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2008年8月の18件の記事

2008年8月30日 (土)

ヨコジマオオハリバエ(その2)

 今日はヤドリバエの1種、ヨコジマオオハリバエを紹介します。ヨコジマオオハリバエは既に掲載済みなのですが、その時は、露出不足を無理に増感し、また、近づけなくて少し遠くから撮ったものをトリミングで何とか誤魔化した為、写真が余り良くありません。今回は目の前で撮りましたから、迫力が一寸違います。
 惜しむらくは、些か古い個体で翅が傷んでいます。しかし、ヨコジマオオハリバエにこれだけ近づける機会は余りないと思いますので、何卒御容赦下さい。

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ヨコジマオオハリバエ.体長は約2cmで非常に大きい
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/10)

 ヨコジマオオハリバエは体長が2cm近くあり、日本のヤドリバエ科の中では最大級の大きさです。しかも、長さだけでなく幅があります。飛ぶときは、大型のハナアブの様にかなり大きな羽音を立てます。
 ヤドリバエ科のハエには、長い剛毛が沢山ありますが、このヨコジマオオハリバエは、体が大きいせいもあり、特に剛毛が目立ちます。触ったら刺さるのではないかと思えるほど固そうに見えます。「ハリバエ」は、多分「針蠅」なのでしょう。
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ヤマアラシの棘の様な剛毛が素晴らしい(2008/07/10)

 ヤドリバエ科のハエは基本的に捕食寄生性で、多くは鱗翅目(チョウ、ガ)や鞘翅目(甲虫)その他に内部寄生します。しかし、色々調べても、このヨコジマオオハリバエが何に寄生するのか分かりませんでした。これだけ大きなヤドリバエですから、宿主も相当に大型であることは間違い無いでしょう。スズメガの幼虫にでも寄生するのでしょうか。
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翅脈はクロバエ科やニクバエ科とよく似ている(2008/07/10)

 ヤドリバエ科はクロバエ科(オオクロバエ、キンバエ等の「汚いハエ」やツマグロキンバエなど)、ニクバエ科(卵胎生の「汚いハエ」)に近縁で、体の形ばかりでなく、翅脈も互いに非常によく似ています。腐肉や糞便で育つのと、内部寄生では随分違う様に思えるかも知れませんが、消化液を体外に出して溶けたものを吸収すると言う点では同じですから、摂食に関しては大した違いではないのです。
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小楯板の下に後小楯板が見える.翅の付け根にある白いものは胸弁(2008/07/10)

 ヤドリバエ科がクロバエ科やニクバエ科と形態的に大きく異なる点は、小楯板(胸の後にある略三角形の部分)の下にある後小楯板が非常に大きいことです。小楯板を超えて突出することもあります。しかし、これは中々普通に撮った写真では確認できません。上の写真は、その後小楯板が分かる様に後側から撮ってあります。小楯板から長い剛毛が2対後方に出ていますが、その下に一寸だけベロの様に見えているのが後小楯板です。
 なお、後小楯板が大きいのは、ヤドリバエ科だけでなく、近縁のヒラタヤドリバエ科、アシナガヤドリバエ科でも同じです。
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ヨコジマオオハリバエの頭胸部.口の辺りが変(2008/07/10)

 ヤドリバエ類の顔を見ると、触角の付け根より下側の部分が妙な具合になっています。顔の部分だけを下に示しました。口の部分が外れてしまった様な格好になっています。口は実際はその下側にあるのですが、一体この部分はどうなっているのでしょうか。双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」で問い合わせてみましたが、残念ながら、未だに応答がありません。
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ヨコジマオオハリバエの顔写真.口の部分が外れた様な感じ(2008/07/10)

 なお、撮影場所は「三ツ池緑地」です。以前掲載した写真は三丁目の崖下にあるヤブで撮りましたが、先日「三丁目緑地」でもこのヨコジマオオハリバエを見かけました。まだ、国分寺崖線にはかなり居る様です。
 これで7月に「三ツ池緑地」で撮影した虫は全部掲載し終わりました。今後は、七丁目の家庭菜園で撮った虫と、家の外では撮る気にならない我が家の庭に居る「普通種」を紹介することになります。

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2008年8月28日 (木)

ヒメハナバチの1種

 以前にも書きましたが、私は虫の中ではハチが一番好きなのです。しかし、種類が分からなかったり、良い写真が撮れなかったりして、中々紹介する機会が有りません。今回のハチも今一つ種類が分からないのですが、何とも愛らしいので掲載することにしました。
 ミツバチ上科(Apoidea:ハナバチ上科とも呼ぶ)の1種であることは確かですが、その先が分かりませんでした。一見したところ、ヒメハナバチ科と思ったのですが、腹に花粉を沢山付けているので、ハキリバチ科の様にも思えました。

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ハルジオンに訪花したヒメハナバチの1種
下側の翅の影響で、前翅第3肘室が
2つに分かれている様に見える
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 「三ツ池緑地」のハルジオンに訪花していました。体長は12mm程度だったと思います。前述の様に、腹部の下側に花粉を付けているので、ハキリバチ科と思ったのですが、翅脈を見るとやはりヒメハナバチ科(Andrenidae)の1種の様です。
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腹部裏面に花粉が沢山付いている(2008/07/05)

 ハチ類は斜め前から撮ると可愛く写りますが、正面から撮るとかなり恐い顔になる種類が多い様です。しかし、このヒメハナバチは正面から撮っても、中々愛らしい顔をしています。
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ハチは斜め前から見るのが一番愛らしい(2008/07/05)

 恐く見えないのは、顔面に毛が沢山生えているからでしょう。しかし、ハチの検索は外骨格の構造に拠ることが多く、この様に毛が生えているとその下の外骨格が見えず、検索表を追えなくなってしまいます。
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正面から見ても可愛い(2008/07/05)

 また、検索では脚の符節の先にある爪の構造が問題になることも屡々あります。しかし、これは極く小さい構造ですし、写っていなかったり、焦点外になっていたり、或いは、花粉にまみれていたりして、多くの場合よく見えません。
 ハチ類の検索を写真から行おうとすると、この様な問題が色々出て来て、大概は行き詰まってしまいます。困ったものです。
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可愛いので、オマケにもう1枚(2008/07/05)

 このところ気温の低い日が続いて、何となく秋めいて来ました。我が家では、デュランタ・タカラズカやキク科の花が咲き始め、色々な虫達もそれにつられてやって来ます。珍しい虫ではなく、ヤマトシジミやキチョウなどの超普通種ですが、この様な普通種は外に出た時には撮る気がしません。それよりも、我が家には居ない「珍しい」虫を優先してしまうからです。
 結果として、このWeblogに超普通種が登場しないことになってしまいます。しかし、それでは「成城の動植物」を万遍なく紹介していることにはなりません。我が家で撮った写真は、もう1つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」で紹介するのが基本ですが、この様な普通種は「我が家の庭・・・」ではもう掲載済みですし、これからは我が家で撮ったものでもこちらの方で紹介して行きたいと思います。

追記:この頁は始め「ハキリバチの1種」としていましたが、lago氏より以下のコメントを賜りました。

 ハキリバチの一種と断言されていますが、ハキリバチではないと思います。各地に極普通に見られる2化性のヒメハナバチの一種の雄に非常によく似ています。翅脈もハキリバチのものではないようです。腹部の下側に花粉を付けている=ハキリバチではありません。写真の状態は腹部の下側に花粉を「付けている」のではなく、「付いている」状態だと思います。
 先日購入した「Borror and Delongs's Introduction to the Study of Insects」に詳細な検索表と翅脈の図が載っており、この本で調べた結果、御指摘の通りこれはヒメハナバチ科(Andrenidae)のヒメハナバチ亜科(Andreninae)のハチであることが判明しました。これに伴い、表題以下を適切に書き改めました。
 ハナバチ類の翅脈に関して重大な勘違いをしていたことに気が付きました。lago氏には、貴重な御指摘を賜りましたこと、この場を借りて厚く御礼申し上げます(2009/02/04)。

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2008年8月27日 (水)

セスジナガキマワリ

 先日、トビイロクチキムシの記事で、別の虫に気を取られている間に逃げられたと書きましたが、その気を取られた虫が今日紹介するセスジナガキマワリです。
 トビイロクチキと同じく、「七丁目緑地」に生えているケヤキの樹皮下に居ました。

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セスジナガキマワリ.ケヤキの樹皮下に居た
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/20)

 先日のトビイロクチキムシはクチキムシ科ですが、このセスジナガキマワリは名前の通りキマワリの仲間でゴミムシダマシ科に属します。どうもこの手合いは苦手なのですが、ゴミムシダマシ科はその中でも特に苦手な方に属します。
 多くの昆虫は、例えば、コメツキムシ科ならコメツキムシらしい格好をしていますし、カミキリムシなら長い触角を持っている様に、一つの科にはその科独特の形があり、直ぐにそれだと分かります。勿論、1つの科に何通りかの形がある場合もありますが、このゴミムシダマシ科には、外見的な統一がまるで有りません。オサムシの様な格好をしたのもいれば、テントウやシデムシみたいな連中も居ますし、シバンムシと間違える様なのも居ます。まるで、○○○モドキ、×××ダマシの百貨店の様な科です。
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キマワリの仲間は背中に毛が無く、鞘翅に特徴的な凹凸がある
(2008/07/20)

 しかし、ゴミムシダマシ科とは言いながら、ゴミムシそっくりの虫は見当たりません。
 敢えて言えば、ゴミムシダマシ亜科、ヒサゴゴミムシダマシ亜科、キマワリ亜科、ナガキマワリ亜科などが、比較的ゴミムシ的と言えるかも知れません。このセスジナガキマワリは、名前でお分かりの通り、ナガキマワリ亜科に属し、只のキマワリとはかなり形が異なります。しかし、キマワリにせよ、このセスジにせよ、ゴミムシに似ているとは余り思えません。
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前からみたセスジナガキマワリ.何とも奇妙な顔
(2008/07/20)

 Internetでセスジナガキマワリを検索すると、一番上の写真の様に、体を少し右か左に曲げ、顔は下向きで口を下にくっ付けていることが多い様です。何をしているのか良く分かりませんが、前から撮ると、何とも奇妙な顔をしています。
 食性については、雑食性と書いてあるサイトもあります。しかし、手元の図鑑には何も書かれていません。下の写真に見える泥の様なものは、樹皮の間に挟まっていたものですが、口は付けていても何かを食べている様には全く見えませんでした。
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樹皮間の泥の様なものに口を付けているが
何かを食べている様には見えなかった
(2008/07/20)

 実はこれまで、余り樹皮下の虫を調べたことがありません。と言うのは、所属の良く分からない「苦手な虫」が色々出て来るからです。しかし、今回その気になって調べてみたら、多少時間はかかりましたが、何とか種類を判別することが出来ました。樹皮下の虫も、勿論「成城の動植物」です。今後、機会があれば出来るだけ紹介したいと思います。

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2008年8月24日 (日)

キイロスズメの幼虫(終齢)

 今日は久しぶりに芋虫を紹介します。七丁目の家庭菜園に居たキイロスズメの終齢幼虫です。
 スズメガ類の幼虫は、みなお尻に角を持っています。角は普通は頭にあるものなので、こちらが頭だと勘違いする人も居る様ですが、尾っぽにあるので尾角と言います。しかし、何の為にあるのかは良く分かっていない様です。

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キイロスズメの終齢幼虫.警戒して反り返っている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/22)

 蛾類の幼虫は、色彩に何通りかある場合が多く、このキイロスズメにも緑色型と褐色型があります。写真の幼虫は勿論緑色型ですが、褐色型は全く別種の様な色彩と配色をしています。
 幼虫の体色に違いがあっても、尾角の色は変わらない場合が多いのだそうです。また、尾角の先端はそれ以外の部分とは色の異なることが多く、このキイロスズメの幼虫も先っぽはやや黒っぽくなっています。スズメガ類幼虫の識別には尾角を良く見ることも大切です。
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少し落ち着いて真っ直ぐに近くなった(2008/07/22)

 キイロスズメはスズメガ科コスズメ亜科に属し、その幼虫はオオスカシバ類を除くホウジャク亜科と似て頭部が小型です。その他のスズメガ科の幼虫は、胴体と余り変わらない程の大きな頭を持っています。
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キイロスズメ終齢幼虫の頭部.胴体に比して非常に小さい(2008/07/22)

 鱗翅目幼虫の頭部の構造は蛾でも蝶でも基本的に同じです。別のWeblogでナミアゲハ幼虫の頭部の詳細を紹介していますが、このキイロスズメ幼虫の頭と殆ど同じです。
 頭の大部分を占める一見複眼の様な形をした部分は頭頂と呼ばれ眼ではありません。鱗翅目の幼虫には複眼は無く、下の写真で頭頂の左部分にある小さな粒々が眼です。単眼で左右に6個づつあります。写真では5個しか見えませんが、その次の真横から見た写真と合わせると、全部で6個あることが分かります。
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キイロスズメ幼虫の頭部(2008/07/22)

 キイロスズメの幼虫の食草はヤマノイモ科の植物です。家庭菜園では、誰かが栽培しているヤマノイモ類の葉っぱを食べていました。体長は8~9cm位あり、こんな大きな芋虫に葉っぱを食べられては、ヤマノイモは瞬く間に丸坊主になってしまいます。
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真横から見たキイロスズメの頭部(2008/07/22)

 その後、このキイロスズメの幼虫がどうなったか少し気掛かりです。色が白っぽいので、濃い緑色をしたヤマノイモの葉の中ではかなり目立ちます。退治された可能性もありますが、もうかなり大きいので、その前に土に潜って蛹になってしまったかも知れません。

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2008年8月23日 (土)

ウスカワマイマイ

 今日は一寸サボって、この5月に「四丁目緑地」で撮影したカタツムリを紹介します。何がサボリかと言うと、写真の枚数が少ないのです。
 オナジマイマイ科のウスカワマイマイ、同じくオナジマイマイ科に属すミスジマイマイ等のでんでん虫とは違って、殻高のあるカタツムリです。また、多くのカタツムリとは異なり、殻の巻く方向に筋が全く無く、全体が斑模様になっています。

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ウスカワマイマイ.殻径約2cm、殻高がある
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/22)

 大きさは直径(殻径)2cm位、殻の背が高くてこんなに大きなカタツムリは昔は居なかった様に思いますが、調べてみると、外来種でもなく、特に最近分布を拡大したと言う訳でもない様です。
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殻の巻く方向に筋が無く全体的に斑模様(2008/05/22)

 ウスカワマイマイは乾燥に強く、人工的環境を好むそうで、森林中には棲息しないと言われています。見付けたのは、先日掲載したヨコヅナサシガメが居たケヤキの樹です。周りには大きな樹もなく、公園の中に1本だけ植わっていますから、かなり乾燥した場所だと言えます。
 最近になって目に付く様になったのは、或いは、大きな樹の植わった御屋敷が殆ど無くなり、町全体が以前より乾燥して来たのかも知れません。
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ウスカワ(薄皮)マイマイと言う位で殻は脆弱
殻の欠けた跡が見える(2008/05/22)

 昨日、「四丁目緑地」に偵察に行ったところ、草が全部キレイに刈られていました。そこで「三丁目緑地」はどうかと思い行ってみると、丁度中段にある空地の草を草刈り機で刈っているところでした。虫の写真はまだかなり手持ちがありますが、9月は虫探しに苦労するかも知れません。  

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2008年8月22日 (金)

ヒルガオトリバ

 今日はトリバガ科の1種を紹介します。トリバガとは「鳥羽蛾」の意で、翅が前翅後翅の2片ではなく、前翅は普通2本、後翅は3本の羽毛状の枝に分かれている変わり種です。以前紹介したアヤニジュウシトリバ(ニジュウシトリバガ科)に近い仲間で、ニジュウシトリバの場合は各翅が6本に分かれ、左右の前翅後翅で合計24本になるのでその名があります。
 九州大学の目録には56種が載っていますが、この辺り(東京都世田谷区)にも少なくとも数種類以上が居る様です。しかし、何分にも留まるときには写真の様に翅を極端に畳んでしまうので、種類の判別が中々困難です。この写真も、どうせ種類が分からないだろうと思い、没にする予定だったのですが、「みんなで作る日本産蛾類図鑑」その他で調べてみるとヒルガオトリバの様なので、掲載することにした次第です。

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ヒルガオトリバ.「昼顔鳥羽」の意.トリバガ科
これでも蛾である
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 しかし、何とも奇妙な形をした蛾です。このヒルガオトリバは比較的大型で、開帳が2cm前後あり、少しは蛾という感じがしますが、もっと小さいと、一見大きな蚊が留まっている様にも見えます。
 虫のことを余り御存知ない方には、これが蛾とはとても思えないらしく、虫の掲示板やWeblogなどで「不可解な虫」として登場しているのを屡々見かけます。
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留まっているところを真上から撮ったもの
ぶら下がる様に留まることが多いので背側からは撮影し難い
(2008/07/05)

 トリバガは格好は奇妙ですが、決して珍しい蛾ではなく、我が家の庭でも時々見かけます。しかし、夜行性の小さな蛾と同じで、直ぐに葉裏に逃げ込んでしまうので中々撮影の機会がありません。
 今日掲載した写真は「三ツ池緑地」で撮りましたが、偶々周囲にイネ科の雑草しかなかったので身を隠すところがなく、比較的楽に撮影することが出来ました。
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こう言う角度でトリバを撮る機会は非常に少ない(2008/07/05)

 トリバガと間違え易い名前にトガリバがあります。「鳥羽蛾」と「尖羽」ですから全然違うのですが、カタカナで書かれていると間違える可能性があります。トガリバガ類はトガリバガ科、或いは、カギバガ科トガリバガ亜科に属し、多くは開帳3cm程度の普通の蛾です。
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斜め横から見るとこんな感じ.留まっているイネ科の葉は
ほぼ垂直であったと記憶している(2008/07/05)

 蛾類の名称では、科名には「・・・ガ科」と蛾の意味を付けますが、種名には最後の「ガ」を付けません。このヒルガオトリバも名前の終わりに「ガ」が付きませんが、科名はトリバ科ではなくトリバガ科です。トガリバガ科がトガリバ科になっていたりするのを屡々見かけますが、私自身もつい書き間違えることがあります。

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2008年8月21日 (木)

ヨツスジトラカミキリ

 カミキリムシは、私が子供の頃は色々な種類が居ましたが、最近は何故か非常に少なくなりました。ゴマダラカミキリやシロスジカミキリなど、かつての超普通種ですら、この10年程、全く見たことがありません。
 このWeblogではこれまでにキクスイカミキリ1種しか紹介していませんが、超普通種を避けて掲載していないのではなく、本当に居ないのです。私の別のWeblog「我が家の庭の生き物たち」でも、カミキリはたったの2種、ルリカミキリタケトラカミキリを紹介しているだけです。
 ・・・と言う訳で、カミキリムシはこの辺りでは今や珍しい虫になっているのですが、先日、七丁目の家庭菜園に行く途中で、何と、ヨツスジトラカミキリに出合いました。

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ケヤキの葉上に居たヨツスジトラカミキリ
直ぐに1m程上にあるヤブガラシの花に飛んだ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/20)

 最初は、普通種のタケトラカミキリかと思いました。タケトラカミキリもヨツスジトラカミキリも、黄色と黒の縞模様ですが、ヨツスジトラの方が1~2回り大きく、また、体がやや太めです。他の類似のトラカミキリと比較して、各腿節が非常に太いのが特徴です。
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ヤブガラシの花上を歩くヨツスジトラ(2008/07/20)

 居たのは、6丁目に昔からある、鬱蒼と木の茂った御屋敷の垣根です。トラカミキリ類は一般に非常に敏感で、直ぐに飛んで逃げてしまうことが多いのですが、このヨツスジトラは鷹揚で、飛んでも遠くへは行かず、直ぐ近くの垣根に絡んだヤブガラシの花に留まりました。
 何分にも人様の家の垣根なので、登る訳にも行きません。ヤブガラシの蔓を持って引っ張ったり、花軸を掴んで角度を変えたりしたのですが、このヨツスジトラ、まるで逃げようとはしませんでした。
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次は別の花の下側に飛んだ(2008/07/20)

 昔からヨツスジトラカミキリがこの辺りに居たのか、どうも記憶がハッキリしません。居たかも知れませんが、少なくとも、滅多に見る種類でなかったことは確かです。
 保育社の「原色日本昆虫図鑑甲虫編」のヨツスジトラカミキリの項には「海洋気候性ともいうべきもので本土では沿海地方に限り分布し内陸深くには見られない」と書いてあります。また、「原色日本甲虫図鑑第4巻」には「西南日本の沿海地方・・・」とあり、明確ではありませんがやはり海に近い所に産する様なことが書いてあります。
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下側では写真にならないので、花をひっくり返して撮影(2008/07/20)

 この辺り(東京都世田谷区西部)は少なくとも「沿海地方」とは言えないでしょう。或いは、例によって温暖化の影響でこの辺りにも姿を見せるようになったのかも知れません。
 と言うのは、実はこの次の日に「三丁目緑地」に生えているシャクチリソバの葉上で、またヨツスジトラを見付けからです。この時はカメラを持っていなかったので写真はありません。
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ヨツスジトラと睨めっこ.中々貫禄がある(2008/07/20)

 「トラカミキリ」と言う名称は、この仲間の多くが黒と黄色のトラ模様を持つことから来ているのでしょう。タケトラカミキリなどは余り貫禄がありませんが、このヨツスジトラカミキリは正面から見ると、堂々としていて貫禄があります。一寸本物のトラみたいだとは思いませんか?
 上の写真の顔の辺りだけを部分拡大してみました。何か自信に満ちていて、立ち会い前の力士の様な威勢も感じられます。
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上の写真の部分拡大.自信に満ちた表情?(2008/07/20)

 カミキリムシは全て植食性で、中には果樹や林木に甚大な被害を与える種類もあります。ヨツスジトラも、幼虫がサクラやニセアカシア等に寄生するそうです。しかし、どうも器量の良い虫は特をする様で、カミキリムシを害虫として殺す気には中々なれません。

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2008年8月19日 (火)

アカホシカスミカメ(その2)

 カスミカメムシ科のアカホシカスミカメは昨年の秋に紹介済みですが、昨年のは1枚撮っただけで逃げられてしまい、写真が充分ではありませんでした。今年は「三ツ池緑地」でシッカリ撮ることが出来たので、再掲載する次第です。

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アカホシカスミカメ.体長は6mm程度
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/10)

 シッカリ撮ることは出来ましたが、決して沢山居た訳ではありません。「三ツ池緑地」へ3回出かけて、見たのはこの時1度だけです。この辺り(東京都世田谷区)では余り多くないのかも知れません。
 しかし、スウィーピング(Sweeping:草の上部を掬う様に捕虫網を左右に振りながら前進する採集方法)でもすれば、結構沢山採れるかも知れません。
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アカホシカスミカメ.触角が長い(2008/07/10)

 撮影したときはイネ科植物の葉上に居ましたが、「日本原色カメムシ図鑑第2巻」に拠れば、アカホシカスミカメはヤハズソウやハギなどのマメ科植物を好むそうです。尤も、同図鑑の第1巻にはイネ科植物にも寄生すると書かれています。
 何れにせよ、害虫として大きな問題になる虫では無い様です。
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触角にも毛が生えている.中脚と後脚の間に臭線の開口部が見える(2008/07/10)

 Googleで「アカホシカスミカメ」を検索すると、「もしかして: アカスジカスミカメ」と言う注意が第1行目に大きく表示されます。全く余計な御世話ですが、このよく似た名前のアカスジカスミカメは、イネホソミドリカスミカメ(アカヒゲホソミドリカスミカメ)等と並んで、イネ(斑点米をもたらす)やムギなどのイネ科食用作物の大害虫として著名な存在です。
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斜め横から見ると中々カッコイイ(2008/07/10)

 アカスジカスミカメはアカホシカスミカメとかなり良く似ていますが、やや小さく、全体的にもっと赤味が強く、触角はアカホシほど長くありません。一度見てみたいカスミカメですが、残念ながら、まだお目にかかっていません。
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触角を入れると虫体が小さくなってしまう(2008/07/10)

 以前、何処かで書きましたが、カスミカメムシと言う称呼は最近の言い方で、少し前まではメクラカメムシと呼ばれていました。この「メクラ」という言葉が付いていたのは、この仲間のカメムシが単眼を欠くことから来ているのだそうです。しかし、複眼はチャンとあるのですから、「メクラ」と呼ぶのは少しおかしいと言えます。尤も、名前が変更された主な理由は、「メクラ」が差別用語だということの様です。
 なお、カスミカメムシ科ばかりでなく、ヒラタカメムシ科、ホシカメムシ科、オオホシカメムシ科のカメムシも単眼を持ちません。
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上の写真の部分拡大.複眼間の後に単眼がない(2008/07/10)

 上と下にアカホシカスミカメの頭部を部分拡大してみました。前から見ても(上)、背側から見ても(下)複眼間の後に単眼が無いのが分かると思います。
 カメムシ類の単眼は、それがある場合には複眼間の後に2個あります。赤い色をしている場合が多い様です。単眼が分かり易く写っている写真は、もう一つのWeblog「我が家の庭の生き物たち」の「ハリカメムシ」にありますので、興味をお持ちの方はそちらを御覧下さい。
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背側から見た頭部の拡大.単眼が無い(2008/07/10)

 此処まで書いたところで、暑期訓練と称してカンカン照りの中を七丁目の家庭菜園に行って来ました。家庭菜園は「緑地」とは違い、やはり典型的な「害虫」が居ます。「三ツ池緑地」で撮影した写真も終わりに近づきました。その次は家庭菜園の「害虫」が登場することになるでしょう。

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2008年8月18日 (月)

トビイロクチキムシ

 今日はこのWeblogとしては一寸変わった虫を紹介します。「七丁目緑地」に生えているケヤキの樹皮下にいた甲虫です。
 どうもこういった連中は苦手中の苦手なのですが、どうやらトビイロクチキムシの様です。体長は8mm程度、かなり背中が盛り上がった茶色っぽい虫です。

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トビイロクチキムシ.背中に毛が生えており、胸部に艶がある
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/20)

 よく似た虫に、名前も似た様なクリイロクチキムシがあります。胸部の点刻がやや粗く光沢のあるのがトビイロで、点刻が細かくて光沢の無いのがクリイロとして間違いない様です。
 図鑑には樹葉上に見られるとありますが、地際近くの樹皮の裏にいました。
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トビイロクチキムシ.触角が長い(2008/07/20)

 実は、このトビイロクチキムシを撮影中に別の虫が現れ、其方に注意が行っている間にこのクチキムシは何処かへ行ってしまい、幾ら探してももう見つかりませんでした。今回は同じ様な写真が2枚しかないのはその為です。

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2008年8月16日 (土)

ヒメオオメカメムシ

 カメムシの再掲載が2回続きましたが、今日は新顔のカメムシです。ヒメオオメカメムシ、体長約3mmの小さなカメムシで、色は殆ど真っ黒ですから一見ルリマルノミハムシの様な感じでした。撮影場所は「三ツ池緑地」です。

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ミバエと思われる小ハエを捕食するヒメオオメカメムシ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/09)

 御覧の様に丸くてコロコロしたカメムシですが、ナガカメムシ科に属します。捕食している獲物は、翅脈から判断するとミバエの1種と思われます。「日本原色カメムシ図鑑」に拠れば、「アブラムシやダニなどの小動物を捕食する」とありますが、写真の獲物の体長は約4mmあります。
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捕食中のヒメオオメカメムシ(その2).背中に口吻を刺している(2008/07/09)

 ナガカメムシ科の多くは植食性ですが、オオメカメムシ類は捕食性が強く(植物を吸汁することもあるそうですが・・・)、捕食性カメムシとして有名なハナカメムシ類と共に、アザミウマコナジラミハダニ、アブラムシ等に対する生物農薬として研究開発が行われているとのことです。
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捕食中のヒメオオメカメムシ(その3).ハエの翅脈が見える(2008/07/09)

 Internetで検索すると、ヒメオオメカメムシの写真の多くは、地面の上を這ってところを撮ったものです。「日本原色カメムシ図鑑」にも、「海岸や河川の地表で生活」するとあります。
 花はハルジオンだったと記憶していますが、このカメムシが花の上に居るのは珍しいらしく、Internetで探しても見つかりませんでした。
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捕食中のヒメオオメカメムシ(その4)(2008/07/09)

 実は、花の上に居て小さく、しかも捕食性なので、ハナカメムシの1種だと思って沢山写真を撮ってしまいました。ハナカメムシはまだ撮ったことがないのです。家に帰って図鑑を調べて、漸くナガカメムシ科のヒメオオメカメムシと判明した次第です。しかし、このカメムシが大きな獲物を捕食し、また花の上に居るのは珍しい様なので、同じ様な写真ですが、沢山貼り付けることにしました。
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捕食中のヒメオオメカメムシ(その5)(2008/07/09)

 「オオメ」は勿論「大目」の意です。背側から見ても確かに眼は大きいですが、横や正面から見ると、普通のカメムシとは違って、「眼鏡親父」と言った感じです。
 ナガカメムシ科のカメムシはこの辺りには比較的多く、これまでにヒメナガカメムシヒゲナガカメムシヨツボシヒョウタンナガカメムシコバネヒョウタンナガカメムシシロヘリナガカメムシアムールシロヘリナガカメムシの6種を掲載しましたが、その何れと比較しても、体長に比してこれ程大きな眼を持ったカメムシは他にいません。
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横から見たヒメオオメカメムシ.眼がデカイ(2008/07/09)

 このヒメオオメカメムシ、写真を撮っている間、獲物に口吻を刺したまま花の上をグルグル回っていました。撮影者を警戒して逃げようか迷っていたのだと思います。しかし、獲物の方が大事だったらしく、グルグル回っている間にシッカリ写真を撮ることが出来ました。もし獲物が無かったならば、簡単に逃げられてしまったと思います。
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前から見たヒメオオメカメムシ.「眼鏡親父」と言う感じ(2008/07/09)

 この夏に撮ったカメムシの新顔は、掲載済みのヒメセダカカスミカメとこのヒメオオメカメムシ、他にまだ掲載していない1種の3種だけです。思ったよりもずっと少なく、些かガッカリしています。
 今年は、春に除草が入ったせいか「四丁目緑地」にはカメムシの好きなタデ類が生えていません。また、「三丁目緑地」のかつてコバネヒョウタンナガカメムシイネホソミドリカスミカメ(アカヒゲホソミドリカスミカメ)などを撮影した区画は、世田谷区の環境整備事業とやらで人工的な公園になり、草原は無くなってしまいました。秋にどの程度の新顔が現れるか、余り期待は出来ない様です。

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2008年8月15日 (金)

アカヒメヘリカメムシ(その2)

 アカヒメヘリカメムシは昨年「四丁目緑地」に居たのを紹介しましたが、その時は余り撮影の機会に恵まれず、成虫の写真は僅か2枚しかありませんでした。しかし、この夏「三ツ池緑地」で色合いや模様が昨年のものとは少し異なるのをシッカリ撮影できましたので、もう一度掲載することにしました。
 撮影はシッカリしましたが、決して数が多かった訳ではありません。1日に付き1頭を見かける程度でした。

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アカヒメヘリカメムシ.昨年撮影の個体とは斑紋がかなり異なる
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(2008/07/05)

 模様が昨年の個体とはかなり異ります。昨年の個体では膜質部(腹部の最後端の透明な翅が見える部分)にある黒斑は比較的小さく不規則に散らばっていましたが、今年のは左右がほぼ対称で、大きな斑紋がかなり規則的に分布しています。始めは別種かと思った位です。しかし、「日本原色カメムシ図鑑」を参照すると、今回の方が図鑑に出ているものに近いことが分かりました。
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横から見るとかなり毛深い(2008/07/05)

 また、色の方も、これは写真の仕上げにも因りますが、昨年のはかなり茶色を帯びていたのに対し、今回のは赤味が強くなっています。
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この手のカメムシとしてはかなり精悍な顔(2008/07/05)

 アカヒメヘリカメムシは、この「三ツ池緑地」や「四丁目緑地」ばかりでなく、我が家の庭でも見たことがあります。しかし、何れの場合もその数は多くありません。3個所だけでは何とも言えませんが、広い範囲に少数が分布するのは、移動性が強いのかも知れません。
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別個体.膜質部の模様が上の個体とは異なる(2008/07/09)

 アカヒメヘリカメムシは、草むらのイネ科、タデ科、キク科等の植物に寄生し、時に水田に侵入して斑点米を生じさせるそうです。昨年の写真の個体はオオイヌタデの子実、我が家の庭ではセイタカアワダチソウの花に集っていました。此処では、主にイネ科植物の葉上に居ましたが、何を吸汁していたのかは分かりません。しかし、何れにせよ、害虫として大きな問題になるような種類ではない様です。
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葉裏からヒョッコリ顔を出したアカヒメヘリカメムシ(2008/07/05)

 毎日暑い日が続きます。暑さにかまけて暫く写真を撮りに行っていませんが、まだ、7月に撮り溜めた写真が残っています。余り時期遅れにならない内に掲載したいと思います。

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2008年8月14日 (木)

ツヤヒラタアブの1種

 今日はまたヒラタアブ類の登場です。しかし、ツヤヒラタアブ類は初めてです。全体的に飴色~黒色をした小さなヒラタアブで、留まるときには必ず翅を閉じて留まります。開いたまま留まるのは見たことがありません。
 体長は7.0mm、ツヤヒラタアブとしては中程度の大きさの様です。昨年、我が家で撮影したツヤヒラタアブは体長約5.5mmでしたから、それと較べるとかなり大きいと言えます。

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ツヤヒラタアブの1種.必ず翅を閉じて留まる
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(2008/07/10)

 撮影場所は「三ツ池緑地」です。昨年の晩春には我が家で何回も見かけましたが、普通、この辺りでは余り多い種類ではありません。
 我が家で撮ったツヤヒラタアブは体に毛が少なく、名前の通りに全身ツヤツヤしていました。しかし、このツヤヒラタアブの胸部には短毛が密生しており、余りツヤツヤしていません。
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身繕いをするツヤヒラタアブの1種
脚は飴色をしている(2008/07/10)

 北隆館の「新訂 原色昆虫大圖鑑第3巻」に拠ると、ツヤヒラタアブの1種であるホソツヤヒラタアブの胸背には淡色の短毛があり、触角第3節の下面は淡色、とあるので写真のアブはホソツヤヒラタアブかも知れません。
 しかし、ツヤヒラタアブには他にもよく似た仲間が何種かあり、写真から種の判別をするのは少し無理な様です。ここでは「ツヤヒラタアブの1種」としておきます。
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正面から見たツヤヒラタアブの1種
なんだかノッペラボーの様な変な顔
胸部に短毛が密生している(2008/07/10)

 これでこのWeblogで紹介したヒラタアブ類はホソヒラタアブキタヒメヒラタアブホソヒメヒラタアブナミホシヒラタアブマガイヒラタアブキアシマメヒラタアブの6種、これに本種を加え、全部で7種になりました。これらの他にも、まだこの辺りにはヒラタアブ類が何種か棲息しています。ヒラタアブは好きな虫なので、機会があれば出来るだけ紹介したいと思っています。

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2008年8月11日 (月)

ブチヒゲカメムシ(その2)

 ブチヒゲカメムシは昨年既に紹介済みですが、昨年の個体は色濃く茶色がかっていたのに対し、色が薄く色調も異なる個体を撮影したので再度掲載することにしました。
 撮影場所(1~4枚目の写真)は、「三ツ池緑地」に行く途中にある、5丁目の空き地です。昨年、ウスモンミドリカスミカメの赤味の強い個体を撮った所です。

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ブチヒゲカメムシ.かなり白っぽい
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(2008/07/09)

 留まっているのはヨウシュヤマゴボウの花。ヨウシュヤマゴボウは全草有毒とのことですが、ブチヒゲカメムシには耐性があるのかも知れません。
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ヨウシュヤマゴボウの花を渡り歩くブチヒゲカメムシ(2008/07/09)

 昨年のブチヒゲカメムシと較べると、虫体全部を被っている黄色っぽい色調が、この個体では殆ど白になっています。かなり色調が異なるので、始めは別の種類かと思った位です。
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正面から見たブチヒゲカメムシ(2008/07/09)

 ブチヒゲカメムシは広食性で、「日本原色カメムシ図鑑」に拠れば、11科36種への寄生が知られているとのこと、イネを含む多くの農作物の害虫だそうです。
 しかし、クサギカメムシやチャバネアオカメムシの様な所謂果樹カメムシとは異なり、果物を吸汁したりはしない様です。
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余り煩くストロボを焚いたので逃げるところ(2008/07/09)

 ブチヒゲカメムシは「三ツ池緑地」にも居ました。これも昨年のとは異なり、かなり赤味が強い個体でしたので、下に1枚掲載しておくことにしました。
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「三ツ池緑地」に居た赤味の強いブチヒゲカメムシ(2008/07/05)

 これまでに合計25種のカメムシを紹介してきましたが、カメムシ科に属すのはブチヒゲカメムシとナガメのたった2種だけ、少ないので一寸驚きました。他にアオクサカメムシの仲間やクサギカメムシなど居るのですが、普通種過ぎてついつい撮らなかったり、撮っても掲載しなかったりしています。これからは、普通種も掲載するようにしたいと思います。

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2008年8月 8日 (金)

キアシマメヒラタアブ

 先日、ホソヒメヒラタアブと言う小さなヒラタアブを掲載しましたが、今日紹介するのはもっと小さいキアシマメヒラタアブです。「マメ」と付くだけあって体長は約4.5mm、体が黒っぽいので一見コハナバチの様にも見えます。尤も、虫に余り興味のない人の目には小さ過ぎて何も写らないでしょう。

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キアシマメヒラタアブの雌
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(2008/07/10)

 撮影場所は「三ツ池緑地」ですが、この辺りでは何処にでも居るヒラタアブで、我が家の庭でも昨年撮影しています。しかし、個体数は余り多くは無い様です。
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腹部を屈伸するキアシマメヒラタアブの雄(2008/07/05)

 マメヒラタアブ属(Paragus)には、似た様な黒くて小さいアブが何種かいます。本来は交尾器を見ないと種の判別は難しいそうですが、この辺りに居るのはキアシマメだけの様なので、キアシマメヒラタアブとして置きました。かなり、いい加減な判断基準です。
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正面から見たキアシマメヒラタアブの雌(2008/07/10)

 5枚の写真の内、花を背景にしているのは雌、葉っぱの先端に留まっているのは雄です。他のハナアブ科のアブと同じく、雄では左右の複眼が接しています。
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雄の複眼は互いに接する(2008/07/05)

 このヒラタアブは、花に留まって花粉を舐めているときなど、周期的にお腹を曲げたり伸ばしたりしています。この様な行動はハナアブ類では屡々見られます。始めて見たときは、何をしているのか不思議でしたが、これは、腹部を伸縮することで気門からの空気の出入りを盛んにしているのだと思います。人間も呼吸に伴い胸(胸式呼吸)やお腹(腹式呼吸)が出たり引っ込んだりしますが、昆虫の場合は気管系を動かす筋肉がありませんので、空気の出し入れを盛んにするには、腹部を屈伸するしか方法がないのでしょう。
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身繕いをするキアシマメヒラタアブの雄(2008/07/05)

 先日、「三ツ池緑地」に行ってみたら、下草が全て刈られていました。まだ「三ツ池緑地」で撮った写真は残っていますが、あと2ヶ月位は此処での虫探しは無理な様です。

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2008年8月 6日 (水)

サッポロトビウンカ

 このWeblogでは、これまでにヨコバイ類を10種位紹介してきましたが、ウンカを掲載するのは今回が初めてです。
 ヨコバイやウンカは小さいですし、標本にすると変色することが多いので、圖鑑を見ても良く分かりません。勢い、Internetで生態写真を探すことになります。色々なサイトを拝見した結果、どうやらこのウンカはサッポロトビウンカと言う種類の様です。

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サッポロトビウンカ.体長3.5mm強、翅端まで約4.5mm
「三ツ池緑地」で撮影
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(2008/07/09)

 ウンカ類は、一見したところヨコバイに非常によく似ています。しかし、実はかなり離れた仲間なのです。ウンカはハゴロモ類と同じハゴロモ型下目ハゴロモ上科に属すのに対し、ヨコバイ類はセミ型下目ツノゼミ上科に属します。アワフキムシ上科やセミ上科はセミ型下目の下にありますから、ウンカとヨコバイとの間は、ヨコバイとセミの間柄よりも遠いのです。
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サッポロトビウンカ.産卵管と思しき物が見える(2008/07/09)

 ウンカ類がヨコバイ類と何処が違うかと言うと、次の様になります。ウンカやハゴロモ類では単眼は通常複眼の下側かその近くに位置し、中脚基節は長く左右に離れ、肩板を持ちますが、ヨコバイやセミ類では単眼が複眼間の上側(頭頂)に位置し、中脚基節は短く左右接近し、肩板はありません。・・・と言っても、単眼は小さくて何処にあるのか分かり難いですし、中脚基節は腹側からでないと見え難いので、生態写真からでは中々判断出来ません。
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ウンカの正面に位置すると、直ぐに向きを変えようとするので
遂に真っ正面から撮ることは出来なかった(2008/07/09)

 単眼は、上の写真で複眼の下にある黒っぽい点がそれだと思います。写真をクリックして拡大してみて下さい。しかし、これだけ大きくしないと見えないのですから、写真から判断するのに適した特徴とは言えないでしょう。
 一方、肩板はよく見えます。翅の付け根前方に写っている丸っこい小さな構造がそれです。ヨコバイ類にはこの肩板がありません(例えばオオヨコバイを参照)。これならば、多少低倍率の写真でも判断出来ると思います。
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背側からもう1枚(2008/07/09)

 しかし、触角を見ると、ウンカとヨコバイ類(例えばオオヨコバイを参照)では随分違って見えます。ウンカでは2つ繋がったかなり大きな円柱状構造から細い毛が伸びている様に見えますが、ヨコバイでは小さな基部からヒゲが伸びています。
 この違いは、何故か、検索表には書かれていません。しかし良く見てみると、ヨコバイのヒゲの基部にある小さな突起は、形は小さいとは言え、ウンカの円柱状構造と同じ様なものとも思われます。分類学者が注目しないのですから、屹度、大きさが違うだけで、構造としては同じものなのでしょう。この程度の写真では、触角の細かい構造は良く分かりません。顕微鏡で見る必要があります(持っていません)。
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真横から撮るのも大変で直ぐに尻を向けようとする
(2008/07/09)

 ヨコバイもそうですが、ウンカも写真を撮るのに苦労する相手です。背側から撮ることは出来ても、真横や正面から撮ろうとすると、直ぐにお尻を向けて逃げる体勢に入ります。このサッポロトビウンカは幸いにも1回目で曲がりなりにも3方向から撮影出来ましたが、マダラヨコバイなどは、昨年から何回も出合っているにも拘わらず、未だに背側以外の写真が撮れません。

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2008年8月 5日 (火)

サキグロムシヒキ

 今日紹介するサキグロムシヒキは、先日紹介したシオヤアブと同じムシヒキアブ科に属します。シオヤアブよりは小さいですが、ムシヒキアブとしてはやや大型です。
 腹部は太く、全体的に白っぽいのですが、先端だけは真っ黒です。脚も真っ黒で、長くて丈夫そうな剛毛が目立ちます。脚には茶色に見える部分がありますが、これは茶色の毛が生えているからで、脚自体の色は黒です。

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サキグロムシヒキ.ムシヒキアブとしてはやや大型
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(2008/07/05)

 撮影場所は「三ツ池緑地」です。この辺りでは極く普通の種類で、我が家の庭にも現れることがあります。実は、昨年も「三丁目緑地」で撮ったのですが、写真が気に入らなくて没にしてしまいました。
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腹部の先端が真っ黒.脚も真っ黒で所々に褐色の毛が生えている
脚の剛毛が目立つ(2008/07/05)

 シオヤアブと同じく、夏にしか現れない種類の様です。春に見かけるムシヒキアブは マガリケムシヒキで、これは晩春にはもう居なくなります。
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サキグロムシヒキの顔.シオヤアブ程は威厳がない(2008/07/05)

 ムシヒキアブ類は、大きさから想像されるよりも、ずっと強力な捕食者です。自分に自信があるのか?、余り人を恐れません。撮影する方にとっては、実に楽な被写体です。
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オマケにもう1枚.こんなに脚を拡げて留まることは珍しい
(2008/07/05)

 この辺りには、夏になると出現するムシヒキアブが少なくとももう一種類居ます。近々紹介する予定です。

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2008年8月 4日 (月)

キクスイカミキリ

 「三ツ池緑地」は、国分寺崖線上に位置する「神明の森三ツ池保護区」に接してその上部にあります。この「三ツ池緑地」には7月中に3回行きましたが、最後に行ったとき、今までは真っ直ぐだったはずのヨモギの先端が、みな申し合わせたかの様にうなだれていました。
 犯人は分かっています。居るかな~と思って探してみると、やはり居ました。向こうの方から自分で飛び出して来ました。キクスイカミキリです。

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キクスイカミキリ.体長約7mm
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(2008/07/10)

 体長7mm程度、胸部の背側に赤い斑点のあるオシャレなカミキリです。しかし、このカミキリ、かなりの悪者なのです。
 ヨモギやセイタカアワダチソウなどの雑草を食害するのなら良いのですが、栽培種の菊も大好きな様で、我が家の菊も毎年かなりの被害に遭っていました。
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横から見たキクスイカミキリ.腹部後半と各脚腿節は赤い(2008/07/10)

 茎の上部を噛み切り、其処に卵を産みます。この部分より上は直ぐに萎れてしまいます。キク科植物で、茎の上部だけが萎れるのは、先ずこのキクスイカミキリが犯人だと思って間違いありません。
 孵化した幼虫は茎の中を食べながら下に向かって移動し、秋には基部に達して羽化し、そのまま茎内で越冬するそうです。
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キクスイカミキリの顔.額が広く眼は両端にある(2008/07/10)

 カミキリムシにしてはかなり敏感で、近づくと直ぐに飛んで逃げてしまいます。我が家でも良く見るのですが、未だに撮影に成功していません。この時も、1枚撮っては逃げられ、追いかけてはまた撮る・・・を繰り返して、漸く3方向からの写真を揃えることが出来ました。カミキリの背景が全部違うのは、その為です。
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オマケにもう1枚.触角にはかなり毛が生えている(2008/07/10)

 「三ツ池緑地」で撮った写真はまだまだあります。解説を少し簡単にして、出来るだけ更新の頻度を高くしたいと思っています。

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2008年8月 3日 (日)

キクグンバイ

 今日は珍しくグンバイムシを紹介します。キクグンバイ、体長約2.0mm、翅端まで約3.0mmの小さなグンバイムシです。
 以前紹介したトサカグンバイは体長4mmもありました。それと較べると、随分小型です。
 頭からヤスの先端の様な棘状突起が出ています。これがこの種の特徴で、図鑑に拠れば5本あるのだそうですが、写真では何故か3本しか見えません。

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キクグンバイ.ステンドグラス的模様が綺麗
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(2008/07/09)

 「三ツ池緑地」のイネ科雑草の葉上に居ました。少し風が吹いているので、揺れて焦点合わせが大変でした。こう言うときは、安全策としてある程度撮ってから、葉を掴んで揺れないようにして撮ります。風があるときは、風で揺れるのと人が手で触って揺れるのとの区別が付かないらしく、意外と逃げません。
 しかし、撮影している間に横にあった葉が跳ねてグンバイムシの居た葉に当たった為、ムシが吹っ飛んで何処かへ行ってしまいました。それで、写真が3枚しか有りません。
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斜め横から見たキクグンバイ.背中が妙に隆起している(2008/07/09)

 名前は「菊軍配」ですが、ヨメナ、ヨモギなどのキク科雑草に寄生するのが主で、園芸品種の菊には関心が薄い様です。「キクグンバイ (駆除|防除)」で検索しても殆どヒットしません。
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少し下側から見たキクグンバイ.腹部が短い(2008/07/09)

 グンバイムシは英語で「lace bug」と呼ばれる位で、中々美しい姿をしています。このグンバイムシのステンドグラス的模様は、ハエやハチの翅脈の様に厳密に決まっているのだと思っていました。しかし、一番上の写真を良く見ると、左右で随分違っています。かなり「いい加減」に設計されている様です。

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