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2009年3月 3日 (火)

シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.1)(その2)

 昨年の夏に、「三ツ池緑地」で撮影した「シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.」を紹介しましたが、その時は直ぐに逃げられてしまい、写真は2枚しか有りませんでした。しかしその後、11月の下旬に七丁目の家庭菜園(世田谷区ファミリー農園)でこのSteganopsis sp.を何回か見付け、幸いシッカリ写真を撮ることが出来ましたので、もう一度掲載することにしました。

Stegano_1_081125_1_031
シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.1
2種あるSteganopsis属未記載種の内、埼玉県昆虫誌で
sp.1とされている種類.褐色を基調とし背中に縦縞がある
黄色い菊花に居たので色カブリで色調が変になっている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/25)

 既に紹介したセンダングサケブカミバエノゲシケブカミバエヒゲブトキモグリバエ?などと同じく、「ファミリー農園」の端に植えられている菊の花に来ていました。
 惜しむらくは、黄色い花が多いので、その場合は黄色カブリの写真となり、色が少しおかしくなっています。赤や青の花ならばこうはならないのですが、黄色カブリの場合はどうにも色補正が出来ません。
Stegano_1_081125_1_036
複眼がストロボの反射で複雑な色を呈している
(2008/11/25)

 このシマバエ科のSteganopsis sp.は、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」に拠れば、埼玉県昆虫誌に2種載っているSteganopsis属の未記載種の内、S. sp.1とされている種類です。体長3mm強、翅端まで4mmと小さいので、肉眼的には殆ど黒く見えますが、拡大してみると焦げ茶色の部分が多く、背中には縦筋が数本あり、頭部には独特の模様が有ります。また、胸側上側にある象牙色に近い顕著な白帯が目立ちます。複眼は本来は赤い様ですが、ストロボの反射で複雑な構造色を生じています。
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Steganopsis sp.1の顔.何とも派手な色彩
恰も京劇役者の如し(2008/11/26)

 前回の写真は何れも斜めからでよく顔が見えませんでしたが、今回は真っ正面からも撮ることが出来ました。顔の左右に白で縁取られた黒斑が1対、また、頭頂の単眼部も黒くなっています。白と黒と複眼の赤で、まるで京劇役者の化粧の様な配色です。こんな派手な顔をしたハエは他にいないのではないかと思います。
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身繕い中に体を浮かせた瞬間.撮る機会の非常に少ない格好
(2008/11/26)

 Steganopsis属は、九州大学の日本産昆虫目録には1種も載っていません。しかし、「一寸のハエにも五分の大和魂」と同じ運営者による日本産双翅目目録には3種あり、この内の2種はつい最近、10年ほど前に記載された種です。その他にまだ未記載種が2種あるのですから、双翅目(蚊、アブ、ハエ)と言うのは如何に未開拓の部分が多いグループであるかが分かると思います。
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普段はこう言う格好をしている
(2008/11/26)

 シマバエ科やSteganopsis属の特徴などは、既に掲載した「シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.」に書きましたので、此処では省略します。
 正面から撮った顔写真をもう1枚貼っておきます。これはF11(等倍撮影時の実効絞り値なので、レンズ焦点距離に対する本体の絞り値は1/2の5.6)で撮影したものです。他の写真よりも拡大率を大きくしてあるので少し荒れて見えますが、等倍接写の解像力としてはこれが普通の100mmマクロレンズの限界でしょう。このレンズの場合、F11(F5.6)辺りが一番解像力が高いのですが、焦点深度は非常に浅くなることがお分かり頂けると思います。焦点が合っているのは顔だけで、触角も頭部後方の剛毛もボケています。焦点深度は多分0.5mm以下でしょう。野外では普通実用にならないのですが、膝をついて撮影することが出来たので、何とかモノにすることが出来ました。
Stegano_1_081126_1_114
正面からもう1枚.F11での極限撮影?
(2008/11/26)

 実はこの時、埼玉県昆虫誌にSteganopsis sp.2として載っているもう一方の未記載種も撮影することが出来ました。次回はこの「sp.2」を紹介することにします。

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コメント

アーチャーン 様
解説、ありがとうございます。FlyTimesの美しい同属?のハエの写真までは、わかりました。相当種類多そうですね。
 背中の縦条の数では、危ないですか。そうですか。剛毛ですか。写真的には難しいですね。いろいろ勉強になります。

投稿: tukik | 2011年2月25日 (金) 01時45分

tukik様.

 実は、このSteganopsis spp.については、その後の進展がありました。S. melanogaster (http://www.nadsdiptera.org/News/FlyTimes/issue44.pdf )と云う非常に良く似た種類があり、他にも2種、S.vittipleuraとS.dichroaが1998に記載されています。これは Shatalkin(1998) New species of Lauxaniidae (Diptera) from Japan and China, Russian Entomological Journal, Vol.7. No.1–2: 59–62 に載っているのですが、私はまだ入手していません。
 詳しくは「一寸のハエにも五分の大和魂・改」での議論を御覧下さい(http://diptera.jp/usr/local/bin/perl/dipbbs/joyful.cgi?list=pickup&num=6260
 この議論の結論として、バグリッチ氏は、一応背中に縦条があるのが sp.1=S. vittipleura 背中が黒いのが sp.2=S.dichroa とされていますが、余り確信はされていないようです。私自身、記事を訂正するか否か迷っている所です。
 尚、胸背や腹背の模様の差異で種を判断するのは、時として極めて危険です。ゲニタリアを見ないとどうしようもない仲間も沢山居ますが、模様の微妙な違いよりも、剛毛の数や長さ、位置などの方がより信頼出来る特徴です。

投稿: アーチャーン | 2011年2月17日 (木) 11時15分

アーチャーン 様
tukikです。私が撮ったコバエがここのシマバエ科 Steganopsis属に非常に似ていることをezo-aphidさんに教えてもらって見に来ました。シマバエの特徴など参考にさせてもらい、リンクを張ったので、ご連絡しておきます。Steganopsis sp.1と胸の縞の数が違うので、別種だと思っています。

投稿: tukik | 2011年2月17日 (木) 00時26分

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