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2010年1月14日 (木)

ホソチャタテ


 今日もまたチャタテムシです。ホソチャタテ(Stenopsocus aphidiformis)、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)に属し、チャタテムシの中では最もよく見られる種類の様です。体長約4mm、翅端まで約7mmの比較的大きなチャタテムシです。

 尚、これまで拡大写真は最大幅750ピクセルとしてきましたが、今日は1024ピクセルです。今後も、大きく伸ばせる写真は1024ピクセルにして行くつもりです。


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「四丁目緑地」のトウネズミモチの葉裏にいたホソチャタテ

体長約4mm、翅端まで約7mmとかなり大きい

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(2009/12/19)



 見付けたのは「四丁目緑地」と「三丁目緑地」の双方です。前回のナガケチャタテと同じタラヨウの葉裏にも居ましたが、その少し前に「四丁目緑地」に生えているトウネズミモチの葉裏にいた個体をシッカリ撮ってあったので、今日は主に其方の写真を載せることにします。

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横から見たホソチャタテ.ガラスの様な翅が印象的

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(2009/12/19)



 北隆館の圖鑑に拠ると、ケチャタテ科とホソチャタテ科の昆虫は、群を作らず、専ら葉裏に潜んでカビを食べる種類が多いそうです。確かに、このWeblogでこれまで紹介してきたチャタテムシは全て葉裏に居たものですが、ナガケチャタテを除いて、この2つの科以外に属すものは居ない様です。

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ホソチャタテの翅脈とその名称

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(2009/12/19)



 ホソチャタテ科の翅脈はケチャタテ科のものとよく似ています。しかし、縁紋とR脈が1本の横脈で繋がっています。検索表に拠ると、横脈の有無がこの2つの科を分ける決め手です。これは北隆館の圖鑑でも保育社の図鑑でも同じです。

 更に、ホソチャタテ科の多くは、後小室とM脈の間にも1横脈を持ちます。このホソチャタテも同様です。

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葉裏に逃げ込むので撮り難く、赤松の幹に移して撮影

真正面からの写真は撮れなかった

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(2009/12/19)



 富田&芳賀「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」(1991,菅平研報12号,35-54)に拠れば、ホソチャタテ科で後小室とM脈の間に横脈を持たないのは、ホソヒゲチャタテ(Kodamaius brevicornis)とマダラヒゲナガチャタテ(Taeniostigma ingens)の2種のみで、他のホソチャタテ科5種は皆この横脈を持ちます。尚、ホソヒゲチャタテは、九州大学の日本産昆虫目録では、何故か、ケチャタテ科に入れられています。理由は分かりません。

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赤松の幹を這い回るホソチャタテ(その1)

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(2009/12/19)



 先に挙げた検索表に拠ると、ホソチャタテの特徴は、上記の翅脈の他に、後小室とM脈間の横脈が長くて前翅には目立った斑紋はなく、縁紋は後縁部が褐色味を帯びているのみで、前翅のCu2脈(3枚目の写真参照)に毛を持つことです。

 このCu2脈の毛はこれらの写真では明らかではありません。しかし、此処には示していない余り質の良くない写真に写っています。Cu2脈だけでなく、他の多くの翅脈上にも毛が生えています。

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赤松の幹を這い回るホソチャタテ(その2)

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(2009/12/19)



 写真を撮影した日は何れも暖かい日で、ホソチャタテはかなり元気よく歩き回り、撮影には苦労しました。葉の上で撮影すると直ぐに暗い裏側に逃げようとするので、近くにある横に伸びた赤松の幹の上に移して撮影しました。これは本来の住処ではありませんので御注意下さい。

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「三丁目緑地」のタラヨウの葉裏にいたホソチャタテ

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(2010/01/08)



 最後の写真は、「三丁目緑地」に生えているタラヨウの葉裏に居た個体です。この個体も元気に歩き回って、撮影には苦労させられました。

 今年の冬は、まだ2回しか写真を撮りに出かけていませんが、既に5種類ものチャタテムシを見付けました。頭数も多い様です。今年はチャタテムシの当たり年なのかも知れません。


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