が認められず、やはりキンケハラナガツチバチでした。
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地面の上を這い回るキンケハラナガツチバチ
まだ体が温まっておらず良く飛べない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 家に帰ってから北隆館の圖鑑にあるキンケハラナガツチバチの項を読むと、その長い解説の一番最後に「♀のみ越冬する」と書いてありました。今頃居てもおかしくないどころか、居なければならない存在でした。
 しかし、秋にはその数が非常に多く、セイタカアワダチソウや菊の花などには群がっていると言っても良い程沢山居るのですが、今まで春に見たことはありません。越冬の成功率が非常に小さいのでしょうか?
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腹部や胸部下側の毛は色が薄い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 この辺り(東京都世田谷区西部)に生息するハラナガツチバチ族としては、他にヒメハラナガツチバチが居ます。数はキンケよりも大部少ない様です。他に只のハラナガツチバチ(シロオビハラナガツチバチ)も居るかも知れません。この種は、北隆館の圖鑑に拠れば春から夏にかけて出現するそうで、確かに、その頃にそれらしきハチ見ることがあるのですが、まだ確認していません。
 ハラナガツチバチ族のハチは互いに良く似ていて、種の判別が難しい場合もあります。また、雄と雌で大きく形態が異なります。種や雌雄の区別の仕方は、少し前に別のWeblogで詳しく書きましたから此処では省略します(キンケハラナガツチバチの、ヒメハラナガツチバチの)。
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頭部胸部を拡大.複眼は腎臓型
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 初めて見た春のキンケハラナガツチバチは、まだ少し寒いせいか、元気は良くありませんでした。一応飛ぶことも出来なくはないのですが、20~30cmで着地してしまいます。しかし、ジッと止まっていることは少なく、歩き回って中々思う様には写真が撮れません。やがて、体が温まったのか、撮った写真をチェックしている間に、何処かに飛んで行ってしまいました。
 そんな訳で、今回撮ることの出来なかった正面と真横からの写真は、昔我が家の庭で撮ったものを使うことにしました。
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ハラナガツチバチ類は大人しい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/03/15)

 ハチに慣れ親しんでいる者には信じ難い話ですが、このキンケハラナガツチバチをスズメバチ(例えばオオスズメバチコガタスズメバチ)と間違える人が居るそうです。
 しかし、ハラナガツチバチ類は極めて大人しいハチで、これまでこの蜂に刺されたと云う人を知りません。特に雌は警戒心も少ない様で、花の上を歩いているときなど、手を出すと直ぐに乗ってきます。実は、上の写真も、撮り難い場所にハチが移動すると手を出してハチを乗せ、撮り易い場所に降ろしてからまた撮る、と云うことを繰り返して撮影しました。
 しかし、雌はチャンと毒針を持っていますから、指で摘んだりすれば刺されるでしょう。
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北米産シオンの1種の花にしがみ付くキンケハラナガツチバチ(雌)
(写真クリックで拡大表示)
(2006/10/10)

 上と下の2枚の写真はかなり前に我が家の庭で撮りました。上は北米原産のシオンの1種(孔雀草の名で売られているらしい)、下はセイタカアワダチソウの花に来たところです。何方も雌ですが、雄も勿論これらの花にやって来ます。しかし、シオンの方には雄雌共に多いのに対し、セイタカアワダチソウに来るのは殆どが雌で、雄を見ることはあまりありません。
 雌は卵を形成する為に多量の蛋白質を必要とします。それ為、雌は蛋白含量の多い花粉を食べなければならず、一方、雄の方は当分のエネルギー源となる花蜜を摂るだけで充分なのでしょう。恐らく、セイタカアワダチソウには花粉は多いが蜜は少なく、逆にシオンの方は花粉は少ないが蜜は多いのだと思います。
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キンケハラナガツチバチ(雌)の顔
(写真クリックで拡大表示)
(2008/10/20)

 ここ数日、雨模様の寒い日が続いています。今日は昼前には晴れ、午後には気温も上がるとの予報でしたが、どうも時々陽が射す程度で空気は冷たいままです。カメラを持って散歩に出掛けようと思っていたのですが、当てが外れた様です。

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