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2010年2月の15件の記事

2010年2月27日 (土)

ケチャタテ科の1種(Valenzuela flavidus?)

 今日は、またチャタテムシです。この黄色と茶色のチャタテムシはこの辺り(東京都世田谷区西部)では良く見る種類で以前から何度も撮っているのですが、種が分かりそうで分からず、今まで掲載を保留していたのです。
 最初の3枚は、一昨年の11月末に「四丁目緑地」と「神明の森みつ池特別保護区」との間に位置する空地(生産緑地となっているが何も生産していない)にあるミカンの木で撮影したもので、後の4枚は不動坂下の4丁目に生えているヤツデの葉裏に居たものです。

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ミカンの木にいたValenzuela flavidusと思われるチャタテムシ
体長3.2mm、翅端まで4.3mm、前翅長は3.4mm
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/30)

 その他、写真は出していませんが、「神明の森」の上に位置する「みつ池緑地」や「四丁目緑地」で見たこともあります。
 体長は3.2mm、翅端まで4.2~4.3mm、前翅長は3.4mmです。中型のチャタテムシで、翅脈相からケチャタテ科(Caeciliusidae)の1種として間違いないでしょう。
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上と同一個体.後小室が大きく、縁紋を縁取る翅脈は黄色
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/30)

 一見したところ、以前紹介した「ケチャタテ科の1種(その2)」や「チャタテムシの1種」と似ています。特に後者は前翅後縁基部や胸背が茶色をしており、今日のチャタテムシとソックリです。
 この2種に共通する特徴としては、複眼が黄色く、後小室(こちらの2番目の写真を参照)が狭く膨らんでいないこと、翅脈の色が一様であることなどが挙げられます。
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上と同一個体.複眼は褐色、触角の先端部は黒いが基部は褐色
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/30)

 しかし、今日のチャタテムシは、複眼は茶色で、後小室は大きく半月形をなし、縁紋(こちらの3枚目の写真を参照)を縁取る翅脈が鮮やかな黄色をしています。明らかに別種です。
 「富田&芳賀:日本産チャタテムシ目の目録と検索表」では、「縁紋は全体に黄色」とするとキイロケチャタテ(この文献では「Caecilius yapanus」となっていますが、現在では属が変わり「Valenzuela japanus」.なお、「yapanus」は「japanus」の誤植)に落ちます。しかし、「吉澤和徳:皇居の動物相調査で得られたチャタテムシ目昆虫」に拠ると、キイロケチャタテは「前翅を含め、体が一様に黄色を呈する」とあり、また、吉澤教授がHPに載せられているキイロケチャタテの写真を見ると、実際に殆ど全体が真っ黄色で、複眼も黄色をしています。今日のチャタテムシとは異なる様です。
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ヤツデの葉裏に居たV. flavidusと思われるチャタテムシ
体長3.2mm、翅端まで4.2mm、前翅長は3.4mm
手前はチャタテムシの卵で、この個体が産んだものらしい
暗青色のチャタテムシの卵はこれまで見たことがない
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 前述の検索表で「縁紋は全体に黄色ではない」を辿ると、Valenzuela luteovenosusV. kamakurensisV. gracilis(何れも和名なし)の何れかとなります(この内、V. gracilisの分布は北海道で、この辺りには生息しないらしい)。しかし、問題はこの検索表が些か古い(1991年)ことで、この論文ではケチャタテ科は15種(現在ではニセケチャタテ科に入れられているナガケチャタテが入っているので実際は14種)となっていますが、吉澤教授の最新のリストを見るとケチャタテ科は全部で22種で、実質8種も増えています。
 こうなると、素人としてはどうしようもありません。
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同一個体(以下同じ).胸背、触角や縁紋の色
大きな後小室など、全て最初の個体と一致する
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 しかし、「吉澤和徳:皇居の動物相調査で得られたチャタテムシ目昆虫」(2000年)を見ると、ケチャタテ科は5種しかありません。皇居は昆虫相の豊富な所で、この辺りよりも多くの種類が生息しています。逆さに云えば、この論文に載っていないチャタテムシがこの辺りにいる可能性はかなり少ないでしょう。幸いなことに、この論文には種の簡単な記述が載っています。それを読むと今日のチャタテムシに近いのはV. flavidus(和名なし)です。「前翅長約3mm、黄色中型のチャタテムシで、黒色の触角と、前翅翅脈の端半部のみが黒色を呈する点が特徴.国内からはこれが初記録となるが、広く分布する普通種である.・・・」とあります。
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何時見てもチャタテムシの顔は漫画的
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 しかし、写真のチャタテムシでは、触角の基部側半分は褐色で、前翅翅脈の端半部も黒色ではなく褐色です。今日のチャタテムシが本当にV. flavidusなのか、些か疑問を感じます。そこで写真を探すことと相成ります。幸い、このV. flavidusは全北区に分布するので、Bugguide.netにも沢山の写真が載っています。
 それらの写真を見ると、今日のチャタテムシに非常に良く似たものが相当数あります。しかし、かなりの変異が認められ、中には触角の基部から黒い個体もあり、また、縁紋を縁取る翅脈が黄色くない個体もあります。
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オマケにもう1枚
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 buguguide.netの情報がどの程度正確なのか良く分かりませんが、これらの写真を見る限り、今日のチャタテムシはValenzuela flavidusの可能性が高いのではないかと思います。しかし、確証に欠けますので、此処では「Valenzuela flavidus?」と「?」を付けておくことにしました。
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オマケの2枚目.しかし、チャタテムシは二枚目ではなく三枚目?
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 尚、吉澤論文に拠ると、1910年に岡本半次郎氏が記載したV. kamakurensisV. flavidusに極めて似ており、同種の可能性もあるとのことです。どうも、まだ日本のケチャタテ科は充分に研究されていない感じがします。今後、新種が出る可能性も高いのではないでしょうか。

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2010年2月26日 (金)

シロカネイソウロウグモ(Argyrodes bonadea)の幼体?

 今日は「三丁目緑地」に生えているタラヨウの葉裏に居たクモを紹介します。最初見付けたときは、細長い形をしていたのでチャタテムシかと思いました。しかし、眼鏡を掛けて良く見ると、クモの1種でした。かなり小さく、体長は約1.9mmです。

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タラヨウの葉裏に居たシロカネイソウロウグモの幼体(?)
脚を伸ばしてジッとして居た
(クリックでピクセル等倍)
(2010/01/15)

 写真の様に、第1歩脚と第2歩脚を揃えて前に伸ばしています。こう云う形で葉裏に潜んでいるクモとしては、アシナガグモ類(Tetragnatha属)が思い浮かびます。しかし、この仲間にはこんな銀色のクモは居ません。「日本のクモ」で探しても該当する種類は見当たりませんでした。
 銀色のクモとしてはギンメッキゴミグモが有名ですが、体の形が一寸違う感じです。しかし、ギンメッキゴミグモ成体の体長は5mm位ありますから、体長1.9mmでは相当に若い幼体と云うことになり、それならば、成体とかなり外見が違うかも知れません。そこでクモの掲示板「クモ蟲画像掲示板」に「ギンメッキゴミグモの幼体でしょうか?」と御伺いを立ててみました。
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ストロボの光に驚いて脚を縮めた
何故か、体が少し傾いている
(クリックでピクセル等倍)
(2010/01/15)

 早速、サイトの運営者きどばんさんが対応して下さいました。腹部の形状がギンメッキゴミクモとは異なり、「パッと見ではシロカネイソウロウグモ幼体といった印象を受けます.サイズがわかりませんが・・・♂の亜成体かもしれません.触肢がよく見えないので、あまり自信はありません」との御話でした。
 シロカネイソウロウグモ成体の写真を見ると、一寸印象が違います。しかし、幼体の写真は、Web上を探しても見付かりませんでした。クモに疎い私としては、何とも"no idea"です。クモに詳しいきどばんさんに従い「シロカネイソウロウグモ(Argyrodes bonadea)の幼体?」と「?」を付けておくことにします。
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その後、姿勢を徐々に戻し、垂直になった
正面から見ても頭は隠れてよく見えない
(クリックでピクセル等倍)
(2010/01/15)

 イソウロウグモと云うのはヒメグモ科(Theridiidae)の1グループで、多くは体長5mm以下と小型、他の種類のクモが張ったクモの巣に忍び込み、巣の主が捕らえた獲物を盗み食いしたり、主が顧みない小さな獲物を食べたりします。いわゆる労働寄生と云うヤツです。一つの巣に複数のイソウロウグモが居ることも多く、文一総合出版の「日本のクモ」に拠ると、このシロカネイソウロウグモは、ジョロウグモの網に70個体も居た記録があるそうです。なお、イソウロウグモの仲間には、他のクモを襲う蜘蛛食性の種類も居ます。
 イソウロウグモが居候せずに葉裏でジッと大人しくして居たことになります。しかし、居候を生業とするものとしては、寄主となるクモ(特にジョロウグモ)の居ない時期には、こうする以外手がないのかも知れません。
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横から見たシロカネイソウロウグモの幼体(?)
(クリックでピクセル等倍)
(2010/01/15)

 最近は小さなクモを撮ることが多くなりました。以前は、どうせ撮っても種類が分からないだろうと思って撮らなかったのですが、撮ってみると結構面白いものです。しかし、種類を調べるには文献が不足しています。やはり、東海大学出版会の高~い「日本産クモ類」が必要な様です。

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2010年2月23日 (火)

ムツボシテントウ(Sticholotis punctata

 今年撮ったネタも残り少なくなりましたので、昨日、集団越冬中のヒメコバネナガカメムシの撮影を兼ねて「七丁目緑地」へ写真を撮りに行って来ました。カメムシの他にも色々収穫がありましたが、今日は写真の調整の関係で、その帰りに撮った小さなテントウムシを紹介することにします。
 テントウムシ科(Coccinellidae)メツブテントウ族(Sticholotidini)のムツボシテントウ(Sticholotis punctata)です。体長は2.2mmですから、ヒメテントウ級の大きさと言えます。しかし、ヒメテントウ類とは異なり、かなり丸い形をしています(ヒメテントウ類は少し細長い)。

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ケヤキの樹皮に居たムツボシテントウ
樹皮の間に頭を突っ込んでいる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 「七丁目緑地」から今まで通ったことのない裏道(昔はこの辺りは畑か林でした)を歩いて帰ったのですが、その途中に大きなケヤキの樹があり、その樹皮下に居ました。
 最初の写真は樹皮の剥がれた側に居た個体で、頭を樹皮の隙間に突っ込んでいます。これでは頭が見えないので、その上に被さっている部分を取ろうとしたら、そのショックでテントウムシが撥ね跳んでしまい、それっきり行方不明になってしまいました。
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ムツボシテントウ.体長2.2mmと非常に小さい
2倍のテレプラスを使って倍率を上げている
上下逆さまだが撮影中は分からなかった
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 次の写真は別個体で、樹皮を剥がしたときに落ちてきて、樹皮の窪みに引っ掛かった個体です。窪みにはまったままでは写真が撮れないので、小さめの丸石の上に乗せて撮影しました。頭の位置が分からず、写真は上下逆さまです。
 今回はいつもとは異なり、2倍のテレプラスを挟んで撮ったので、少し倍率が上がっています。本来は倍率も2倍になる筈なのですが、ピクセル単位の解像力が低下するので、解像力は2倍にはなりません。まァ、精々1.5倍程度です。
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横から見たムツボシテントウ.頭が良く見えない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 メツブテントウの「メツブ」の意味は良く分かりません。小さい種類が多いので、「米粒」が訛って「メツブ」になったのでしょうか?
 このメツブテントウ族の特徴は、背面は無毛で光沢があり、頭楯がクチビルテントウの様に複眼の下に唇状には拡がらず(普通の形)、小顎鬚(口器の一部で触角の他に見えるやや長い構造、テントウムシ族では斧型をしている.ナナホシテントウの最後の写真を参照)の先が細長い尖った三角錐の様な形をしていて、且つ、触角の先端が普通の形(団子を3つ押し付けた様な形)をしていることです(「テントウムシの調べ方」に拠る)。
 今日のムツボシテントウの場合は、小顎鬚や触角は見えませんが、赤地に6つの黒斑(1-1/2-1-1/2)があるテントウムシは、ムツボシテントウのみです(イセリアカイガラムシの天敵として豪州から導入されたベダリアテントウが少し似ています)。
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略正面から.顔は赤い、脚や腹面も赤いとのこと
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 このムツボシテントウ、冬の間はケヤキの樹皮下で良く見られる普通種ですが、暖かい季節に何をしているのかは良く分からないのだそうです。また、保育社の甲虫図鑑に拠ると、雌しか見付かっていないので、単為生殖をすると考えられているとのことです。
 一方、昆虫を始めとする節足動物のサイトとして有名な「虫ナビ」を見ると、「本種はカイガラムシを食べる益虫であるが、採集例のほとんどが越冬個体であり、実際に活動している本種の目撃例がほとんどなく、生態には謎が多い.管理人の想像では、恐らく本種は山地性で、越冬の時にだけ比較的暖かい平地に来るのではないかと思っている」とあります。もし山には雄が居ても、越冬前に交尾するのならば、雄はその後じきに死んでしまい、平地に移動するのは雌のみとなり、結果として雄は平地では見つからない、と云うことなのかも知れません。
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斜めからみたムツボシテントウ.隙間がない
撮影している間、全く動かなかった
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/22)

 テントウムシ類は、腹面から見ないと分からない特徴が幾つかあります。そこで、テントウムシが動かないのを幸い、これをひっくり返して撮ってやろうと思いました。ピンセット等の道具が無いので、弾力のない極く細い木の枝で細心の注意を払ってやったのですが、やはり小石から下の草むらに滑り落てしまい、この個体もまた行方不明と相成りました。背面からの写真が上下逆さまなので撮り直すつもりだったのですが、これも出来ず仕舞いに終わってしまいました。

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2010年2月21日 (日)

コカニグモ(Coriarachne fulvipes

 今日は、また樹皮下にいたクモを紹介します。カニグモ科(Thomisidae)のコカニグモ(Coriarachne fulvipes)です。「七丁目緑地」のケヤキの樹皮下にかなりの数居ました。先日掲載したクダアザミウマ科の1種が居たのと同じ樹で、撮影したのも同じ日です。

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ケヤキの樹皮下にいたコカニグモ.ズワイガニのお尻に袋を付けた様
体長2.3mmなのでまだ幼体らしい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 沢山居たので3個体撮影していますが、体長は何れも2.3mm前後です。文一総合出版の「日本のクモ」に拠ると、コカニグモの体長は、雌で4~5mm、雄は3~4mmとありますので、まだ幼体の様です。色も全体的に成体よりかなり薄くなっています。
 しかし、個体により色の濃さがかなり違います。雌雄の違いなのかも知れません。
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別個体、最初の個体に比してかなり色が黒い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 以前紹介した、やはりケヤキの樹皮下に居たキハダカニグモはハナサキガニ(花咲蟹)に似ていましたが、このコカニグモはズワイガニのお尻に袋を付けた様な感じです。
 実際に見ていて、このクモほどカニを感じされるクモは少ないのではないでしょうか。走り方(歩き方)も、海岸で忙しく走り回る小型の蟹を思わせる様な、チョコマカした走り方です。
 樹皮下に容易に入り込める様に体は非常に扁平で、その点でも蟹に良く似ています。キハダカニグモは色に関しては蟹的ではありませんでしたが、このコカニグモは色でもかなりズワイガニに似ています。
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これも別個体で少し小型.色が薄い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 コカニグモ?(Coriarachne)属は小さな属で、谷川明男氏の「日本産クモ類目録」ではこのコカニグモ1種のみ、また、「Encyclopedia of Life」を見ると全世界で5種しか居ない様です。
 コカニグモの分布は、「ZipcodeZoo.com」に拠れば日本と朝鮮半島となっています。しかし、日本の図鑑を見ると北海道は含まれていません。なお、保育社の図鑑には、キアシコカニグモ、キアシカニグモ、コキハダカニグモの別名があると書いてあります。しかし、脚は黄色くはないですね。
 形態的な特徴としては、蟹的であることの他に、腹部に年輪の様な皺があることが挙げられます。これはかなりハッキリとしており、且つ、他の種には無い特徴なので、コカニグモを見分ける有力な手掛かりになります。
 習性に関しては、文一総合出版の図鑑にある解説を読むと、「神社、寺院、樹林地のスギ、マツなどの樹皮下に潜む.夜間になると樹皮下から出て、樹皮面や枝葉間、草間を歩き回って獲物を探す」となっています。
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上と同一個体.前側眼が一番大きい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 クモには普通4対8個の単眼があります。前中眼、前側眼、後中眼、後側眼の4対です。このコカニグモでは、前中眼と後中眼は小さく中央に纏まっており、前側眼が大きく前を向いています。後側眼もやや大きく、左右にかなり離れて位置し、側方を向いている様に見えます。
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最初の写真と同一個体.ズワイガニに似ている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 実は、このケヤキの樹に一番沢山居たのはヒメコバネナガカメムシです。相当の数が集団で越冬していました。この小型のカメムシは既に紹介済みなので全く撮影しなかったのですが、今、昔の記事を見てみると写真がたった2枚しかありません。まだ、同じ所にいると思いますので(剥がしていない樹皮がまだ沢山残っています)、もう一度行って集団越冬しているところを撮って紹介し直そうかと思っています。

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2010年2月19日 (金)

ヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus

 以前「チャタテムシの1種(その2)」として掲載した虫の種類が分かりました。その時は、翅が少し歪んだ個体でしたし、写真も余り高精度ではなかったので、もう一度改めて紹介することにします。

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「四丁目緑地」のトウネズミモチの葉裏に居たヨツモンホソチャタテ
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 この冬、「四丁目緑地」ではこのチャタテムシが多く、アオキやトウネズミモチの葉を探せば必ず複数の個体を見付けることが出来ました。僅か数cm離れている所に2頭居たり、普通は葉裏に居るはずなのが翅表に居たりすることもありました。大きさはやや小さめで、体長3mm弱、翅端まで4mm弱、前翅長は約3mmです。
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横から見たヨツモンホソチャタテ(別個体)
翅脈については次の写真を参照
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 先ず、このチャタテムシの科を調べる必要があります。北隆館や保育社の図鑑にある検索表では非常に細微な特徴が問題となるので、残念ながら検索は出来ません。そこで、簡便法?を採って先ず翅脈を見てみましょう。上の写真に示した様に、前翅の縁紋とRs脈の間に横脈が1本あり、また、後小室とM脈との間にも横脈があります(下図参照)。
 この様な翅脈を持つのはホソチャタテ科(Stenopsocidae、例えばこちら)です。何分にも、検索表を辿ったのではありませんから、他の科にはこの様な横脈を持つ種類は全く居ないと云う確証はありません。しかし、北海道大学農学部の吉澤和徳準教授が執筆された「Morphology of Pscocomorpha(チャタテ亜目の形態学)」(ダウンロード出来ます)に載っている外国産を含めた25科の翅脈図を見てもこの様な横脈があるのはホソチャタテ科だけです。些か不安がありますが、ホソチャタテ科と云うことにして以降の検索を進めてみましょう。
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上の写真に説明を入れた.前翅の縁紋とRs脈の間
また、後小室とM脈との間にも横脈が1本ある
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 1991年に書かれた「富田&芳賀:日本産チャタテムシ目の目録と検索表」ではホソチャタテ科には7種が所属しています。一方、吉澤準教授のHPにある「Checklist of Japanese Psocoptera」を見ると、同じく7種ですが、種の構成は大部変わっています。特に、縁紋とRs脈との間に横脈を持たない、ホソヒゲチャタテ(Kodamaius brevicornis)とマダラヒゲナガチャタテ(Taeniostigma ingens)はホソチャタテ科には見当たりません。吉澤準教授のリストには和名が附記されていないので、学名で所属を調べてみると、何故か両種ともリストには載っていません。しかし、「Psocodea Species File Online」と云うチャタテムシ専門のサイトを参照すると、何方もケブカチャタテ科に属しています。この辺りの事情は全く分かりませんが、今日のチャタテムシは縁紋とRs脈の間に横脈がありますので、これらの事情は今日のチャタテムシの検索とは関係ないと思います。気にしないことにしましょう。
 また、吉澤準教授のリストには、新たに2種がホソチャタテ科に加わっていますが、2種とも北方領土に分布する種です。これも気にする必要はありません。
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動き回って写真が撮り難いので松の幹に移して撮影
本来の生息環境ではない(最初の写真と同じ個体)
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 そこで写真のチャタテムシはホソチャタテ科として、前掲の論文にあるホソチャタテ科内の検索表で種を調べてみます。すると・・・、「縁紋はRs脈と横脈で結合する」→「後小室と中脈(M脈)の間の横脈は短い.前翅には目立った斑紋がある.前翅長は約3.0mm」となり、2段目でGraphopsocus cruciatus(ヨツモンホソチャタテ)に落ちてしまいます。後小室と中脈の横脈が短いか否かは見方によって異なるかも知れませんが、2段目の反対は「後小室と中脈の間の横脈は長い.前翅には縁紋を除いて目立った斑紋はない」ですから、その可能性は全く無く、ヨツモンホソチャタテで決まりとなります。
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自分で張った網の下で越冬している(別個体)
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 ヨツモンホソチャタテは北隆館の圖鑑にも、保育社の図鑑にも載っていません。そこで、Web上で検索すると、僅かですが、ヒットしました。写真のチャタテムシとソックリな虫の写真がありました。しかし、ヒットした件数は余りに僅かですし、同定の根拠が書かれていないので心配が残ります。
 こう云う時は学名で検索してみます。「Graphopsocus cruciatus」で検索すると・・・、ワンサと出て来ました。先の「Psocodea Species File Online」で分布を調べてみると、東南アジアから中東を除く、殆ど全世界に分布している様です。
 ヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)で間違いないでしょう。
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アオキの葉裏に居た(2、3番目の写真と同一個体)
白いのは黴で、越冬中も餌を食べているらしい
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 前述の様に、日本にはホソチャタテ科が7種棲息しているとのことですが、「Borror & Delong:Introduction to the Study of Insects」を見ると、アメリカ合衆国に棲息するホソチャタテ科は1種のみで、それがこのヨツモンホソチャタテだそうです。「多分ヨーロッパから移入されたものであろう」と書かれています。
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正面から見たヨツモンホソチャタテ(上と同一個体)
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 実は、まだ紹介していないチャタテムシが何種かあります。どうも種類が良く分からないので掲載を躊躇しているのですが、これ以上調べても分かる可能性は少ないので、近々紹介することにしましょう。

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2010年2月17日 (水)

ヒメホソバエ科のAsteia sp.

 今日は時間が無いので、一昨年の秋に撮った使える写真が1枚しかないハエを紹介します。背側から撮った後、直ぐに逃げられてしまいました。体長2.1mm、翅端まで3.2mm、翅長は2.4mmの小さなハエです。ファインダーを覗いている間に逃げられたら、2度と見付けることは出来ません。
 ヒメホソバエ科(Asteiidae)と云う非常に小さな科に属します。九州大学の日本産昆虫目録を見ると、ヒメホソバエ科にはAstiosoma okinawae(和名なし)1種しか載っていません。しかし、2003年に末吉昌宏氏が、これまで日本では未記録であったAsteia属の既知種2種と新種4種を報告(Eur. J. Ent. 100:609-623,2003)され、現在では2科7種となっている様です。なお、この論文を見ると、関東・山梨県でも3種が採集されていますが、東京都本土部昆虫目録ではヒメホソバエ科は空欄になっています。

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菊の枯葉に留まるヒメホソバエ科のAsteia sp.
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/25)

 実はこの写真のハエは、その正体がず~と分からなかったのです。写真は七丁目の家庭菜園に植えられている菊の枯葉に留まったところです。下地が枯葉なのでゴチャゴチャしていて翅脈は不明瞭ですし、頭部胸部の大半は真っ黒で剛毛の存在は殆ど分かりません。これでは検索のしようがありません。
 ところが先日、重要な情報が「いもむしうんちは雨の音」のHPで有名なAcleris氏からやって来ました。氏が昨年採取されたヒメホソバエ科に属すAsteia sp.が、私がかなり以前に双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」に載せた正体不明のハエとソックリであることを知らせて下さったのですが、実はそのハエはこの写真のハエともっとよく似ていたのです。
 ヒメホソバエ科の大きな特徴は、この手のハエでは翅端近くまで伸びる筈のR2+3脈が異常に短いことです。普通のSc脈よりももっと短いのです。上の写真では良く分かりませんが、これとは別の翅だけはもう少し綺麗に撮れている写真を見ると、それらしきR2+3脈が見えます。R2+3が異常に短く、また、M脈が分岐しないので、翅端近くに達する翅脈はR4+5脈とM脈の2本だけです。Cu脈も分岐しません。
 また、Asteia属ではm-cu横脈がありません(Astiosomaには有ります)。写真では些か不明瞭ですが、m-cu横脈はない様に思えますので、写真のハエはAsteia sp.とすることにしました。
 「The European Families of the Diptera」の解説を読むと、この科の幼虫は種類により腐食や菌類、或いは花などを食べる様で、樹皮下に見られることもあるそうです。

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2010年2月15日 (月)

クダアザミウマ科の一種(カキクダアザミウマ?)

 今日はまたケヤキの樹皮下に居た虫を紹介します。アザミウマの1種、今まで樹皮下では見たことのない虫です。
 「七丁目緑地」に生えているケヤキの樹皮下に居ました。

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ケヤキの樹皮下に潜むクダアザミウマの1種(カキクダアザミウマ?)
その左側と右側に種類の異なるトビムシが居る
左上の黄色い楕円形のは多分ダニの1種
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 最初の写真は少し倍率を低くして、周りにいた虫も一緒に示すことにしました。真ん中の真っ黒なのがアザミウマで、体長は反り返っているので正確には分かりませんが3mm弱、その左にいる薄い縞模様のはトビムシで、以前紹介した「トビムシの1種」と同じ種類ではないかと思います。このトビムシの体長は1.0mm、右下に居る暗灰青色のもトビムシの1種で体長0.8mm、左上に黄色い楕円形の虫が2匹ボケて写っていますが、これは恐らくダニでしょう。体長は0.3~0.4mm程度。
 こんな風に、樹皮下には極く小さな色々な生き物が潜んで居ます。しかし、メガネを掛けても肉眼で見分けられたのは黒いアザミウマと暗灰青色のトビムシだけで、他は家に帰って写真を拡大してから漸く気が付きました。
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体長は反り返っているので良く分からないが3.0mm弱
翅には羽毛状の長い縁毛がある.前腿節が太い
翅は淡褐色、白く見えるのは反射による
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/19)

 アザミウマは総翅目(アザミウマ目)に属する虫の総称で、多くは体長1.5mm以下、しかし、中には写真のアザミウマの様に3mm位の種類もかなり居ますし、もっと大きなアザミウマも知られています。
 全農教の「農作物のアザミウマ」に拠ると、世界で2亜目8科約5000種が記録されており、日本にはその内の2亜目4科200種前後が棲息するとのことです。
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前脚の先端部は多少色が薄い様に見える
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/19)

 この2亜目とは、クダアザミウマ亜目とアザミウマ亜目のことです。「農作物のアザミウマ」の検索表に拠ると、前者は「腹部第10節は管状をなし、その先端に付着する環状小板から長刺毛が生える。前翅は微刺と翅脈刺毛ともに欠き、周縁毛は幕状部から直接生じる(後略)」とあり、後者は「腹部第10節は管状をなさず、背板中央から長刺毛が生える。前翅は微刺と翅脈刺毛を備え、周縁毛は小さな受け口から生じる(後略)」となっています。
 何分にも虫が小さいので、良く分からないのですが、最後の2枚の写真を見ると腹部の先端は管状に近く、また、前掲書の図に描かれた前翅を見ると、どうもこのアザミウマはクダアザミウマ亜目に属す様です。
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触角第1~2節は色濃く、第3~5節は明るく、第6節はやや暗く
第7~8節は色濃い様に見えるがハッキリしない
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/19)

 クダアザミウマ亜目はクダアザミウマ科(Phlaeothripidae)1科からなり、「日本産アザミウマ文献・寄主植物目録」では107種(1988年)、九州大学の日本産目録では94種、東京都本土部昆虫目録では40種の記録があります。
 「農作物のアザミウマ」には、「主要属および種の検索表」もあるのですが、この写真では細微な構造は分からず、検索は一寸無理です。
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ほぼ真上から撮ったクダアザミウマの1種
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/19)

 そこで絵合わせになるのですが、「農作物のアザミウマ」にはクダアザミウマ科は僅か7種しか載っていません。この本は農業害虫としてのアザミウマを扱っている訳ですから、まァ、仕方がないでしょう。
 この7種の中ではカキクダアザミウマ(Ponticulothrips diospyrosi)が一番よく似ています。解説から写真である程度判別の付く部分を切り出すと「(雌は)体長約3.1mm。一様に黒ないし黒褐色、但し各脚の付節と前脚の脛節の先端1/3は明るい。逆に尾管はより暗い。触角第1,2節は黒褐色で、第2節の先端部から第6節の中央付近までは淡褐色、第6節後半はくもる。第7節の基部1/3は淡褐色で、第7節の他の部分と第8節は褐色である。主な刺毛と翅の総毛は淡褐色(中略)。頭部は長さが幅より長く5/4倍。(中略)尾管は頭長より短く、中央部でわずかにくびれている」とあります(なお、Wikipediaの「アザミウマ」に載っているカキクダアザミウマの写真は、画像検索すると色々な所で使用されている様ですが、上記の特徴とは悉く一致しません)。
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暗灰青色のトビムシとアザミウマの御対面
触角がトビムシに殆ど触れている
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/19)

 写真と比較すると、一致する写真もありますが、違う様に見える写真もあります。最後の写真などでは触角の第1~3節が黒褐色の様に見えますが、触角は全部で8節しかないので、これは第2節が2つに分かれて見えているのだと思います。
 「農作物のアザミウマ」にある同種の分布図を見ると、東京都はその範囲に含まれていません。しかし、東京都本土部昆虫目録を見ると皇居で記録がありますから、この辺り(東京都世田谷区西部)に居てもおかしくはありません。また、この種は6月に羽化し、その後はカキ、アカマツ、ヒノキ、クヌギ等の粗皮間隙に潜伏し、そのまま越冬するそうです。カキクダアザミウマとすれば樹皮下に潜んでいたのも不思議ではありません。樹皮下で成虫越冬するアザミウマは余り多くないと思います。
 写真は解像度不足で、写真のアザミウマをカキクダアザミウマとするには不充分です。しかし、「クダアザミウマ科の1種」では些か寂しいので、状況証拠を含めて「カキクダアザミウマ?」と「?」を付けて種名を出しておくことにしました。但し、これはあくまで参考の為です。
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触角の第1~3節が色濃い様に見えるが

第2節が2つに見えるのだと思う
(写真クリックでピクセル等倍)
(2010/01/19)

 アザミウマはコナジラミ、キジラミ、アブラムシ等と並んで、微小ではあるが甚大な被害をもたらす吸汁性の害虫として知られています(アザミウマの中には、葉や球根を食害するもの、花粉食性、食菌性、更には捕食性の種類も居ます)。
 しかし、興味深いことに、アザミウマ類が重要な農業害虫として登場したのは昭和40年代からで、それ迄はイネアザミウマなどの2~3種が謂わば二流の害虫として知られていただけだそうです。その理由は確実には分かりませんが、化学合成殺虫剤の多量使用に因って引き起こされた生態系の攪乱、薬剤抵抗性の獲得、また、以前使われていた強力ではあるが危険な農薬の使用禁止措置などが、複雑に入り組んで生じた現象だと思われます。また、社会が豊かになるにつれて、昔は気にしなかった様な農作物の微細な欠陥(アザミウマに因る小さな損傷)が現在では大きな問題になることも関係している様です。
 アザミウマは微小でしかも細長く、一般には殆ど目に付くことの無い虫です。しかし、私の知っている限り、一つだけハッキリ目に見える場合があります。6月から7月にかけて咲くクチナシの花に集るアザミウマです。これらについては別のWeblogで紹介していますので、興味ある読者はこちらを御覧下さい。

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2010年2月13日 (土)

ヤニサシガメの幼虫(5齢:越冬中)

 今日は久しぶりにカメムシを紹介します。越冬をしているヤニサシガメ(Velinus nodipes:サシガメ科)の5齢幼虫です。
 六丁目の或る駐車場に生えているヒマラヤスギの樹皮下に2頭一緒に居ました。体長は約9.5mm、図鑑に拠れば成虫の体長は12~16mmとなっています。

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ヒマラヤスギの樹皮下にいたヤニサシガメの5齢幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 腹部の結合板が金色をしている他は殆ど真っ黒です。しかし、眼の周りや体の正中線に沿って金色~白色の筋があり、また、触角の2個所と各脛節に幅広い白色輪が、良く見ると各腿節にも2個の白色輪があります。小楯板の先も白くなっています。「日本原色カメムシ図鑑」に拠ると、腹部下面にも小さい白色斑があるそうですが、写真からは見えません。
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下側の1頭を拡大.体はベトベトで樹皮片がくっ付いている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 こう云う真っ黒な虫は、写真にすると細部が黒く潰れて良く見えなくなることが多く、撮る者としては嫌な被写体です。しかし、RAWファイルを現像するとき暗部が少し明るくなる様にしていますので、多少はデコボコした感じが出ているかと思います。
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触角と腿節には2個所、脛節には1個所の白色帯がある
触角の先端節は微毛に被われている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 このヤニサシガメ、真っ黒なヤニを体に付けた様な肢体をしていますが、実際にヤニを付けているのです。触っては見ませんでしたがベトベトして居るそうで、それは体の所々に樹皮片らしきものが付着しているのでも分かります。
 埼玉県立自然史博物館の「自然史だより 第14号」に拠ると、このヤニ状物質は針葉樹の切口から分泌されるヤニで、これを脚を使って直接体に擦りつけるのだそうです。
 しかし、マツヤニの分泌部に口吻(こうふん)を刺し込んで吸収することもあり、以前言われていた様に、一部は脚にある結節状の膨らみから分泌されている可能性も、完全に否定することは出来ない様です。
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眼の周りや正中線には白~金色の筋がある
脚は非常にデコボコしている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 以前紹介した外来種のヨコヅナサシガメと少し似ています。ヨコヅナサシガメは通常広葉樹の樹幹に棲んでいますが、このヤニサシガメはヤニの出る針葉樹を住処としています。この個体はヒマラヤスギに居ましたが、WEBの情報ではアカマツやクロマツで見られることが多い様です。
 しかし、サシガメですから勿論肉食で、針葉樹の球果や枝から吸汁する訳ではありません。
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円らな眼をしていて海亀を想い出させる
サシガメにしては可愛い顔!
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/19)

 越冬は、写真でもお分かりの通り、終齢(5齢)幼虫の段階で行われ、時として群生するそうです。しかし、WEB上で写真を探してみましたが、ヨコヅナサシガメの集団越冬の様なゴチャゴチャ大集団の写真は見付かりませんでした。
 羽化は5~6月とのこと。針葉樹の樹幹に棲む虫は、広葉樹と較べるとずっと少ないので、余り探したことがありませんが、今年は少しは探してみようかと思います。

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2010年2月11日 (木)

オビモンハナゾウムシ(Anthonomus rectirostris

 冬になってからは、樹皮下に居る生き物を色々紹介して来ましたが、その樹種はケヤキとプラタナスに限られていました。しかし、この町の緑地や道路沿いに植えられている樹の中で、樹皮を剥がすことが出来、且つ最も沢山植えられている樹は桜です。成城の桜並木は世田谷百景にも入れられている位ですから、沢山植えられているのは当然でしょう。
 しかしそれ故に、この町で生まれたものとしては、何となく皮を剥がすのに抵抗があります。また、人目に付かない様に一寸剥してみても、これまでに虫を見付けたことがありません。最近は薬剤散布もしていないと思うのですが・・・。
 ところが、先日、チリグモを撮影した帰りに一寸剥がしてみたところ、一回目でゾウムシが出て来ました。体長5mm(吻を含めず)もあるやや大きめのゾウムシです。

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サクラの樹皮下に居たオビモンハナゾウムシ、見付けた直後
体長は吻を含めないで5mmとやや大型
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 ゾウムシと云うのも一寸厄介な連中です。一般にはゾウムシ上科に含まれるミツギリゾウムシ科、ホソクチゾウムシ科、ゾウムシ科、オサゾウムシ科の4科に属す虫をゾウムシ(象虫)と呼びます。しかし、ゾウムシと付いてもマメゾウムシ類はハムシ上科ハムシ科のマメゾウムシ亜科所属ですし、ゾウムシ上科にはオトシブミやチョッキリ(何れもオトシブミ科)、更にはキクイムシ科やナガキクイムシ科も含まれます。
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ゆっくりと歩くオビモンハナゾウムシ
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 「正しい」ゾウムシ4科の内、ミツギリゾウムシ科は細長い体形で見分けが付きますし、ホソクチゾウムシ科とオサゾウムシ科も種類数は少ないし、特徴のある種が多いので何とかなります。写真のゾウムシは明らかにこの3科ではなく、ゾウムシ科に属します。
 問題はこのゾウムシ科です。保育社の甲虫図鑑第4巻には、443種もの図版が載っているのですが、亜科や族への検索表がありません。そこで仕方なく絵合わせをすることになります。写真と図版を延々と見比べたのですが、それらしき種は遂に見付かりませんでした。
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前腿節は太く、2個の歯状突起がある
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 図版の写真は絵合わせをするには些か小さ過ぎる様です。そこで、小島弘昭氏の「日本産ゾウムシデータベース」で探してみました。このサイトは妙に凝ったサイトで、些か探し難いのですが、幸い直ぐにそれらしき種を見付けました。オビモンハナゾウムシ(Anthonomus rectirostris)です。6枚の充分に大きな写真があり、また、他のサイトの写真も比較してみましたが、間違い無いと思います。
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此処からは、謂わば連続写真.動作が遅いので撮り易い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 保育社の図鑑をもう一度見ると、チャンとありました。図版はやや光沢がある様に見えたので違うと思ってしまったのです。しかし、前腿節にある2個の大きな歯状突起はハッキリ写っていました。
 解説を読むと、旧北区に広く分布する種類の様で、「ヤマザクラ・オウトウなどの実を加害する」とありました。どうやら、成城名物のサクラの樹になる果実を食べて育った虫の様です。
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上の写真の3秒後、殆ど進んでいない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 このサクラの実は、6月頃に黒に近いほど濃い赤紫色に熟します。私が子供の頃は、商店街の子供達がこれを「サクランボ」と称して食べ、口を紫色にしていたのを想い出します。
 今ではこの「サクランボ」は鳥の餌として重要な位置を占めています。10年ほど前から成城にも定住している、ワカケホンセイインコ(勿論外来種)が特にこれを好みます。昔は田園調布の辺りに居て、「サクランボ」の季節になると成城までこれを食べに出張して来たものです。
 最近は、ハシブトガラスもこれを食べている様です。カラスが、この手の果実を食べることは余りないと思うのですが・・・。
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2秒後.ゆっくりと右へ方向転換
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 ゾウムシは夏でも動作が緩慢です。しかし、寒くなっても歩く速度は余り変わらない様です。写真を撮っている間は、樹皮の隙間などに入り込まない様、適当にチョッカイを出したりしていましたが、撮影後放免してやると、ゆっくりと樹皮の間に入ってゆきました。
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更に5秒後.こう動きが遅いと余裕を持って撮影できる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 今日はこれから一寸出掛けます。今日の更新は、辛うじて間に合いました。

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2010年2月 9日 (火)

プラタナスグンバイ(その2:集団越冬中)

 これまでプラタナスの樹皮下に居た生き物として、チリグモハイイロチビフサヤスデを紹介しました。しかし、居ておかしくない、或いは、居るはずの虫が見当たりませんでした。
 3年前の秋に掲載したプラタナスグンバイCorythucha ciliate:グンバイムシ科)です。プラタナスの樹皮下で集団越冬すると聞いていたのですが、1頭も見付かりませんでした。

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プラタナスグンバイ.成城学園大学正門のイチョウ並木の続きに
植えられているプラタナスの樹皮下にいた.100頭近く居る
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/08)

 最初に調べたのは七丁目の成城学園高校の前に街路樹として植えられている数本のプラタナスです(この通りに植えられている街路樹の大半はユリノキ)。そこで、別の日に成城学園大学正門のイチョウ並木の続きにあるプラタナス(六丁目)を調べてみました。
 居ました、居ました。それも相当な数です。
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同じ樹の別の場所.90頭前後は居る
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/08)

 プラタナスの樹皮は、ケヤキの樹皮に似て、普通は薄く剥がれます。その薄く剥がれた(剥がした)部分(最初の2枚の写真)にも沢山居ましたが、少し病変した様な裂け目状の部分(下)にも固まって越冬していました。
 部分的には折り重なって越冬しています。正確な数は分かりませんが、印象として、樹1本当たり数1000頭は居る感じです。
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病変した様な裂け目状の部分に固まって越冬している
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/03)

 3年前に掲載したときは、プラタナスグンバイの寄生はそれ程酷くはなかったと記憶しています。そこで、かなり呑気に「アワダチソウグンバイとは異なり、プラタナスグンバイで樹が枯れたと言う話は聞きません。また、吸汁性昆虫に良く見られるウィルスを媒介すると言う話も無い様です。グンバイムシを殺す為に強力な殺虫剤を使って、周囲の生態系にまで影響を及ぼすよりは、そのままにしておいた方が良いのかも知れません」等と書いていました。しかし、最近ではかなり猛威を振るっています。8月頃から葉が黄色に変色し始めます。
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2番目の写真の左上を拡大。折り重なっている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/08)

 樹1本当たり数1000頭も越冬しているのでは、今年は春からかなりの被害が出そうです。世田谷区にプラタナスグンバイの駆除に関して問い合わせをしてみましょう。
 しかし、小田急線の成城学園駅前北口に植えられている数本のプラタナスでは、プラタナスグンバイは見付かりませんでした。駅前のプラタナスは毎年酷く寄生されていますから、或いは、区の方で既に殺虫剤を撒いたのかも知れません。
 なお、プラタナスグンバイは北米原産の帰化種(外来種)です。虫自体についての話は既に書きましたので、今回は省略します。
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数頭のプラタナスグンバイを拡大.
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/03)

 3年前に掲載したときは、虫の拡大率が余り高くありませんでした。そこで、今回はもう少し倍率を上げ、また、見やすい様に明るめに、且つコントラストを少し高くしました。拡大し過ぎて粗い像になってしまった様ですが、連続4枚張ることにします。
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3年前の写真は些か倍率が低かったので、今回は拡大率を
高くした.翅端まで4mm弱、外骨格は脆く壊れ易い
この個体は胸部と左前翅の先端付近が壊れている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/03)

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この個体も右前翅先端が欠けている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/03)

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斜め横から見たプラタナスグンバイ
横から見ると吻は丸くなっている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/03)

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略正面から見ると、吻は尖っている
(写真クリックで拡大表示)
(2010/02/03)

 3日連続で更新しました。最近では奇跡に近いくらい珍しいことです。しかし、明日は外出せねばならず、更新は一寸無理でしょう。

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2010年2月 8日 (月)

チリグモ

 樹皮下には越冬中の昆虫の他、様々なクモ類が潜んでいます。これらのクモは、本来は別の所にいて越冬のため樹皮下に移動しているのか、或いは、そこが本来の住処なのか、私はクモ類の生態をよく知らないので判断が出来ません。
 今日紹介するチリグモ(Oecobius navus:チリグモ科=Oecobiidae)も、文一総合出版の「日本のクモ」を見ると「屋内の天井、壁や窓枠、障子の桟などの隅、屋外の壁の隅、石灯ろうの継ぎ目などに住居を作り・・・」とあり、樹皮下に見られるとは書いてありませんが、プラタナスの樹皮下に沢山居ました。

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プラタナスの樹皮下に居たチリグモ.上が雄で他の2頭は雌
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 七丁目の成城学園高校の前に街路樹として植えられているプラタナスで、先日紹介した「ハイイロチビフサヤスデ」も居た場所です。チリグモを探して樹皮を剥がしている内に、フサヤスデを見付けてしまったのです。
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チリグモの雌.体長2.2mm.頭胸部や腹部に黒い部分が多い
見易くする為にコントラストを強調してある(以下同じ)
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 今回は沢山の個体を撮ったので、雄と雌の双方が含まれています。頭胸部の周囲が目立って黒く、眼との間に黒い点々による輪があり、腹部にも黒斑があるのが雌です。雄はこれらの黒い部分を殆ど欠いています。
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チリグモの雄.眼の周りを覗いて頭胸部に黒い部分が殆どない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 チリグモはかなり小さなクモで、体長は2mmより少し大きい程度(図鑑等では2~3mm)。しかし、脚の拡がりを入れると、5mm位はあります。
 クモの多くは、雌の方が雄よりも大きいのですが、このチリグモは図鑑に拠れば雌雄の大きさの差がありません。最初の写真で、最上部に居るのが雄、他は雌です。この写真では雄の方が少し大きい位です。
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樹皮の浮いたすき間に逃げようとしたが狭くて入れない
この様な場所に居ると、肉眼では見分け難い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 小さい上に、体色が樹皮と似ているので、容易に見失ってしまいます。写真ではかなりコントラストを上げて見易くしていますが、実際はこんなには目立ちません。
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斜め上から見たチリグモの雌
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 チリグモ科(Oecobiidae)は、「日本のクモ」にはチリグモ1種しか載っていません。しかし、谷川明男氏の「日本産クモ類目録Ver2009R1」(download出来ます)を見ると、研究者によっては別科ともされるヒラタグモや「正体不明」の注意書きのあるキタチリグモを含めて、全部で5種あります。また、英語版のWikipediaでは、世界で約100種となっています。特に小さいグループと云う訳ではない様です。
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真横から見たチリグモの雌.これまでとは別個体
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 その中で、チリグモ(Oecobius navus)は世界共通種なのだそうです。荷物の中や、梱包の隅等にくっ付いて、世界中に散らばったのでしょう。
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ほぼ正面からみたチリグモの雄.3番目と同じ個体
眼は4対8個あるが、配置がどうなっているのか
余りにくっ付いていて今一つ良く分からない
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/21)

 今日は文章を簡単にして、2日連続で更新することにしました。しかし、明日また更新できるかは自信がありません。写真の調整が結構大変なのです。

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2010年2月 7日 (日)

ヤツデキジラミの幼虫

 最近、「ヤツデキジラミ」や「ヤツデキジラミ 幼虫」で検索されて此方に来られる方がかなりの数居られます。其処で、昨年の3月に撮ったキジラミ科(Psyllidae)のヤツデキジラミ(Psylla fatsiae)の幼虫と思われる虫を紹介することにしました。
 「三丁目緑地」に生えているヤツデの葉裏に居たものです。1枚の葉に数頭居ました。

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ヤツデの葉裏に居たヤツデキジラミと思われる幼虫
体長は2.1mm、体はかなり扁平
拡大してピクセル等倍、以下同じ
6番目の写真までは同一個体
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 この虫がヤツデの幼虫であると思ったのは、ヤツデの葉裏に複数居たことと、昨年撮影直後に調べたときに、何処かの信頼性の高いサイトで「ヤツデキジラミの幼虫」とあるのを見付けたからです。しかし、今年になって探すと、どうしても見つかりません。「虫ナビ」に羽化中の写真は有るのですが、幼虫の写真は有りません。どうも、年をとると記憶がアヤフヤになるので、或いは、思い違いの可能性もあります。
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横から見たヤツデキジラミと思われる幼虫
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 ヤツデの葉裏は虫の越冬に適した場所らしく、先日紹介したクロトガリキジラミやムクノトガリキジラミ(2007年12月14日掲載の「トガリキジラミの1種」はムクノトガリキジラミの様です)などの、ヤツデキジラミ以外のキジラミも見られます。しかし、これらは何れも飛ぶことの出来る成虫です。幼虫は翅がありませんから、冬の間に食草から離れる可能性は少ないでしょう。
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前から見ると、まるで車に轢かれたヒキガエル
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 先日の「ヒカゲチョウの幼虫」は本来の食草でないヤツデの葉裏に居ました。しかし、そのヤツデは食草であるタケの群落の中に生えており、ヤツデの葉裏とタケの葉はくっ付いていたのです。写真のキジラミの幼虫も、直ぐ近くの何らかの植物に寄生していたのが、越冬の為にヤツデの葉裏に引っ越して来たと云う可能性も否定出来ませんが、幼虫が数頭(写真では3頭、全部で5頭位か?)も居たことやこの辺りにはそれ程多種類のキジラミは棲息していないことを考えると、先ず、その可能性は零に近いでしょう。
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ストロボの光を嫌って翅表に移動
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 「ヤツデキジラミの幼虫」と断定している信頼性の高いサイトは無くても、写真のキジラミの幼虫と酷似するヤツデの葉裏に居た幼虫を「ヤツデキジラミの幼虫?」としているサイトはかなりの数有ります。
 状況的証拠ばかりですが、総合的に考えて、写真の幼虫はヤツデキジラミの幼虫と考えて間違いないと思います。
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お尻をふりふり歩く姿は可愛い
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 体長は2.0~2.2mm。相当に扁平な体付きをしています。BugGuide.Netに同じキジラミ科(Psyllidae)に属すCacopsylla pyricolaPsyllaの幼虫の成長過程を撮った写真があり、それを見ると、今日の幼虫は3~4齢の様です。終齢幼虫は相当横に拡がって円形に近くなり、魚の外部寄生虫として著名な「チョウ」の様な形をしています。
 尤も、種ばかりでなく属も違うので、単純な比較には問題があるかも知れません。
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葉は葉脈のある部分なので少し違って見える
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 しかし、この幼虫、中々愛嬌のある顔・姿をしています。特に、前から見た姿など、車に轢かれたヒキガエルの様で、つい笑ってしまいます。
 また、丸いお尻を少し上向きにして歩いている姿も、何か漫画的ですが、虫の中でも相当可愛い方に属すのではないでしょうか。歩く速度はゆっくりでしたので、写真を撮るのに特に支障は有りませんでした。
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別個体.色が黄色を帯びている.体長2.0mm
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 最初の6枚は同じ個体で、始めは葉裏に居たのですが、ストロボの光を嫌がって反対側の翅表に移動しました(4番目以降)。6枚目の写真は葉の質感がかなり異なっています。これは葉の中心部、葉脈がある部分の表側なので、他の部分とは一寸違って見えます。
 最後の2枚(上と下)はそれまでとは別個体、且つ、それぞれ別個体です。最初の6枚の個体(同一個体)とは違って、頭部胸部は黄色を帯びています。また、最後のは、他の個体よりも体全体が細くなっています。齢が違うのかも知れません(最後の個体は、死んでいる可能性もあります)。
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上とは別個体.やはり黄色みを帯びている
体長は2.2mm.他の個体よりもかなり細長い
ヒョッとすると、死んでいるのかも知れない
(写真クリックで拡大表示)
(2009/03/17)

 今日は昨年の写真を出しましたが、ネタが不足している訳ではありません。それどころか、写真が溜まって撮り出るのを控えている位です。このところ1日置きに更新していますが、毎日にでも更新しないと、倉庫に眠ったままの写真が増えそうです。まァ、逆さに言えば、成城に棲息する生き物は、まだまだ沢山居ると云うことです。

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2010年2月 5日 (金)

チビタマムシ属(Trachys)の1種

 先日ケヤキの樹皮下にいたナガタマムシの1種を紹介しましたが、今日は、同じくケヤキの樹皮下にいたチビタマムシの1種を紹介します。
 チビタマムシには似た様な種類が沢山居ます。しかし、「三丁目緑地」と「四丁目緑地」の2個所に生えているケヤキの木で見付けた2個体は、互いによく似ており、同じ種類に属すと思われます。別の日に「七丁目緑地」にあるムクノキでもチビタマムシを見付けましたが、これは別種の様でした。

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「四丁目緑地」のケヤキの樹皮下に居たチビタマムシ属の1種
体長4mm弱と小さいが、チビタマムシとしては普通
頭の両端に眼があり、間は窪んでいる
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 体長は何れも4mm弱、タマムシとしては随分小さいですが、チビタマムシの中には3mmに満たない種類も沢山居ます。
 チビタマムシには、チビタマムシ属(Trachys)と、これとよく似たヒラタチビタマムシ類(スジチビタマムシ属:Habroloma)が居ます。保育社の甲虫図鑑に拠ると、後者は「上翅の側縁に沿って明瞭な隆起線を走らせる点で区別される」とあります。今日の写真を見ると、その何れに於いても上翅側縁に隆起は認められないので、これはチビタマムシ属として良い様です。
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真横から見たチビタマムシ属の1種
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 しかし、これ以上には種類が良く分かりません。甲虫図鑑に拠ると、ケヤキに寄生するチビタマムシには、ナミガタチビタマムシ、ヤノナミガタチビタマムシ、ドウイロチビタマムシの3種が挙げられています。しかし、ケヤキに居たのは越冬していたのであり、近くにある本来の寄主から移動して来た可能性も否定できません。
 図鑑の写真と比較すると、キタドウイロチビタマムシが一番よく似ているのですが、食草はハルニレとあり、これはこの辺りには生えていない植物です(アキニレは所々にあります)。
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正面からは位置の関係で撮れなかった
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 東京都本土部昆虫目録を見ると、上記4種は何れも載っていますが、一番報告が多いのは、ヤノナミガタチビタマムシです。図鑑の記載には「・・・前種[ナミガタチビタマムシ]によく似ているが、体色は唐金色が強く赤銅色を帯びることはなく、毛は明るい褐色、頭楯の幅は長さの約1.5倍.ケヤキのみにつく」とあります。
 「唐金色(からかねいろ)」と云うのは、恥ずかしながら始めて聞く言葉なので辞書を引いてみると、青銅色のことの様です。Web上では、甲虫やトンボの「金属緑色」を唐金色と呼んでいる人も居ました。しかし、写真で見る限り、このチビタマムシが青銅色や金属緑色をしているとは言い難いと思います。
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横少し上からも撮ってみた.毛斑は不明瞭
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/14)

 ナミガタもヤノナミガタも、上翅の下部を横断する波形の毛帯が幾つかあるのでその名があります。しかし、写真では多少波形の模様らしきものが微かに見える程度で、非常に不明瞭です。ストロボで撮ると鞘翅の斑紋が不明瞭になることが時々あるのですが、肉眼で見たときにも一様に黒っぽく、波形模様があったと云う記憶は全くありません。
 また、毛帯が有るのならば、何らかの毛が写っていても良さそうなのですが、それらしきものは見当たりません。
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「三丁目緑地」のケヤキの樹皮下にいたチビタマムシ属の1種
「四丁目緑地」のものと酷似しており同一種と思われる
高い所に居たので他の角度からの写真は無い
(写真クリックで拡大表示)
(2010/01/15)

 2頭ともケヤキの樹皮下に居たこと、最普通種であること等から、ヤノナミガタチビタマムシの可能性が高いのですが、今日のところは「チビタマムシ属(Trachys)の1種」と云うところで止めておくことにします。
 写真から虫の種類を決めるのは中々難しいものです。特にストロボを使うと反射光や構造色が目立って、本来の色が分からなくなることが屡々あります。自然光で撮れば良いのですが、現在使っているのは100mmの手ブレ防止機構のないレンズなので、補助光なしで倍率の高いマクロ写真を撮ることは通常不可能です。ディフューザーを使えば問題を多少軽減出来ますが、完全でないのと携帯が面倒なこと、更に光量が不足するのでISOを高く設定する必要があり、結果として解像度が低下すること等から、余り使う気になれないのです。

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2010年2月 3日 (水)

フタスジツヤユスリカ(Cricotopus bicinctus

 今日は時間がないので原稿を書くのが簡単な虫を選びました。体長約2.1mm、翅端まで約2.5mm、翅長は2.0mmの小さなユスリカです。触角が羽毛状でないので、雌です。
 見付けたのは、国分寺崖線下の4丁目に生えているビワの木です。以前掲載した「ヒメヨコバイの1種(その3)」と同じ木ですが、撮影日時は異なります。
 ユスリカの属までの検索表は培風館の「ユスリカの世界」に詳しいものが載っています。しかし、何分にも顕微鏡的な特徴が問題となり、写真のユスリカの検索には使えません。こう云う場合は、巻頭に載っている36種のユスリカの写真を見ることにしています。それを見るとエリユスリカ亜科(Orthocladiinae)ツヤユスリカ属(Cricotopus)のユスリカにかなり似ていました。検索表をエリユスリカ亜科から逆に辿ると、M脈とCu脈との横脈(MCu)が無く、R脈はR1、R2+3、R4+5の3脈があることなど、写真のユスリカと一致します。

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ビワの木の若い幹に留まるフタスジツヤユスリカ
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 さて、この様な場合、次にすることは画像探しです。属のラテン名(Cricotopus)で画像を検索すると、写真のユスリカに非常に良く似た種類が見つかりました(「BugGuide.Net」には何時も御世話になっています)。しかし、単なる絵合わせでは、とんでも無い間違いをしでかす可能性があります。そこで、例によって双翅目の掲示板「一寸の虫にも五分の魂・改」に御伺いを立ててみました。
 早速、ユスリカの専門家、その名もエリユスリカ氏が対応して下さいました。ツヤユスリカ属の1種であることは間違いないそうで、先ずは一安心です。
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横から見たフタスジツヤユスリカ.動き回るので
少し腹側からになってしまった
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 このツヤユスリカ属のユスリカは、雄生殖器の種間差も少なく、厳密に同定するには微細な構造が問題になるそうですが、一方、身近に発生するものはその種数も限られており、腹部の斑紋で十分に種まで同定できるとの御話。写真のユスリカは、Cricotopus bicinctus (Meigen, 1818)の様に見えます、とのことでした。このCricotopus bicinctusの和名は、九州大学の日本産昆虫目録では空欄になっていますが、東京都本土部昆虫目録に拠るとフタスジツヤユスリカとなっています。
 エリユスリカ氏が添付して下さった図(白黒です)では、腹部の第1節全部、第2節の前縁と後縁、第4節の全部が薄い色になっています。「BugGuide.Net」にあった同種の写真も同様です。しかし、写真のユスリカでは、第2節後縁の横帯は認められません。
 些か模様が違うのですが、氏に拠れば、この種は、冬期に出現するものでは、腹部の斑紋が殆ど認識できなくなり、全体真っ黒となる個体が増えて来るそうです。また、この時期の東京の都市河川では最優占種とのことです(かなり以前の調査結果だそうですが・・・)。
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少し後からの図だが、もう1枚出すことにした
この後、飛んで逃げられてしまった
(写真クリックで拡大表示)
(2009/12/19)

 多少、状況証拠も含みますが、専門家のエリユスリカ氏がその様に見えると言われているのですから、今日のユスリカは、フタスジツヤユスリカ(Cricotopus bicinctus)で決定と致します。
 冬の葉裏には、色々なユスリカが潜んでいます。しかし、低温でも中々敏感で、僅かな刺激を与えるだけで飛んで逃げられてしまいます。以前紹介した「ヒゲユスリカ族の1種」は、陽の当たらない特に寒い場所に居たので何とか撮れましたが、例外的と言えるでしょう。ユスリカの中には、今日の様な綺麗な種類も結構居ますので、機会があればまた紹介したいと思っています(エリユスリカ様、今後とも宜敷御願い致します)。

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2010年2月 1日 (月)

シマバエ科Luzonomyza属の1種

 昔の写真が溜まっているので、今日は、一昨年の秋に撮ったシマバエ科のハエを紹介します。体長は4mm強、翅端まで6mm強の、中型のハエです。撮影したのは国分寺崖線下の4丁目にある畑の中です。確か、ズッキーニの茎に居たものと記憶しています。
 シマバエ科(Lauxaniidae)と云うのは、1つの科の中に外観の非常に異なるハエが色々いて、細部を調べないとシマバエ科であると判断出来ません。今日のハエも、遠目にはヤチバエ的な感じがしました。普段ならば、検索表を辿るのですが、今日は簡便法を紹介することにします。
 これは以前、双翅目の掲示板「一寸の虫にも五分の魂」(今はURLが変わり、名称も「一寸の虫にも五分の魂・改」となっています)で、双翅目分類学の権威であるアノニモミイア先生(Amonimo-myia:<名の無いハエ>の意、勿論ハンドル名です)に教えて頂いた方法です。先生に拠ると
 先ず頭部を見て,
  1.鬚刺毛を欠く.
  2.触角刺毛に短い軟毛が背腹両面に多数生じている.
  3.2対の後ろ向きの強い額眼縁刺毛がある.  これでほぼ確定して,
 それでも不安の場合に,
  4.脛節背面に1本の亜(末)端剛毛を具える.
  5.翅の前縁脈に切目や抉れを欠く.
 さらに,
  6.Cu融合脈が翅縁に達しない.
  7.後単眼刺毛が収斂する.
 と云う基準で判断出来るとのことです。
 この内、5番目と6番目の特徴は、今日の写真からは判断出来ませんが、シマバエ科であることは間違いありません(他に「The European Families of the Diptera」でもシマバエ科に落ちました)。触角の毛が良く見えませんが、少しボワーとして写っているのは有毛だからでしょう。

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シマバエ科のLuzonomyza sp.
頭部の上部が前方に突き出している
本当は下向きに留まっていたが、
見易くする為、水平にした
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/14)

 シマバエ科内の検索には、文献を持っていませんので、(株)エコリスのHPにあるシマバエ科の検索表を使いました。これを辿ってみると、多少怪しげながらもTrigonometopus属に行き着きました。次に、先の双翅目掲示板のワード検索でこの属を調べると、Acleris氏が「埼玉県昆虫誌に出てくるTrigonometopusに似ているような気がします」として載せている写真の個体に、腹部の模様を除き、良く似ていました。そこで、この写真のハエもTrigonometopusか否か、御伺いを立ててみることと相成ります。
 問い合わせにはバグリッチ氏が対応して下さいました。「画像の種は、Luzonomyza属の一種ではないかと思います。エコリスのシマバエ科の検索表では、key4の『前方の額眼縁剛毛は前傾するか否か』というのがこの2属の区別のkeyの一つとなっていますが、非常に微妙な傾斜なので判断に困ります。またTrigonometopusと思われる個体でも前傾していないことも多々あります。これまで私が採ったものに限っては、触覚先端がの尖る方がTrigonometopusで、丸いのがLuzonomyzaで 区分可能のようでした。ある程度はこの部分で識別できそうです」とのことです。また、Luzonomyza属とTrigonometopus属の双方の標本写真を提示して下さいました。
 エコリスの検索表のkey4には、「頭部は側面から見ると上部が前方に突き出し,鋭い角をなすことがある.単眼剛毛はないか微毛状.前方の額眼縁剛毛 (orbital setae) 前傾する.触覚先端は尖る」とあります。これに対するkey4'の方は「前方の額眼縁剛毛 (orbital setae) は前傾しない.触覚先端は丸い.♂の第9腹背板の先端は両側が多少とも角状に突出する」となっています。私の写真では、前方の額眼縁剛毛は、向かって左のは前傾していますが、右側のは後を向いています。余り当てにならない指標の様なので、触角を見たのですが、1枚目の写真では丸く見えますが、2枚目ではかなり尖って見えます。これも写真から判断するには適切な指標ではない様に思えました。そこで「頭部は側面から見ると上部が前方に突き出し」とあるのに対し、key4'の方にはこの記述が無いのでTrigonometopusだと判断してしまったのです。
 しかし、バグリッチ氏の写真を見るとLuzonomyzaの頭部も同様に上部が前方に突き出しています。それならば、話は違ってきます。触角も上から見ると多少は尖って見えますが、貼って頂いたTrigonometopusの写真を見ると、尖り方が全然違います。
 これらから判断すると、写真のハエは、バグリッチ氏の言われるとおり、Trigonometopusではなく、Luzonomyzaとするのが適当でしょう。種名は分からないので、Luzonomyza sp.となります。
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背面から見たシマバエ科のLuzonomyza sp.
(写真クリックで拡大表示)
(2008/11/14)

 このWeblogでは、これまでにシマバエ科所属のハエを3種、Protrigonometopus maculifronsSteganopsis sp1.Steganopsis sp2.を紹介しています。また、もう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」でもHomoneura sp.が紹介済みです(まだ倉庫で眠っている種もあります)。Steganopsisの2種は同属ですから互いに似ていますが、他は全く外観が異なります。全く双翅目と云うのは困った連中ですが、またそれ故に面白いとも言えます。

 なお、今日は一昨年の3月に掲載した「お知らせ+ハチの1種」のハチの種類がある程度分かった為、本文を全面的に改定し、表題も「ホソハネコバチ科Gonatocerus属の1種(?)+お知らせ」に変更しました。御笑覧下さい。

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