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2009年1月21日 (水)

ヒゲブトキモグリバエ?

 今日は昨年の晩秋に、七丁目の家庭菜園に植えてある菊花に来ていたキモグリバエの1種を紹介します。残念ながら、このハエを撮り始めて直ぐに記憶媒体が満杯となり、それを交換している間に見失ってしまったので、写真は2枚しか有りません。
 以前紹介したキタモンヒゲブトキモグリバエと体の形がよく似ています。そこでCiiNiiにある「上宮(かんみや)健吉:赤坂御用地のキモグリバエ科」を参照してみると、その内のヒゲブトキモグリバエ(Elachiptera sibirica)に似ていることが分かりました。先日のキタモンヒゲブトキモグリバエの方はGampsocera属ですから、これは別属となります。
 ハエという連中は、外見が似ていると言うだけで簡単に種類を決められる性質の虫ではありません。これ以上は例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立てるしかありません。

05_081123_127a
ヒゲブトキモグリバエ(Elachiptera sibirica)?
菊の園芸品種に訪花していた
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/23)

 すると、アノニモミイア氏より、中胸背(胸部背中の大部分)が橙色をした日本産Elachiptera属のハエにはヒゲブトキモグリバエとニセヒゲブトキモグリバエの2種があり、上宮教授(久留米大学)の論文に拠れば、小楯板(胸部後部にある略三角形の部分)が通常3対の瘤状突起を具え、先端の1対はよく発達して幅の少なくとも2倍の長さがあり、先端の小楯板剛毛が小楯板の長さより短かければヒゲブトキモグリバエ、小楯板が2対の小型の瘤状突起を具え、先端の対は幅とほぼ等長で、先端の小楯板剛毛が小楯板の長さよりやや長ければニセヒゲブトキモグリバエである、との御回答を得ました。
 しかしこのハエ、体長約2.3mm、翅端まで3mm強と小さく、しかも体に微毛が生えている為に輪郭がハッキリしません。残念ながら、此処に掲載した写真からは小楯板の瘤状突起は判別出来ません。
 すると、バグリッチ氏がこの両者の標本写真を掲載して下さいました。その写真に拠ると、ニセヒゲブトは明らかに頭幅が胸幅よりも大きく、胸部の剛毛(背側剛毛?)の長さがヒゲブトよりも長くて胸幅の1/2近くあり、その生えている角度が大きく毛が寝ていません。また、小楯板の毛の生え方も両者でかなり違って見えます。此処に掲載した写真のハエでは、頭幅は胸幅とほぼ同じで、胸部や小楯板の剛毛の長さや生え方はニセヒゲブトとは異なり、ヒゲブトによく似ていました。しかし、胸背の模様はかなり違っていますし、何分にも小楯板の瘤状突起が見えないのが難点で、今一つ確信が持てません。
 暫く考えたのですが、前掲論文に拠ればヒゲブトキモグリバエは単眼三角域と中胸背の色彩変化が大きいと書いてありますし、また、この写真を学術論文に発表する訳ではありません。此処では「ヒゲブトキモグリバエ?」と「?」を付けることで逃げることにしました。
05_081123_122a
体長は約2.3mm、翅端まで3mm強と小さい
体に微毛が生えており輪郭がカチッとしない
(2008/11/23)

 上記の「上宮健吉:赤坂御用地のキモグリバエ科」に拠ると、ヒゲブトとニセヒゲブトの幼虫は、共に直翅目(バッタ、キリギリス、コオロギ)や鱗翅目(蝶、蛾)の昆虫に食害されて腐敗したイネ科植物に二次的に侵入するのだそうです。

 以前紹介したキタモンヒゲブトキモグリバエもこのヒゲブトキモグリバエも、中々素敵な姿をしています。こう言う極く小さいハエやハチ(コバチ類)には中々綺麗な種類が結構居ます。この町(世田谷区成城)の様な都会の住宅地には大型の美麗種は殆ど居ません。種類の判別は容易ではありませんし、撮影も困難(一度逃げられるともう二度と見つからない)ですが、今後もこう言った小さくても魅力的な虫を積極的に紹介して行こうと思います。

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