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2009年2月 6日 (金)

ウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄

 前回予告した通り、今日はウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄を紹介します。
 撮影したのは前回の雌と同じく、「三丁目緑地」の上部にあるシャクチリソバが群落しているところで、日付も同じ昨年の11月10日です。雌を見たのは1回だけで、前回の写真は全て同一個体を撮ったものですが、雄は沢山居たので、今回の写真の個体は同一ではなく、3個体です。

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ウスイロアシブトケバエ(Bibio flavihalter)の雄
全体に黒っぽく、複眼が大きい.体長7~8mm
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/10)

 ケバエ類では雄と雌の外見が大きく異なります(体長は殆ど同じで7~8mm程度です)。雌雄を別々に紹介することにした所以ですが、特に大きく違うのが頭部です。雌の頭は全体に小さくて上下の厚みがなく、また、複眼がかなり小さいのですが、雄の方は顔中眼だらけ、と言っても良いほど複眼が頭部の大部分を占めています。
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横から見た図.上とは別個体
後脛節端と第1付節が膨らんでいる
(2008/11/10)

 しかし、触角の長さや形は雌雄で殆ど変わらず、かえって雄の方が短い様に感じられる位です。
 触角は殆ど雌雄差が無く、雄の複眼だけが矢鱈に大きいと言うことは、屹度、雄は雌を捜すのにフェロモン等ではなく、視覚を用いているのでしょう。
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頭部胸部の拡大.最初の写真と同一個体.肩の隆起部は黄色
前脛節端にある外側の棘は内側の棘の3倍位の長さがある。
胸部の背面には黄色い軟毛が、また、胸部や腹部の側面には
白い長毛が密生している
(2008/11/10)

 また、写真でお分かりの通り、雌雄で色が違います。雌は全体として赤褐色で、頭部と脚の付節の先の方だけが黒っぽいのに対し、雄は黒を基調としています。但し、肩の隆起部は黄色をしており(写真をクリックして拡大して見て下さい)、また、腿節の一部や脛節は赤褐色を帯びています。
 拡大した写真で較べるとそうなりますが、肉眼で少し遠くから見た場合は、雌は茶褐色、雄は真っ黒と言う感じで、一寸同じ種類とは思えない位です。実を言うと、始めは別の種類だと思っていました。
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正面から見た図.頭部の殆どは複眼で、その下に
触角や口器がチョコッと付いている.上と同一個体
(2008/11/10)

 脚を細かく見ると、雌の前腿節はかなり太く頑丈そうですが、雄では余り太くありません。逆に後脛節の末端と第1付節は雄では強く膨らんでいるのに対し、雌では脛節の先端が一寸太くなっている、と言う程度です。
 また、雄では胸部から腹部の側面に白い長毛が密生しています。これらの特徴は、種の識別する際の重要な指標となります。
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同一個体を斜めから見た図.這いつくばった
感じで、全然格好良くない(2008/11/10)

 昆虫の雄と言うのは、一般に雌よりか弱い感じがすることが多いのですが、このウスイロアシブトケバエを含むケバエ類の場合はかなり極端です。雄には雌のような精悍さは微塵も感じられません(少し言い過ぎかな?)。
 ハラナガツチバチ類も、まだこのWeblogでは紹介していませんが、雌雄で形態が大きく異なり(例えばキンケハラナガツチバチの)、雌は大きく幅もあり堂々としているのに対し、雄は細く小さく臆病で直ぐに逃げてしまいます。見ていて「シッカリしろ!!」とどやし付けたくなる位です。
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別個体.何となく頼り甲斐のない感じ
(2008/11/10)

 ケバエ類の幼虫は一般に集団で腐植を食べ、時に数100匹位の固まりを作って移動し、それは相当にブキミな光景だそうです(Web上に沢山写真があります)。一度実物を見てみたいものだと思っていますが、このウスイロアシブトケバエは「三丁目緑地」にかなりの数居ましたから、運が良ければ小規模な群なら見付けることが出来るかも知れません。
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上と同一個体.脚が長くても格好良くない
(2008/11/10)

 ケバエ類の多くは春に羽化し、このウスイロアシブトケバエの様な晩秋に発生する種は些か例外的な存在です。昨年の春にもケバエ類は見ているのですが、どうせ撮っても種類が分からないだろうと思って撮りませんでした。
 今回、このウスイロアシブトケバエに関して御世話になった双翅目の相談室「一寸のハエにも五分の大和魂」でケバエ科のモノグラフを紹介して頂きました。ケバエ類は体長が比較的大きいので、この文献と更に1~2の追加文献があれば、写真だけからでも何とか種まで落とせるかも知れません。今春はケバエを見たら是非撮ろうと思っています。

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