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2009年3月の11件の記事

2009年3月30日 (月)

ツタバウンラン

 3月に入ってから、春の雑草としてオオイヌノフグリコハコベヒメオドリコソウの3種を掲載しました。しかし、何れも余りにありふれていて、書く方としても気が引けてしまう様な植物でした。そこで今日は、多少は陳腐でない植物を紹介しようと思います。
 ゴマノハグサ科のツタバウンラン(Cymbalaria muralis)、この辺りではこれまで見た記憶のない植物です。しかし、Googleで検索すると6,500位はヒットするので、決して珍しい植物ではない様です。

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不動坂下付近に咲いていたツタバウンラン
花の幅は1cm程度.右下に地上を這う茎が見える
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/21)

 咲いていたのは不動坂下近くにある電信柱の根元です。この辺りは傾斜地なので、石垣が多い所です。ツタバウンランはロック・ガーデンに植えることが多いそうですから、何処かこの近くの御宅で石垣にでも植えたのが逸脱して、電信柱の根元で咲いていたのかも知れません。
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もう少し近づいて見る.中々可憐な花
(2009/03/21)

 在来種ではなく原産は欧州です。大正元年にロック・ガーデン用植物として渡来したそうで、北海道と本州で野生化しているとのことです。ツタカラクサの別名があります。写真を見ても、茎が地上を這っているのが分かりますが、所々で不定根を出すのだそうです。その不定根により植物体を固定するので、ロック・ガーデンの様なところでも滑り落ちないで済むのでしょう。
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葉には浅い切れ込みがあり先は僅かに尖る
(2009/03/21)

 花は葉腋に単生します。オオイヌノフグリやコハコベなどよりは少し大きく、幅約1cmあります。花の形は、同じくゴマノハグサ科の雑草、トキワハゼによく似ています。ゴマノハグサ科植物の花には色々な形がありますが(先日のオオイヌノフグリもゴマノハグサ科)、何故か、こう言う形の花を見ると、如何にもゴマノハグサ科と言う感じがしてしまいます。
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ツタバウンランの花.雌蕊も雄蕊も見えない
(2009/03/20)

 保育社の帰化植物図鑑に拠ると、雌蕊は1個、雄蕊は4個だそうですが、花を外部から見ても雌蕊雄蕊は見えません。花の形(唇形花)の似たシソ科(例えばヒメオドリコソウ)やキツネノマゴ科の植物では、雄蕊は上唇にくっ付いているので良く見えます。同じ唇形でも、やはり科が違うだけあって、花の構造はかなり違います。
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横から見ると、花の後に距があるのが分かる
(2009/03/20)

 果実は球形で径5~6mm、真ん丸で下垂するそうです。種子は径1mmで基本的に球形ですが、図鑑を見ると、複雑な深い皺を持っています。
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オマケにもう1枚.花の下側から撮影
(2009/03/20)

 このツタバウンラン、花も葉っぱの形も気に入りました。果実の熟す頃になったら、種子採取を兼ねて、もう一度見に行ってみるつもりです。

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2009年3月29日 (日)

ヒゲユスリカ族(Tanytarsini)の1種

 この春撮った虫の写真はまだあるのですが、調整が出来ていません。そこで、昨年の1月に撮影した越冬中の虫を出すことにしました。
 この虫、何故今まで掲載しなかったのかと言うと、長い間正体不明だったからです。最初見付けたのは「三丁目緑地」に生えているヤツデの葉裏で、体長約2mmの小さな虫がワサワサと這い回る感じで歩いていました。マクロレンズで覗いた最初の印象は、非常に長い前脚を触角と見間違えたせいもあり、奇怪な格好をした捕食性の虫と言う感じでした。この時は直ぐに逃げられてしまったので、充分写真を撮ることが出来ませんでした。

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ヒゲユスリカ族の1種.前脚が非常に長い
ヤツデの葉裏に居た.体長は2mmと小さい
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/01/11)

 数日後に、同じく「三丁目緑地」のビワの葉裏で同種と思われる虫を見付けました。この時はシッカリ撮ることが出来たのですが、毛の生えた翅、翅よりも短く太い腹部、異常に長い前脚・・・、一体何者なのか全く分かりません。目(分類学の目、綱の下、科の上)のレベルで分からないと言う最悪の事態に陥ってしまいました。
 しかし、良く見てみると、横からみた頭部胸部はガガンボなどに似ており、また、平均棍を持っています。触角は明らかに3節を越えていますから、双翅目糸角亜目(広義の蚊の仲間)であることは確かの様です。しかし、その先の科の検索は、虫が小さ過ぎることと翅に毛が生えていて翅脈が良く見えないことにより、全く不可能でした。
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ビワの葉裏を歩き回るヒゲユスリカ族の1種
翅にストロボの光が反射して構造色を生じている
上の写真とは別個体で別の日に撮影
(2008/01/14)

 ほぼ1年経ってから、「ユスリカの世界」と言う本を見たところ、どうもこれはユスリカ科(Chironomidae)の虫の様に思われてきました。しかし、「ユスリカ科」で検索しても此処に掲載した写真と似た様な虫は見当たりません。そこで「Chironomidae」で海外の写真を探してみると、Tanytarsus pallidicornisと言う、掲載の写真に非常に良く似たユスリカが見つかりました。Tanytarsusの和名はヒゲユスリカ属です。
 しかし、「ユスリカの世界」のヒゲユスリカ属の解説を読むと、此処に掲載した写真の虫とは一寸違う様です。そこで、もう一度この本にあるユスリカ科の検索表を辿ってみると、かなり怪しげですが、ユスリカ亜科(Chironominae)のヒゲユスリカ族(Tanytarsini:ヒゲユスリカ属Tanytarsusより一つ上のレベル)に属す可能性が高い様に思われました。
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上の写真と同一個体(以下同じ)
前から見ると変な顔をしている
(2008/01/14)

 次は、例によって双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」に、ヒゲユスリカ族の1種ではないか、との御伺いを立てることと相成ります。
 すると、たちどころにユスリカの専門家であるエリユスリカ氏より、「写真からの判定では、ヒゲユスリカ族の一種までしか判りません。(中略)。残念ながらヒゲユスリカ族には外見では属までは識別するのは困難です。雄生殖器を見れば一瞬で属までは判るのですが。色彩も似たものが沢山います。黄白色のものが殆どです」との御回答を得ました。
 これで、漸く「ヒゲユスリカ族の1種」と安心して書くことが出来ます。これもみな、エリユスリカ氏の御蔭です。
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斜め前から見たヒゲユスリカ族の1種
平均棍が良く見える
(2008/01/14)

 このヒゲユスリカ、越冬中の個体は少なく、この2頭しか見ることが出来ませんでした。しかし、5月中下旬に「三丁目緑地」と「三ツ池緑地」内の草むらを歩いたところ、今度は正にウンカが沸き上がるが如く沢山出て来ました(同種か否かは分かりませんが、外見的には同じでした)。冬とは違い非常に機敏で、葉に留まるや否やアッと言う間に葉裏に逃げ込んでしまいます。かなり粘ったのですが、まともな写真は1枚も撮れませんでした。
 先のエリユスリカ氏の御話では、「5月頃にヒゲユスリカ属[族?]は水田脇の水路、溜め池等から非常に沢山出てきます。平地ではこの時期がこの族のピーク期です」とのことですから、この点でも一致しています。
 この2つの緑地には何れもかなり水量のある泉があります。どうやら、そこから発生している様です。
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横から見ると頭部胸部はガガンボなどと似ている
翅の上に毛が生えているのが見える
(2008/01/14)

 釣りの餌にする赤虫は、主にアカムシユスリカの幼虫です。このアカムシユスリカやオオユスリカ、セスジユスリカなどは1cmかそれ以上もある大型のユスリカです。しかし、ユスリカ科には2mm以下の小型の種類も沢山います。Web上にあるユスリカの生態写真と言えば大型のユスリカばかりで、今日紹介した様な小型種の写真は皆無に近い状態です。写真から種まで落とすのは、ユスリカの場合、通常は無理ですが、族や属のレベルまでなら何とかなるかも知れません。これからは、ユスリカ類の写真も撮ってみようかと思っています。

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2009年3月28日 (土)

ヒメオドリコソウ

 3番目の春の雑草はヒメオドリコソウ(Lamium purpureum)です。撮影地は「四丁目緑地」ですが、これも先日のオオイヌノフグリコハコベと同じく、この辺り(東京都世田谷区西部)で何処でも見られる早春の草花です。

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群生するヒメオドリコソウ.オオイヌノフグリと混生している
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 シソ科の帰化植物で、保育社の帰化植物図鑑に拠れば、欧州原産、明治26年(1893年)に松村任三(日本植物分類学の先駆者、東京帝国大学附属小石川植物園初代園長)が東京の駒場で見つけたのが最初の記録だそうです。その後全国に拡がり、今や、東京や長野では害草化しているところもある様です。また、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」には、広く世界中に帰化していると書かれています。
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もう少し近寄って見る.真っ直ぐではなく少し斜上する
(2009/03/19)

 上の写真で分かる通り、下の方に着いている葉は長い葉柄を持ち、先の丸い心臓形をしていますが、上部に行くにつれて葉柄が短くなり葉先が尖って来ます。この写真では見えませんが、最上部の葉は無柄の包葉になっています。
 また、本種の特徴として、上部の葉は赤紫色を帯びます。
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ヒメオドリコソウの上部.葉は赤化している
葉の間から花が頭を出している
(2009/03/19)

 茎は真っ直ぐではなく、やや斜めです。普通、斜めに撮影された植物は、写真を調整するときに直してしまうのですが、これは本来が斜めなので、その儘斜めにしてあります。
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花を拡大(2009/03/19)

 花は長さ1cm程度、シソ科ですから唇形をしています。雄蕊が4本上唇に接しており、雌蕊はその中にあって目立ちません。
 1個の花だけを拡大してみました(下)。正面から見ると、上唇の上側と葯の後側にある毛が目立ちます。花冠の内側は無毛です。
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1個の花を拡大.上唇上面と葯裏側の毛が目立つ
(2009/03/19)

 ヒメオドリコソウの花は、葉腋に着き、葉の間から頭をチョコンと出した感じです。中々横から全体が見えないのですが、沢山の花の中から探して横から撮ったのが下の写真です。花冠の基部が長く細くなっているのが見えます。殆ど無柄です。
 また、上唇も下唇も1つの花冠から出た突起に過ぎないことが良く分かります。毛は花冠の外側全体に生えている様です。
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横から見たヒメオドリコソウの花.(2009/03/19)

 葯を高解像度で撮ってみました。まだ咲き始めで、上の写真の様に葯が充分開裂していません。4個の雄蕊の中央に雌蕊がある様に見えますが、今一つハッキリしません。
 下唇が邪魔をして葯の存在する面と焦点面を合わせることが出来ず、下側の葯では一部焦点が外れています。しかし、まァ、偶にはご愛敬と言うことで、御勘弁下さい。
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葯の拡大.一部焦点が外れているが、まァ、ご愛敬
(2009/03/19)

 ヒメオドリコソウと似た春の草花に、同じシソ科のホトケノザがあります。屡々ヒメオドリコソウと混生しており、時に間違える人も居る様です。これも撮ってありますから、近日中に紹介しましょう。

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2009年3月26日 (木)

トラフコメツキ

 早春の虫、その第2段はトラフコメツキ(Selatosomus onerosus)です。コメツキムシが早春の虫とは少し意外かも知れませんが、このトラフコメツキは、先日のビロウドツリアブ同様、春にしか現れません。
 「四丁目緑地」の草の葉に逆さ向きに留まっていました。体長10~15mm、中型のコメツキムシで、コメツキムシ科ベニコメツキ亜科(Denticollinae)に属します。

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トラフコメツキ.早春に現れるコメツキムシ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 コメツキムシと言うと、以前紹介したクロクシコメツキ?サビキコリの様に、褐色~黒色の種類が多いのですが、鞘翅に模様を持つものも少なからず居ます。
 しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)にいるコメツキムシで、鞘翅に斑紋がある種類は、このトラフコメツキ以外に知りません。
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暖かい陽射しの中で居眠り?
(2009/03/19)

 保育社の昆虫図鑑(甲虫図鑑ではない)には、「早春平地でみられるが多くない」と書かれています。しかし、この日は写真の個体よりもう少し小さい別個体も見ましたし、一昨年(2007年)の4月には我が家でも何度か見かけた位で、極く普通種の様です。東京都本土部昆虫目録を見ても、東京都内の多くの場所で記録されています。
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ストロボの光を浴びて目を覚ましたところ
(2009/03/19)

 この日は、東京(大手町)の最高気温が23.2度にも達し、暖かいを通り過ぎて暑い位でした。コメツキムシ君、葉の上でうたた寝をしていた様子でしたが、ストロボで目を覚まされ、その内ゴソゴソ動き始めました。予想通り、やがて翅を拡げて近くのぺんぺん草(ナズナ)に移りました。最後の2枚はそのぺんぺん草に居るところを撮ったものです。
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何となく、飛んで逃げそうな雰囲気
(2009/03/19)

 コメツキムシの幼虫は土中や朽ち木の中に棲息し、中には雑食性や捕食性ものも居ます(サビキコリ類等)が、多くは植食性です。クロクシコメツキ、クシコメツキ、マルクビクシコメツキ、コガネコメツキ等、農業害虫とされている種類もかなりあります。
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ぺんぺん草(ナズナ)に移ったトラフコメツキ(2009/03/19)

 幼虫の形は、小鳥や爬虫類、両棲類等の生き餌として養殖・販売されているミールワームによく似ています。しかし、ミールワームは、コメノゴミムシダマシ、チャイロコメノゴミムシダマシ等のゴミムシダマシ科の幼虫です。ゴミムシダマシ科はコミムシダマシ上科、コメツキムシはコメツキムシ上科に属しますから、かなり遠縁なのですが、肉眼的には殆ど区別が付かない位よく似ています。
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トラフコメツキの顔.かなり険悪
(2009/03/19)

 春の植物はもう色々咲いているのに、春の虫はの方はまだ余り見かけません。次回はまた雑草を紹介することになります。

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2009年3月24日 (火)

コハコベ

 春の雑草、その第2段はコハコベ(Stellaria media)です。撮影したのは、先日のオオイヌノフグリと同じく四丁目の国分寺崖線下ですが、今、町の何処でも開花が見られる雑草の一つです。
 コハコベの同属近縁種によく似たミドリハコベがあります。保育社の植物図鑑のコハコベ(図鑑ではハコベが和名でコハコベは別名となっている)の解説には、「一般にはミドリハコベとともにハコベといい小鳥の餌とする。また春の七草の一つとして正月七日のかゆに入れて食べる」と書かれています。しかし、コハコベは下の写真の様に、地面に匍匐する感じで葉も小さく、どうも私の感覚では、ミドリハコベの方がハコベらしいと言う印象があります。なお、このミドリハコベも近日中に紹介する予定です。

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地面を這うコハコベ.花は小さくて良く見えない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 ナデシコ科に属しますから、葉は対生で、花弁は普通5枚です。花は小さく(上の写真では何処に咲いているのか分かり難い)、径は7mm程度、しかし、何時も撮っている小さいハエ(例えばノゲシケブカミバエ)やチャタテムシと較べれば、随分大きな被写体です。
 葉は殆ど無毛です。花柄と茎の片側には白っぽい軟毛が生えており、それが筋の様になっています。これは、保育社の図鑑に拠れば、サワハコベを除くハコベ属(Stellaria)共通の特徴です。
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コハコベの先端部.花柄や茎の片側に軟毛が生えている
(2009/03/15)

 花を等倍接写してみました。小さいですが、中々綺麗な花です。個々の花弁が2深裂し、一見10枚の様に見えます。花弁の後に毛の生えた萼がありますが、その長さが花弁よりやや長いのがコハコベの特徴です。
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コハコベの花.花弁と萼は5、花柱は3、雄蕊3
(2009/03/15)

 雌蕊は3つに分かれ、雄蕊は此処に掲載した写真では何れも3本です。しかし、雄蕊の数はかなり変動的で、保育社の図鑑には1~7と書かれています。
 綺麗なので、正面からの写真を3枚載せることにしました。
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コハコベの花(その2)
(2009/03/15)

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コハコベの花(その3)
(2009/03/15)

 正面からの写真では、花は平らに見えますが、実際は中心部がかなり窪んでいます。斜め横から撮ると、下の写真の様になります。
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斜め横から見たコハコベの花
(2009/03/15)

 3月中下旬には6回も写真を撮りに行ったので、また写真が沢山溜まってしまいました。春先は虫よりも花を着けた雑草の方が種類が多いので、今後暫くは植物が続くこともあるかも知れません。

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2009年3月22日 (日)

ビロウドツリアブ

 好天が続いているので、脚力を付けるのを兼ねて、毎日写真を撮りに出ていました。考えてみると、毎年この頃は東南アジアに居るか、或いは、その準備や事後の整理で忙しく、一度もこの時期の動植物は紹介していませんでした。特に植物は、様々な可憐な雑草が咲いているのですが、これらがこのWeblogから全く抜けています。それを補う意味で、この数日は植物をかなり色々撮りました。
 しかし、虫の方も漸く越冬個体ではない、春に羽化した虫達が出現して来ました。今日はその中から、最も春らしい虫、ビロウドツリアブ(Bombylius major)を紹介します。長い口吻を持ち、ビドウドの様な長毛に包まれた、剽軽な雰囲気のアブです。1年の内で早春にしか出現しません。虫をある程度知るものにとっては、ギフチョウやコツバメと並ぶ、春の象徴とも言える存在です(因みに、この辺りにはギフチョウは勿論、コツバメも居ません)。

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草の上で休むビロウドツリアブ(雌).これ以上近づけなかった
小さく写っているのを無理に拡大したので少し荒れている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/19)

 ビロウドツリアブはツリアブ科に属します。九州大学の日本産昆虫目録に拠ると、ツリアブ科は6属21種が記録されており、その内Bombylius属は4種で、本州にはその4種の何れもが棲息しています。
 最近はどうも双翅目(蚊、アブ、ハエ)となると、種の判別に関して疑心暗鬼になってしまい、本当にビロウドツリアブなのかが心配になってきます。しかし、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」を運営している「ハエ男」氏のサイトにあるビロウドツリアブの写真と酷似していること、東京都本土部昆虫目録にはBombylius属はビロウドツリアブ1種しか載っていないこと等から、ビロウドツリアブとして問題ないと思います。
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石の上に留まるビロウドツリアブ
左右の複眼が接しているので雄
(2009/03/21)

 空中静止を得意とするアブです。見えない糸でつり下げられた様に見えるので、ツリアブと名が付いたのだそうです。
 留まるのは草や地面の上が多い様ですが、下の写真で示した様にボケや、また、先日紹介したオオイヌノフグリの花に来ていることもありました。ボケの花に来ているところを良く見ると(他に数枚の写真あり)、口吻の先は奥の蜜線へではなく、雄蕊の先端付近で留まっています。吸蜜ではなく、花粉を食べ(唾液を出して溶かしてから吸う)に来ているのかも知れません。
 「The European Families of the Diptera(欧州産双翅目の科)」と言う本を見たら、成虫雄は密を吸い、雌は花粉を食べるのが普通と書かれていました。ボケに来ているのは雌(複眼の間隔が広い)ですから、やはり、花粉目当てで正しい様です。雌は、卵を成熟させる為に、蛋白質の多い餌を必要としているのです。
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ボケの花で花粉を食べるビロウドツリアブの雌
雌は左右の複眼間が広く空いている
(2009/03/21)

 この双翅目の本に拠ると、ツリアブ科(Bombyliidae)の幼虫は、寄生性ないしは捕食性で、多くはハチ類に寄生するとのことです。内部寄生ではなく、巣の中の卵や幼虫を食べ尽くす方式です。他に、蜘蛛やバッタの卵塊を食べるもの、土中の蛾や甲虫の蛹等に寄生する種類もあるそうです。
 なお、保育社の図鑑には、ビロウドツリアブの幼虫はヒメハナバチ科の幼虫に寄生すると書かれています。
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斜め前から見たビロウドツリアブの雌
上と同一個体と思われる.一見ヘタって見えるが
非常に敏感、この後直ぐに逃げられてしまった
(2009/03/21)

 撮影したのは、四丁目の国分寺崖線下です。この数日中に何度も見たのですが、非常に敏感で容易に近づけませんでした。空中静止をしているところを含めて、もう少し色々な角度から撮りたかったのですが、諦めてこの辺りで掲載することとしました。姿の珍妙な虫なので、後でもっと良い写真が撮れたら、その時また掲載し直すことにしましょう。

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2009年3月18日 (水)

オオイヌノフグリ

 ここ数日、如何にも春らしい好天が続いています。15、16日と写真を撮りに行って来ました。更に、昨日(17日)も買い物ついでにカメラをぶら下げて行ったので、全部でかなりの種類を撮影することが出来ました。しかし、撮影と写真の整理に時間がかかり、写真の仕上げや原稿を書いたりする余裕はありませんでした。
 漸く写真の一部が出来たので、今日はその中から、如何にも春らしい植物、オオイヌノフグリ(Veronica persica)を紹介します。ゴマノハグサ科に属す極くありふれた雑草ですが、綺麗な色をした花を沢山着け、密生すると中々素敵です。

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オオイヌノフグリ.密生すると非常に綺麗
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/03/15)

 現在は何処にでもある雑草で、中々日本的な風情のある花を着けます。しかし、これも帰化植物です。保育社の「原色日本帰化植物図鑑」には、原産は西アジアで、「明治20年(1887年)頃、東京に帰化していることが牧野富太郎、大久保三郎などによって認められた」と書かれています。
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もう少し近づいて見る
(2009/03/15)

 撮影したのは4丁目の国分寺崖線下です。ハコベやオランダミミナグサと一緒に生えていました。今、町内の何処でも見られる、と言ってよいほど彼方此方で咲いていますが、此処ほど高密度で咲いている所は少ないと思います。
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更に接近(2009/03/15)

 花は径約1cmと小さく、大部分は鮮やかな青色をしており、1本の雌蕊と2本の雄蕊があります。花弁が4枚ある様に見えますが、ゴマノハグサ科は合弁ですから、1個の花冠が4深裂しているのです。
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オオイヌノフグリの花.雌蕊1本雄蕊は2本
(2009/03/15)

 オオイヌノフグリは、在来種のイヌノフグリと同属近縁で、それよりも全体的に大きいので付けられた名前です。フグリとは陰嚢のことですから、随分酷い名前です。しかし、帰化植物図鑑に参考として載っているイヌノフグリの果実を見ると、「な~るほど」と思ってしまいます。オオイヌノフグリの果実は先端が少し尖っていて、余り「ふぐり」を思わせる形ではありません。
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横から見た図.花全体に焦点を合わせようとしたが一寸無理で
かえって中途半端なボケ具合の写真になってしまった
(2009/03/15)

 昨年秋に撮った写真はまだまだ沢山残っていますが、これらは基本的に今年の秋に1年遅れで出すことにして、これからは暫く季節に相応しい動植物を紹介することにします。

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2009年3月15日 (日)

エグリヅマエダシャク

 最近はどうも掲載する虫の種類がハエやチャタテムシに偏っています。何か違うものを出そうと、迷っている間に1週間経ってしまいました。
 そこで、一寸翅が破けているのですが、久しぶりに蛾を紹介することにしました。蛾と言っても、冬に出る種類ではなく、昨年の10月下旬にサザンカの花に来ていたシャクガの1種です。
 エグリヅマエダシャク(Odontopera arida arida)、シャクガ科エダシャク亜科に属す、開張45mm前後の中型の蛾です。

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サザンカの花で眠るエグリヅマエダシャク
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/22)

 朝5時半頃、散歩の途中に寄ったサザンカの花に来ていました。まだ薄暗い時刻です。このサザンカは、以前紹介したホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャクコガタスズメバチ等を撮影した、6丁目のある御宅に垣根として植えられているサザンカです。  見付けたときは、上の写真の様に、上下逆さまに頭を花の中に突っ込んで、全く身動きしませんでした。夜の間に吸蜜に来てその儘寝てしまった、と言う感じです。
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チョッカイを出したら少し移動して葉に留まった
この蛾は屡々蝶の様に翅を垂直に畳んで留まる
(2008/10/22)

 これでは写真にならないので、一寸チョッカイを出して、眼を醒ましてやりました。幸いにも、遠くには逃げず、直ぐ近くの山茶花の葉に留まりましたが、初めは蝶の様に翅を垂直に畳んで居ました。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」を見ると、この蛾は屡々こう言う留まり方をする様です。
 蛾の生態写真では普通は見えない後翅の裏側が写っています。その中央付近に暗色の輪郭を持つ白斑があります。これはこの種の特徴の様です。
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普通の留まり方.翅が破けているのが残念
(2008/10/22)

 やがて普通の蛾の姿勢に変わりました。淡色と暗色からなる外横線があり、中室付近(小室?)に後翅の翅裏と同じ様な丸い紋があります。
 翅が少し破けていますが、前肢外縁に独特のデコボコがあります。これらがこの種の決め手です。
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真横から見たエグリヅマエダシャク
翅が破けているのが顕で本当は出したくない写真
(2008/10/22)

 今回は学名に亜種名まで入れてあります。種名と亜種名が同じですから、基亜種(原亜種、原名亜種)であることを示しています。基亜種であれば、亜種名は書かなくても良いのですが、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に拠ると、他に伊豆諸島亜種(Odontopera arida melancholica)があるので、特に入れておきました。
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エグリヅマエダシャクの横顔
(2008/10/22)

 エグリヅマエダシャクの食草は、保育社の蛾類図鑑ではチャ(茶)となっています。しかし、「みんなで作る・・・」に拠ると、ツバキ科、ブナ科、バラ科、ミズキ科、ツツジ科、スイカズラ科等相当広い範囲の木の葉を食べるそうです。
 越冬態は幼虫です。サザンカはチャと同じツバキ科ですから、このサザンカに来ていた本当の目的は、吸蜜ではなく産卵であったのかも知れません。
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背面からの拡大(2008/10/22)

 やはりこう言う晩秋の象徴のようなサザンカに留まった虫の写真を今頃(初春)出すのは、些か気が引けます。調べてみると、今年はまだ1回しか撮影に出掛けていませんでした。今日は天気も良く風も無いので、これからカメラをぶら下げて散歩にでも行こうかと思っています。

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2009年3月 8日 (日)

シマバエ科の未記載種(その2:Steganopsis sp.2

 今日は以前から予告していたシマバエ科の未記載種、「埼玉県昆虫誌」でSteganopsis sp.2とされているハエを紹介します。S. sp.1の方は既に掲載済みです。
 尚、このハエに関する情報は、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」から得たものです。私自身は、未だに「埼玉県昆虫誌」を持っておりません(一寸高いので・・・)。

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シマバエ科の未記載種Steganopsis sp.2
黄色い菊花に来ていたので黄色カブリで色調が少し変
色が黒くて背が丸く、遠くから見ると甲虫の様
翅が下側に急角度で曲がる点はカスミカメムシ的
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/25)

 撮影したのは先日のSteganopsis sp.1と同時同所で、昨年の11月25日に七丁目の第1家庭菜園(世田谷区ファミリー農園)の縁に植えられている菊の花に来ていました。残念ながら黄色い菊に留まっていたので、写真は黄色カブリを起こし、色調が少し変になっています。sp.1の方はこの時期に何度か見付け、赤い花にも来ていたので綺麗な写真も撮れましたが、このsp.2は、写真の黄色い菊花に来ていた1頭1度だけで、色調の良い写真は遂に撮れませんでした。
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真横から見たSteganopsis sp.2
シマバエ科のハエでは、触角は有毛で
前腿節下面に剛毛列がある
(2008/11/25)

 sp.1は褐色を基調とし、胸部背面に筋があり、京劇役者の化粧の様な赤、黒、白の派手な顔をしていました。中々の美麗種と言えますが、このsp.2の方は頭部を除いて殆ど真っ黒で、余り綺麗とは言えません。しかし、頭頂から顔面にかけてはやや黄色みを帯びた白色をしており、複眼は茶色の様に見えます。複眼の中に見える青や黄~赤色の模様は、ストロボ光の反射による構造色で、本来の色ではありません。
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斜め前から見たSteganopsis sp.2
額と顔面の大部分はは黄味を帯びた白色
真っ正面からは遂に撮れなかった
(2008/11/25)

 体長は、写真に見られる様な体を丸めた状態で、約3mmです。伸ばせばもう少し大きくなると思います。しかし、こう言う場合、何方を取るべきなのか、私には良く分かりません。「みんなで作る双翅目図鑑」にアノニモミイア氏提供の本種の標本写真が出ていますが、やはり、体は丸まった儘です。この標本写真を見ると、翅は少し赤みを帯びた黒色をしており、前縁部で特に色濃くなっています。
 大きさも色も体の輪郭も、少し遠くから見ると、やはり菊の花に来ていたルリマルノミハムシと間違えそうです。
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単眼域と額眼縁剛毛の基部は黒い
(2008/11/25)

 写真を見た限りでは、このsp.2も先日のsp.1も、何となく頼り無く鈍感な感じがします。しかし、実際は非常に敏感です。花に留まって食事中だったので写真をシッカリ撮ることが出来ましたが、草の上などに居るときは直ぐに逃げられてしまいます。
 sp.1は一度我が家の庭で見たことがあります。当然写真を撮ろうとしたのですが、”ニセ”アシナガキンバエマダラホソアシナガバエと同様、ストロボ光の増光に反応してストロボが充分明るくなる前に逃げてしまい、写真には葉っぱしか写っていませんでした。
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花弁の表から裏に回るSteganopsis sp.2
何となくぎこちない感じがするが実際は敏捷
(2008/11/25)

 未記載種と言うことは、まだこのハエを正式に記載した論文が無い、従って学名もないと言うことです。この様なまだ名前のない虫が、成城の様な都会の住宅地にも居ると言う事実は、一般の方には些か不可解なことかも知れません。しかし、双翅目(蚊、虻、ハエ)やその他の微小な昆虫では極く普通のことで、この辺りにもまだまだ未記載種がいる筈です。
 先日紹介したトガリキジラミの1種(その2)も、キジラミの研究をされているとりおざ氏によると、未記載種だそうです。
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本種の写真はWeb上に多くないので沢山貼っておく
黄色カブリで色調がおかしいのが何とも残念
(2008/11/25)

 しかし、未記載種と言っても、決して珍種なのではありません。このsp.2の方はやや少ないらしいですが、sp.1の方は普通種と言ってよく、このWeblog以外にも幾つかのサイトで紹介されています。
 普通種であるにも拘わらず、未だに記載されていないのは何故かというと、それは分類を担当する研究者の数が絶対的に不足しているからです。
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オマケその1(2008/11/25)

 北隆館の新訂原色昆虫大圖鑑第3巻にある双翅目の解説に拠ると、その時点(発行は平成20年)での日本産双翅目昆虫の総数は約5,400種ですが、未開拓の分野が多いので、将来的には約10,000種に上るであろう、とのことです。まだ、未記載種や未記録種が5,000種近くもあると言うことです。
 一方、研究者の数の方はどうかと言うと、「一寸のハエにも五分の大和魂」に九大名誉教授の三枝先生が「10年ほど前には10数名の双翅類分類学者が大学や博物館に在籍していたのですが,現在は1/3以下の数になってしまっています」と書かれている様に、甚だ寂しい状況です。数名の研究者で約5,000種を記載するのは、明らかに不可能です。
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オマケその2(2008/11/25)

 何故研究者が少ないかと言えば、それは分類学が地道で目立たない学問だからでしょう。本来、分類が正しく出来ていなければ生物学のあらゆる分野は科学として成り立ち得ないのですが、学生は電子顕微鏡、超遠心分離器、DNA自動分析機、高性能ガスクロマトグラフィーその他の最新鋭の機器を使ったカッコイイ分野に進みたがります。また、日本では一般に分類学を軽視する傾向がある様です。
 今の内に大学や関連する研究所で若い分類学者をもっと沢山育てる様にしないと、やがて日本は同定を外国に依頼しなければならない分類学後進国になってしまいます。

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2009年3月 5日 (木)

ワカバグモ(その2:捕食)

 以前、ワカバグモ(Oxytate striatipes)を掲載しましたが、今日は、そのワカバグモが捕食しているところを紹介したいと思います。獲物は、これも既に紹介済みのウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄です。撮影場所は、それぞれを紹介したのと同じく、「三丁目緑地」の上部にあるシャクチリソバの群落で、時期は昨年の11月です。

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ウスイロアシブトケバエの雄を捕らえたワカバグモ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 丁度この時期、シャクチリソバの葉上には、ワカバグモもウスイロアシブトケバエもかなり沢山いました。だから、こう言う光景が生ずるのは、まァ、必然的と言えます。
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触肢でウスイロアシブトケバエの頭を押さえている
ケバエの腹部が良く見える
(2008/11/10)

 食べられている方のケバエ(ハエと付いても蚊の仲間)は翅を開いているので翅脈も腹部も良く見え、ウスイロアシブトケバエであると同定するのに役立ちました。普通、この連中は翅を畳んで留まるので、翅脈も腹部も良く見えないのです。ワカバグモに同定の協力をして貰った様なものです。
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正面からの図.ケバエの翅脈が良く見える
(2008/11/10)

 クモは獲物を捕らえるとき、上顎(鋏角)で挟むと同時にその先端にある牙から毒液を出して相手を倒し、消化液を注入して獲物の組織を溶かした後、その溶けた汁を吸います。
 下の写真で、ケバエを押さえているのは脚と構造のよく似た触肢で、眼の下方にある太い1対の構造が上顎です。この下側(裏側)に、左右の触肢の基部から内側に伸びた下顎(顎葉)があり、口はその間にあります。
 よく知らない頃は、上顎の牙から出る毒液に消化作用もあるのだと思っていましたが、クモ学の聖典とも言える吉倉眞著「クモの生物学」を読むと、消化液は下顎(顎葉)の篩域という場所に多数開口する唾液腺から出るのだそうです。
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食事中のワカバグモの顔.眼域の下に見える1対の上顎で
獲物を挟んでいる筈なのだが、良く見えない
(2008/11/10)

 クモの上顎(鋏角)がどの様に獲物を挟んでいるのか、上の写真では良く分かりません。そこで別の上から撮った写真を部分拡大してみました(下)。しかし、これでも上顎の先端が獲物に触れているだけの様にしか見えません。この辺りが良く分かる写真を撮るのは、獲物が邪魔になることが多いので、中々難しい様です。
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背側から撮った写真の部分拡大.やはり上顎が
どう獲物を挟んでいるのか良く分からない
(2008/11/10)

 前回、「次回は埼玉県昆虫誌にSteganopsis sp.2として載っているもう一方の未記載種を紹介する」と言う意味のことを書きました。しかし、最近は余りにハエが続くので、今日は一寸気分転換をしてみました。
 Steganopsis sp.2は、次回に必ず紹介します。

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2009年3月 3日 (火)

シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.1)(その2)

 昨年の夏に、「三ツ池緑地」で撮影した「シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.」を紹介しましたが、その時は直ぐに逃げられてしまい、写真は2枚しか有りませんでした。しかしその後、11月の下旬に七丁目の家庭菜園(世田谷区ファミリー農園)でこのSteganopsis sp.を何回か見付け、幸いシッカリ写真を撮ることが出来ましたので、もう一度掲載することにしました。

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シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.1
2種あるSteganopsis属未記載種の内、埼玉県昆虫誌で
sp.1とされている種類.褐色を基調とし背中に縦縞がある
黄色い菊花に居たので色カブリで色調が変になっている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/25)

 既に紹介したセンダングサケブカミバエノゲシケブカミバエヒゲブトキモグリバエ?などと同じく、「ファミリー農園」の端に植えられている菊の花に来ていました。
 惜しむらくは、黄色い花が多いので、その場合は黄色カブリの写真となり、色が少しおかしくなっています。赤や青の花ならばこうはならないのですが、黄色カブリの場合はどうにも色補正が出来ません。
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複眼がストロボの反射で複雑な色を呈している
(2008/11/25)

 このシマバエ科のSteganopsis sp.は、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」に拠れば、埼玉県昆虫誌に2種載っているSteganopsis属の未記載種の内、S. sp.1とされている種類です。体長3mm強、翅端まで4mmと小さいので、肉眼的には殆ど黒く見えますが、拡大してみると焦げ茶色の部分が多く、背中には縦筋が数本あり、頭部には独特の模様が有ります。また、胸側上側にある象牙色に近い顕著な白帯が目立ちます。複眼は本来は赤い様ですが、ストロボの反射で複雑な構造色を生じています。
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Steganopsis sp.1の顔.何とも派手な色彩
恰も京劇役者の如し(2008/11/26)

 前回の写真は何れも斜めからでよく顔が見えませんでしたが、今回は真っ正面からも撮ることが出来ました。顔の左右に白で縁取られた黒斑が1対、また、頭頂の単眼部も黒くなっています。白と黒と複眼の赤で、まるで京劇役者の化粧の様な配色です。こんな派手な顔をしたハエは他にいないのではないかと思います。
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身繕い中に体を浮かせた瞬間.撮る機会の非常に少ない格好
(2008/11/26)

 Steganopsis属は、九州大学の日本産昆虫目録には1種も載っていません。しかし、「一寸のハエにも五分の大和魂」と同じ運営者による日本産双翅目目録には3種あり、この内の2種はつい最近、10年ほど前に記載された種です。その他にまだ未記載種が2種あるのですから、双翅目(蚊、アブ、ハエ)と言うのは如何に未開拓の部分が多いグループであるかが分かると思います。
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普段はこう言う格好をしている
(2008/11/26)

 シマバエ科やSteganopsis属の特徴などは、既に掲載した「シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.」に書きましたので、此処では省略します。
 正面から撮った顔写真をもう1枚貼っておきます。これはF11(等倍撮影時の実効絞り値なので、レンズ焦点距離に対する本体の絞り値は1/2の5.6)で撮影したものです。他の写真よりも拡大率を大きくしてあるので少し荒れて見えますが、等倍接写の解像力としてはこれが普通の100mmマクロレンズの限界でしょう。このレンズの場合、F11(F5.6)辺りが一番解像力が高いのですが、焦点深度は非常に浅くなることがお分かり頂けると思います。焦点が合っているのは顔だけで、触角も頭部後方の剛毛もボケています。焦点深度は多分0.5mm以下でしょう。野外では普通実用にならないのですが、膝をついて撮影することが出来たので、何とかモノにすることが出来ました。
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正面からもう1枚.F11での極限撮影?
(2008/11/26)

 実はこの時、埼玉県昆虫誌にSteganopsis sp.2として載っているもう一方の未記載種も撮影することが出来ました。次回はこの「sp.2」を紹介することにします。

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