« キオビツチバチ | トップページ | クモヘリカメムシ »

2008年9月22日 (月)

セスジスズメの幼虫(終齢)

 今日は久しぶりに芋虫君を紹介します。セスジスズメの幼虫、体の両側に目玉模様が並んだ芋虫として、比較的良く知られている様です。
 これも、七丁目の家庭菜園に行く途中にある六丁目の空地で見付けました。ヤブガラシの葉を食べていましたが、調べてみると、ブドウ科(ヤブガラシ、ブドウ、ノブドウ)の他にも、ホウセンカ、サトイモ、サツマイモ等、かなり色々な植物の葉を食べる様です。

_l5_080820_003
セスジスズメの終齢幼虫.左側が頭、右端に尾角が見える
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/08/20)

 終齢幼虫で、体長は8~9cm程度です。写真の幼虫は黒を基調にしており、この様な色調が最も普通ですが、図鑑によれば、時に緑色、緑褐色、暗褐色などを地色とするものも有るとのことです。
_l5_080820_033
横から撮ったセスジスズメの終齢幼虫.今度は右が頭(2008/08/20)

 同じホウジャク亜科の近縁種、ベニスズメの幼虫も似たような模様をしていますが、目玉は2対しか有りません。また、セスジスズメの尾角(お尻にある角)は下の写真の様にピンと張って長いのに対し、ベニスズメでは短く、下側に湾曲しているのが普通です。
_l5_080820_010
セスジスズメの尾角.ピンと張って細長い
先端は白く基部に黄色の部分がある
(2008/08/20)

 先日、紹介したキイロスズメもホウジャク亜科に属します。見た感じは随分違いますが、頭部が胴体の幅よりずっと小さい点では共通しています。
 今日は少しややこしい形態の話をすることにします。下の写真で、白~黄色の紋が無く、艶も無い部分が頭部です。一見複眼の様に見えるのが左右の頭頂で、その間の縫合線を中縫線と言います。その先に鋭角の三角の部分がありますが、これが前頭、その周りの頭頂との間にある少し色の濃く見える部分が副前頭で、これは若齢幼虫には有りません。その先の黄色い部分は頭楯です。
 頭部に続いて、前胸、中胸、後胸があり、その各節に胸脚(桃色をしている)が一対ずつ付いています。写真では後胸以下は見えませんが、更にその次が腹節で、そこから目玉模様が始まります。なお、頭頂の直ぐ後、前胸の上部に、少し不明瞭ですが、楕円形の部分があります。これを前胸硬皮板と呼びます。その少し腹側、黒と白との境目にある小さな丸い紋は気門です。気門は腹節では第1節から第8節まで各節に1対ずつつ有りますが、胸部では前胸に1対あるだけです。
_l5_080820_004
セスジスズメ終齢幼虫の頭部と胸部(背側から)
(2008/08/20)

 眼は何処にあるかと言うと、頭頂の左右端に単眼が6個ずつ有ります。成虫は複眼を持ちますが、幼虫には単眼しか有りません。下の写真では一寸分かり難いですが、頭頂(艶のない部分)の下側、黄色い突起の様なものの付け根にある、小さな丸い粒々がそれです。
 この黄色い突起の様なものは、実は幼虫の触角なのです。成虫の触角は長くて上方を向いていますが、幼虫のは短く下を向いています。多分、専ら食物を識別するのに用いられているのでしょう。
_l5_080820_007
セスジスズメ終齢幼虫の頭部と胸部(横から)
(2008/08/20)

 次(下の写真:写真をクリックして拡大して見てください)は、お食事中の芋虫君の頭部です。何やら矢鱈に複雑で一寸戸惑いますが、北隆館の「日本幼虫圖鑑」と保育社の「原色日本蛾類図鑑上巻」を参照して何とか分りました。なお、上の写真では不明瞭であった単眼がかなりハッキリと見えます。
 艶のない頭頂の先に黄色い頭楯が見えますが、その先の黒い部分が上唇です。触角(基部が黄色の突起)の裏側に見える大きな真っ黒い部分が上顋(大腮)で、これに歯が付いており、葉っぱを噛み砕きます。
 その下側に見える、白と黄色の先に触角の様なものが付いた大きな構造は下顋(小腮)です。これも左右に1対あります。その先端にある触角の様のに見えるのは下顋鬚(小腮鬚)です。
_l5_080820_014
セスジスズメ終齢幼虫の頭部(食事中)
(2008/08/20)

 その下は下唇で、これは体軸に沿って1つだけあります。その先端に吐糸管があるのですが、下に向いた淡色の突起がそれに相当するのか、一寸分かりません。
 随分ややこしい話になりました。しかし、この種の話は余り掲載されていない様なので、一寸無理をしてみた次第です。
_l_070923_0
セスジスズメの若齢幼虫(2007/09/23)

 最後に、昨年の秋に撮ったセスジスズメの若齢幼虫の写真を出しておきます。長さは2cm位だったと記憶しています。若齢幼虫は、この様に、大きくなった幼虫とは全然違う色と模様をしています。
 この芋虫、良く見ると胸脚は全て宙に浮いており、尾脚(一番後にある腹脚)で草に掴まっているだけの様です。実際、この1枚を撮った後で、直ぐに草むらに落下したので見失ってしまいました。若齢幼虫が行う護身の一法かと思っていましたが、終齢幼虫の方も、撮影する為にヤブガラシの蔓を持って色々角度を変えている間に、一回下に落ちました。或いは、セスジスズメの幼虫は、ゾウムシの様に、落下して身を隠す「隠遁の術」を心得ているのかも知れません。

|

« キオビツチバチ | トップページ | クモヘリカメムシ »

昆虫-5」カテゴリの記事

昆虫(毛虫、芋虫)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/156274/23931986

この記事へのトラックバック一覧です: セスジスズメの幼虫(終齢):

« キオビツチバチ | トップページ | クモヘリカメムシ »