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2009年2月の11件の記事

2009年2月27日 (金)

ハムシダマシ

 最近は微小なハエやチャタテムシ等の掲載が続いています。今日は、一寸雰囲気を変えて、昨年の初秋に我が家の庭で撮った甲虫を紹介することにします。
 ハムシダマシ(Lagria rufipennis)、体長は図鑑に拠れば6.2~8.0mm、写真の個体は何れも約7mmです。遠目にはハムシの様に見えますが、写真に撮って見ると全身に細毛を帯びていて、随分ザラザラした感じです。ハムシ科は、Wikipediaに拠れば現在日本に約780種も棲息する大きなグループですが、体や鞘翅に細かいデコボコはあっても、細毛に被われている種類はいません。

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ハムシダマシの雌.全身が細毛で覆われている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/01)

 ハムシダマシはゴミムシダマシ上科ハムシダマシ科(ゴミムシダマシ上科ゴミムシダマシ科ハムシダマシ亜科)に属すのに対し、ハムシはハムシ上科ハムシ科に属します。上科のレベルで所属が違うのですから、これはかなり遠縁であると言えます。以前紹介したセスジナガキマワリはゴミムシダマシ科ですから、このハムシダマシとはかなり近い訳です。一方、ハムシ上科には、他にカミキリムシやゾウムシの仲間が所属します。
 鞘翅目(甲虫類)も、双翅目(虻、蚊、ハエ)と並んで、「他人の空似」が所々に居る要注意のグループです。
 なお、ハムシダマシは、もう一つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」では、一昨年に既に掲載済みです(内容はかなり異なります)。
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上と同じ個体.触角の末端節は比較的短く、胸部はかなり太い
(2008/09/01)

 今日掲載した6枚の写真の内、最初の2枚とその後の4枚では個体が異なります(撮影日が違います)。前の個体は胸部が太いのに対し、後の個体は胸部が細く、頭部も少し細長くて菱形をしています。始めは前者が雌、後者は雄だと思っていたのですが、保育社の甲虫図鑑を見ると、「雄の前頭幅は複眼横径の0.6倍、触角は非常に長く、末端節は第3~10節の和にほぼ等しい」と書いてあります。
 後の個体の写真を見ると、前頭幅はもっと広い様ですし、触角の末端節は第6~10節の和にほぼ等しく、明らかに図鑑の記載よりも短くなっています。
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ハムシダマシの雄に似た個体.しかし、触角の末端節は
図鑑の記載よりずっと短い
(2008/09/13)

 他に近縁種が居るのかも知れません。しかし、保育社の甲虫図鑑にはLagria属は3種しか載って居らず、他の2種は明らかに該当しません。また、他のハムシダマシ科にも似た種類は見当たりませんでした。
 そこで、九州大学の日本産昆虫目録を参照してみると、図鑑の3種の他にニセハムシダマシと言う種類が載っていました。学名を見ると、何と、甲虫図鑑でハムシダマシに当てられているLagria nigricollisは、九大の目録ではニセハムシダマシ(Lagria nigricollis Hope, 1842)であり、ハムシダマシの学名はLagria rufipennis Marseul, 1876 になっています。分布は何れも日本全土(島嶼については不明)の様です。命名年は何れも19世紀ですから、新種が発見された訳ではなく、また、分布も広いことから、これは以前から日本全土に棲息していた「ハムシダマシ」が、よく見てみると2種類であった、と言うことだと思われます。
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細毛に被われていて頭部の詳細が分からない
(2008/09/13)

 残念ながら、ハムシダマシとニセハムシダマシとの違いについて書かれた文献やWebサイトは見つかりませんでした。図鑑の記載その他から判断して、最初の2枚の写真に写っている個体はハムシダマシの雌として特に問題ない様です。
 しかし、後の細長い個体については、ここでは一応「ハムシダマシ」としておきますが、ハムシダマシの異常型、ニセハムシダマシ、或いは、その他の全然違うグループである可能性もあります。
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普通は見えるはずの顔が毛でよく見えない
(2008/09/13)

 ニセハムシダマシは、ハムシダマシと同属近縁種ですから、分けて書くとニセ・ハムシダマシとなります。昆虫の名前にはニセ○○○、○○○ダマシ。○○○モドキの類が沢山あります。ニセハムシダマシについて調べていると、余り虫に詳しくないと思しき人が、この様なややこしい虫の名前を面白がって、色々と書いているサイトがかなりの数見つかりました。ニセハムシダマシに付いても、「ニセハムシとハムシダマシの両方があるから、ニセハムシ・ダマシなのかニセ・ハムシダマシなのか分からん」と言う様なことを書いているサイトがありました。しかし、ニセハムシというハムシは居ません。ニセハムシと付く虫は、一見ハムシ的な、カミキリムシ科ハナカミキリ亜科に属すニセハムシハナカミキリ属(Lemula)の仲間が居るだけです。
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横から見ると頭部も毛だらけなのが分かる
(2008/09/13)

 ハムシダマシの話は簡単に済むだろうと思っていたのですが、本文記述中に念の為図鑑の解説を読んだ結果、途中から面倒なことになってしまいました。ややこしいのは双翅目だけではない様です。

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2009年2月25日 (水)

シナホソカトリバエ(Lispe sinica

 昨年の晩秋に、かなり沢山のハエを撮ったせいで、ハエの写真が溜まっています。そこで今日もハエを紹介することと相成りました。
 シナホソカトリバエ(Lispe sinica)です。撮影したのは、先日のヒメフンバエやウスイロアシブトケバエ()(これはハエと付いても蚊の仲間)と同じく、「三丁目緑地」の上部に群生しているシャクチリソバの葉上です。体長約5mm、翅端まで6.5mmですから、ハエとしてはやや小さめと言えますが、このWeblogで最近紹介しているハエと較べるとかなり大型です。

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シナホソカトリバエ(Lispe sinica).イエバエ科に属すが
M1脈(下端右から前縁脈を除いて3本目の翅脈)が真っ直ぐ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/13)

 イエバエ科に属しますが、衛生害虫として有名な「イエバエ」とは随分形が違っています。これが双翅目の困ったところで、1つの科に属するにも拘わらず、様々な外見の種類が居ます。
 特にイエバエ科の場合は、このシナホソカトリバエの様にM1と呼ばれる翅脈(上の写真参照)が真っ直ぐな連中と、ニクバエ科やヤドリバエ科(例えば「アシナガヤドリバエの1種」)の様に前方に強く曲がる仲間の両方が居ます。
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腹側板(前肢と中肢の間)に3本の剛毛があるのだが
写真の解像度が低くて些か分かり難い
前脛節の中程に後ろ向きの剛毛がある
(写真を拡大して見て下さい)
(2008/11/10)

 イエバエ科に至るまでの検索や、その下の亜科や属の検索には、写真には写り難い(中肢や後肢の腿節で隠れてしまう)翅や胸弁の下側にある剛毛の有無やその数が問題になることが多く、ここに掲載した写真からは良く検索が出来ませんでした。こう言う場合は、WEB上にあるハエの写真を探して、似たような種類を見付ける以外に手がありません。
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小顎鬚(頭部の下に見える1対の構造)は幅広く黄色
(2008/11/13)

 探してみると、カトリバエの仲間によく似ていました。そこで、次は双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」でカトリバエの詳細な写真を探すことになります。この掲示板にはワード検索がありますので、直ぐに幾つかの生態写真や標本写真が見つかり、その内のシナホソカトリバエと非常に良く似ていることが分かりました。特に、Acleris氏が出されている標本写真と較べてみたところ、頭部、胸部、脚の剛毛は基本的に一致している様に見えました。しかし、双翅目に関して恐ろしいのは「他人の空似」です。
 イエバエ科に関しては「日本のイエバエ科」と言う文献があります(色々問題が指摘されていますが・・・)。亜科や属の検索は写真からでは無理でしたが、カトリバエ(Lispe)属内の検索では、些か怪しげですが、シナホソカトリバエに落ちました。
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解像度が低くて、翅の下の剛毛が良く見えない
(2008/11/10)

 そこでまた、この掲示板に御伺いを立てることと相成ります。するとたちどころにアノニモミイア氏より「ほぼ間違いなくシナホソカトリバエでしょう」との御回答を得ました。氏はその後、5枚もの同定の決め手となる詳細な標本写真を載せて下さいました。これらの写真と比較した結果、また、東京都本土部昆虫目録を見るとLispe属はシナホソカトリバエとトウヨウカトリバエの2種しか記録が無いことから、このハエはシナホソカトリバエとして問題ないものと判断しました。
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最初の写真とほぼ同じだが、横線前背中剛毛は明らかに1本
(2008/11/10)

 カトリバエとは「蚊取蠅」の意で、「日本のイエバエ科」に拠れば、この属(Lispe)の仲間のあるもの(成虫)は、蚊の幼虫、蛹、或いは、羽化してきた成虫を食べる肉食で、幼虫は水棲とのことです。
 また、成虫は海、汽水、川などの縁に普通に見られる、とあります。「三丁目緑地」に沢山いたところを見ると、このシナホソカトリバエは、緑地内に2個所ある清水から発生している可能性が大です。
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オマケにもう1枚(2008/11/13)

 このシナホソカトリバエ、11月の10日頃には非常に沢山いたので、後で撮ればよいと思い余りキチンと撮りませんでした(絞りを絞って深度を深くして撮ってあるので、解像度が低い)。しかし、22日に行ってみたところ、何と、1頭も見られませんでした。御蔭で解像度の高い写真が無く、剛毛の有無が分からなくて苦労しました。
 これに懲りて、その後はもう少し絞りを開けて解像力を上げて撮る様にしています(焦点深度が浅くなるので撮影は難しくなる)。既に紹介済みのセンダングサケブカミバエノゲシケブカミバエヒゲブトキモグリバエ?キタモンヒゲブトキモグリバエ等は、体長はこのシナホソカトリバエよりずっと小さいにも拘わらず、かなり高解像度で撮ってあるので、それなりに鮮明に写っています。

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2009年2月22日 (日)

ノゲシケブカミバエ(Ensina sonchi

 このところ雑用が多く、気が付くと4日も更新を空けていました。今後も暫く忙しい日が続くと思いますので、更新の頻度は以前よりかなり落ちるかも知れません。
 今日紹介するのは、ノゲシケブカミバエ(Ensina sonchi)、以前掲載したセンダングサケブカミバエと同じく、ミバエ科ケブカミバエ亜科(Tephritinae)に属します。体長は3.5mm弱、翅端まで4.5mm強ですから、かなり小さめのハエと言えるでしょう。
 居たのもセンダングサケブカミバエと同じく、七丁目の家庭菜園(世田谷区ファミリー農園)に植えられている菊花の上で、時期も同じ11月下旬です。

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ノゲシケブカミバエ(Ensina sonchi).青い綺麗なミバエ
ミバエとしては翅の模様が少ない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/26)

 一応ミバエ科に属すところまでは自分の力で何とか分かりました。しかし、その先の検索表は手元にありません。北隆館の図鑑にはミバエ科はかなりの数載っているのですが、該当する種は見当たりませんでした。そこでまた、双翅目のBBS「一寸のハエにも五分の大和魂」の御世話になることと相成ります。
 すると、北大のウミユスリカ氏から、頭部の形態や翅の斑紋など、ノゲシケブカミバエEnsina sonchi (Linnaeus, 1767)によく似ている、との御回答を頂きました。しかし、この写真のミバエのR2+3脈には、下に矢印で示した様な小さな枝があります。これは、ノゲシケブカミバエには本来ない筈のものだそうです。氏のお話に拠れば、「イエバエ科などでも個体変異で一部の個体に(しばしば左右不相称に)出現することがありますので、その手の形質かもしれません」とのことでした。
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R2+3脈に枝がある(白矢印).前縁脈はSc脈の終点と
h脈の直後の2個所に切れ目がある.少し翅を拡げているので
翅脈が見易い(写真をクリックして拡大して見てください)
(2008/11/26)

 このEnsina属には、九州大学の日本産昆虫目録やそれよりも新しい上記BBSと同じ運営者による日本産双翅目科一覧でも、ノゲシケブカミバエEnsina sonchi1種しか居ません。R2+3脈に枝があってもノゲシケブカミバエとして良いと思いますが、ウミユスリカ氏は「専門家といっても私の畑はむしろ生態学分野ですし、研究対象として主に触れているのはニクバエ科、クロバエ科、イエバエ科といった有弁類です。(中略)私の写真からの同定は、まだまだ誤同定の危険をはらんでいることをお含みください」と附記されております。
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上より3日前に撮った写真.やはりR2+3脈に枝がある
(2008/11/23)

 このR2+3脈の枝は、2番目の26日に撮った写真ばかりでなく、23日の写真(上)にも見られます。2日置いて同じ個体を撮影したのか、それとも、この辺り(東京都世田谷区西部)のノゲシケブカミバエには、一般にR2+3脈に枝があるのか、興味のあるところです。後者であれば、新変種、或いは、新種の可能性もあります。今年の同じ時期に、今度はカメラだけでなく、ネットも持って出掛ける積もりです。
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真横から見た図.お尻の先端が筒状になっていないので雄
(2008/11/23)

 ノゲシケブカミバエは、ノゲシ類(例えば、ノゲシ)の花(頭花)潜り込んで、その中で生長するそうです。外国のサイトなどでは「a gall fly」と書かれているので虫えいを作る様ですが、全農教の「日本原色虫えい図鑑」には載っていません。
 種名のsonchiは、ノゲシ属のsonchusを形容詞形にしたものでしょう。英語圏では、一般にsonchus flyと呼ばれています。
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オマケにもう1枚.正面からは遂に撮れなかった
(2008/11/26)

 ノゲシケブカミバエは、調べてみると、北隆館の図鑑にチャンと載っていました。しかし、色の記載はかなり異なっています。ここに掲載した写真は、撮ったとき肉眼的に非常に鮮やかな青に見えたので、それに合わせてかなり色温度を低く現像してあります。或いは、実際の色はそれ程青くはなく、青みがかった暗灰色程度であったのかも知れません。また、図鑑の方も、褪色した標本を見て記載した可能性が零ではありません。
 何分にも周りが黄色一色ですから、人間の眼は補色を強く感じる筈です。一方、カメラの方も「黄色カブリ」を起こしますし、また、その時々でかなり色にムラがあり、色温度を一定にすると明らかにおかしな色になってしまう場合があります。実際はどんな色をしていたのか・・・、中々難しい問題です。

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2009年2月17日 (火)

ヒメフンバエ(雌)

 ハエと言うと、一般的にはやはり汚い虫の代表の様に思われていると思います。しかし、これまでこのWeblogで紹介してきたハエは、中には食性不明の種もありますが、基本的に汚いハエではありません。しかし、今日紹介するのは、その名もフンバエ(糞蠅)科に属すヒメフンバエ(Scathophaga stercoraria)です。撮影したのは、ワカバグモカシヒメヨコバイや先日のウスイロアシブトケバエ()などと同じく、「三丁目緑地」の上部にあるシャクチリソバの群落の中で、時期もそれらと同じ昨年(2008年)の11月の中頃です。この個体は雌ですが、雄は黄色の長毛に被われていて、一見別種の様に見えます。体長は1cm前後、今までこのWeblogで登場したハエとしては大きい方に属します。

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ヒメフンバエ(Scathophaga stercoraria)の雌
脚が太く、強力な剛毛が沢山生えている.成虫は補食性
腹胸側剛毛が1本しかない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 「フンバエ」の名が付くハエは、フンバエ科以外にもイエバエ科のチビフンバエ属2種があり、また、別にフンコバエ(糞小蠅)科(旧称ハヤトビバエ科)と言う科もあります。名前の通り、これらの幼虫の多くは糞、或いは、堆肥や汚水等、「糞」に縁のある場所に発生します。
 このヒメフンバエも幼虫は糞食です。この辺り(東京都世田谷区西部)に存在する糞と言えば、猫か犬のもの位しか考えつきませんが、まァ、そう言うところから発生しているのでしょう。
 しかし、このヒメフンバエ、糞食にしては?随分ガッチリしており、強そうです。実際、幼虫は糞食でも、成虫は補食性で、他の小型のハエや蚊などを捕まえて食べるのだそうです。
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正面やや斜めから見たヒメフンバエ.
(2008/11/10)

 和名ばかりでなく、属名のScathophagaも「糞食」の意です。しかし、正しい綴りは"Scatho"ではなく、"Scato"の筈です。そこでScatophagaで検索してみると、Scathophagaで検索したのとほぼ同数がヒットします。何方が正しいのか、私に分かるはずもありません。そこで、例によって双翅目のBBS「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみました。
 早速、学名の由来にも詳しいアノニモミイア氏より詳細な御回答を頂きました。それに拠ると、ヒメフンバエ属を創設したのはMeigen(1803)で、記載論文を書いたときに綴りを間違えてScathophagaとしてしまいました。後にこの誤りに気付き、Meigen自身もその他の研究者も「h」の入らないScatophagaを用いていましたが、フンバエ科の学名はScathophaga属を模式属としたScathophagidaeですから、科名も同様に「h」を取り去ってScatophagidaeとすると、今度は、既にScatophagus(クロホシマンジュウダイ属)から作られたScatophagidae(クロホシマンジュウダイ科)と重複してしまいます。従って、科名の方はScathophagidaeから「h」を取り除くことが出来ません。Scathophagidaeの模式属がScatophagaでは、科名と模式属で綴りが一致せず、おかしなことになってしまいます。そこで現在では、最初の記載に戻り、科名と模式属の綴りが矛盾しないScathophagidae科のScathophaga属とするのが一般的になっているのだそうです。
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ヒメフンバエの顔.額に交叉剛毛がない
(2008/11/10)

 ヒメフンバエはこの辺りでは比較的珍しい種類ではないかと思います。虫が留まっていた位置の関係から、前と横からしか撮れませんでしたので、その後も何回かこのヒメフンバエを狙って「三丁目緑地」に出掛けたのですが、再度見付けることは出来ませんでした。それで、写真は3枚しかありません。

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2009年2月14日 (土)

ケチャタテ科の1種(その3)

 今日は、またチャタテムシです。居たのは先日紹介した「ケチャタテ科の1種(その2)」と同じく、国分寺崖線下の四丁目に植えてあるミカンの木の葉裏で、日付も同じ今年(2009年)の1月19日です。
 色々な方向から撮ろうと、葉っぱをいじくり回している内に葉っぱが枝から取れてしまいました。その後、左手1本でその葉の方向を変えようとしてうっかり葉を落としてしまい、葉っぱに付いていたチャタテムシは行方知れずになってしまいました。そんな訳で、写真は3枚しかありません。
 3枚目の写真を見ると、M脈とCu1脈との間に横脈がある様に見えたのでチャタテ科かと思いましたが、最初の写真にはその様なものは見えません。やはり、先日と同じケチャタテ科(Caeciliusidae)に属すと思われます。
 例によって図鑑には該当する虫は見当たりませんでした。従って、今日の表題は、これまた例によって「ケチャタテ科の1種(その3)」です。何故か知りませんが、この辺りにいるチャタテムシは、ケチャタテ科の虫ばかりの様です。

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ケチャタテの1種.全体的に黒く、翅に斑紋を欠く
首(前胸)だけが妙に白い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/01/19)

 このチャタテムシ、御覧の様に殆ど全身黒ずくめで、首(前胸)のところだけ妙に白いのが目立ちます。これまでにも黒っぽいチャタテムシは何回か紹介してきましたが、何れも翅に紋がありました。しかし、このチャタテムシの翅には斑紋が無く、一様に薄黒くなっています。
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斜めから見たケチャタテの1種
(2009/01/19)

 大きさを書き忘れました。体長は腹端が見えないので良く分かりませんが、翅端まで約4mm、前翅長は約3.3mmです。これまでに紹介したチャタテムシと較べると、翅端まで約5mmの「ケチャタテ科の1種?(チャタテムシ)」を除いて、大体みな同じ程度の大きさです。
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最初と同じ様な写真だが、写真はもう他に無いので出しておく
(2009/01/19)

 今日のチャタテムシを入れて、チャタテムシは全部で5種になりました。この冬だけで4種ですが、更にまだ紹介していない種があります。
 今までに紹介したこの5種、今見てみると何れもケチャタテ科ではないかと思われます。九学の日本産昆虫目録ではケチャタテ科に6属17種が登録されており、本州に棲息するのはその内の4属13種です。本州にたった13種しか居ないのに、この辺り(東京都世田谷区成城)で5種と言うのは一寸変な感じです。近くには「神明の森・みつ池特別保護区」があるとは言え、基本的には住宅地の中の小さな林に過ぎません。まだ紹介していないチャタテムシもケチャタテ科に属すと思われますので全部で6種、6/13と言えば、殆ど1/2です。本州に棲息するケチャタテの半分近くがこの辺りに居るとはとても考えられません。何処か基本的な間違いを犯しているのではないか、と不安になります。

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2009年2月13日 (金)

ノゲシ(ハルノノゲシ)

 完全に時季外れの植物ですが、今日はノゲシ(Sonchus oleraceus)を紹介します。撮影したのは、先日のシロノセンダングサと同じく、国分寺崖線下の四丁目にある休耕地の様な空地です。しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)では何処の空地にも生えていると言って良い位、何処にでも生えている雑草です。

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ノゲシ、ハルノノゲシとも呼ぶが晩秋でも咲いている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/14)

 一名、ハルノノゲシとも呼ばれます。図鑑には「頭花は普通4~7月に開き」とありますが、この写真を撮影したのは11月中~下旬です。実際の花期はもっと長い様です。
 似たような名前にアキノノゲシがあります。これは図鑑に拠れば8~10月に咲くとあり、実際、春に咲くことは無いそうです。形態的には、葉がノゲシよりもずっと細長く、また、花は薄い黄色で1つの花序にノゲシよりもずっと多くの花を着けますから、間違えることはありません。なお、ノゲシは史前帰化種と推測されていますが、アキノノゲシは在来種です。
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ノゲシの葉の基部は左右が三角形となり先が尖る(2008/11/22)

 外見がノゲシによく似ているのは、オニノゲシの方です。これは欧州原産で、明治25年に東京小石川に帰化しているのが見つかり和名が与えられた、と保育社の帰化植物図鑑に書かれています。名前の通り、ノゲシよりも植物体全体がごつく、葉の先は尖って針状となり、かなり触れると痛いそうです。少し探してみましたが、この辺りには、オニノゲシは生えていない様です。
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ノゲシの1花序に付く花の数は少ない
ハナバチの1種が訪花している
(2008/11/22)

 ノゲシとオニノゲシの違いは他にもあります。ノゲシでは2番目の写真に示した様に、葉の基部が細長い三角形となり、先が尖っているのに対し、オニノゲシでは半円形で全体が丸くなります。
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ノゲシの花.全て舌状花からなるが、周辺の方が舌の部分が長い
(2008/11/22)

 この葉形の違いは、様々な図鑑やInternet上の多くのサイトにも書かれていますが、現物を見ると判別に苦しむ時もあります。そう言う場合は、やはりもっと基本的なところで判断すべきでしょう。
 何が基本かと言うと、それは種子の形状です。こう言う特徴は、環境因子で容易に変化するものではありません。
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ノゲシの穂(2008/11/14)

 ノゲシの種子は縦筋の他に横筋が目立つのに対し、オニノゲシにはこの横筋が殆どありません。
 ノゲシとオニノゲシの種子の図は、保育社の「原色日本植物図鑑」や「原色日本帰化植物図鑑」にも出ていますし、全農教の「日本帰化植物写真図鑑」にもオニノゲシ種子の写真が出ています。
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ノゲシのそう果.冠毛がリッパ.横筋が目立つ
(2008/11/22)

 ノゲシの穂から、冠毛の付いたそう果をむしり取って撮ったのが、上の写真です。随分リッパな冠毛ですね。種子には明らかに横筋が認められます。
 更に、冠毛を取り去って種子だけを拡大撮影したのが下の写真です。縦の筋が深いのに対し、横筋は殆ど皺の様な浅い構造である様に見えます。しかし、これには一寸注意が必要です。何方もストロボ同期で撮影していますが、ストロボの光は上方から来ます。上の写真では光と平行に並んだ縦筋は目立たず横筋が目立つのに対し、下の写真では種子が横に置いてありますから、逆に縦筋が目立ち横筋は目立たなくなります。種子を縦に置いて撮影して置けば比較が出来たのですが、下の写真の横筋は、実際はもっと明瞭であると考えるべきでしょう。
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種子だけを拡大.横に置いた為、横筋が目立たない
(2008/11/22)

 ここ1週間程、風邪気味で文章を書く気にならず、更新をサボっていました。その間に調べてみると、9~10月に撮ってまだ掲載していない写真が山程あるのでウンザリしてしまいました。折角撮った写真です。完全に時季外れになりますが、このWeblogは日記的要素が少ないので、一つずつ掲載して行くことにします。

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2009年2月 8日 (日)

トガリキジラミの1種(その2)

 昨年の秋に撮った虫が3回続きましたから、今日は今年撮った虫を出します。トガリキジラミ(トガリキジラミ亜科Triozinae、或いは、トガリキジラミ科Triozidae)の1種です。種名は、残念ながら分かりません。
 九州大学の日本産昆虫目録を見るとトガリキジラミ亜科には31種が載っており、その内の23種が本州に産します。また、東京都本土部昆虫目録には10種が登録されています。種類数は多くないのですが、チャタテムシ(例えばこちら)と同様、手元に詳細な文献が無いので、「トガリキジラミの1種(その2)」とするしか手がありません。

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トガリキジラミの1種.ミカンの葉裏に居た
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/01/19)

 居たのは、先日の「ケチャタテ科の1種(その2)」やキタモンヒゲブトキモグリバエと同じく、国分寺崖線下の四丁目にあるミカンの木の葉裏です。
 体長は、真横から撮った写真が無いので正確には分かりませんが、2mm強、翅端までは3mm強です。トガリキジラミは一昨年の晩秋にも紹介しています。体長はほぼ同じですが、体の模様が明確に異なり、別種と考えられます。
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斜め横から見たトガリキジラミの1種
こう言う半逆立ち状態で体を左右に振っている (2009/01/19)

 ミカンの葉裏に1頭だけ居ました。やはり、半逆立ち状態で体を左右に規則的に振っていました。ヤツデキジラミトベラキジラミの様なキジラミ亜科では見たことのない行動ですが、以前紹介したトガリキジラミも、我が家の庭で見付けたトガリキジラミ(例えばこちら)も、みな同じ様な「踊り」を踊っていました。この不可解な行動は、どうもトガリキジラミ亜科に共通する様です。
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正面から見た図.結構面白い顔をしている
(2009/01/19)

 この日は気温が高く、ハエ類やユスリカ類も動きが活発で、撮影には苦労させられました。このトガリキジラミも撮影の途中にピンッと飛んで、何処かへ見えなくなってしまいました。御蔭で、写真は3枚しか有りません。

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2009年2月 6日 (金)

ウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄

 前回予告した通り、今日はウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄を紹介します。
 撮影したのは前回の雌と同じく、「三丁目緑地」の上部にあるシャクチリソバが群落しているところで、日付も同じ昨年の11月10日です。雌を見たのは1回だけで、前回の写真は全て同一個体を撮ったものですが、雄は沢山居たので、今回の写真の個体は同一ではなく、3個体です。

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ウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄
全体に黒っぽく、複眼が大きい.体長7~8mm
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 ケバエ類では雄と雌の外見が大きく異なります(体長は殆ど同じで7~8mm程度です)。雌雄を別々に紹介することにした所以ですが、特に大きく違うのが頭部です。雌の頭は全体に小さくて上下の厚みがなく、また、複眼がかなり小さいのですが、雄の方は顔中眼だらけ、と言っても良いほど複眼が頭部の大部分を占めています。
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横から見た図.上とは別個体
後脛節端と第1付節が膨らんでいる
(2008/11/10)

 しかし、触角の長さや形は雌雄で殆ど変わらず、かえって雄の方が短い様に感じられる位です。
 触角は殆ど雌雄差が無く、雄の複眼だけが矢鱈に大きいと言うことは、屹度、雄は雌を捜すのにフェロモン等ではなく、視覚を用いているのでしょう。
Bibio00_m_081110_1_009
頭部胸部の拡大.最初の写真と同一個体.肩の隆起部は黄色
前脛節端にある外側の棘は内側の棘の3倍位の長さがある。
胸部の背面には黄色い軟毛が、また、胸部や腹部の側面には
白い長毛が密生している
(2008/11/10)

 また、写真でお分かりの通り、雌雄で色が違います。雌は全体として赤褐色で、頭部と脚の付節の先の方だけが黒っぽいのに対し、雄は黒を基調としています。但し、肩の隆起部は黄色をしており(写真をクリックして拡大して見て下さい)、また、腿節の一部や脛節は赤褐色を帯びています。
 拡大した写真で較べるとそうなりますが、肉眼で少し遠くから見た場合は、雌は茶褐色、雄は真っ黒と言う感じで、一寸同じ種類とは思えない位です。実を言うと、始めは別の種類だと思っていました。
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正面から見た図.頭部の殆どは複眼で、その下に
触角や口器がチョコッと付いている.上と同一個体
(2008/11/10)

 脚を細かく見ると、雌の前腿節はかなり太く頑丈そうですが、雄では余り太くありません。逆に後脛節の末端と第1付節は雄では強く膨らんでいるのに対し、雌では脛節の先端が一寸太くなっている、と言う程度です。
 また、雄では胸部から腹部の側面に白い長毛が密生しています。これらの特徴は、種の識別する際の重要な指標となります。
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同一個体を斜めから見た図.這いつくばった
感じで、全然格好良くない(2008/11/10)

 昆虫の雄と言うのは、一般に雌よりか弱い感じがすることが多いのですが、このウスイロアシブトケバエを含むケバエ類の場合はかなり極端です。雄には雌のような精悍さは微塵も感じられません(少し言い過ぎかな?)。
 ハラナガツチバチ類も、まだこのWeblogでは紹介していませんが、雌雄で形態が大きく異なり(例えばキンケハラナガツチバチの)、雌は大きく幅もあり堂々としているのに対し、雄は細く小さく臆病で直ぐに逃げてしまいます。見ていて「シッカリしろ!!」とどやし付けたくなる位です。
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別個体.何となく頼り甲斐のない感じ
(2008/11/10)

 ケバエ類の幼虫は一般に集団で腐植を食べ、時に数100匹位の固まりを作って移動し、それは相当にブキミな光景だそうです(Web上に沢山写真があります)。一度実物を見てみたいものだと思っていますが、このウスイロアシブトケバエは「三丁目緑地」にかなりの数居ましたから、運が良ければ小規模な群なら見付けることが出来るかも知れません。
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上と同一個体.脚が長くても格好良くない
(2008/11/10)

 ケバエ類の多くは春に羽化し、このウスイロアシブトケバエの様な晩秋に発生する種は些か例外的な存在です。昨年の春にもケバエ類は見ているのですが、どうせ撮っても種類が分からないだろうと思って撮りませんでした。
 今回、このウスイロアシブトケバエに関して御世話になった双翅目の相談室「一寸のハエにも五分の大和魂」でケバエ科のモノグラフを紹介して頂きました。ケバエ類は体長が比較的大きいので、この文献と更に1~2の追加文献があれば、写真だけからでも何とか種まで落とせるかも知れません。今春はケバエを見たら是非撮ろうと思っています。

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2009年2月 5日 (木)

ウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雌

 以前、「シワバネキノコバエ(Allactoneura akasakana)?」を掲載した時、双翅目(アブ、ハエ、蚊)に属す昆虫の和名が混乱していると言う話をしました。ハエと名が付いているのに蚊であったり、アブとあるのにハエであったりする例が沢山あるからです。今日はその混乱している和名の1つであるケバエの仲間を紹介します。
 ケバエは「毛蠅」の意だと思いますが、ハエ(短角亜目環縫群)ではなく蚊(糸角亜目)の仲間です。一見したところアブかハエの様で蚊には見えませんが、原画を拡大して見ると触角は8節あります。短角亜目(ハエ、アブ)では触角は3節しかありませんから、これだけでハエではなく蚊の仲間であることが分かります。また、翅脈も、下の写真では分かり難いですが、ハエやアブとは大きく異なっています。
 今日紹介するのはウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)、体長は7~8mm、ケバエとしては中程度の大きさです。撮影したのは「三丁目緑地」の上部にあるシャクチリソバが群落しているところで、日付は昨年の11月10日です。雄は沢山居り、空中で数頭が雌の来るのを待機していたりしましたが、雌を見たのは1回だけでした。ケバエ類では、雌は雄よりもずっと個体数が少ない様です。
 この連中は雌雄で外観がまるで違うので、雄と雌を別々に紹介することにしました。今日は、先ず雌の方から。

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ウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雌
頭部は小さく、触角は短いが8節ある.中胸背に2黒条がある
雌の後脚第1付節は膨らまない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 例によって種の識別には双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」の御世話になりました。この掲示板の古いログの中に、アノニモミイア氏がケバエで「前脛節端に棘があればBibio属」と言う意味のことを書かれているのを見付けましたので、北隆館の圖鑑でBibio属を調べたところ、11月に発生する種はウスイロアシブトケバエ唯1種だけでした。解説文を読むと、記載の殆どは一致したのですが、胸部は雌では全体赤褐色と書かれている点が一致しません。最初の写真で明らかなように、このケバエの中胸背には縦に2黒条があります。
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頭部と脚の先の方を除くと殆ど赤褐色
平均棍は黄色(2008/11/10)

 Bibio属は、九大の目録に拠ると本州に産するものが16~17種、東京都本土部昆虫目録には12種しか記録がありません。しかも、秋に発生する種は少ない様です。そこで、何とか種まで落ちないものかと、「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみました。
 早速、達磨氏より、前脛節内側の棘が小さく、後脚の第1付小節が膨らむこと(雄の場合)、平均棍が黄色く、体を覆う毛が白っぽいことからBibio flavihalter(ウスイロアシブトケバエ)だと思います、との御回答を得ました。
 しかし、雌の中胸背にある模様の相違に関しては何も触れられておりません。
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正面から見ると中々恐い顔をしている
(2008/11/10)

 背中の模様は個体変異の範囲なのかと首を傾げておりましたところ、今度は、前述のシワバネキノコバエでも御世話になった三枝先生(九州大学名誉教授)から詳細な御説明を賜りました。Bibio flavihalter雌の胸部は、全面的に橙黄色ないし暗赤褐色のものから,この写真の個体に見られる様な暗条を生ずるものまでかなりの個体変異があり、北隆館の圖鑑(原色昆虫大図鑑の旧版及び新訂版)の解説文は、笹川満廣氏(京都府立大学名誉教授)が全面的に橙黄色をした個体に基づいた原記載に従って書かれたものなのだそうです。やはり、個体変異の範囲だったのです。
 また、三枝先生は、晩秋に発生するケバエとしては、本種の他に更に2種(+未記載種が少し)あることを付け加えておられました。
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前脚脛節端の棘が良く見える.第1付節は非常に長い
(2008/11/10)

 続けて今度はArge氏より、三枝先生も触れられていた論文「Hardy, D. E. & Takahashi, M., 1960. Revision of the Japanese Bibionidae (Diptera, Nematocera)[訳:日本産ケバエ科(双翅目、糸角亜目)の改訂]. Pacific Insects, 2(4): 383-449」がWeb上で公開されていることを教えて下さいました。
 今まで、迂闊なことに、学名の命名者や命名年に余り注意をしていなかったので気が付かなかったのですが、この論文を読んで見ると、何と、これはBibio flavihalter(ウスイロアシブトケバエ)の原記載論文だったのです。三枝先生は、チャンと「Bibio flavihalter Hardy & Takahashi」と書かれているのに、これに全く気が付かなかったとは不注意千万でした。
 また、三枝先生が言われていた晩秋に発生する他の2種のケバエは、B. metaclavipes(和名なし)とB. gracilipalpus(和名なし)であることが分かりました。
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葉っぱ(シャクチリソバ)の端まで来たところ
次は飛んで逃げることと相成る
(2008/11/10)

 今日は雌の写真を紹介しました。次回はこの雄を登場させます。雌はかなりキツイ顔をしていて、精悍な感じがありますが、果たして雄の方はどうでしょうか。それは次回のお楽しみ。

追記:この原稿を書き終わった頃、丁度「一寸のハエにも五分の大和魂」に達磨氏(達磨大師の異名あり)から書き込みがありました。達磨大師は、栃木県立博物館に収蔵されている標本の中からB. flavihalter(ウスイロアシブトケバエ)の雌を6個体を探し出したところ、何れも一様に赤褐色をしていたそうです。「やはり標本は沢山集めなくてはいけませんね」と最後に書かれていましたが、この写真の様な中胸背に2黒条ある個体は少ないのかも知れません。

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2009年2月 3日 (火)

クサギカメムシの幼虫(4齢)

 今日は一寸サボって簡単な虫を出します。クサギカメムシの4齢幼虫です。
 撮影したのは昨年の9月12日、コエビガラスズメの幼虫ヒラタヤドリバエ亜科のEuthera tuckeriサビキコリその他を撮ったのと同じ日です。場所は「三ツ池緑地」で、これも同日に撮影したビロウドコガネと同じく、ナツツバキの葉に留まっていました。ナツツバキの実を吸汁していたのかも知れません。

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クサギカメムシの4齢幼虫.翅の原基が出来ているが
腹部にはみ出してはいない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/12)

 クサギカメムシの5齢幼虫は既に掲載してあります。5齢では翅の原基がかなり大きくなり、腹部にまではみ出しているのに対し、4齢では3齢とは異なって原基は明確に認められますが、腹部にまではみ出してはいません。
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胸部や腹部前方にはかなり鋭い棘がある
(2008/09/12)

 また、5齢幼虫の胸部には殆ど棘と言えるほどの目立った構造はありません。しかし、4齢にはまだかなり鋭い棘状の突起があります。この点ではやや3齢幼虫に似ています(3齢幼虫の棘はもっと発達していますが、1齢分体が小さいので、棘の絶対的な長さは4齢の方が長いかも知れません)。
_l4_080912_063
随分お腹が膨らんでいる.一般に若齢ほど比率としては体が厚いが
これは恐らくシッカリ吸汁した後であろう
(2008/09/12)

 普通ならば、もっと執拗に写真を撮るのですが、このカメムシ君、身の危険を感じたらしく、ポトリと隠遁の術を使って逃げてしまいました。それで、写真は3枚しかありません。
 写真が少ないと文章も短くて済み、書く方としては非常に楽です。「簡単な虫」の所以です。

 なお、「カメムシの幼虫」を検索してこちらに来られた方は、「昆虫(カメムシの幼虫)」と言うカテゴリーがありますので、そちらを御覧下さい。

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2009年2月 2日 (月)

ケチャタテ科の1種(その2)

 前回の冬は「三丁目緑地」で撮ったヨコバイ類(例えばヒメヨコバイ3種)が多かったのですが、今度の冬は四丁目の国分寺崖線下で撮影したチャタテムシが多くなりそうです。
 ・・・と言うことで、今日は「ケチャタテ科の1種(その2)」を紹介します。チャタテムシ目の検索表は、本当は顕微鏡的な細部が分からないと正しく引けないのですが、翅脈から判断してこれも先日のチャタテムシと同じくケチャタテ科(Caeciliusidae)に属すと思われます。これで四丁目で撮ったチャタテムシは3種になりました。

05_090119_0_090
ケチャタテ科の1種.体長は2mm強、翅端まで4mm弱
前翅長は3mm.ミカンの葉裏に居た
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/01/19)

 体長は2mm強、翅端まで4mm弱、前翅長は丁度3mmです。
 前回の冬に撮影した「チャタテムシの1種」によく似ています。何方も翅に紋様らしい紋様が無く、複眼は黄色をしています。また、翅脈の走り方も基本的に同一です。先日の「ケチャタテ科の1種」では、Cu1a脈(下の写真を参照)の湾曲が大きく後小室は半月形をしていましたが、この2種は何方もCu1a脈が余り内側に曲がらず、後小室の幅が細くなっています。
05_081130_2_075ae
横から見た図.この個体だけは同所に居た別個体
撮影したのは他の写真より50日も前
(2008/11/30)

 しかし、今回の「ケチャタテの1種(その2)」が全身淡褐色なのに対し、「チャタテムシの1種」の方は、触角の大部分、翅の基部と前縁脈、前胸背の瘤の部分等がかなり濃い褐色になっています。また、頭部と胸部の幅が明らかに異なります。前者では複眼の間隔が複眼径の1.5倍位あるのに対し、後者では複眼径よりも狭くなっています。また、胸部の縦横の比率を計ると(写真からでは少し難しいのですが・・・)、前者では幅は長さの1.4~1.5倍、後者では約1.2倍となります。
 チャタテムシでは一般に雄は雌よりも複眼が大きい様なので、雌雄の差である可能性もありますが、ここでは一応別種としておきます。
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ほぼ横から見た図.この写真では後小室が見難い
(2009/01/19)

 居たのは「四丁目緑地」近くの休耕地の様な所に植えてあるミカンの葉裏です。先日紹介したキタモンヒゲブトキモグリバエが居たのと同じ木で、この木は葉が密生しており、日当たりが良く、また、風が余り当たらないせいか、色々な虫が葉裏で越冬している様です。今後紹介予定のチャタテムシも皆このミカンの木の葉裏に潜んでいました。
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正面から見た図.腹眼の間隔が広い
相変わらず漫画的な顔!!
(2009/01/19)

 九州大学の日本産昆虫目録を参照すると、ケチャタテ科には6属17種が登録されており、その内の4属13種が本州に棲息しているとのことです。たった13種しか居ないのですから、種名が分かっても良さそうなものですが、今のところ文献が手元に無く、種類を判別出来ません。少し真面目になって文献を探してみる必要がありそうです。
05_090119_0_104
斜め上から見てもやはり漫画的な顔
(2009/01/19)

 最近購入した「Borror and Delongs's Introduction to the Study of Insects」に拠ると、ケチャタテ科の(大部分の)虫は広葉樹や針葉樹の葉を住処としており、多くは長翅型ですが、一部の腐植土に棲息する種には長翅型と短翅型の雌が居るそうです。
 チャタテムシ類は基本的にカビ食です。この冬になって紹介したチャタテムシが居た場所は、何れも「神明の森・みつ池特別保護区」の端から200mも離れていません。神明の森は、清水の湧き出している所が数箇所もある相当に湿っぽい森です。四丁目の国分寺崖線下にチャタテムシが多いのは、或いは、この神明の森に生えているカビで育ったチャタテムシが、越冬の為に、もっと日当たりの良い場所に逃げて来たからなのかも知れません。
05_090119_0_108a
虫が葉裏を移動したので、もう一度葉をひっくり返したとき
指で潰しそうになってしまった.この後チャンと翅を畳んで
歩いて行ったので、多分命には別状無かったと思う
(2009/01/19)

 どうも最近はすっかりチャタテムシが気に入ってしまった様です。まだ僅か4種しか紹介していませんが、「昆虫(チャタテムシ)」と言うカテゴリーを作りました。
 1つは「昆虫(その他)」が増え過ぎたのと、「チャタテムシ」の検索で来訪される方が多いせいでもあります。今後、どれだけ増えるか、楽しみにしています。

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