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2009年2月17日 (火)

ヒメフンバエ(雌)

 ハエと言うと、一般的にはやはり汚い虫の代表の様に思われていると思います。しかし、これまでこのWeblogで紹介してきたハエは、中には食性不明の種もありますが、基本的に汚いハエではありません。しかし、今日紹介するのは、その名もフンバエ(糞蠅)科に属すヒメフンバエ(Scathophaga stercoraria)です。撮影したのは、ワカバグモカシヒメヨコバイや先日のウスイロアシブトケバエ()などと同じく、「三丁目緑地」の上部にあるシャクチリソバの群落の中で、時期もそれらと同じ昨年(2008年)の11月の中頃です。この個体は雌ですが、雄は黄色の長毛に被われていて、一見別種の様に見えます。体長は1cm前後、今までこのWeblogで登場したハエとしては大きい方に属します。

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ヒメフンバエ(Scathophaga stercoraria)の雌
脚が太く、強力な剛毛が沢山生えている.成虫は補食性
腹胸側剛毛が1本しかない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 「フンバエ」の名が付くハエは、フンバエ科以外にもイエバエ科のチビフンバエ属2種があり、また、別にフンコバエ(糞小蠅)科(旧称ハヤトビバエ科)と言う科もあります。名前の通り、これらの幼虫の多くは糞、或いは、堆肥や汚水等、「糞」に縁のある場所に発生します。
 このヒメフンバエも幼虫は糞食です。この辺り(東京都世田谷区西部)に存在する糞と言えば、猫か犬のもの位しか考えつきませんが、まァ、そう言うところから発生しているのでしょう。
 しかし、このヒメフンバエ、糞食にしては?随分ガッチリしており、強そうです。実際、幼虫は糞食でも、成虫は補食性で、他の小型のハエや蚊などを捕まえて食べるのだそうです。
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正面やや斜めから見たヒメフンバエ.
(2008/11/10)

 和名ばかりでなく、属名のScathophagaも「糞食」の意です。しかし、正しい綴りは"Scatho"ではなく、"Scato"の筈です。そこでScatophagaで検索してみると、Scathophagaで検索したのとほぼ同数がヒットします。何方が正しいのか、私に分かるはずもありません。そこで、例によって双翅目のBBS「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみました。
 早速、学名の由来にも詳しいアノニモミイア氏より詳細な御回答を頂きました。それに拠ると、ヒメフンバエ属を創設したのはMeigen(1803)で、記載論文を書いたときに綴りを間違えてScathophagaとしてしまいました。後にこの誤りに気付き、Meigen自身もその他の研究者も「h」の入らないScatophagaを用いていましたが、フンバエ科の学名はScathophaga属を模式属としたScathophagidaeですから、科名も同様に「h」を取り去ってScatophagidaeとすると、今度は、既にScatophagus(クロホシマンジュウダイ属)から作られたScatophagidae(クロホシマンジュウダイ科)と重複してしまいます。従って、科名の方はScathophagidaeから「h」を取り除くことが出来ません。Scathophagidaeの模式属がScatophagaでは、科名と模式属で綴りが一致せず、おかしなことになってしまいます。そこで現在では、最初の記載に戻り、科名と模式属の綴りが矛盾しないScathophagidae科のScathophaga属とするのが一般的になっているのだそうです。
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ヒメフンバエの顔.額に交叉剛毛がない
(2008/11/10)

 ヒメフンバエはこの辺りでは比較的珍しい種類ではないかと思います。虫が留まっていた位置の関係から、前と横からしか撮れませんでしたので、その後も何回かこのヒメフンバエを狙って「三丁目緑地」に出掛けたのですが、再度見付けることは出来ませんでした。それで、写真は3枚しかありません。

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