« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

2009年1月の7件の記事

2009年1月30日 (金)

ハナイバナ

 先日掲載したシロノセンダングサが生えていた場所(四丁目の国分寺崖線下)には、その他にも色々の花が咲いていました。今日はその中からハナイバナ(Bothriospermum tenellum)を紹介します。

_081122_0_035
ハナイバナ.些か頼りのない植物で斜上する
花は何処にあるのか分からない位小さい
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/22)

 ムラサキ科の在来種で、高さ10~30cm程度の背の低い雑草です。花は小さく直径2.5mm前後しかありません(図鑑では径3mm)。最近、このいう小さい花を見ると、何故か「撮ってやろうじゃないか」と言う気になってしまいます。「マクロ屋」の習性と言えるかも知れません。
_081122_0_048
もう少し近づいてみる(別個体)
花は小さいが果実はかなり大きい
(2008/11/22)

 撮影したのは、シロノセンダングサと同じ11月の中頃です。図鑑に拠ると、花は3月から12月にかけて咲く、とありますから、厳冬期を除いて1年中咲いていることになります。但し、多年草ではなく、「1-越年草」だそうです。
_081122_0_046
上の個体の拡大(2008/11/22)

 花の色は、写真を撮っている時は白だと思っていたのですが、写真を拡大してみると、僅かに青を帯びていました。花が小さ過ぎると、色が良く分からなくなるのでしょうか。
 花は小さいのですが、写真でお分かりの通り、花後に萼片も花柄も成長し、花よりもずっと大きな果実を着けています。
_081122_0_057
ハナイバナの花.確かに葉に包まれて咲いている
(2008/11/22)

 和名のハナイバナは、何処で切ったら良いのか一寸分かり難い名前です。調べてみると、ハナイバナは漢字で書くと「葉内花」で、葉に包まれて咲くのでその名がある、と多くの植物関連サイトに書かれています。「イバナ」と言う植物は探しても見つからないので、「ハナ・イバナ」は無理な様です。
_081122_0_040
花をもう少し拡大.拡大してみると少し青味を帯びている
撮影中には分からなかったが、花の上にゴミが乗っている
(2008/11/22)

 小さな花ですが、良く見てみると、ワスレナグサに似ています。ワスレナグサもムラサキ科ですから、花の大きさや色は違っても、その基本構造は大して違わないのでしょう。
_081122_0_037
殆どピクセル等倍.花弁が少し汚れているが
撮影中には気が付かなかった.左上にある
茶色のものは萎れた花弁であろう
(2008/11/22)

 このハナイバナの様に、小さくても結構綺麗な花を着ける雑草は、この辺り(東京都世田谷区西部)にも沢山あります。このWeblogの植物部門は昆虫と較べるとかなり低調ですが、こう言う雑草を取り上げるならば、暫くは安泰です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月28日 (水)

センダングサケブカミバエ

 先日、昨年の秋に七丁目の家庭菜園(世田谷区ファミリー農園)に植えられている菊の園芸種に来ていたヒゲブトキモグリバエと思われる綺麗なハエを紹介しました。今日は、同じ時期にやはり同じ菊花に来ていたもっと綺麗なミバエの1種を紹介します。
 センダングサケブカミバエ(Paroxyna bidentis)、ミバエ科ケブカミバエ亜科に属す、翅端まで約4.5mmの比較的小さなハエです。

04_081125_1_017
センダングサケブカミバエ.翅に模様がある
頭部には白い剛毛が多い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/25)

 このWeblogでミバエ科のハエを紹介するのはこれが初めてです。しかし、ミバエ類はこの辺りで決して珍しい虫ではありません。もう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」では既にミスジミバエツマホシケブカミバエクチジロハススジハマダラミバエ(?)の3種を紹介していますが、何故か家の外では余り見る機会がありません。
 ミバエ科に属すハエの多くは翅に模様を持っています。しかし、翅に模様のあるハエは色々な科におり、先日紹介したキタモンヒゲブトキモグリバエは名前で分かる様にキモグリバエ科ですし、ヒラタヤドリバエ亜科の1種Euthera tuckeriはヤドリバエ科です。他にも、ヒロクチバエ科、シマバエ科、ショウジョウバエ科、ベッコウバエ科その他の科に模様のある翅を持つハエが居ます。
04_081125_1_009
斜め前から見たセンダングサケブカミバエ
(2008/11/25)

 しかし、1つの科の殆との種が模様を持つのは、ミバエ科だけでしょう。ですから、このハエの種類を調べるのには、珍しく検索表を引かず、いきなり北隆館の圖鑑で似たような模様の翅をもつミバエが居ないかを調べてみました。すると、ウスモンケブカミバエ(ウスモンハマダラバエ、センダングサミバエとも呼ぶ)というケブカミバエ亜科Dioxyna属のハエがかなりよく似た模様を持っていました。解説を読むと、「前翅亜前縁室は一様に暗褐色である。(中略)同様の地域に分布するセンダングサケブカミバエは亜前縁室に1つの透明斑を持ち、オオキンケイギクを寄主とする」とあります。
04_081125_1_013
センダングサケブカミバエの翅
(2008/11/25)

 亜前縁室と言うのは、前縁脈、Sc脈、R1脈に囲まれた部分で、上の写真の中央やや左上にある一番色の濃い部分です。真ん中に透明斑がありますから、これはセンダングサケブカミバエの可能性が大です。しかし、この辺りにセンダングサ(例えば先日紹介したシロノセンダングサ)は沢山生えていても、オオキンケイギクは全く見たことがありません。センダングサ・ケブカミバエなのですから、センダングサも食べるのではないでしょうか。
 其処で、例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立ててみました。
04_081125_1_014
翅をハタハタさせているところ
(2008/11/25)

 早速、北大のウミユスリカ氏より、「伊藤修四郎: Die Japanischen Bohrfliegen(訳:日本のミバエ)」に載っているParoxyna属(センダングサケブカミバエの所属する属)9種の中で、翅の斑紋は確かにかにセンダングサケブカミバエParoxyna bidentis (Robineau-Desvoidy, 1830)と最も類似しており、また、頭部の形態もこの種に似て見える、との御回答を頂きました。更に、「伊藤修四郎(1986): 新潟県のミバエ科; 越佐昆虫同好会々報, 62:21-27」に拠ると、「幼虫はセンダングサなどキク科植物の花頭で生育する」とのことです。
 これならば、もうセンダングサケブカミバエとして問題ないでしょう。
 なお、伊藤修四郎氏は、保育社の全改訂新版:原色日本昆虫図鑑(下)の筆頭編著者で、日本の昆虫学の大御所の1人です。虫に興味を持つ者としては「先生」と付けるべきかも知れませんが、私は御教えを受けたことも、謦咳に接したこともありませんので、「氏」としておきました。
04_081125_0_129_2
センダングサケブカミバエの生態写真は殆どないので
同じ様な写真だが、もう1枚出しておく
(2008/11/25)

 秋に咲く菊の花には色々な虫がやって来ます。ツマグロヒョウモンを始めとする様々な蝶や、ハラナガツチバチ類、ミツバチその他のハナバチ類、大小様々なハナアブ科の連中、ツマグロキンバエ等が目に付きますが、このセンダングサケブカミバエや先日紹介したヒゲブトキモグリバエの様な小さくても中々魅力的なハエが沢山来ています。他にも何種か写真を撮ってありますので、少しずつ紹介して行く予定です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月26日 (月)

キハダカニグモ

 此の冬は樹皮の裏に潜んで越冬している虫を紹介するつもりでした。ところが、先日「四丁目緑地」に植えられているケヤキその他の大きな樹の樹皮を剥がしてみましたが、生き物は一匹も見つかりませんでした。11月下旬から12月上旬にかけては、かなり色々な種類が居て、既に「トビムシの1種」やヒメコバネナガカメムシ等を掲載していますが、真冬になったら居なくなってしまった様です。
 そこで、今日はそのまだ虫の居る頃に撮った、キハダカニグモ(Bassaniana decorata)を紹介することにします。カニグモ科に属す体長4~7mm(写真の個体は5.5mm)のハナサキガニの様な格好をしたクモです。

_081130_0_136
ケヤキの樹皮下にいたキハダカニグモ(左).中央は他種のクモの巣
右に見える小さな虫はヒメコバネナガカメムシ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/30)

 上の写真は「四丁目緑地」に植えられているケヤキの樹皮を剥がしたところです。写真中央左にキハダカニグモが居ます。真中の白いのは他の種類のクモの巣で、キハダカニグモはこう言う樹皮下に巣を作るクモを捕食することもある様です。カニグモ科やエビグモ科のクモは徘徊性で、住居は作りません。しかし、同じ徘徊性のクモでも、フクログモやハエトリグモはそれなりの住居を作ります。
 写真の右側に何か小さな虫が写っています。これは、ヒメコバネナガカメムシで、以前紹介したのは、実は、この個体なのです。
_081130_0_138
第1歩脚と第2歩脚が大きく長い
名前の通り蟹に一寸似ている
(2008/11/30)

 Wikipediaに拠ると、カニグモ類の特徴は脚の配置にあり、4対の歩脚の内、前3対が前を向き、最後の1対のみが後ろを向きます。前2対は良く発達して左右に大きく張り出し、抱え込むように前方に曲げます。
 以前紹介したワカバグモもカニグモ科ですから、この点では全く同じです。しかし、ワカバグモがカニグモ科の中で最もスマートなクモであるのに対し、このキハダカニグモは厳つい方の筆頭と言えるでしょう。
_081130__1_016
キハダカニグモの背面は樹皮と区別が付き難い
(2008/11/30)

 キハダと付いていますが、このキハダカニグモの「キハダ」がミカン科の大木であるキハダ(黄檗)なのか、或いは、ただの木肌なのか良く分かりません。同じく「キハダ」の付くキハダエビグモの場合も同じです。
 大木の樹皮上に居た場合、このクモの背面の色調は完成度の高い保護色になります。体長5mm前後と小さいこともあり、気を付けないと見逃します。この点で、「黄檗」よりは「木肌」の方が有力です。「キハダカニグモ 黄檗」でGoogle検索しても有意なヒットは一つもありませんでした。
_081130__1_051
正面から見たキハダカニグモ.一番大きな眼は前側眼
(2008/11/30)

 クモ類の目は単眼で4対8個あるのが普通です。カニグモ科の場合は、前中眼と前側眼で一列、その後に後中眼と後側眼がまた1列になっていますが(ワカバグモを参照のこと)、キハダカニグモの後列の眼は写真からは良く分かりません。一番大きいなのが前側眼で、その間にある少し小さいのが前中眼です。因みに、ハエトリグモ科(例えばマミジロハエトリ)では反対で、前中眼が断然大きく、前側眼は中程度の大きさです。
_081130__1_050
こんな厳ついクモでも斜め前から見ると結構可愛い
(2008/11/30)

 多くの昆虫は斜め前方から撮ると一番可愛く写ります。このキハダクモの場合も、上の写真の様に、斜め前方から撮ったのが一番カッコ良く、また、可愛い様です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月25日 (日)

トゲキジラミ

 今日は一寸面白い虫を紹介します。トゲキジラミ(Hemipteripsylla matsumurana = Togepsylla matsumurana)、キジラミ上科ネッタイキジラミ科(キジラミ科ネッタイキジラミ亜科)に属すとされていますが、異論もある様です。
 留まる時、翅を普通のキジラミ(例えばこちら)の様な山形(屋根型)ではなく平らに畳みます。また、前縁脈やその他の翅脈には棘が沢山生えており、触角も白黒の斑模様になっています。かなり変わり者のキジラミと言えるでしょう。
 体長は約1.7mm、翅端まで2.6mm、昆虫としては小型であるキジラミの中でも、更に小さい方に属します。

04_081208_010
トゲキジラミ.体長約1.7mm、翅端まで2.6mmと小さい
翅を平らに畳み、翅脈には無数の棘がある.触角は斑で綺麗
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/12/08)

 「三丁目緑地」の下側に位置する、以前紹介したエゴノキや数本のサワラを切り倒して作った公園の縁で見付けました。フワフワとコナジラミ(例えばこちら)の様な感じで飛んで来たのがヤブランの葉に留まったので、マクロレンズで覗いてみたところ、随分奇妙な形をしているのでビックリしました。一体何者なのかと思いましたが、顔を見れば明らかにキジラミです。此処に掲載した背面からの写真を撮った直ぐ後に葉裏に逃げ込まれ、もう2度と見つかりませんでした。そんな訳で、写真はこの2枚しかありません。
 家に帰ってからデータをコムピュータに移し、拡大して調べてみました。顔ばかりでなく、翅脈もキジラミ類の特徴を示しています。検索表を見ると、翅脈全体の走り方はネッタイキジラミ科に一番似ていましたが、「前翅の径分脈と中脈の間を繋ぐ擬横脈」が確認出来なかったので、キジラミ上科のキジラミ科に属す様に思われました。
 しかし、図鑑には該当する種がなく、また、Internetで調べても分かりません。普通ならば「キジラミの1種」として逃げてしまうところですが、非常に特徴的な形態をしたキジラミです。是非とも種まで落としたくなり、「カメムシBBS」に御伺いを立ててみました。
 早速、葱氏よりトゲキジラミではないか、との御回答を得ました。氏が指摘されたサイト、「ウンカ・ヨコバイ識別ミニ図鑑」の中にあるトゲキジラミのページを見てみますと、此処に掲載した写真と全く同じと思われるキジラミが出ていました。
 九州大学の目録を参照したところ、トゲキジラミの属すHemipteripsylla属は日本では1属1種です。トゲキジラミで間違いない様です。実はこの「ウンカ・ヨコバイ識別ミニ図鑑」も参照したのですが、ページ間のリンクが一寸間違っていて、トゲキジラミはスキップされてしまい、其処に掲載されているのに気が付かなかったのです。
 その後、直ぐに「ウンカ・ヨコバイ識別ミニ図鑑」の管理者氏からも投稿がありました。やはりトゲキジラミに見えるとの御意見でした。また、管理者氏に拠れば、今はネッタイキジラミ科ではなく、タデキジラミ科かキジラミ科とされているらしい、とのことです。
04_081208_005
同じ様な写真だが1枚では寂しいのでもう1枚
(2008/12/08)

 このトゲキジラミは比較的最近(1949年)に発見されたキジラミで、原記載論文(KUWAYAMA, Satoru:On a new species of the genus Togepsylla from Japan; Insecta Matsumurana,17(1):48-49)はInternetで読むことが出来ます。翅脈の図も出ており、やはり「前翅の径分脈と中脈の間を繋ぐ擬横脈」はありません。これは、この属の所属について異論がある理由の一つなのかも知れません。
 記載論文の題名で御分かりの通り、最初はTogepsylla属とされていましたが、現在ではHemipteripsylla属となっています。その辺りの経緯は、少し調べてみましたが、良く分かりませんでした。因みに、種名のmatumuranaは、上記記載論文に拠ると、日本の近代昆虫学を築いたとされる北海道大学名誉教授、故松村松年(しょうねん)氏の喜寿(1949年に丁度77歳)を記念して付けられたのだそうです(松村氏の名の付いた虫は他にも沢山あります)。
 なお、トゲキジラミの幼虫はクスノキ科のシロダモ、カナクギノキ、ヤマコウバシ、ホソバタブ等の葉に寄生して虫えいを作ます。虫えいは、それぞれシロダモハマキフシ(シロダモ・葉・巻・節)、カナクギノキハクボミフシ(金釘の木・葉・窪み・節)、ヤマコウジハクボミフシ、ホソバタブハマキフシと呼ばれており、虫えいの名前から分かる様に、寄主の違いにより虫えいの形が異なります。また、1年の世代数や白色ろう物質の分泌量も寄主により変わるそうです。
 シロダモは「三丁目緑地」の所々に生えています。春になったら、シロダモに虫えいがないか調べてみようと思っています。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月23日 (金)

シロノセンダングサ

 今日は久しぶりに植物を紹介します。昨年の秋に「四丁目緑地」近くで撮影したキク科の雑草、シロノセンダングサ(Bidens pilosa var. minor)です。Bidens pilosaはコセンダングサのことなので、シロノセンダングサはコセンダングサの変種として位置付けられている訳です。
 両者の違いは、前者が黄色い筒状花(集合花の中心部にある筒状の花)の他に白い舌状花(集合花の花弁状に見える花)>を持つのに対し、後者は筒状花のみで舌状花を欠くことです。葉の形や種子には殆ど違いが認められない様です。何れも相当昔(シロノセンダングサは弘化年間に渡来とされています)からある帰化植物ですが、近年になって都会の雑草として急激に分布を拡げているとのことです。

_081114_0_090a
シロノセンダングサ(Bidens pilosa var. minor
白い舌状花を持つ.夕方で木漏れ日の為、見難い写真になっている
普通はもっと大きな株になるが、100mmレンズでは撮れないので
小さな株を選んである.(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/14)

_081114_1_002
上の写真の部分拡大.舌状花は余り発達していない
真ん中の花の上にいる虫はヒメナガカメムシであろう
(2008/11/14)

_081114_0_100
花の拡大写真.舌状花の発達がわるい
(2008/11/14)

 シロノセンダングサは、シロバナセンダングサ、或いは、コシロノセンダングサと呼ばれることもあります。白い舌状花を持つのでコセンダングサの変種と言うことになっていますが、舌状花の長さは様々で、酷いのになると極く小さなものが1つの頭花に2個程度しかない場合もあります。この辺りでは、明らかに舌状花を欠くのでコセンダングサとすべき株もあり、両者は混淆して生えています。
 また、此処で示した写真の多くは11月14日に撮ったものですが、その時は舌状花を持っていた株も、12月6日に行ったときには筒状花のみを付けていました。素人がこういうことを言ってはいけないのですが、本当に変種という程の違いがあるのか、かなり疑問を感じます。
_081114_1_031
白い舌状花を欠いて黄色い筒状花しかない様に見えるが
原画を拡大すると極く小さな白い舌状花があるのが分かる
(2008/11/14)

_081114_1_033
まだ充分に伸張成長していないシロノセンダングサ
既に頭花を付けているが、筒状花のみの様に見えるので
コセンダングサと言うべきかも知れない
(2008/11/14)

 1年草で、花は秋に咲きます。しかし、中には上の写真の様に、まだこれから成長すると言う感じの、高さ20cm位の株もありました。既に頭花が生じていますから、後は伸張成長で高さを稼ぐだけでしょう。
 この蕾には舌状花が無い様に見えます。原画を拡大しても同じなので、これはコセンダングサと言うべきなのかも知れません。
_081114_1_000
果実(種子)を付けたシロノセンダングサ
(2008/11/14)

 果実(種子)の写真はシロノコセンダングサとコセンダングサが混淆しているところで撮りました。此処では「シロノセンダングサの種子」と書いていますが、コセンダングサの種子も入っているかも知れません。しかし、何れの株でも種子先端の棘は2つのものが殆どでした。
_081114_1_017
果実の全体.先端に2本(稀に3本)の棘がある
(2008/11/14)

 センダングサ類の種子は、所謂「ひっつき虫」になります。私がこの「ひっつき虫」と言う言葉を知ったのはつい最近です。小学生の頃はオナモミ(オオオナモミ?)の果実を投げて、友達のセーターにくっ付けて遊んだりしていましたが、この言葉を使ったことはありません。「バナナ虫」(ツマグロオオヨコバイのこと)と同じく最近出来た言葉なのか、或いは、何処かの方言だったのではないでしょうか。
_081114_1_028
1個の種子を拡大.縦筋と先端の棘
棘に生えた逆向きの剛毛が見える
(2008/11/14)

 種子を拡大してみました。種子には数本の縦筋が認められ、種子の中央部より先の部分には斜め前を向いた小さな棘があります。種子の先端には2本の大きな棘があり、その棘には逆向きの剛毛(小棘と言う感じですが、保育社の帰化植物図鑑には「剛毛」と書いてあります)が生えているのが見えます。これが衣服に引っ掛かって「ひっつき虫」になる訳です。
_081114_1_018
種子の先端を拡大(2008/11/14)

 種子の先端部を更に拡大したのが上の写真です。何か、魚を捕る銛を思わせる形をしています。これが衣服に刺されば容易に取れない様にも思えますが、実際、私が履いていた毛織物のズボンに付いた種子は、一寸払うだけで簡単に取れてしまいました。
_081206_100
花が終わり種子が成長し始めた
(2008/12/06)

 上の写真は、花が終わって種子が生長し始めたところです。先端の棘や逆向きの剛毛が見えますが、これは花の咲く前から既に存在している構造です。
_081206_108
種子が成長し、果実が開き始めた
(2008/12/06)

 最後の写真は種子が成長し、1個の果実として開き始めたところです。更に開くと6~7番目の写真に示した様な全体として球形に近い形になります。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月21日 (水)

ヒゲブトキモグリバエ?

 今日は昨年の晩秋に、七丁目の家庭菜園に植えてある菊花に来ていたキモグリバエの1種を紹介します。残念ながら、このハエを撮り始めて直ぐに記憶媒体が満杯となり、それを交換している間に見失ってしまったので、写真は2枚しか有りません。
 以前紹介したキタモンヒゲブトキモグリバエと体の形がよく似ています。そこでCiiNiiにある「上宮(かんみや)健吉:赤坂御用地のキモグリバエ科」を参照してみると、その内のヒゲブトキモグリバエ(Elachiptera sibirica)に似ていることが分かりました。先日のキタモンヒゲブトキモグリバエの方はGampsocera属ですから、これは別属となります。
 ハエという連中は、外見が似ていると言うだけで簡単に種類を決められる性質の虫ではありません。これ以上は例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立てるしかありません。

05_081123_127a
ヒゲブトキモグリバエ(Elachiptera sibirica)?
菊の園芸品種に訪花していた
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/23)

 すると、アノニモミイア氏より、中胸背(胸部背中の大部分)が橙色をした日本産Elachiptera属のハエにはヒゲブトキモグリバエとニセヒゲブトキモグリバエの2種があり、上宮教授(久留米大学)の論文に拠れば、小楯板(胸部後部にある略三角形の部分)が通常3対の瘤状突起を具え、先端の1対はよく発達して幅の少なくとも2倍の長さがあり、先端の小楯板剛毛が小楯板の長さより短かければヒゲブトキモグリバエ、小楯板が2対の小型の瘤状突起を具え、先端の対は幅とほぼ等長で、先端の小楯板剛毛が小楯板の長さよりやや長ければニセヒゲブトキモグリバエである、との御回答を得ました。
 しかしこのハエ、体長約2.3mm、翅端まで3mm強と小さく、しかも体に微毛が生えている為に輪郭がハッキリしません。残念ながら、此処に掲載した写真からは小楯板の瘤状突起は判別出来ません。
 すると、バグリッチ氏がこの両者の標本写真を掲載して下さいました。その写真に拠ると、ニセヒゲブトは明らかに頭幅が胸幅よりも大きく、胸部の剛毛(背側剛毛?)の長さがヒゲブトよりも長くて胸幅の1/2近くあり、その生えている角度が大きく毛が寝ていません。また、小楯板の毛の生え方も両者でかなり違って見えます。此処に掲載した写真のハエでは、頭幅は胸幅とほぼ同じで、胸部や小楯板の剛毛の長さや生え方はニセヒゲブトとは異なり、ヒゲブトによく似ていました。しかし、胸背の模様はかなり違っていますし、何分にも小楯板の瘤状突起が見えないのが難点で、今一つ確信が持てません。
 暫く考えたのですが、前掲論文に拠ればヒゲブトキモグリバエは単眼三角域と中胸背の色彩変化が大きいと書いてありますし、また、この写真を学術論文に発表する訳ではありません。此処では「ヒゲブトキモグリバエ?」と「?」を付けることで逃げることにしました。
05_081123_122a
体長は約2.3mm、翅端まで3mm強と小さい
体に微毛が生えており輪郭がカチッとしない
(2008/11/23)

 上記の「上宮健吉:赤坂御用地のキモグリバエ科」に拠ると、ヒゲブトとニセヒゲブトの幼虫は、共に直翅目(バッタ、キリギリス、コオロギ)や鱗翅目(蝶、蛾)の昆虫に食害されて腐敗したイネ科植物に二次的に侵入するのだそうです。

 以前紹介したキタモンヒゲブトキモグリバエもこのヒゲブトキモグリバエも、中々素敵な姿をしています。こう言う極く小さいハエやハチ(コバチ類)には中々綺麗な種類が結構居ます。この町(世田谷区成城)の様な都会の住宅地には大型の美麗種は殆ど居ません。種類の判別は容易ではありませんし、撮影も困難(一度逃げられるともう二度と見つからない)ですが、今後もこう言った小さくても魅力的な虫を積極的に紹介して行こうと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年1月20日 (火)

ケチャタテ科の1種(Caeciliusidae gen. sp.

 今日から、漸くこのWeblogの更新が出来る様になりました。
 実は、昨年の暮、大晦日の夜から左足が少しおかしく、数100メートル以上は歩けなくなりました。元旦、2日はまだ大したことはなかったのですが、3日の昼前に突然痛みの為にソファーから起き上がることが出来なくなってしまいました。幸い、鎮痛消炎剤を持っていたのと、医師である友人の助けで某大学病院の救急センターに行きましたが、救急センターでは詳しい検査をすることが出来ず、5日の月曜日にタクシーで某病院の整形外科に行き、MRIで精密検査したところ、椎間板ヘルニア+脊柱管狭窄症であると診断されました。
 昨年撮った写真は、まだ沢山あります。しかし、やはり新年早々に旧年中の写真を出すのは何とも憚られます。どうしても新年第1回目は今年撮った写真にしたい・・・。
 その後1週間程で痛みは何とか取れましたが、左足の脱力感と痺れは残り、近くの商店街に買物に行くことは出来ても、虫を撮りに行く程の長距離を歩く自信はありませんでした。しかし、その後次第に良くなって来ましたし、昨日はとても暖かかったので、思い切って「4丁目緑地」付近に出掛けてみました。途中に位置する「三ツ池緑地」や「四丁目緑地」では何も撮影出来ませんでしたが、近くの農地の辺りで数種の虫を何とか撮ることが出来ました。
 今日はその中から、チャタテムシの1種を紹介します。どうも、この「四丁目緑地」付近にはチャタテムシがかなり棲息している様です。

03_090119_1_125
ケチャタテ科の1種.翅端まで約5mmとかなり大型
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2009/01/19)

 一見したところ、昨年12月に掲載した「チャタテムシの1種(その2)」に似ています。しかし、先ず大きさが違います。「その2」の方は翅端まで3.5mmしかありませんでしたが、今日のチャタテムシは5mm近くもあります。今まで見たチャタテムシの中では最大です。
03_090119_1_147
頭部と触覚は褐色(2009/01/19)

 また、色も今日のチャタテムシはかなり赤茶色を帯びており、特に頭部と触覚は明らかに褐色をしています(「その2」では黒色)。
 大きさや色には個体変化があります。しかし、頭部の形が明らかに違いますし、翅脈の走り方も異なります。別種であるのは確実です。
03_090119_1_149
チャタテムシにしては漫画的でなくキツイ顔
(2009/01/19)

 「その2」の方は、少し絞り気味で撮ったのと虫が小さかったので、翅脈その他の細部がよく分からず科すら不明でした。しかし、今回は虫が少し大きく、また、解像度を上げて撮りましたので、翅脈がかなりハッキリと写っています。
 チャタテムシ目の検索表を引くには、触角と付節の節数が分かる必要があります。残念ながら、これらをこの写真から判断するのは無理な様です。しかし、研究社の図鑑には翅脈の図が載っており、これと北隆館の圖鑑にある検索表と併用すると、このチャタテムシはケチャタテ科(Caeciliusidae)に属すのではないかと思われます。
 そうだとすると、先日紹介した「その2」の方もケチャタテ科かも知れません[その後、これはホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)であることが分かりました]。
03_090119_1_136
なまはげの仮面の様な顔とも言える
(2009/01/19)

 九州大学の目録を見ると、ケチャタテ科には17種しか登録されて居らず、その内本州に産するのは13種です。しかし、何れの図鑑にも該当する種は見当たりませんでした。
 本当にケチャタテ科なのかにも多少の不安があります。[その後の検討に拠ればケチャタテ科(Caeciliusidae)で間違いないと思います。当初の表題は「ケチャタテ科の1種?」となっていましたが、「?」を削除し、「ケチャタテ科の1種(Caeciliusidae gen. sp.)」としました。「gen. sp.」とは属も種も不詳という意味です。詳細は追記を参照して下さい]。
03_090119_1_134
もう1枚正面から(2009/01/19)

 このチャタテムシが居たのはビワの葉裏です。昨年も「三丁目緑地」内にあるビワの葉裏で越冬中の様々な虫を撮影しました(例えばホシヒメヨコバイヒメヨコバイ3種、他)。写真を見てお分かりの通り、毛がモジャモジャ生えています。この毛の御蔭で暖かいのか、或いは、掴まり易いのかは分かりませんが、越冬する虫にとっては都合の良い場所の様です。
03_090119_1_144
翅脈がかなりハッキリ見える
(2009/01/19)

 実は、昨年の晩秋に、今日と同じ種類のチャタテムシがミカンの葉に産卵するところを撮影しています。順序から言えば、この産卵の方が先だったのですが、何分にも新年第1回目は今年撮った写真に限ると決めていたので、此方の方が先になりました。
03_090119_1_129
オマケにもう1枚(2009/01/19)

 これで「新年第1回目に今年撮った写真を掲載するの義務」は果たしました。画像倉庫の中には、昨年撮った写真がまだまだ沢山残っています。今後は掲載の頻度を高めて、昨年撮った写真もどんどん出して行くことにします。

[追記] その後入手した北大の吉澤準教授が書かれた「Morphology of Psocomorpha」には、各科の翅脈図が載っており、これにより科を推定することが出来ます。それに拠ると、写真のチャタテムシはケチャタテ科(Caeciliusidae)に属す様です。また、富田・芳賀の「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」にはケチャタテ科の種までの検索表がありますが、今日の写真から種を同定することは出来ませんでした。日本産ケチャタテ科はまだよく研究されて居らず、未記載種や未記録種もかなりある様です。
 今日のチャタテムシはケチャタテ科で間違いないと思いますので、当初あった「?」を削除し、表題と本文中に訂正([]の中)を入れておきました。
 また、「チャタテムシの1種(その2)」は、その後、ホソチャタテ科のヨツモンホソチャタテであることが分かりましたので、それも[]の中に訂正しておきました。ヨツモンホソチャタテの詳細についてはこちらをどうぞ(2011/02/12)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »