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2009年1月28日 (水)

センダングサケブカミバエ

 先日、昨年の秋に七丁目の家庭菜園(世田谷区ファミリー農園)に植えられている菊の園芸種に来ていたヒゲブトキモグリバエと思われる綺麗なハエを紹介しました。今日は、同じ時期にやはり同じ菊花に来ていたもっと綺麗なミバエの1種を紹介します。
 センダングサケブカミバエ(Paroxyna bidentis)、ミバエ科ケブカミバエ亜科に属す、翅端まで約4.5mmの比較的小さなハエです。

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センダングサケブカミバエ.翅に模様がある
頭部には白い剛毛が多い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/25)

 このWeblogでミバエ科のハエを紹介するのはこれが初めてです。しかし、ミバエ類はこの辺りで決して珍しい虫ではありません。もう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」では既にミスジミバエツマホシケブカミバエクチジロハススジハマダラミバエ(?)の3種を紹介していますが、何故か家の外では余り見る機会がありません。
 ミバエ科に属すハエの多くは翅に模様を持っています。しかし、翅に模様のあるハエは色々な科におり、先日紹介したキタモンヒゲブトキモグリバエは名前で分かる様にキモグリバエ科ですし、ヒラタヤドリバエ亜科の1種Euthera tuckeriはヤドリバエ科です。他にも、ヒロクチバエ科、シマバエ科、ショウジョウバエ科、ベッコウバエ科その他の科に模様のある翅を持つハエが居ます。
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斜め前から見たセンダングサケブカミバエ
(2008/11/25)

 しかし、1つの科の殆との種が模様を持つのは、ミバエ科だけでしょう。ですから、このハエの種類を調べるのには、珍しく検索表を引かず、いきなり北隆館の圖鑑で似たような模様の翅をもつミバエが居ないかを調べてみました。すると、ウスモンケブカミバエ(ウスモンハマダラバエ、センダングサミバエとも呼ぶ)というケブカミバエ亜科Dioxyna属のハエがかなりよく似た模様を持っていました。解説を読むと、「前翅亜前縁室は一様に暗褐色である。(中略)同様の地域に分布するセンダングサケブカミバエは亜前縁室に1つの透明斑を持ち、オオキンケイギクを寄主とする」とあります。
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センダングサケブカミバエの翅
(2008/11/25)

 亜前縁室と言うのは、前縁脈、Sc脈、R1脈に囲まれた部分で、上の写真の中央やや左上にある一番色の濃い部分です。真ん中に透明斑がありますから、これはセンダングサケブカミバエの可能性が大です。しかし、この辺りにセンダングサ(例えば先日紹介したシロノセンダングサ)は沢山生えていても、オオキンケイギクは全く見たことがありません。センダングサ・ケブカミバエなのですから、センダングサも食べるのではないでしょうか。
 其処で、例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみました。
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翅をハタハタさせているところ
(2008/11/25)

 早速、北大のウミユスリカ氏より、「伊藤修四郎: Die Japanischen Bohrfliegen(訳:日本のミバエ)」に載っているParoxyna属(センダングサケブカミバエの所属する属)9種の中で、翅の斑紋は確かにかにセンダングサケブカミバエParoxyna bidentis (Robineau-Desvoidy, 1830)と最も類似しており、また、頭部の形態もこの種に似て見える、との御回答を頂きました。更に、「伊藤修四郎(1986): 新潟県のミバエ科; 越佐昆虫同好会々報, 62:21-27」に拠ると、「幼虫はセンダングサなどキク科植物の花頭で生育する」とのことです。
 これならば、もうセンダングサケブカミバエとして問題ないでしょう。
 なお、伊藤修四郎氏は、保育社の全改訂新版:原色日本昆虫図鑑(下)の筆頭編著者で、日本の昆虫学の大御所の1人です。虫に興味を持つ者としては「先生」と付けるべきかも知れませんが、私は御教えを受けたことも、謦咳に接したこともありませんので、「氏」としておきました。
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センダングサケブカミバエの生態写真は殆どないので
同じ様な写真だが、もう1枚出しておく
(2008/11/25)

 秋に咲く菊の花には色々な虫がやって来ます。ツマグロヒョウモンを始めとする様々な蝶や、ハラナガツチバチ類、ミツバチその他のハナバチ類、大小様々なハナアブ科の連中、ツマグロキンバエ等が目に付きますが、このセンダングサケブカミバエや先日紹介したヒゲブトキモグリバエの様な小さくても中々魅力的なハエが沢山来ています。他にも何種か写真を撮ってありますので、少しずつ紹介して行く予定です。

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