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2010年2月13日 (土)

ヤニサシガメの幼虫(5齢:越冬中)

 今日は久しぶりにカメムシを紹介します。越冬をしているヤニサシガメ(Velinus nodipes:サシガメ科)の5齢幼虫です。
 六丁目の或る駐車場に生えているヒマラヤスギの樹皮下に2頭一緒に居ました。体長は約9.5mm、図鑑に拠れば成虫の体長は12~16mmとなっています。

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ヒマラヤスギの樹皮下にいたヤニサシガメの5齢幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 腹部の結合板が金色をしている他は殆ど真っ黒です。しかし、眼の周りや体の正中線に沿って金色~白色の筋があり、また、触角の2個所と各脛節に幅広い白色輪が、良く見ると各腿節にも2個の白色輪があります。小楯板の先も白くなっています。「日本原色カメムシ図鑑」に拠ると、腹部下面にも小さい白色斑があるそうですが、写真からは見えません。
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下側の1頭を拡大.体はベトベトで樹皮片がくっ付いている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 こう云う真っ黒な虫は、写真にすると細部が黒く潰れて良く見えなくなることが多く、撮る者としては嫌な被写体です。しかし、RAWファイルを現像するとき暗部が少し明るくなる様にしていますので、多少はデコボコした感じが出ているかと思います。
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触角と腿節には2個所、脛節には1個所の白色帯がある
触角の先端節は微毛に被われている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 このヤニサシガメ、真っ黒なヤニを体に付けた様な肢体をしていますが、実際にヤニを付けているのです。触っては見ませんでしたがベトベトして居るそうで、それは体の所々に樹皮片らしきものが付着しているのでも分かります。
 埼玉県立自然史博物館の「自然史だより 第14号」に拠ると、このヤニ状物質は針葉樹の切口から分泌されるヤニで、これを脚を使って直接体に擦りつけるのだそうです。
 しかし、マツヤニの分泌部に口吻(こうふん)を刺し込んで吸収することもあり、以前言われていた様に、一部は脚にある結節状の膨らみから分泌されている可能性も、完全に否定することは出来ない様です。
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眼の周りや正中線には白~金色の筋がある
脚は非常にデコボコしている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 以前紹介した外来種のヨコヅナサシガメと少し似ています。ヨコヅナサシガメは通常広葉樹の樹幹に棲んでいますが、このヤニサシガメはヤニの出る針葉樹を住処としています。この個体はヒマラヤスギに居ましたが、WEBの情報ではアカマツやクロマツで見られることが多い様です。
 しかし、サシガメですから勿論肉食で、針葉樹の球果や枝から吸汁する訳ではありません。
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円らな眼をしていて海亀を想い出させる
サシガメにしては可愛い顔!
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 越冬は、写真でもお分かりの通り、終齢(5齢)幼虫の段階で行われ、時として群生するそうです。しかし、WEB上で写真を探してみましたが、ヨコヅナサシガメの集団越冬の様なゴチャゴチャ大集団の写真は見付かりませんでした。
 羽化は5~6月とのこと。針葉樹の樹幹に棲む虫は、広葉樹と較べるとずっと少ないので、余り探したことがありませんが、今年は少しは探してみようかと思います。

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コメント

おちゃたてむしさんへ

 大きな虫はこの辺りには余り居ないので、仕方なく小さい虫を撮ることになります。小さい虫は検索が容易でないことが多いのですが、まァ、それはそれなりに面白いです。
 始めはそれ程種の特定に関して慎重ではありませんでした。しかし、大学や農林水産省からのアクセスも多くなり、いい加減なことは書けなくなりました。また、市販の図鑑には載っていない種類を紹介することが多いので、検索の手順や文献の記載をキチンと書かないと信頼性が分かりません。結果的に専門的な話が多くなり、一般の読者には不評の様です。
 
 この町にはサクラの古木は幾らでもあるのですが、未だにヨコヅナサシガメの集団越冬は見たことがありません。一度見てみたいものです。考えてみれば、肉食性のサシガメが共食いをしないと云うのも、不思議な感じがします。しかし、何処かで読みましたが、集団を作るサシガメには、特に若齢期に於いて、自分よりもずっと大きい獲物を集団で襲って倒すそうで、その様な習性であれば、共食いをしてはかえって餌を減らすことになるのでしょう。

投稿: アーチャーン | 2010年2月15日 (月) 16時20分

はじめまして。
ブログを始めたばかりの新米です。虫関係のブログを探しているうちここに来ました。写真もいいですが、なによりも撮られた昆虫について実によく調べられていることに感服します。
私も小さい虫大好きですが、ほとんど撮るばかりで全くの勉強不足、知らないことばかりなのでとても参考になります。
とこでヤニサシガメですが、春から初夏にかけて松葉の上などでよく幼虫を見かけますが、共食いをしていることも多いようです。それに比べてヨコヅナサシガメは、孵化直後から翌年初夏に羽化する頃までほとんど一年中集団を作って暮らしていますが、完全な肉食昆虫には珍しく、これまで一度も共食いを見たことがありません。
このあたりも集団の形に影響しているのではないかと思っています。

投稿: おちゃたてむし | 2010年2月14日 (日) 22時08分

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