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2010年2月11日 (木)

オビモンハナゾウムシ(Anthonomus rectirostris


 冬になってからは、樹皮下に居る生き物を色々紹介して来ましたが、その樹種はケヤキとプラタナスに限られていました。しかし、この町の緑地や道路沿いに植えられている樹の中で、樹皮を剥がすことが出来、且つ最も沢山植えられている樹は桜です。成城の桜並木は世田谷百景にも入れられている位ですから、沢山植えられているのは当然でしょう。

 しかしそれ故に、この町で生まれたものとしては、何となく皮を剥がすのに抵抗があります。また、人目に付かない様に一寸剥してみても、これまでに虫を見付けたことがありません。最近は薬剤散布もしていないと思うのですが・・・。

 ところが、先日、チリグモを撮影した帰りに一寸剥がしてみたところ、一回目でゾウムシが出て来ました。体長5mm(吻を含めず)もあるやや大きめのゾウムシです。


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サクラの樹皮下に居たオビモンハナゾウムシ、見付けた直後

体長は吻を含めないで5mmとやや大型

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(2010/01/21)



 ゾウムシと云うのも一寸厄介な連中です。一般にはゾウムシ上科に含まれるミツギリゾウムシ科、ホソクチゾウムシ科、ゾウムシ科、オサゾウムシ科の4科に属す虫をゾウムシ(象虫)と呼びます。しかし、ゾウムシと付いてもマメゾウムシ類はハムシ上科ハムシ科のマメゾウムシ亜科所属ですし、ゾウムシ上科にはオトシブミやチョッキリ(何れもオトシブミ科)、更にはキクイムシ科やナガキクイムシ科も含まれます。

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ゆっくりと歩くオビモンハナゾウムシ

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(2010/01/21)



 「正しい」ゾウムシ4科の内、ミツギリゾウムシ科は細長い体形で見分けが付きますし、ホソクチゾウムシ科とオサゾウムシ科も種類数は少ないし、特徴のある種が多いので何とかなります。写真のゾウムシは明らかにこの3科ではなく、ゾウムシ科に属します。

 問題はこのゾウムシ科です。保育社の甲虫図鑑第4巻には、443種もの図版が載っているのですが、亜科や族への検索表がありません。そこで仕方なく絵合わせをすることになります。写真と図版を延々と見比べたのですが、それらしき種は遂に見付かりませんでした。

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前腿節は太く、2個の歯状突起がある

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(2010/01/21)



 図版の写真は絵合わせをするには些か小さ過ぎる様です。そこで、小島弘昭氏の「日本産ゾウムシデータベース」で探してみました。このサイトは妙に凝ったサイトで、些か探し難いのですが、幸い直ぐにそれらしき種を見付けました。オビモンハナゾウムシ(Anthonomus rectirostris)です。6枚の充分に大きな写真があり、また、他のサイトの写真も比較してみましたが、間違い無いと思います。

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此処からは、謂わば連続写真.動作が遅いので撮り易い

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(2010/01/21)



 保育社の図鑑をもう一度見ると、チャンとありました。図版はやや光沢がある様に見えたので違うと思ってしまったのです。しかし、前腿節にある2個の大きな歯状突起はハッキリ写っていました。

 解説を読むと、旧北区に広く分布する種類の様で、「ヤマザクラ・オウトウなどの実を加害する」とありました。どうやら、成城名物のサクラの樹になる果実を食べて育った虫の様です。

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上の写真の3秒後、殆ど進んでいない

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(2010/01/21)



 このサクラの実は、6月頃に黒に近いほど濃い赤紫色に熟します。私が子供の頃は、商店街の子供達がこれを「サクランボ」と称して食べ、口を紫色にしていたのを想い出します。

 今ではこの「サクランボ」は鳥の餌として重要な位置を占めています。10年ほど前から成城にも定住している、ワカケホンセイインコ(勿論外来種)が特にこれを好みます。昔は田園調布の辺りに居て、「サクランボ」の季節になると成城までこれを食べに出張して来たものです。

 最近は、ハシブトガラスもこれを食べている様です。カラスが、この手の果実を食べることは余りないと思うのですが・・・。

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2秒後.ゆっくりと右へ方向転換

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 ゾウムシは夏でも動作が緩慢です。しかし、寒くなっても歩く速度は余り変わらない様です。写真を撮っている間は、樹皮の隙間などに入り込まない様、適当にチョッカイを出したりしていましたが、撮影後放免してやると、ゆっくりと樹皮の間に入ってゆきました。

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更に5秒後.こう動きが遅いと余裕を持って撮影できる

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(2010/01/21)



 今日はこれから一寸出掛けます。今日の更新は、辛うじて間に合いました。


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