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2009年3月22日 (日)

ビロウドツリアブ

 好天が続いているので、脚力を付けるのを兼ねて、毎日写真を撮りに出ていました。考えてみると、毎年この頃は東南アジアに居るか、或いは、その準備や事後の整理で忙しく、一度もこの時期の動植物は紹介していませんでした。特に植物は、様々な可憐な雑草が咲いているのですが、これらがこのWeblogから全く抜けています。それを補う意味で、この数日は植物をかなり色々撮りました。
 しかし、虫の方も漸く越冬個体ではない、春に羽化した虫達が出現して来ました。今日はその中から、最も春らしい虫、ビロウドツリアブ(Bombylius major)を紹介します。長い口吻を持ち、ビドウドの様な長毛に包まれた、剽軽な雰囲気のアブです。1年の内で早春にしか出現しません。虫をある程度知るものにとっては、ギフチョウやコツバメと並ぶ、春の象徴とも言える存在です(因みに、この辺りにはギフチョウは勿論、コツバメも居ません)。

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草の上で休むビロウドツリアブ(雌).これ以上近づけなかった
小さく写っているのを無理に拡大したので少し荒れている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 ビロウドツリアブはツリアブ科に属します。九州大学の日本産昆虫目録に拠ると、ツリアブ科は6属21種が記録されており、その内Bombylius属は4種で、本州にはその4種の何れもが棲息しています。
 最近はどうも双翅目(蚊、アブ、ハエ)となると、種の判別に関して疑心暗鬼になってしまい、本当にビロウドツリアブなのかが心配になってきます。しかし、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」を運営している「ハエ男」氏のサイトにあるビロウドツリアブの写真と酷似していること、東京都本土部昆虫目録にはBombylius属はビロウドツリアブ1種しか載っていないこと等から、ビロウドツリアブとして問題ないと思います。
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石の上に留まるビロウドツリアブ
左右の複眼が接しているので雄
(2009/03/21)

 空中静止を得意とするアブです。見えない糸でつり下げられた様に見えるので、ツリアブと名が付いたのだそうです。
 留まるのは草や地面の上が多い様ですが、下の写真で示した様にボケや、また、先日紹介したオオイヌノフグリの花に来ていることもありました。ボケの花に来ているところを良く見ると(他に数枚の写真あり)、口吻の先は奥の蜜線へではなく、雄蕊の先端付近で留まっています。吸蜜ではなく、花粉を食べ(唾液を出して溶かしてから吸う)に来ているのかも知れません。
 「The European Families of the Diptera(欧州産双翅目の科)」と言う本を見たら、成虫雄は密を吸い、雌は花粉を食べるのが普通と書かれていました。ボケに来ているのは雌(複眼の間隔が広い)ですから、やはり、花粉目当てで正しい様です。雌は、卵を成熟させる為に、蛋白質の多い餌を必要としているのです。
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ボケの花で花粉を食べるビロウドツリアブの雌
雌は左右の複眼間が広く空いている
(2009/03/21)

 この双翅目の本に拠ると、ツリアブ科(Bombyliidae)の幼虫は、寄生性ないしは捕食性で、多くはハチ類に寄生するとのことです。内部寄生ではなく、巣の中の卵や幼虫を食べ尽くす方式です。他に、蜘蛛やバッタの卵塊を食べるもの、土中の蛾や甲虫の蛹等に寄生する種類もあるそうです。
 なお、保育社の図鑑には、ビロウドツリアブの幼虫はヒメハナバチ科の幼虫に寄生すると書かれています。
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斜め前から見たビロウドツリアブの雌
上と同一個体と思われる.一見ヘタって見えるが
非常に敏感、この後直ぐに逃げられてしまった
(2009/03/21)

 撮影したのは、四丁目の国分寺崖線下です。この数日中に何度も見たのですが、非常に敏感で容易に近づけませんでした。空中静止をしているところを含めて、もう少し色々な角度から撮りたかったのですが、諦めてこの辺りで掲載することとしました。姿の珍妙な虫なので、後でもっと良い写真が撮れたら、その時また掲載し直すことにしましょう。

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