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2008年12月 6日 (土)

サビキコリ


 今日はこの9月に「三ツ池緑地」で撮影したコメツキムシ科サビキコリ亜科のサビキコリ(Agrypnus binodulus)を紹介します。体長15mm程度で、コメツキムシとしては大きい方です。

 コメツキムシの仲間は、外見の類似した種類が多い厄介な連中なのですが(日本産コメツキムシ科は650種を越えます)、体表がザラザラしていて光沢が無いのは、サビキコリ族(Agrypnini)なので何とかなります(若干の例外があります)。保育社の甲虫図鑑に載っているサビキコリ族の検索表を参照すると、「中胸後側板は中基節窩に達する、4mm以上、小楯板は隆起線を欠く」、でサビキコリ属(Agrypnus)に辿り着きます。


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サビキコリ.胸部の背面に隆起線があるが

ストロボで撮ると分かり難い

(クリックで拡大表示、以下同じ)

(2008/09/12)



 九州大学の目録を見ると、サビキコリ属には33種も載っています。しかし、この仲間は南方系らしく、本州に産するものは7種のみで、その内この辺り(東京都世田谷区西部)に居そうな体長15mm前後のコメツキムシは、サビキコリの他にムナビロサビキコリ、ホソサビキコリの2種が居るだけの様です。

 ムナビロは胸部の輪郭が明らかに違います。残るはサビキコリかホソサビキコリか、と言うことになりますが、サビキコリには胸部背面に隆起腺があり、またホソサビキコリよりも幅があります。3番目(最後)の写真を見ると、胸部の背面に明らかな隆起が認められ、また、虫の縦横比を測定すると、ホソサビキコリよりもかなり太い様です。従って、この虫はサビキコリと言うことに相成ります。

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横から見たサビキコリ(2008/09/12)



 サビキコリの食性をInternetで調べてみたところ、樹液、朽ち木、木の葉、昆虫の死体、果実など何でも食べる様に書いてあるサイトがかなりの数あります。情報の出所が分からないので、次にサビキコリの生態写真を探すと、花や樹液に集っているところ、アリを食べているらしい写真、熟したニガウリを食べている写真などが見つかりました。実際に、相当な広食性の様です。

 今日の写真はイネ科植物(多分メヒシバ)の花穂にしがみついているところを撮ったものです。所々に食痕と思しき跡が認められますが、或いは、このサビキコリが食べたのかも知れません。

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斜め前から見ると、胸部の背側に隆起線があるのが分かる

(2008/09/12)



 もう既に12月です。しかし、10月はおろか9月に撮った未掲載の写真がまだ沢山残っています。もう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」の方は、そろそろ根本的なネタ切れ状態に陥りそうですが、こちらの方は、当分ネタに困ることは無い様です。


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コメント

( ´_ゝ`)ノボンジュール♪
楽天ブログは、しばらくお休みされるのでしょうか。
アーチャーンさんのお写真やその説明・ご意見を拝見できないことは、寂しいです。また こちらにコメントをすることも大仕事のような気がして 気後れします^^
専門研究者がみると稚拙なコメントですもの・・・
これからも 動植物のブログをどうぞ宜しくお願いいたします。(σ・∀・)σ待っています。

投稿: るる | 2008年12月 9日 (火) 07時47分

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