ヨモギエダシャクの幼虫(終齢)
最近は芋虫・毛虫の検索で来訪される方が多い様です。そこで今日は、シャクガ科エダシャク亜科に属すヨモギエダシャク(本州以南亜種:Ascotis selenaria cretacea)の終齢幼虫を紹介します。
シャクガの幼虫ですから、所謂シャクトリムシです。多くのシャクトリムシの体長は40mm程度ですが、このヨモギエダシャクの終齢幼虫は大きく、6cm近くもあります。
![]() 斜め上から見たヨモギエダシャクの終齢幼虫.左が頭、以下同じ 緑色型だが実際は緑(所々青)を帯びた白色 頭から1/3位の所に一見棘状の暗色斑がある (クリックで拡大表示、以下同じ) (2008/10/02) |
居たのは七丁目の家庭菜園(第1ファミリー農園)です。写真を見てお分かりの通りシソの茎にしがみ付いていました。
ヨモギエダシャクは、名前は「ヨモギ」ですが、先日のクサギカメムシ(終齢幼虫)と同じく、名前と無関係に実に広範な植物を食草とします。キク科、バラ科、マメ科、ミカン科、ツバキ科、セリ科、ナス科その他の草本、木本が食草として挙げられています。我が家の庭でも、毎年フジかハギの木に居るのを見かけます。
![]() 真上から見たヨモギエダシャクの終齢幼虫.体に散在する黒点は 刺毛の基部にある疣起の影.体長は6cm弱 (2008/10/02) |
ヨモギエダシャクには緑色型、淡褐色型、暗褐色型があり、写真の個体は緑色型です。「緑色型」と言っても、淡緑色と言うべきか、殆ど白色に近い色をしており、頭部だけはやや黄色を帯びています。
![]() 真横から見た図.第6腹節の後部にだけ腹脚がある (2008/10/02) |
以前にも書きましたが、一般に鱗翅目(蝶、蛾)の幼虫は、胸部に3対の鉤状の胸脚、第3腹節から第6腹節に吸盤と微小な鉤爪からなる腹脚が4対、更にお尻のところ(第10腹節)に1対の尾脚を持ちます。
シャクガ科幼虫では、第3腹節から第5腹節にある筈の3対の腹脚が退化して、第6腹節の腹脚と第10腹節の尾脚だけになっていることが多く、典型的なシャクトリムシの形になります。第4、第5腹節に腹脚をもつ種もありますが、著しく退化しており、殆ど役には立っていない様です。
![]() 横から見た第2腹節.楕円形の輪は気門.大きな疣起は 黄~赤味を帯びる.背中にある黒斑の一部は少し盛り上がっている (2008/10/02) |
ヨモギエダシャクの幼虫では、背から側面に散在する刺毛の基部に丸い隆起(疣起:ゆうき)があります。緑色型では、この疣起の多くは黄色をしています。第2腹節の背側にある刺毛(D1)基部にあるものが一番大きく、第8腹節(最後の気門がある節)のD1疣起がこれに次ぎます。第2腹節の疣起は少し赤味を帯びています。
保育社の幼虫図鑑に拠れば、淡褐色型では第2腹節のD1疣起は橙赤色で周囲を黒色に囲まれ、暗褐色型では赤褐色になりやはり黒色に縁取られるそうです。
![]() 上の部分を真上から見た図 (2008/10/02) |
色々なサイトを参照すると、この第2腹節の疣起の大きさにはかなり個体変異があり、写真の個体のはかなり小さい方に属す様です。個体によっては、大きな疣起の下が更に膨らんでいる場合もあります。
![]() ヨモギエダシャク終齢幼虫の頭部と胸部.頭は黄色味を帯びる 触角と胸脚は黄褐色.丸い紋は気門.胸部の気門は前胸 (第1胸節)のみ.頭頂の下側にある5個の丸い黒斑は単眼 その前方下側にもう1つある (2008/10/02) |
この第2腹節のD1疣起の前方に、前に向かって細くなる暗色斑があります。この部分は少し周囲より盛り上がっており、肉眼で見たときは、もう夕方で暗くなってきたせいもありますが、何か角か大きな棘があるのかと思いました。
他のサイトの写真を参照すると、この暗色斑にも相当な個体変異があります。中には、殆ど認められない場合もある様です。
![]() 斜めから見たヨモギエダシャク終齢幼虫の頭部と胸部 (2008/10/02) |
例によって、シャクトリムシ君の顔写真を載せておきます。頭部の構造は、先日紹介したフタトガリコヤガの終齢幼虫と基本的に変わるところはありません。頭頂にブツブツ(顆粒)が散在している点も同じです。頭部の構造については「セスジスズメの幼虫(終齢)」で詳しく説明しましたので、そちらを御覧下されば幸いです。
![]() ヨモギエダシャク終齢幼虫の顔.頭頂に粒々が散在する 構造はフタトガリコヤガの幼虫と基本的に同じ (2008/10/02) |
秋に見られるヨモギエダシャクの幼虫は、老熟すると土中に入って蛹となり、そのまま越冬して、5月に羽化するそうです。成虫は白黒を基調とした斑模様で細かい横筋が入っています。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」には35枚を超える写真が載っていますので、成虫画像はそちらを御覧下さい。
(なお、本Weblogでは責任を持てるサイト以外へのリンクは張りません。知らない間に変更になっている場合があるからです。サイトの題名で検索すればURLが変更されていても多くの場合は見つかるでしょう)
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