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2010年1月10日 (日)

クロトガリキジラミ


 昨年の12月21日から更新を再開しましたが、やはり暮れは忙しく、その後書込みをする余裕はありませんでした。また、新年になっても、その第1回目に旧年の写真を出す訳にも行かないので、新たに写真を撮りに出かけるつもりだったのですが、正月は正月でそれなりに忙しく、一昨日の8日になって漸く「三丁目緑地」に出掛けて写真を撮ってきました。

 新年らしい被写体があれば良いのですが、やはり葉裏で越冬中の小さい虫が殆どです。新年第1回目は、先ずトガリキジラミの仲間を紹介することにしました。


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ヤツデの葉裏にいたクロトガリキジラミ

体長2.5mm、翅端まで4.0mm

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2010/01/08)



 ヤツデの葉裏に居ました。ヤツデに付くキジラミとしてはヤツデキジラミがよく知られていますが、これは別の種類で、エゴノキに付くクロトガリキジラミ(Trioza nigra)でした。体長2.5mm、翅端まで4.0mmのかなり小さな虫です。

 ヤツデの大きな葉裏は虫の越冬場所として格好の場所らしく、色々な虫が越冬しています。キジラミとしては他にムクノトガリキジラミも居ました。

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横から見たクロトガリキジラミ

(2010/01/08)



 クロトガリキジラミはエゴノキに寄生し、エゴノキハクボミフシ(エゴノキ・葉・窪み・節)と呼ばれる虫えい(虫瘤:gall)を作ります。全農教の「日本原色虫えい図鑑」には、「翅表に形成される、小さないぼ状の虫えいで、直径2~3mm、ほとんど変色せず、やや淡緑色になることもある。葉裏に黄緑色の幼虫が1匹ずついるが、完全な固着生活ではなく、ときに移動することが出来る。(中略)虫えいは枝の先の葉のみか、先の2~3枚の葉のみに見られる。幼虫はほとんどろう物質を分泌しない」と書かれています。

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葉裏を歩き回るクロトガリキジラミ

この後、ピッと跳んで逃げた

(2010/01/08)



 尚、東京農大の松本浩一氏(1995、日本応用動物昆虫学会大会講演要旨39)に拠ると、「琉球を含めた日本産のT. nigra[クロトガリキジラミ]はエゴノキを寄主とする少なくとも3タイプのものから構成されて」いるが、「種名の特定は模式標本の検視後に残された」とのことです。今後、クロトガリキジラミが数種に分けられる可能性があります。

 撮影した1月8日はかなり暖かく、キジラミは撮影中に動きだし、やがてピッと跳んで逃げてしまいました。そんな訳で、正面や斜めからの写真は有りません。越冬中の虫を撮るには、寒い日に出掛ける方が賢明の様です。


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