« 2008年10月 | トップページ | 2008年12月 »

2008年11月の14件の記事

2008年11月30日 (日)

カシヒメヨコバイ

 別にサボるつもりはなかったのですが、気が付いたら5日も更新していませんでした。もう兪々冬の様相を帯びてきて、虫達も急速にその姿を消しつつあります。この秋最後と思い、写真を撮りに行ってばかりで、原稿を書く暇がなかったのです。
 中にはもう越冬の態勢に入っている虫も居ました。今日紹介するカシヒメヨコバイ(Aguriahana quercus:ヨコバイ科ヒメヨコバイ亜科)も、「三丁目緑地」に生えているシャクチリソバの葉裏でジッとしていました。
 シャクチリソバの葉はいずれ枯れて落ちる運命にあります。何処か別の木の葉裏へでも移って越冬するのでしょう。

_081122_073
カシヒメヨコバイ.中々複雑で洒落た配色をしている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/11/22)

 大きさは翅端まで4mm弱、撮影したのは日没間際でもう薄暗く、虫体が良く見えませんでした。このシャクチリソバの群落周辺は双翅目(蚊、ハエ、アブ)が多いので、始めはショウジョウバエかと思ったのですが、マクロレンズで覗くと双翅目ではありません。どんな虫なのか良く分からないので、取り敢えず1枚撮って再生画像を拡大し、漸くヨコバイの1種であることが分かりました。しかも、頭だと思っていた黒い部分は翅の先端でした。頭部胸部と葉っぱはその明度に大差が無いので、薄暗い所ではマクロレンズで覗いても、頭が何処にあるのか良く分からないのです。
_081122_069
翅から続く1本の黒条が、胸から眼の上と吻の先端を通って
反対側の翅に連なっている(2008/11/22)

 虫が小さく厚みのない場合には、解像力を上げる為、絞りを開きめにして撮影するのが本来の撮り方です。しかし、暗くて虫が良く見えないので、安全策として焦点深度をやや深くして撮影しました。そのせいで、解像度が少し低くなっています。
_081122_089
正面から見たカシヒメヨコバイ.解像力が少し不足
(2008/11/22)

 この手の小さいヨコバイ類は、寒い時期に撮るのが最善です。虫の活動力が低下していて、中々逃げないからです。と言うか、気温が高く虫の活動が盛んな時期には、余程粘らない限り撮ることは出来ません。ヨコバイ類は一般にかなり敏感で、近づけば直ぐに飛んで逃げます。後を追っても、留まれば葉裏にサッと逃げ込み、或いは、イネ科の茎などに留まった場合には、常にこちら側とは正反対に位置する様、横にクルクル廻ります(ヨコバイと言う名は、其処から来ているのでしょう)。体長は3~4mm、横幅は余りありません。最近は老化で動体視力が落ちているせいもあるとは思いますが、2~3回飛んで逃げられれば、もう見失ってしまうのが普通です。
_081122_098
斜めから見たカシヒメヨコバイ(2008/11/22)

 前回の冬には、越冬中のヒメヨコバイを数種紹介しました。この冬はもう新顔が出る可能性は余り無いだろうと思っていたのですが、11月に早くも1種出ました。考えてみると、前回の冬は「三丁目緑地」のヤツデやビワなどの葉裏がヨコバイ探しの中心でした。探す場所を変えるとか、葉裏ばかりでなく樹皮の裏や隙間を探すとか、虫の探し方に少し工夫をすれば、まだ、何種か見つかるかも知れません。
_081122_059
オマケにもう1枚.まず最初に撮った写真がコレ
(2008/11/22)

 此処まで書いたところで、また、虫を撮りに行って来ました。今まで余り関心が無かったところを探したら、一寸変わった虫を数種類撮ることが出来ました。どんな虫を撮ったのかは、これからのお楽しみ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月25日 (火)

シワバネキノコバエ(Allactoneura akasakana)?

 ハエやカの仲間には、実に多くの科があります。正体の分からない双翅目(蠅、蚊、虻)を撮ったときは、図鑑の標本写真と生態写真ではまるで違って見えることが多いので、普通は検索表を引きます。双翅目の検索には、翅脈と刺毛の生え方が重要です。翅脈と刺毛がキチンと写っていれば、科の検索は何とかなることが多いのですが、翅を畳んで留まる虫の場合は、幾ら写真が鮮明でも翅脈が良く見えないことが多く、科の検索は直ぐに行き詰まってしまいます。
 今日紹介する虫も、触角が長い(8節を越える)ので糸角亜目(蚊の仲間)であることはハッキリしていますが、翅を畳んで留まるので、科の検索は不可能です。こう言うときは、双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」を頭から辿って行くことにしています。かなり時間はかかりますが、多くの場合、「コレだ!!」と言うのが見つかります。
 この虫も、「一寸のハエにも五分の大和魂」を辿った結果、キノコバエ科のシワバネキノコバエに酷似していることが分かりました。しかし、若干不明瞭な点があったので、御伺いを立ててみました。すると、何と九大名誉教授の三枝先生から、たちどころに御回答を賜りました。

Sp00_081002_007
シワバネキノコバエ(A. akasakana)?
名前はハエでも蚊の仲間、見た感じは確かに蚊に近い
七丁目の家庭菜園で撮影(以下4枚目まで同一個体)
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/02)

 三枝先生(私が先生と言うのもおかしいのですが・・・)は、北隆館の「新訂 原色昆虫大図鑑第3巻」の該当部分を執筆された方です。先生のお話では、このキノコバエは、キノコバエ科のSciophilinae(亜科名、和名なし)に属するAllactoneura(シワバネキノコバエ属)の1種で間違いないそうです。しかし、これがシワバネキノコバエか否かについては、若干の問題があります。また、シワバネキノコバエの学名は、図鑑にあるものではなく、Allactoneura akasakanaが正しいとのことです。
Sp00_081002_013
触角が8節以上あるのは蚊の仲間
幼虫は腐敗した植物質を餌にする
(2008/10/02)

 何が問題なのかと言うと、日本でハッキリと記録されているシワバネキノコバエ属はこのシワバネキノコバエのみですが、台湾には酷似するA. formosanaが居り、これが日本まで長距離移動している可能性が高いのです。しかも、このA. formosanaの記載は雌に基づいており、その雄と思われる個体には4つの型があって、日本のシワバネキノコバエ(A. akasakana)との関係はキチンと研究されていません。従って、日本産のシワバネキノコバエ属は、雄の交尾器をシワバネキノコバエ(A. akasakana)の記載と比較して一致すればシワバネキノコバエであると言えますが、それ以外の場合は良く研究されていない台湾のシワバネキノコバエ属かも知れず、或いはまた、新種の可能性もある訳です。
 写真では交尾器は比較出来ません。ここでは「シワバネキノコバエ(Allactoneura akasakana)?」とする以外に為す術が無い様です。
Sp00_081002_015
真っ正面から見ると変な顔をしている
(2008/10/02)

 ところで、読者諸氏の中には、最初の方で「糸角亜目(蚊の仲間)であることはハッキリしています」と書いておきながら、キノコバエと言う名前に「ハエ」の付く虫だったことに疑問を感じられている方が居られるかも知れません。キノコバエは、名前に「ハエ」が付きますが、本当は蚊の仲間なのです。
 この様な紛らわしい名称は双翅目の中には沢山あります。○○キノコバエばかりでなく、タマバエ、カバエ、ケバエ、チョウバエも蚊の仲間で、また、ブユ(ブヨ)やヌカカも形はハエに似ていますが蚊の仲間です。
 アブとハエも混乱しています。オドリバエ、アシナガバエ等は「ハエ」と付いてもアブの仲間ですし、ハナアブ、ヒラタアブ(ハナアブ科です)、アタマアブ等は「アブ」の名があってもハエの仲間です。保育社の原色日本昆虫図鑑(下)では、これらの名称を分かり易い様に変更したのですが、普及しませんでした。
Sp00_081002_020
斜めから見た図(2008/10/02)

 それでは、蚊、ハエ、アブは何処が違うのか、と言うことになると思いますので、その違いを一寸書いておきましょう。
 広義の蚊とは糸角亜目(長角亜目)に属す昆虫の総称で、触角が通常8節以上あります。これだけで決定的な決め手となります。体が細い、或いは、脚が長いこと等は、分類学では一切考慮されません。
 ハエとアブは短角亜目に属し、触角は基本的に3節です(例外的に第3節が幾つかに分節する場合があります)。ハエと総称される昆虫の蛹は環状の部分から成っており、羽化するときにはこの輪に沿って蛹が横に割れます。蛹の縫い目が環状になっているので、環縫短角群(環縫群)と名付けられています。このグループは、蛹になるときに脱皮せず、表皮が固まって俵の様な囲蛹と呼ばれるものになり、その中で蛹化します。
 アブと呼ばれる虫の場合は、他の完全変態する普通の昆虫と同じく、羽化の際に蛹の背中が縦に割れます。蛹の縫い目が真っ直ぐになっているので、分類学では、直縫短角群(直縫群)と呼ばれています。この連中の蛹は、実物はまだ見たことが無いのですが、普通の昆虫の蛹の形をしています。
 お解り頂けたでしょうか?
_081113_012
「3丁目緑地」で撮ったキノコバエ.毛の生え方は異なるが
多分上と同じ種類(2008/11/13)

 最初の4枚の写真は七丁目の家庭菜園で撮ったもので、全て同一個体の写真です。此処まで書いたところで、これらとは別に先日「三丁目緑地」で撮った同じ種類と思われるキノコバエの写真を調整しました。すると、上の4枚の写真とは異なり、かなり体に毛が生えています。別種かも知れません。そこでまた、「一寸のハエにも五分の大和魂」に御伺いを立てることと相成りました。何しろ、この属は日本ではまだ1種しか記録されていないのです。
 暫くして、また、三枝先生から御回答を賜りました。やはりこの仲間の種の識別には雄の交尾器を見る以外に確実な方法はないとのお話です。双翅目の毛も、鱗翅目(蝶、蛾)の鱗粉の様に脱落することが多く、毛の有無は基本的な判断材料にはなら無い様です。別種の可能性も否定はできませんが、そうであればどちらかが未記載種と言うことになります。恐らくは、同一種で毛の脱落の程度が異なるだけなのでしょう
_081113_003
横から見ると胸部の背に沢山毛が生えているのが分かる
(2008/11/13)

 一昨日、昨日と連続で、久しぶりに七丁目の家庭菜園に行って来ました。隣との境に菊の花が沢山咲いていて、これに色々なアブやハエがやって来ているのです。かなりの多くの種類を撮りました。微小なハエが多いのですが、中々綺麗なものもあります。種の判定にかなり時間が掛かると思いますが、今後少しずつ紹介して行きたいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月22日 (土)

オオクロセダカカスミカメ

 今年の7月に「三ツ池緑地」で撮影した小さなカスミカメ、ヒメセダカカスミカメを掲載しました。今日は、それによく似たオオクロセダカカスミカメ(Proboscidocoris varicornis)を紹介します。
 これは我が家の庭に居た虫です。もう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」では既に紹介済みですが、他所では全く見かけないのでこちらでも掲載することにしました。撮影は9月上旬で、夏の虫らしく、今はもう居ません。

_080905_002
オオクロセダカカスミカメ.小楯板はほぼ均一な配色
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/05)

 ヒメセダカカスミカメと非常によく似ています。日本原色カメムシ図鑑の第1巻でヒメセダカカスミカメとして載っている写真は、実はオオクロセダカカスミカメの誤りであったと言う位です(第2巻に訂正が出ています)。また、全体の形ばかりでなく、脚にある斑模様までよく似ています。
_080905_016
横から見ると全身に微毛が映えているのが分かる
(2008/09/05)

 この両者の相違点としては、先ず大きさ挙げられます。ヒメセダカの方が小型で体長は3mm強、オオクロセダカの方は4mm以上あります。カメムシ図鑑には4.5mm以上と書かれていますが、写真のオオセダカは丁度4mmです。幼虫時代に御飯を充分食べられなかったのでしょう。
_080905_005
真っ正面から見た図(2008/09/05)

 形態的には、よく見ると、ヒメセダカの方は小楯板(背中にある三角形の部分)の後端が白っぽくなっています。これに対し、オオクロセダカの小楯板はほぼ均一に配色されています。
 また、触角の第1節が異なります。オオクロセダカでは、まァ、普通のカメムシの触角第1節と言う感じですが、ヒメセダカの方は太くて短く、先端に浅い括れがあり、一寸した節の様になっています。
_080905_111
触角の掃除をするオオクロセダカカスミカメ
(2008/09/05)

 ヒメセダカとオオクロセダカは互いに非常によく似ているのですが、ヒメセダカはCharagochilus属、オオクロセダカはProboscidocoris属と属が異なります。カスミカメムシ科の属に付いて詳しく書かれた文献は持っていませんので、何が重要な違いなのか分かりませんが、或いは、触角の違いが効いているのかも知れません。まァ、素人には分からない世界です。
_080905_014
正面上方から見た図(2008/09/05)

 食草に関しては情報が余りありません。ヒメセダカの方は色々な植物に寄生する様です。オオクロセダカの方は、カメムシ図鑑には何も書いてありませんが、どうもツユクサが好きな様です。我が家ではツユクサに付いて居ましたが、Internetで調べると、やはりツユクサに居たと言う記事が幾つか見つかりました。ツユクサに居れば、先ずオオクロセダカだと思って良いのかも知れません。
_080905_012
オマケにもう1枚.中々勇ましい感じ
(2008/09/05)

 もう11月も下旬となりました。しかし、9月に撮った写真はまだまだあります。完全に季節外れですが、時折季節の動植物も交えながら、一つずつ紹介して行くつもりです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月21日 (金)

コガタスズメバチ

 これまで、六丁目のある御宅に植えられているサザンカの花に来ていた虫を何種か紹介しましたが、それらは全て蛾類でした。しかし、ハチ類もかなり来ていました。今日はその中から、コガタスズメバチ(Vespa analis insularis)を紹介します。
 以前、このWeblogを始めた頃に、オオスズメバチをコガタスズメバチと間違えて掲載してしまったことがあります(この記事は既に訂正してあります)。しかし、今回のは間違いなくコガタスズメバチです。

_081023_062
コガタスズメバチ(越冬前の新女王).右側にある
開きかけのサザンカのに潜り込む直前
頭部胸部は既に花粉だらけ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/23)

 コガタスズメバチは、名前の通り、オオスズメバチより一般に小型ですが、小型のオオスズメバチと大型のコガタスズメバチは非常によく似ています。尾端は何方も黄色で、腹部の配色はよく似ており、しかも個体変異が大きいので、腹部の模様では全く区別ができません。
 よく知られているのは、頭楯の形の違いです。顔を正面から見て、頭楯と呼ばれる顔の中心にある橙色の構造の下側が2つに分かれているのがオオスズメバチ、3つに分かれているのがコガタスズメバチです。
 この時は正面からの写真を遂に撮ることが出来ませんでしたので、これではオオスズメかコガタスズメか分かりません。
 しかし、違いはもう一つあります。オオスズメバチの胸部背中には橙色の斑紋(小楯板が橙色)があるのに対し、コガタスズメバチでは胸部はほぼ真っ黒です。写真のスズメバチの背中には紋がありませんから、これはコガタスズメと言うことになります。
_081023_061
コガタスズメバチ.小楯板は無紋
(2008/10/23)

 写真を撮ったのは10月下旬で、晩秋にはよく雄蜂が花に吸蜜に来ます。現にオオスズメバチの雄が来ていました。しかし、この個体は雌です。時期を考えると、越冬前の新女王でしょう。雄は触角が雌よりも長く、雌が12節なのに対し、13節あります。一番最後の写真の触角部分を拡大して勘定してみると12節しかないのが分かります。
_081023_058
サザンカの花に頭を突っ込む
(2008/10/23)

 日本全土には7種のスズメバチ(Vespa属)が棲息しています。その内、この辺り(東京都世田谷区西部)に居るのは、オオスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチの3種だけの様です。ヒメスズメバチは尾端が黒いので見分けやすい種類ですが、子供の頃を含めて一度も見たことがありません。専らアシナガバチの巣を襲って生活する種類ですから、この辺り程度のアシナガバチの数では生存できないのでしょう。
 キイロスズメバチも見たことがありません。この種類は、元々「田舎」に住むハチだと思っていましたが、最近は都市部や住宅地にも進出している様です。その内、見る機会があるかも知れません。ハチ好きとしては楽しみな話です。
 チャイロスズメバチは分布が局限されており、この辺りに出現したら新聞ネタになります。また、ツマグロスズメバチの分布は宮古島以西ですから、この辺りで会いたいと思っても、それは無理と言うものです。
_081023_057
吸蜜中、花粉も食べているのかも知れない
お尻の先は黄色(2008/10/23)

 コガタスズメバチは成城の住宅地内では一番普通のスズメバチです。オオスズメバチが土中や樹洞などに営巣するのに対し、コガタスズメバチは灌木の間などの樹上に巣を作りますから、営巣できる場所は住宅地の中に幾らでもあります。
 我が家の様な極々狭い庭でも何回か営巣したことがあります。巣の大きさは最大直径20cm位でハチの数も少ないですし、温和しい性格なので、刺される可能性は先ずありません。私がこちらに移る前(両親が住んでいた頃)には、年末に植木屋さんが来て漸く巣のあることに気が付いた、と言うこともありました。
_081023_063
サザンカの花から出て来て飛び立つ瞬間
触角を数えると12節ある (2008/10/23)

 今日6時過ぎの気温は2℃、真冬並みです。雲一つ無い快晴で陽射しは強いのですが、日中でも風の冷たい一日でした。写真を撮りに行く予定を取り止めにして、Weblogの更新をすることにしました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月20日 (木)

ヒヨドリジョウゴ

 どうも「成城の動植物」の植物部門は非常に低調です。これまでに掲載した全214件の記事の内、植物全体で僅か24件、しかもその内、栽培種を除く自然に生えて来た植物は17種しかありません。
 最近は出入りの出来る空地が非常に少なくなったのは困ったものです。しかしまァ、物騒な世の中になってきましたから、隣に出入り自由の空地があると、その隣家としては不安を感じるのでしょう。
 世田谷区の管理する「緑地」には色々な雑草その他の植物が自然に生えてきます。しかし、屡々除草作業が行われます。植物の成長には時間がかかり、また、昆虫と違って動けませんから、除草が1回入ると、もうそれでお終いになってしまうことが多いのです。
 今日紹介するヒヨドリジョウゴ(Solanum lyratum)も、花が着くまでは撮れたのですが、赤い綺麗な実が成るのを待っていたら、その前に除草されてしましました。

_081009_016
ヒヨドリジョウゴ.蔓性と言うが典型的な蔓植物ではない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/09)

 見てお分かりの通り、ナス科の植物です。例によって帰化植物かと思いましたが、調べてみると在来種でした。在来種と思うと、何となく心が和みます。
 写真のモデルになってくれたのは、6丁目のある御宅の垣根になっているサツキの合間と、つい最近出来た世田谷区の「成城三丁目崖(はけ)の林市民緑地」(以下「崖の林緑地」)に生えていた2本です。何方も、残念ながら実を結ぶ前に除草されてしまいました。
_081007_027
ヒヨドリジョウゴの花穂.茎や花軸は非常に毛深い
葉の形は朝顔を思わせる.「崖の林緑地」で撮影
(2008/10/07)

 花の大きさは、以前掲載したイヌホオズキとほぼ同じで、直径1cm位です。小さい花ですが、白い花冠の中心に黄色い雄蕊があるのが目立ちます。花弁は5枚あります。しかし、ナス科ですから、花冠が5裂しただけで、基部は繋がっています。
 蔓性の植物とされていますが、ヤマノイモの様な蔓ではなく、半蔓性とでも言うべきでしょう。一番上の写真を見ても、蔓には見えません。茎が細いので、長くなると自分で立っていられないと言う感じで、アメリカイヌホオズキ(近日中に掲載予定)と似ています。
_081009_031
ヒヨドリジョウゴの花と蕾
(2008/10/09)

 ヒヨドリジョウゴは漢字で「鵯上戸」と書きます。ヒヨドリが好むと言う意味だそうですが、全草にソラニン(ナス科植物の多くに見られるアルカロイド系毒素)を含みますので、実際は殆ど(全く?)食べないそうです。
 毒は屡々薬になります。中国語ではヒヨドリジョウゴを白英、その乾燥したものを白毛藤と呼んで帯状疱疹(帯状ヘルペス)、解熱、利尿等に利用するとのことです。
_081009_023
上と同じ花を別角度から撮影
(2008/10/09)

 ヒヨドリジョウゴには、直径8mm程度の真っ赤な実が付きます。真ん丸で艶がありとても綺麗な実です。除草されてしまったので、今回は撮れませんでしたが、今後もし見付けたら、追記として写真を載せるつもりでいます。
_081007_029
ヒヨドリジョウゴの花(拡大).「崖の林緑地」で撮影
(2008/10/07)

 昨日から急に気温が下がり、今日の朝は約3℃でした。昼間はかなり強い陽が射していましたが、庭で見かける虫は真冬と同じホソヒラタアブクロヒラタアブだけになってしまいました。兪々、冬の到来の様です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月19日 (水)

ワタヘリクロノメイガ

 今日は別の虫を紹介するつもりだったのですが、文章を書いている内に妙なことに気付き、作業が中断してしまいました。そこで、急遽予定を変更してこのノメイガを紹介することにしました。
 ワタヘリクロノメイガ(綿縁黒野螟蛾:Diaphania indica)、ツトガ科ノメイガ亜科に属します。開張は25mm前後、尾端に太いハタキの様な毛塊があるのでよく知られているノメイガです。
 一名ウリノメイガとも呼ばれ、農業上ではウリ科の害虫として著名な様です。しかし、アオイ科やクワ科の植物も食べるそうで、和名の頭にある「ワタ」は、ワタを食害するからか、或いは、尾っぽの毛塊を「ワタ」と見なして付けられたのか、良く分かりません。小笠原を含む日本全土、オーストラリア、旧大陸の熱帯等に広く分布します。

_081021_054
ワタヘリクロノメイガ.一名ウリノメイガとも呼ばれる
尾端の毛塊が発達するのは雄の証拠
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/21)

 写真では良く見る蛾ですが、実物を見るのは初めてです。居たのは、先日紹介したホシヒメホウジャクウスキツバメエダシャク等と同じく、六丁目にあるサザンカの垣根です。
 これまでの経験から、この手のノメイガは、ストロボを使うとその反射で実際とはかなり違う風に写ってしまうことが分かっていましたので、ストロボは使いたくなかったのですが、もう日没後のことでもあり、しかも葉裏の暗い所に居ましたので、仕方なくストロボを焚きました。案の定、反射で翅の一部だけ妙に光ってしまいました。
 当初は没にするつもりだったのですが、尾端の毛塊が面白いので、やはり掲載することにしました。
_081021_055
尾っぽを振るワタヘリクロノメイガの雄
(2008/10/21)

 この尾端の毛塊は雌にもある程度はある様ですが、雄で特に良く発達するとのことです。と言うことは、この個体は雄と考えて良いのでしょう。
 この尾っぽを、ゆっくりではありますが、常に左右に振っていました。雌に「此処に居るぞ」と言う信号を送っているのでしょうか。開張25mm程度の蛾ですから、尾っぽを振っても大して目立ちません。しかし、昆虫は人間とは見える光の周波数帯が違うのが普通ですから、人間には目立たなくても、雌のワタヘリクロノメイガには際立って見えるのかも知れません。
_081021_053p
尾っぽの拡大写真.鱗片状で鳥の羽の様
高解像度で撮っていないので、画質はお粗末 (2008/10/21)

 尾端の毛を拡大してみると、毛状ではなく鱗片状で鳥の羽の様な感じです。白、淡黄褐色、暗灰色と白の斑など、色々な色をした「羽」が混ざっています。この尾端だけ高解像度で撮れば良かったのですが、どうせ掲載出来ないだろうと言う気持ちが強かったので、被写界深度をやや深くして(従って低解像度)、全体を撮るだけでお終いにしてしまいました。御蔭で、拡大写真の画質はかなりお粗末です。
 この町でもう一度この蛾を見る機会は少ないと思います。惜しいことをしました。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2008年11月17日 (月)

ハギメンガタカスミカメ+ナミヒメハナカメムシ?

 昨年の秋は、色々なカメムシが居ましたが、今年の秋は何故か、余りその姿を見ません。昨年は、四丁目緑地にオオケタデ(オオベニタデ)オオイヌタデが沢山咲いており、それに沢山のカメムシが来ていました。しかし、今年は除草が何回も入ったせいか、タデ類は1本も無く、カメムシも当然居ません。我が家の庭でも、昨年はセイタカアワダチソウに、スカシヒメヘリカメムシアカヒメヘリカメムシヒメナガカメムシなどが来ていたのですが、今年はサッパリです。この町全体として、今年の秋はカメムシが少ない様です。
 そんな訳で、些かガッカリしていたのですが、七丁目の空地でカスミカメムシの「新種」を見付けました(実は、もう大分前のことなのですが・・・)。
 ハギメンガタカスミカメ(Eurystylus luteus)、体長6mm強で体高のある分厚いカスミカメです。

_081002_0_098
ハギメンガタカスミカメ.この仲間はみな触角が太い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/02)

 見付けたのは、以前掲載したイヌホオズキの生えていた空地です。カメムシの名前には「ハギ」と付いていますが、フヨウの花を吸汁していました。「日本原色カメムシ図鑑第2巻」に拠ると、「(幼虫は)ハギに寄生するが、成虫は他の植物の花からも見つかる」のだそうで、全くその通りでした。。
_081002_0_092
前胸背後縁近くに縦長の小さな暗色斑が
左右に一対あるが分かり難い
(2008/10/02)

 メンガタは「面形」で、「ハギ」の付かない只のメンガタカスミカメでは前胸背後縁近くの左右に白い輪郭を持つ黒斑があるので、これを目玉に見立てて付けられた名前の様です。ハギメンガタカスミカメでは、その様な目玉模様は有りませんが、同じ位置に縦長の小さな暗色斑があります。非常に不明瞭な斑で、良く見ないと気が付かない程度の斑紋です。
_081002_1_032
斜め上からみたハギメンガタカスミカメ
(2008/10/02)

 メンガタカスミカメ類は、カスミカメムシ科の中で一つの属(メンガタカスミカメ属:Eurystylus)を構成しています。先の「カメムシ図鑑」に拠れば、旧世界の熱帯を中心に50種ほどが属すそうで、日本には3種、上に上げた2種の他に、奄美諸島以南に分布するタイワンメンガタカスミカメが居るだけです。
_081002_0_099
フヨウの花弁の上を歩くハギメンガタカスミカメ
下からストロボの反射を受けて、まるで銀レフで照らされた様
(2008/10/02)

 このハギメンガタカスミカメ、Googleで検索すると僅か23件しかヒットしません。学名で検索しても同じ程度です。しかし、成城の様な都会の住宅地にも居るのですから、決して珍種ではないでしょう。恐らく、先の図鑑以外には載っておらず、写真を撮っても種名が分からないので、御蔵にしている御同類が多いのではないでしょうか。
 そこで、その様な御同類の為に、沢山写真を貼っておきました。
_081002_0_106
フヨウの萼の上を歩くハギメンガタカスミカメ
(2008/10/02)

 種として確立されたのもかなり最近のことらしく、メンガタカスミカメと混同されたり、タイワンメンガタカスミカメ(ザウターメンガタメクラガメ:E. sauteri)とされていたこともある様です。学名としてEurystylus luteusが当てられたのはごく最近で、1993年に出版されたカメムシ図鑑の第1巻では、Eurystylus sp.Eurystylusに属すが、種名は不明)となっています。この学名自体、キチンと書くとEurystylus luteus Hsiao,1941ですから、比較的新しい命名です。
_081002_1_008
同上.中々カッコイイ
(2008/10/02)

 このハギメンガタカスミカメが居たのは、先日紹介したフタトガリコヤガの幼虫が居たのと同じフヨウの株です。こちらの方がずっと小さいにも拘わらず、見付けたのはカメムシの方が先です。どうも毛虫よりもカメムシの方に注意が行ってしまう様です。或いは、最近は小さな虫ばかり撮っていますので、毛虫は大きすぎて目に写らなかったのかも知れません。
_081002_1_037
フヨウの花弁に口吻を突き刺すハギメンガタカスミカメ
この写真だけ拡大率が大きいので少し鮮明度が低い
(2008/10/02)

 最後の写真には、手前にこのカスミカメよりもずっと小さな虫が写っています。撮影時には絞り開放でファインダーを覗いていますから、かなりぼけて見えていたと思いますが、全く気が付きませんでした。この虫、良く見ると、ナミヒメハナカメムシの様です。
 ハナカメムシ科はまだこのWeblogには登場していません。また、この科のカメムシはみな捕食性なので農業害虫の天敵として注目され、ナミヒメハナカメムシなどは生物農薬として登録されているにも拘わらず、虫が非常に小さい(多くは2mm以下)せいか、Internet上に掲載されている写真は僅かです。気が付けばシッカリ撮って堂々初公開だったのですが、どうして気が付かなかったか、悔しがることしきりです。
_081002_1_023
ハギメンガタカスミカメと手前は多分ナミヒメハナカメムシ
撮影時はこのハナカメムシの存在に全く気が付かなかった
(2008/10/02)

 最近は、ネタのストックが十二分にあるので、ついつい簡単に掲載出来る写真の少ないネタを選んでしまう傾向があります。今日は、少し反省して写真の多い虫を選びました。
 写真が多いと、その選択・調整にも文章を書くのにも、かなりの時間を要します。今後は、写真の多いネタと少ないネタを交互に掲載することになるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月14日 (金)

ハシボソガラス

 今日は久しぶりに鳥を紹介します。ハシボソガラス(Corvus corone)、成城の町でゴミ袋をあさっているのはハシブトガラスで、このハシボソガラスではありません。
 ハシボソもゴミあさりをしない訳ではないのですが、ハシボソ自体が住宅地の中には基本的に居ないのです。この写真を撮ったのは、実は2年前の今頃で、場所は仙川(川の仙川)の川岸です。
 仙川は成城と祖師谷の間を流れています。このハシボソが居たのは左岸なので、正確には成城ではなく祖師谷であることと、もう少し良い写真が撮れないものかと思って、今まで画像倉庫に放置していました。しかし、その後ハシボソを撮る機会が全く無く、没にするのも惜しいので、掲載してしまうことにしました。

_0_061106
仙川の川岸で餌を探すハシボソガラス
ハシブトより何となく品が良い
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2006/11/06)

 ハシボソガラスはハシブトガラスと較べると、体が一回り小さく、嘴が細めで上部が余り膨らまず、ハシブトの様に「オデコ」ではありません。また、ハシボソはハシブトより少し青みがかった黒をしています。
 鳴き声も違い、ハシブトはカーカーと澄んだ声でなくのに対し、ハシボソはガーガーと濁った声で鳴くそうです。何だか、外見と相反していますね!!
_1_061106
上と同じ個体.青味がかった黒が綺麗.記憶に拠れば
2羽で来ており、この後、直ぐに逃げてしまった
(2006/11/06)

 ハシブトガラスは、本来は森林がその住処なのだそうです。森林が減った結果、都会に進出・適応して、今や都心部に居るカラスの殆ど全てはハシブトガラスです。これに対して、ハシボソガラスは田園地帯のカラスで、草原や畑、川などの多い環境を好むとのことです。成城には、まだ少しは田園的なところが残っている、と言うことでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月13日 (木)

ホソヘリカメムシの幼虫(5齢=終齢)

 少し前にホソヘリカメムシの4齢幼虫を掲載しましたが、今日はその続きとでも言うべき5齢(終齢)幼虫を紹介します。写真を撮影したのは2ヶ月以上前で、些か旧聞に属します。しかし、このWeblogには余り日記的要素はありませんので、特に問題は無いでしょう。

_l5__080902_038
枝豆の葉上に居たホソヘリカメムシの5齢幼虫
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/02)

 これまでカメムシ類の幼虫は、各齢を1回ずつ掲載していました。そこで、このホソヘリカメムシの幼虫も4齢と5齢で分けたのですが、この5齢幼虫、4齢とかなり似ています。違うのは、色が成虫に似た茶色に変わったこと、体がやや幅広くなると共に後肢も成虫に似て太くなり、翅の原基が伸長したこと位です。体長も多少は増加していますが、少し大きいかな?、と言う程度です。
 前にも書いた様に、ホソヘリカメムシの幼虫はアリに擬態しているとよく言われます。確かに若齢幼虫はアリに似ていますが、4齢幼虫になると体もかなり大きくなるのでアリとの色や形の違いが目立ち、5齢では最早アリという感じは殆どありません。
_l5__080902_035
横から見ると少しアリ的だが、色や腹部の形が異なる
(2008/09/02)

 撮影場所は、4齢と同じ七丁目の第1家庭菜園(ファミリー農園)で、4齢幼虫と一緒に枝豆(大豆)の葉上に居ました。ホソヘリカメムシは、成虫、幼虫共に大豆の害虫としてその名が知られています。枝豆の上に居たところを見ると、やはり大豆が目当てでこの家庭菜園にやって来たのでしょう。この農園には成虫も含めて、ホソヘリカメムシがかなりの数居ました。1回でも吸汁されると豆はもうダメになってしまいますから、枝豆の大半はやられてしまったのではないかと思います。
_l5__080902_047
斜めから撮ったホソヘリカメムシの5齢幼虫
触角が長い(2008/09/02)

 ホソヘリカメムシの成虫を掲載したのは9月9日で、その写真を撮ったのは7月20日です。今日紹介している5齢幼虫を撮影したのは9月2日なので、成虫を撮った約40日後になります。多分、7月に居た成虫が産んだ卵から成長したのが、この5齢や以前紹介した4齢幼虫なのでしょう。
 ホソヘリカメムシはホソヘリカメムシ科に属します。カメムシ科のクサギカメムシやアオカメムシ類は年1回の発生ですが、ホソヘリカメムシは最近の研究(日本応用動物昆虫学会講演要旨:ホソヘリカメムシ生活史の解明)に拠ると、関東では年2~3世代を経過する様です。この幼虫は成虫になった後、その儘越冬して来年の春、クローバー等のマメ科やイネ科の植物に産卵し、そこで1~2世代経た後、また、大豆等の豆類にやって来るのでしょう。
_l5__080902_046
ホソヘリカメムシ5齢幼虫の顔.成虫よりもヒゲ面
(2008/09/02)

 今日は久しぶりの好天です。この記事を投稿した後は、カメラでもぶら下げて「三丁目緑地」辺りへ行こうかと思っています。9月、10月に撮影してまだ未掲載の写真がゴッソリあるのですが、これでは写真が溜まる一方です。今年の冬は、余り写真を撮らなくても済むかも知れません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月12日 (水)

キバラルリクビボソハムシ

 新しいネタも沢山あるのですが、今日はまだ暑い内に我が家の庭で撮ったハムシを紹介することにします。
 キバラルリクビボソハムシ(Lema concinnipennis:黄腹瑠璃首細葉虫)と言う長い名前のハムシです。ハムシ科クビボソハムシ亜科に属します。体長は6mm前後で、まァ、葉虫としては普通の大きさですが、かなり細めです。

_080901_074
キバラルリクビボソハムシ
背面からでは腹の黄色いのがよく見えない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/01)

 このキバラルリクビボソハムシは、成虫、幼虫共に、ツユクサに寄生します。我が家には自然に生えたツユクサが沢山あるので(草取りをサボっている)、これに毎年やって来る様です。或いは、我が家の何処かで越冬して、既に棲み着いているのかも知れません。越冬態は、調べてみましたが、分かりませんでした。
 逆に、我が家以外でこのハムシを見たことはありません。この付近(東京都世田谷区西部)でツユクサが沢山ある所へ行けばまず居ると思いますが、何処へ行けばツユクサの「大群落」が見られるのか、残念ながら知りません。
_080901_061
横から見ると、腹の先の方が黄色いのが見える
この手のハムシはイヌの様な格好でお座りすることが多い
(2008/09/01)

 このキバラルリクビボソハムシには、ルリクビボソハムシと言うよく似た種類が居ます。キバラの方は腹部末端3節が黄褐色なので、その名が付いていますが、ルリクビボソハムシは全身真っ黒です。
 しかし、保育社の甲虫図鑑に拠ると、キバラでも稀に全身黒色の個体があるそうです。こうなると、区別が少し難しくなります。図鑑には、キバラの方が一般に細く、また、前胸背板の点刻はより弱い、と書かれています。なお、ルリクビボソハムシの食草は、アザミ類です。
_080904_004
斜め横から見たキバラルリクビボソハムシ
腹部が黒つぶれしない様に現像してある
(2008/09/04)

 ツユクサと言う植物は、どう見ても余り栄養がありそうに見えません。こんなものを食べていて栄養失調にならないのかと些か心配になる位です。ところが、ツユクサに寄生するハムシはキバラルリクビボソハムシだけではありません。同属近縁のトゲアシクビボソハムシ、アカクビボソハムシ、セアカクビボソハムシ、キオビクビボソハムシ等、みなツユクサ専門のハムシです。恐らく、ツユクサを食べる共通の祖先から、分化して来たのでしょう。
_080901_063
正面から見たキバラルリクビボソハムシ.凶暴そうな顔
(2008/09/01)

 以前、ルリマルノミハムシの顔写真を紹介しましたが、まるで凶悪犯の様な顔をしていました。このキバラルリクビボソハムシも相当な悪漢に見えます。しかし、時には下の写真の様に、おどけた感じにもなります。これは身繕いをしているところです。厳つく恐い顔をしたオジサンでも、痒いところを掻いているときなどは、時に滑稽な顔になるのと同じかも知れません。
_080901_078
身繕いするキバラルリクビボソハムシ.おどけた顔をしている
(2008/09/01)

 草取りをサボった御蔭で、キバラルリクビボソハムシを見ることが出来ました。そればかりでなく、この辺りでは他所で見たことのない、ツユクサに付くカスミカメムシもやって来ました。このカスミカメ、近日中に紹介の予定です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 9日 (日)

フヨウの果実と種子

 今日は一寸趣向を変えてフヨウ(Hibiscus mutabilis)の果実と種子を紹介します。先日、フタトガリコヤガの幼虫(終齢)を掲載しましたが、その2番目の写真に示した幼虫は、実は、このフヨウの果実を撮影しているときに見付けたものです。成城三丁目の道路脇に生えているフヨウです。

_081007_104
フヨウの果実.三丁目の道端に生えていた
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/10/07)

 フヨウの果実と言うのは、肉眼的には枯れた様な茶色をしていて、全く冴えない代物です。しかし、写真に撮って拡大すると、中々趣があります。もう少し写真の横幅を大きくしようかと思ったのですが、今日の写真は縦幅もありますので、小さめのモニターを使用されている方にはかえって見難いかと思い、何時もの横幅750ピクセルにしておきました。
_081007_086
フヨウの果実(その2)(2008/10/07)

_081007_090
フヨウの果実(その3)(2008/10/07)

_081007_082
フヨウの果実(その4)(2008/10/07)

 フヨウの果実には5稜あり、熟すとこれが開裂し、1つの片が更に2つに割れて、全部で10片になります。果実の中には、片側に長い剛毛のある腎臓形をした種子が沢山入っています。1房に何個種子が入っているのかは、勘定していないので、分かりません。
 種子には長い毛が生えています。しかし、別に服にくっ付いたりすることはありません。一体何の為の毛なのでしょうか?
 どうもフヨウの果実に関しては、余り書くことがありません。写真をクリックして拡大し、その枯れた質感をお楽しみ下さい。
_081007_097
フヨウの種子(その1)(2008/10/07)

_081007_100
フヨウの種子(その2)(2008/10/07)

_081007_091_2
フヨウの種子(その3)(2008/10/07)

_081007_108
フヨウの種子(その4)(2008/10/07)

 11月に入り、気温がグッと下がって来ました。兪々冬の到来の様です。葉裏に居る越冬中の虫は、昨年あらかた撮ってしまいました。同じ所を探しても、もう新顔は余り出ないでしょう。
 この冬は何処に行ってネタを探すか、現在、思案中です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 7日 (金)

ビロウドコガネ

 今日もまた時間がないので、写真3枚の虫を掲載します。ビロウドコガネ、肉眼的には黒っぽくて丸味の強い、体長1cm位の小さなコガネムシです。コガネムシ科コフキコガネ亜科に属します。
 撮影場所は「三ツ池緑地」で、ナツツバキの葉に留まっていました。

_080912_039
ビロウドコガネ.体長約1cm.不思議な光沢を発している
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/12)

 ビロウドコガネにはよく似た近似種が何種類も居ます。その中で東京都に記録のあるのは、ビロウドコガネの他に、ヒメビロウドコガネ、オオビロウドコガネ、マルガタビロウドコガネの合わせて4種です。
 保育社の図鑑に拠ると、この内、ヒメとマルガタは頭楯が皺状に点刻されるとのことですので、写真(下)のコガネムシとは異なります。また、オオビロウドは後脛節の外端棘が第1付節よりも長いとありますが、最初の写真を見ると、この棘は第1付節よりも短い様です。棘が斜めになっていれば、棘の方が長い可能性もありますが、2番目の写真を見ると、この棘はほぼ水平に出ているものと思われます。従って、オオビロウドでもなく、消去法により最普通種のビロウドコガネ、と言うことになります。
_080912_044
頭楯の点刻が粗く深い
(2008/09/12)

 しかし、このビロウドコガネ、既に我が家で撮ったものをもう一方のWeblog「我が家の庭の生き物たち」に掲載してあるのですが、随分感じが違います。ここに掲載した写真では、鞘翅の表面に微細な毛でも生えているのか、名前の通りビロウド的な質感があり、鞘翅上の凹凸による縦筋は余り明確ではありません。しかし、「我が家の庭・・・」に載せた写真では、鞘翅にはあまりビロウド的な感じがしない代わりに、縦筋の方はハッキリしています。また、頭楯の点刻はここの写真では非常に際立っていますが、「我が家の庭・・・」の方ではあまり目立ちません。更に、体色も「我が家の庭・・・」では、赤味が非常に強くなっています。
_080912_050
ナツツバキから逃げてイネ科の葉にしがみついたビロウドコガネ
上の写真と色調が異なるが、これ以上の修正は不可能
(2008/09/12)

 こうなると、私の様な素人には、もうお手上げです。本当は別種なのか、或いは、同一種内の個体変異なのか、雌雄の差なのか、個体の鮮度の違いなのか、撮影条件の違いによる見え方の差なのか・・・、一寸判断は無理な様です。Internetで検索してみてもこの両者が見られます。思うに、「我が家の庭・・・」よりも、こちらの方がビロウド的な質感がありますから、ここでは一応ビロウドコガネとしておきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 6日 (木)

ホシホウジャクの幼虫(5齢=終齢)

 ホシホウジャクの幼虫は一昨年に紹介しましたが、写真はたったの1枚で、しかも、体の一部が隠れた写真でした。そこで今日は、ホシホウジャク(Macroglossum pyrrhosticta)の終齢(5齢)幼虫の詳細を沢山の写真で紹介し直すことにします。
 一昨年撮影したのと同じく、6丁目のある空地の柵に絡んでいるヘクソカズラに居た個体です。もう2ヶ月も前のことですが、つい最近まで同じ場所に別の個体が居ましたから、そう時季遅れと言う訳でもありません。
 なお、ホシホウジャクはスズメガ科ホウジャク亜科に属します。成虫の方も、近くのサザンカの垣根で撮った写真を近日中に再掲載する予定です。

_l5_080902_038
ホシホウジャクの終齢幼虫.緑色型.良く太っており蛹化が近い
隠れていたのをこの場所に移動して貰ったので、些か緊張気味
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/02)

 幼虫の探し方は、先日「コエビガラスズメの幼虫」の所で書いたのと同じです。ヘクソカズラの絡んだ柵の下に新しい糞が落ちていれば、まずホシホウジャクの幼虫が居ます。
 先日紹介したホシヒメホウジャクもヘクソカズラを食草とし、この辺りにも少しは居るヒメクロホウジャクもヘクソカズラを食べることがあるそうですが、残念ながら、それらの幼虫は見たことがありません。ヒメクロホウジャクは兎も角、ホシヒメホウジャクの成虫はかなりの数居るので、幼虫を見付ける機会もあって良い筈ですが、未だに見ていないのは些か不可解です。
_l5_080902_081
少し時間が経って緊張が解れつつあるところ
(2008/09/02)

 写真の個体は、始めはヘクソカズラの蔓の中に頭を突っ込んで隠れていました。しかし、それでは写真が撮れないので、もう少し撮り易い所に移動して貰いました。最初の写真で、些か体を突っ張っているのは、そのせいです。
 ホシホウジャクの幼虫には、緑色型と褐色型があります。写真の幼虫は、見てお分かりの通り、緑色型です。ホシホウジャクの幼虫は、今までかなりの数見ていますが、全て緑色型で、褐色型はまだ見たことがありません。
_l5_080902_053
背側から見た図.頭の幅が小さい(2008/09/02)

 ホシホウジャクの幼虫は頭が非常に小さく、写真の様な老熟に近い終齢幼虫の場合、頭の幅は体の幅の1/4位しかありません。ホシヒメホウジャクの幼虫は、もう少し頭が大きい様です。
_l5_080902_066a
真っ正面からみたホシホウジャクの終齢幼虫
頭が小さい(2008/09/02)

 背側から撮った頭部の写真(下)を見ると、頭頂に4本の縦筋があるのが分かります。ホシホウジャクの幼虫は頭が少し上向きになっており、本来ならばこの面は正面からでないと見え難い部分です。普通の鱗翅目の幼虫では、もう少し頭が下向きになっています。
_l5_080902_050
背側から見た頭部.4本の縦筋がある.両側にある粒々は単眼
(2008/09/02)

 下の写真は、少し緊張が解けて、頭を下に向けたところです。頭部の構造については、「セスジスズメの幼虫」或いは「ナミアゲハの幼虫」を参照して下さい。
_l5_080902_062
少し上側から見た頭部.頭部の構造は複雑
(2008/09/02)

 ホシホウジャク幼虫の尾角(下)は真っ直ぐで余り長くなく、やや太めで先細り、全体に棘(顆粒)があります。配色は一寸ややこしくなっています。基部寄り半分の背側は紫色を帯びており、先端寄り半分は全体黄色です。しかし、棘は、特に基部寄りで、黒っぽい色を帯びています。褐色型でも、やはり尾角の先端部は黄色で、基部寄りは紫を帯びるそうです。
 因みに、ホシヒメホウジャク幼虫の尾角は非常に長く、特に若齢幼虫では、体長の1/2位の長さがあります。
_l5_080902_040
ホシホウジャクの尾角.複雑な配色.写真上側に見える
橙色の構造は気門(2008/09/02)

 尾角の写真の上部に、少しボケていますが、楕円形をした橙色で両端が白い構造が写っています。これは第8複節の気門です。褐色型でも、この気門の色は変わりません。気門の色は幼虫の種類を見分けるのに重要な指標になります。
_l5_080902_076
真横から見た頭部と胸部.胸脚の色も尾角に劣らず複雑な配色
頭部に6個の単眼が見える(2008/09/02)

 幼虫の頭部、胸部を横から見てみました。胸脚も尾角に劣らず、ややこしい配色になっています。腿節の側面は黒く、先の方は上面(側面)が赤で反対側は黄色です。なお、複脚の拡大写真はありませんが、最初に示した全身の写真を良く見ると、基部の周囲は黒色で、先端部は赤く、その中間は黄色を帯びているのが分かります。
 この写真では、頭頂の下側(写真では前方)に6個の単眼があるのが良く見えます(写真をクリックして拡大してみて下さい)。単眼6個が全て良く見える写真は、何故か、中々撮れません。
_l5_080902_100
緊張が解れて歩き始めたホシホウジャクの終齢幼虫
(2008/09/02)

 最後の写真は、緊張が解けて、ヘクソカズラの茎を歩き始めたところです。
 この芋虫君には、しっかりモデルになって貰いました。数日後には、新しい糞が落ちていなかったところをみると、どうやら蛹化した様です(捕食者にやられた可能性もありますが・・・)。
 保育社の図鑑に拠れば、終齢幼虫は11月まで居ることもあるそうです。この芋虫君も、或いは、蛹化後に羽化して、今頃、その子孫がヘクソカズラの茂みの中に潜んでいるかも知れません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年11月 3日 (月)

ヒラタヤドリバエ亜科の1種(Euthera tuckeri

 今日は一寸珍しいかも知れない虫を紹介します。ヤドリバエ科ヒラタヤドリバエ(ヒラタハナバエ)亜科のEuthera tuckeriです。和名はまだありません。
 普通、ヤドリバエ科の種の検索はごく一部の専門家以外には無理なのですが、翅に特徴的な模様があるのでこのハエであると判断しました。九州大学の目録を見ると、Euthera属にはこのtuckeri1種しかありませんので、まず間違いないでしょう。体長は、6mm弱です。

Euthera_080912_050
Euthera tuckeri.ヤドリバエ科ヒラタヤドリバエ亜科に属す
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/09/12)

 ミバエ科やヒロクチバエ科には模様のある翅を持つ種類が沢山います。ヤドリバエ科には、色の付いた翅を持つものはかなり居るようですが(以前紹介したアシナガヤドリバエの1種(Phyllomya sp.も黒っぽい翅をしています)、この様なハッキリした模様を持つのは珍しいと思います。
 この白黒の翅は結構目立ちます。遠くから見ても普通のハエではないことは直ぐに分かりました。
Euthera_080912_021
横から見ると上胸弁と思われる構造が目立つ
触角が長く、眼は宇宙人?の様
(2008/09/12)

 このEuthera tuckeriは、他にも普通のヤドリバエと違ったところがあります。例えば、翅の付根近く、小楯板の左右に真っ黒な三角形の突起があります。この突起、板状をしており、胸弁(覆弁、鱗弁)と基部で繋がっているので、所謂上胸弁(前胸弁、端覆弁)と呼ばれる構造だと思います。どんな役目があるのか知りませんが、ジェット機やスポーツカーに付いている安定翼?の様な感じです。
Euthera_080912_042
真横から見たEuthera tuckeri.腹部に顕著な剛毛を欠く
(2008/09/12)

 また、眼も、背側から見るとそれ程でもないですが、側面から見ると変な形をしています。丸くなく細型で、漫画に出て来る「宇宙人の目」の様な感じです。
 触角も、ヤドリハエとしてはかなり長い触角を持っています。特に第3節が長く、第1節と第2節を合わせた分よりも長く見えます。
 なお、ヤドリバエと言うと以前紹介したヨコジマオオハリバエの様な長い剛毛を持つハエを想像しますが、ヒラタヤドリバエ亜科のハエの腹部には顕著な剛毛はありません。
Euthera_080912_028
Euthera tuckeriの顔.触角の下に正中線に沿った黒い筋がある
(2008/09/12)

 撮影したのは、四丁目の「三ツ池緑地」です。写真でお分かりの通り、イネ科の雑草(多分メヒシバ)の先っぽに下向きに留まってしました。こう言う柔らかい雑草の穂先に留まった虫と言うのは、撮り難いものです。等倍接写をする程度に近づくと、どうしても草の根元にある程度の力が加わり、草が動いて逃げられてしまうことが多いのです。しかし、このハエ、余り逃げる気が無かったらしく、温和しくカメラに収まりました。
Euthera_080912_032
斜め横から見た図.体が少し明るくなる様に現像してある
(2008/09/12)

 ヒラタヤドリバエ亜科のハエは、カメムシ類に内部寄生します。ノースダコタ州立大学のホームページ内にある「Diptera Parasitoid Records(双翅目捕食寄生目録)」を見ると、このEuthera tuckeriの宿主として、Acrosternum gramineum(この属は日本には記録はないが、アオカメムシの仲間)、Dolycoris indicusブチヒゲカメムシの仲間)、Eysarcoris ventralis(シラホシカメムシ)、Piezodorus hybneri(イチモンジカメムシ)の4種が挙げられています。
 シラホシカメムシは体長6mm前後のかなり小さなカメムシです。この写真のヤドリバエ(Euthera tuckeri)の体長は約6mmですから、宿主はもう少し大きい筈です。恐らく、シラホシカメムシに寄生した場合はもっと小型にしかならないのだと思います。
Euthera_080912_046
オマケにもう1枚(2008/09/12)

 Internetで検索してみると、このヤドリバエの写真は余り見つかりませんでした。そこで、同じ様な写真ですが、少し大目に貼り付けておきました。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2008年10月 | トップページ | 2008年12月 »