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2008年7月の17件の記事

2008年7月31日 (木)

ホソヒメヒラタアブ

 この辺り(東京都世田谷区)には、ヒラタアブ類がかなりの種類居ます。これまでにキタヒメヒラタアブナミホシヒラタアブホソヒラタアブマガイヒラタアブの4種を掲載していますが、その他にもまだまだ沢山います。今日は、その中から、ホソヒメヒラタアブを紹介します。
 実は、キタヒメヒラタアブとホソヒメヒラタアブは写真からは区別出来ません。外見は互いにソックリで、生殖器を見ないと分からないのです。しかし大きさが違い、キタヒメヒラタアブは8mm以上、ホソヒメヒラタアブは8mm未満だそうです。この写真のアブは体長約6mmですから、ホソヒメヒラタアブとしてまず問題ないと思います。

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ホソヒメヒラタアブ(雄).体長約6mm
雄は左右の複眼が接している
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 撮影場所は「三ツ池緑地」ですが、何処にで居るヒラタアブです。只、飛んでいるときは実際よりも少し大きく見え、紹介済みのキタヒメかも知れないと思うので、ついつい撮らずじまいになってしまうのです。
 この個体は場合は、特に小型だったので、ホソヒメに間違いあるまい、と考えて撮影した次第です。
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同一個体を横から.思ったよりも毛深い
(2008/07/05)

 虫の体長をどうやって計るかと言うと、虫を等倍で撮影し、以前にやはり等倍撮影してある物差しの写真と比較するのです。等倍撮影では被写界深度が非常に浅いので、2桁程度の精度はあると思います。
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非常に敏感で真正面撮ることが出来なかった
(2008/07/05)

 この時期、我が家のある住宅地の方では、ヒラタアブ類を見ることがありません。7~8月は、住宅地には居ないのです。しかし、国分寺崖線の林に接するところでは、真夏でも見ることが出来ます。
 ヒラタアブ類の幼虫はアブラムシを餌にします。一般にアブラムシは暑さに弱く、真夏はその数が減少するのですが、国分寺崖線の様な木の多いところでは、気温が住宅地よりも低く、アブラムシの数も多いのではないかと思います。
 また、アブラムシの中には季節により寄主転換するものがあります。この種のアブラムシの多くは、晩春に木本植物から草本植物に移動します。国分寺崖線付近に昔から生えている草には、アブラムシの宿主(二次宿主)となる種類が多いのかも知れません。
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オマケにもう1枚(2008/07/05)

 最近は暑さの為、頭がボーとして文章が書けなくなる日があります。更新が滞った時は、暑さにやられたとお考え下さい。

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2008年7月28日 (月)

ウリハムシモドキ

 今日の主人公は、「三ツ池緑地」に居たウリハムシモドキです。ありふれたハムシで些か気が引けますが、「成城の動植物」を万遍なく紹介しなければなりません。
 体長約5mmの中型のハムシです。「ウリ・ハムシモドキ」ではなく「ウリハムシ・モドキ」で、ウリハムシと言うハムシは存在しますが、ハムシモドキという虫は居ません(ハムシダマシは居ます)。

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ウリハムシモドキ.黒と鼈甲色の渋い出で立ち
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 光沢のある黒い地に鼈甲色の部分が覆い被さっている様に見えます。しかし、色彩にはかなり変異があり、殆ど真っ黒なものから、全身ほぼ褐色のものまであるそうです。しかし、黒化した個体でも胸部は黄褐色で、逆に、褐色化したものでも、頭部の後半には黒い部分が残る様です。
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かなりお腹が大きい(2008/07/05)

 クローバーなどのマメ科植物を好み、時に牧草地等で大発生して大きな被害をもたらすとのこと。「ウリハムシモドキ 防除」で検索するとかなりの数ヒットしますが、イネの害虫として有名なイネホソミドリカスミカメ(アカヒゲホソミドリカスミカメ)と較べるとヒット数が一桁位違いますから、「大害虫」と言うほどの害虫ではない様です。なお、ウリハムシモドキは、マメ科以外にも、色々な種類の草本植物に寄生します。
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正面から見ると比較的穏やかな顔(2008/07/05)

 この日は他にもっと面白い虫がいた為、このありふれたウリハムシモドキにはあまり興味が湧きませんでした。その結果、体の動きに注意を欠き、数枚撮ったところで逃げられてしまいました。

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2008年7月25日 (金)

アシナガヤドリバエの1種(Phyllomya sp.?)

 今日は少し前に撮ったヤドリバエ(寄生バエ)の1種を紹介します。種類が分かりそうで分からず、中々掲載が出来なかったのです。
 このヤドリバエ、北隆館の「新訂 原色昆虫大圖鑑第3巻」に出ているコンボウナガハリバエに少し似ているのですが、どうも腹部の形や比率が異なります。そこで例によって「一寸のハエにも五分の大和魂」と言う双翅目の掲示板を頭から捜してみたところ、コンボウナガハリバエよりももっと写真のハエに似ているヒラタヤドリバエ亜科のCylindromyia pandulata(和名無し)と言うハエを見付けました。
 コンボウナガハリバエよりはずっと近い感じがするのですが、それでも腹部の形が違います。しかし、これ以上は専門的な資料もありませんのでどうにもなりません。思い切って「一寸のハエにも五分の大和魂」に投稿して御伺いを立てたところ、ハナアブの研究をされている市毛氏より、コンボウナガハリバエと同じアシナガヤドリバエ亜科の仲間でPhyllomya属ではないかと思います、との回答を頂きました。

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アシナガヤドリバエの1種(Phyllomya sp.?)
「三丁目緑地」のシャクチリソバの葉上に居た
この1枚を撮っただけで逃げられてしまった
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/19)

 日本産ヤドリバエ科は、現在約450種が記録されていますが、まだ未記載の種類が沢山あり、実際はその2倍は居るのではないかと言われている大きなグループです。旧北区のヤドリバエ科の属の検索だけで100ページもあるそうです。また、属を纏めた様な文献も少なく、種の同定には個々の種の記載論文を直接参照しなければならない様な状況らしく、これでは一部の大きな研究機関以外では手の下しようがありません。
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これは別の日に「四丁目緑地」で撮影
這いつくばる様な格好で留まる習性がある
これも直ぐに逃げられてしまった
(2008/05/22)

 ・・・と言う訳で、やはり種は分かりませんでした。ヤドリバエ科はクロバエ科やニクバエ科と近縁で、翅脈も互いによく似ています。写真だけでは科すら判別出来ないことがあります。「アシナガヤドリバエ亜科の仲間でPhyllomya属の可能性が高い」と言うことが分かっただけでも僥倖と考えるべきでしょう。

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2008年7月23日 (水)

シオヤアブ(雄)

 夏らしい虫と言えば、やはり筆頭はセミでしょう。しかし、今年はセミが異常なほど少なく、声すら殆ど聞こえてきません。前回「夏らしい虫」と言ったのは、セミではなく、実はシオヤアブのことです。
 真夏に表を歩いていると、時折プーンという一種独特の甲高い羽音が聞こえてきます。シオヤアブの羽音です。私にとっては何とも懐かしい音で、「虫取り少年」であった頃のことが想い出されます。

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シオヤアブ.お尻の白い穂は雄の証
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/10)

 シオヤアブはムシヒキアブ科に属し、同科の中では日本本土内で最大級です。ムシヒキアブの仲間は、このWeblogではハラボソムシヒキというやや珍しい種類を1種しか紹介していませんでしたが、この辺りには、このシオヤアブの他にも数種類が棲息しています。何れも灰~黒色が主の地味な色をしているのに対し、シオヤアブは黄褐色の長い毛を纏っており、「ヒゲ」などは金色をしています。体長があるだけでなく、胴体も太く、手足も如何にも頑丈そうで、正に「黄金の獅子」と言った風格です。
 写真のシオヤアブは、お尻に白い穂が付いています。これは雄で、雌にはこの白い穂はありません。雌の個体は既に別のWeblogで紹介してあるので、宜しければこちらを御覧下さい。
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横から見たシオヤアブ.黄褐色の長毛が特徴(2008/07/10)

 ムシヒキアブの仲間は、何れも空中を飛ぶ虫を捕らえ、消化液を注入して獲物の組織を溶かしてからそれを吸います。捕まえる相手は種類を選びません。小はアブラムシの有翅虫やヒトスジシマカから、大は自分より大きな虫まで獲物にしてしまいます。ことに、このシオヤアブなどは大きいだけあって、逆に刺されたら一コロの筈のコガタスズメバチまで捕まえてしまうそうですから、一寸驚きです。
 幼虫の方も中々勇ましく、土中を徘徊してネキリムシ(コガネムシ類の幼虫)を捕食するとのことです。
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黄褐色の長毛は柔らかそう(2008/07/10)

 シオヤアブは自分に自信があるのか、余り人を恐れません。直ぐ目の前に留まったり、時には衣服に留まることもあります。また、一般にムシヒキアブ類は動く物しか見えないのか、ゆっくり近づくと大抵は逃げません。
 このシオヤアブも、「三ツ池緑地」に設置されている木造の腰掛けに留まったまま逃げなかったので、顔写真を撮ってやりました。
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シオヤアブの顔写真.黄金のヒゲがリッパ(2008/07/10)

 「三ツ池緑地」には3回程行きましたが、どうやら歩道部分にシオヤアブが「常駐」している様です。シオヤアブは、幾ら強力な捕食者であっても、決して人を襲うことはありませんので御安心下さい。

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2008年7月22日 (火)

ヒメセダカカスミカメ

 今日は久しぶりにカメムシを紹介します。カスミカメムシ科のヒメセダカカスミカメです。
 場所は「神明の森三ツ池保護区」に接する「三ツ池緑地」、ここにはかなり多種類のカメムシが居ました。しかし、残念ながら、その殆どは既に掲載済みの種類です。一番沢山居たのはヒメナガカメムシで、ヒメジオンの花に群れていた他、イネ科その他の草の彼方此方に幾らでもいる、と言う感じでした。その他掲載済みの種類としてはイネホソミドリカスミカメ(アカヒゲホソミドリカスミカメ)アカホシカスミカメヨツボシヒョウタンナガカメムシアカヒメヘリカメムシホソハリカメムシブチヒゲカメムシマルカメムシイトカメム等が見つかりました。
 ヒメセダカカスミカメは体長3mm強の小さなカメムシです。色が黒っぽく、体高が高いので、一見芋虫・毛虫の糞か、或いは、甲虫の様に見えます。虫眼鏡代わりのマクロレンズで覗いて、ようやくカメムシであることが分かった次第です。。

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ヒメセダカカスミカメ.体長約3mmの小さなカメムシ
(2008/07/05)
(クリックで拡大表示、以下同じ)

 毎度のことながら、こう言う小さくて体高が高く幅もある虫は、写真を撮る方にとっては厭な相手です。深度を深くする為に、絞り値を大きくしなければならないので、どうしても解像力が落ちてしまいます。
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カスミカメの多くは腰の部分が内側に曲がる(2008/07/05)

 このヒメセダカカスミカメ、腹部が内側に折れ曲がっています。カスミカメムシ類にはこの様な形をした種類が多いのですが、その中でも特に極端だと言えます。
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正面から見たヒメセダカカスミカメ
カスミカメムシ類は単眼を欠く(2008/07/05)

 カスミカメムシ類は最近になって分類が急速に進んだグループで、以前はヒメセダカカスミカメ(Charagochilus gyllenhalii)とコセダカカスミカメ(C. angusticollis)の2種が居るとされ、学名にも混乱があった様です。しかし、現在ではこの2種は同一種とされ、また、前者に用いられていた学名C. gyllenhaliiはヨーロッパ系の別種であることが認められ、和名はヒメセダカカスミカメ、学名はC. angusticollisに統一されたそうです。
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斜めから見るとこんな感じ(2008/07/05)

 「日本原色カメムシ図鑑第2巻」には、ヒメセダカカスミカメは「さまざまな草本植物から採集されるが、カラムシやカナムグラ等の花でよく見つかる」と書かれています。「三ツ池緑地」にはカラムシやカナムグラは生えていません。ここでは専らイネ科植物の葉上に居ました。
 カスミカメムシ類はイネホソミドリカスミカメの様にイネの子実を吸汁して斑点米を作る種類が沢山居ます。しかし、このヒメセダカカスミカメは農作物に悪さはしないらしく、「"ヒメセダカカスミカメ" (斑点米|駆除|防御)」で検索しても、有意なヒットは一つもありませんでした。
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オマケにもう1枚.お座りの様な斜めの姿勢を取ることが多く
写真を撮る方は苦労する(2008/07/05)

 ヒメセダカカスミカメは多化性で、春から秋まで成虫が見られるそうです。言い換えれば、季節性の無い虫と言えます。そこで次回は、夏の象徴と言える様なムシを紹介したいと思っています。

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2008年7月21日 (月)

シマバエ科の未記載種(Steganopsis sp.

 今日は、「神明の森みつ池特別保護区」に接する「三ツ池緑地」で撮った綺麗なハエを紹介します。
 しかし、紹介するとは言っても、困ったことに、このハエ、まだ名前がありません。未記載種なのです。シマバエ科に属し、取り敢えずは「Steganopsis sp.1」(Steganopsis属に属すが何れの記載種にも該当しない種の第1番目)と言う仮の名前が付いています。
 体長は虫が斜めなので正確には分かりませんが、大体3.5mm、小さめのハエです。残念ながら、この2枚を撮った後で逃げられてしまいました。3.5mmのハエに逃げられたら、余程運が良くない限り、再び見付けることは出来ません。

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Steganopsis sp. (シマバエ科)
腰が曲がって翅がくっ付いており、カスミカメの様な感じ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 写真は何れも斜めからですし、翅を畳んでいるので翅脈も不明瞭です。これでは科の検索が出来ません。それなのに、何故、私の様な素人にこの未記載種であると分かったかと言いますと、これは専門家も参加している双翅目の掲示板「一寸のハエにも五分の大和魂」の御蔭なのです。バックナンバーのNo.1940に、このハエと同一種と思われるハエの写真が出ていました。それがSteganopsis sp.1でした。検索が出来ないとき、この掲示板を頭から当たって行くと、参考になる情報が色々出て来ます。
 多くのハエの場合、一見似ていると言う「絵合わせ」だけでは、往々にして種の判別を誤る可能性があります。しかし、このハエの模様や形は余りにも特徴的ですし、また、頭部や胸部の剛毛の生え方や、触角第2節背面に1本の剛毛があり、前脚腿節の下面に剛毛が生えていること等は、チャンとシマバエ科の特徴を示しています。更に、触角第3節が非常に長いのはSteganopsis属の特徴とのことですから、Steganopsis sp.であることは、まず間違いないでしょう。
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Steganopsis sp. 顔面に眼の様な模様があるが
正面から撮ることが出来なくて真に残念
(2008/07/05)

 このハエ、未記載種ですが決して珍しい種類ではなく、春から秋まで各地に普通だそうです。双翅目(蠅、虻、蚊)や膜翅目(蜂)には未記載種が沢山あり、都会の住宅地の中でも普通に飛び回っているのです。

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2008年7月20日 (日)

アカボシゴマダラ

 今日は「三ツ池緑地」で撮った写真を出すつもりだったのですが、昼前に最近話題のアカボシゴマダラを撮影したので、これを急遽掲載することにしました。
 昨日、少し体を鍛えようと、わざわざ一番暑い最中に、北の7丁目にある家庭菜園の方に散歩に行きました。どうせ大したものは居ないだろうと思っていたので、カメラは持って行かなかったのですが、これが失敗で、ホソヘリカメムシや木の枝にぶら下がって肉団子を作っているモンスズメバチを撮影し損ねてしまいました。モンスズメの方は諦めるしかありませんが、ホソヘリカメムシの方は、家庭菜園に沢山居たので、1日経ってもまだ居るはずです。そこで、また今日の午前中にカメラを持って出かけました。アカボシゴマダラを撮ったのは、その帰りです。

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アカボシゴマダラ.この個体は夏型なのに赤斑が非常に弱い
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(2008/07/20)

 大きな蝶で、白黒の筋が目立ち、ゆっくり飛び回るので、始めはマダラチョウの仲間が現れたのかと思ってビックリしました(アカボシゴマダラはゴマダラチョウと同属でコムラサキ亜科(Apaturinae)、マダラチョウ類はアサキマダラの仲間でマダラチョウ亜科(Danainae)に属し、同じタテハチョウ科でもゴマダラチョウとはやや遠い関係にある)。
 場所は、「七丁目緑地」の南側の出入り口の近く、成城大学のラグビー・グランド(大学とは少し離れている)の横です。
 私は、動植物の写真を撮るときには、人工物を視野に入れないのを基本にしています。最初に撮った写真にはグラウンドの柵の金網が写っていたので撮り直したのですが、これが何と、触角が途中で切れているのともう1枚は後ピン、使えるのは最初の金網が写っているのだけでした。本来ならば没にするのですが、若干のニュース性もあるかも知れず、恥を忍んで掲載する次第です。
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アカボシゴマダラの顔.一寸変わった顔をしている
口吻が黄色なのはゴマダラチョウと同じ(2008/07/20)

 この蝶、勿論本来はこの辺りにいる種類ではありません。日本では奄美諸島のみに分布していた蝶で、不思議なことに沖縄には産しません。外国ではヴェトナム北部から朝鮮半島にかけて広く棲息します。
 それが何故か、1995年に埼玉県(1995年)、また1998年からは神奈川県で、目撃や採集の報告が相次ぎ、以降次第に分布を拡げ始めました。温暖化に伴う漸進的な北上ではなく、突如として関東に現れたのです。
 奄美諸島産のアカボシゴマダラと大陸産のでは斑紋、翅形に違いがあり、大陸産は基亜種(名義タイプ亜種)、奄美諸島のは奄美亜種とされています。この関東に出現したアカボシゴマダラは、大陸の基亜種の特徴を持っており、奄美亜種ではありません。誰かが飼育していた大陸産がエスケープした可能性もありますが、かなり多数逃げなければ、以降の繁殖は難しいでしょう。意図的な放蝶の可能性が高い様です。
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口吻は消防用ホースの様に巻かれている(2008/07/20)

 アカボシゴマダラの食草は、関東ではゴマダラチョウと同じエノキです。「七丁目緑地」には大きなエノキがありますから、そこから発生しているのかも知れません。
 アカボシゴマダラはこの辺り(東京都世田谷区西部)でかなり繁殖している可能性があります。と言うのは、今日の早朝、自宅の庭でも、瀕死の個体でしたが、アカボシゴマダラを見付けたからです(これは既に「我が家の庭の生き物たち」に掲載済み)。去年辺りから、何となくゴマダラチョウの数が増えている様に感じていたのですが、増えているのはゴマダラチョウではなく、アカボシゴマダラだったのかも知れません。  

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2008年7月18日 (金)

タイワンキシタアツバ

 成城には、世田谷区やその関連団体が管理する「緑地」が沢山あります。「三ツ池緑地」もその一つで、「神明の森みつ池特別保護区」に接してその上側(国分寺崖線の東側)に位置します。
 少し前は民間の植木貯めだったと思います。現在の「三ツ池緑地」の横にある世田谷区の植木貯めの様なものが全面に拡がっていました。その前は良く憶えていませんが、確か大根か何かの畑だった様な気がします。
 最近は「神明の森みつ池特別保護区」と言うと、如何にも貴重な動植物の宝庫の様な感があります。しかし、この辺りで一番虫が多かったのは、成城ではなく調布市入間町になりますが、かつて「中央電気通信学園」と呼ばれていた、現在の「NTT東日本研修センタ」の斜面(南~西向)です。三ツ池の辺りは暗くて湿り気が多いせいか虫は少なく、私たち「虫取り少年」からは完全に無視されていました。
 今ではNTTの研修所となり、柵も出来て入り難くなったので良く分かりませんが、例えば蝶ならばミズイロオナガ、アカシジミ、ウラゴマダラシジミなどのゼフィルスやギンイチモンジセセリなどが居ました。当時(昭和30年代後半)は既に居ませんでしたが、その少し前にはミドリシジミやウラナミアカシジミも居た様です。
 郵政省から民間のNTTとなり、サクラ(此処のサクラは有名で、開花時には一般にも開放されます)の管理と称して殺虫剤を定期的に撒く様になってから、野球グラウンドの裏に棲息していたギンイチモンジセセリは絶滅し、ミズイロオナガなどもずっと減少した様です。
 ウラゴマダラシジミが居たのは、東にある谷間に食草のイボタが群生していたからです。20年程前、調布市が公園を作る為にこのイボタを全部切ってしまったので、ウラゴマダラは簡単に絶滅してしまいました。何時行っても誰も居ない様な公園を作るのも考えものですが、せめて作る前にシッカリ生態調査をして欲しいものです。
 少し話題が逸れました。今日は「三ツ池緑地」で撮ったタイワンキシタアツバを紹介します。開帳30mm前後の中型の蛾です。
 アツバ類はヤガ科、アツバ亜科に属し、何れも留まると写真の様に3角形のステルス機的な形になります。

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タイワンキシタアツバ.台湾と付いても外来種ではない.「キシタ」は
「黄下」の意で後翅の大部分は写真に一部見えている様に黄色
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 結構敏捷な蛾で、何回も逃げられては追いかけるのを繰り返した挙げ句、ようやく撮ることができました。何となく、昼行性の蛾の様な感じです。逃げ回っていた虫が一旦動かなくなると、普通はかなり刺激しても逃げないのですが、ファインダーを覗いている間にまた逃げられてしまいました。飛ぶところを見てませんので、どの方向へ行ったのかも分からず、完全に見失ってしまいました。
 ・・・と言う訳で、今回は普段はある筈の正面から撮った写真がありません。下唇髭が非常に長いので、前面から撮ったら面白い写真になるのではないかと思ったのですが、残念です。
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下唇髭が非常に太くて長く、上方に反っている(2008/07/05)

 なお、よく似た蛾にクロキシタアツバがあります。クロキシタでは写真に見える前翅中央の色の濃い三角形の辺がぼやけて歪んだ四角形になります。
 「三ツ池緑地」は、立ち入り禁止の「神明の森みつ池特別保護区」に接しているせいか、他の緑地よりも虫の種類は多い様です。その多くは既に紹介済みの虫でしたが、それでも新顔が何種類も居ました。次回は何を紹介するか思案中です。

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2008年7月16日 (水)

ハグロトンボ

 今日は珍しくトンボを紹介します。ハグロトンボ、殆ど真っ黒な翅を持った細いトンボです。
 撮影場所は「四丁目緑地」ですが、「三ツ池緑地」にも居ました。「三ツ池緑地」の場合は、三ツ池の保護区の中にある湧水で発生したものと思われますが、「四丁目緑地」に居たのは、或いは、野川から来たのかも知れません。

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ハグロトンボ.腹部に金属光沢があるのは雄
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/11)

 ハグロトンボを見るのは、数十年ぶりです。最近は、夏になると余り町の奥の方を歩かないので、居ても見る機会が無いのでしょう。昔はごく普通のトンボで、我が家の庭にもしばしば来ていました。多分、仙川(川の仙川)か成城大学敷地内の池から来たのだと思います。昔の仙川にはハグロトンボ(オハグロトンボと呼んでいました)が沢山居ました。今はどうなのでしょう、その内見に行って来ようと思います。
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少しでも動くと逃げてしまうので殆ど同じ方向からしか撮れない
(2008/07/11)

 「四丁目緑地」では、奥の方の木の茂った薄暗いところに数頭が居ました。中々用心深いトンボで、普段は容易に近づけません。実は、前日に「三ツ池緑地」でかなり執拗に追いかけたのですが、遂に2m以内に近づくことが出来ませんでした。この失敗に懲りてテレプラスを持って来たのと、幸いかなり近づけたので何とか撮れました。しかし、内臓ストロボでは光量が足りず、無理矢理2段程度の増感をしたので、粒状性が悪いだけでなく、色調も少しおかしくなっています。
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ヒトスジシマカを捕らえに飛び上がるところ(2008/07/11)

 撮影している間、物凄い数のヒトスジシマカに襲われました。蚊避けの薬が切れてしまっていたのです。その私に集るヒトスジシマカを、15秒に1回位の頻度で飛び立っては捕らえていました。御蔭で羽ばたくところを撮影することが出来ました。
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飛び出す直前.顔が見えなくなってしまった(2008/07/11)

 7月なってから何回か写真を撮りに出かけましたが、「四丁目緑地」に行ったのはその最後の日です。順番が少し狂いましたが、これも何十年ぶりかにハグロトンボを見て感激してしまった為です。
 次回からは、順序に従い「三ツ池緑地」で撮った虫から紹介することにします。

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2008年7月14日 (月)

ツツジトゲムネサルゾウムシ

 ようやく夏の虫を紹介する準備が出来ました。先日、三ツ池の上にある「成城三ツ池緑地」に数回出かけましたが、今日は先ずその途中の5丁目にある空き地で撮ったゾウムシの1種を紹介します。
 ツツジトゲムネサルゾウムシ(躑躅棘胸猿象虫)と言う長い名前のゾウムシです。名前は長くても、体長は短く僅か3.0mm。体高が高く、茶色っぽいので、始めは毛虫の糞かと思いました。

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ツツジトゲムネサルゾウムシ(躑躅棘胸猿象虫)
平戸系のツツジの葉上に居た
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/07/05)

 ゾウムシにはボーダイな種類があります。こんな小さなゾウムシの名前など到底分からないだろうと思っていたのですが、調べてみたら案外簡単に分かりました。背中の褐色の縦縞と小楯板直後の黄色い部分が特徴で、オオムラサキと思われる平戸系ツツジの葉の上に居ましたから、ツツジトゲムネサルゾウムシでまず間違い無いでしょう。
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横から見ると、如何にも「象」と言う感じ(2008/07/05)

 サルゾウムシ(猿象虫)と言うのも動物名が2つ重なった変な名前です。命名の起源は良く分かりませんが、この種のゾウムシには飛び跳ねる種類が居て、それが猿に似ているからだとしているサイトもありました(ゾウムシの研究者の吉武啓氏が「サルゾウムシという和名の由来について」と言う論文を「象鼻虫」(機関誌?)に書いておられますが、読んでいません)。
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ツツジの粘着液に脚を取られてよろめくゾウムシ(2008/07/05)

 このゾウムシ、ツツジの線毛から出る粘着液に脚を取られたらしく、上の写真の様に暫くもがいていました。しかし、撮影結果を確認している間に、近くの葉に移っていました。恐らく、猿の様に飛び移ったのだろうと思います。

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2008年7月11日 (金)

ミスジマイマイ

 ここ数日、新たな写真を撮りに出かけていますが、まだ、掲載に必要な調整が出来ていません。そこで、5月に「四丁目緑地」で撮ったカタツムリを紹介しておきます。
 今気が付きましたが、このWeblogで昆虫、鳥、クモ以外の動物を掲載するのはこれが初めてです。一寸意外でした。

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ミスジマイマイ.しかし、この個体には2筋しかない
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/22)

 陸生貝類の図鑑は一応持っていますが、ハッキリ申し上げて、カタツムリは見ても殆ど分かりません。しかし、この辺り(東京都世田谷区)に棲息する大型のカタツムリは、ヒダリマキマイマイとミスジマイマイの2種に限られる様ですから、これはミスジマイマイでしょう。ヒダリマキマイマイは「左巻」ですから、明らかに該当しません。この個体は殻径が3cmを超えていました。
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横から臍の部分を見る(2008/05/22)

 マイマイ類では殻の筋(色帯)が出る場所が決まっており、上側から1~4の番号が付いています。ミスジマイマイは変異が大きく、4本全部ある個体(1234型)もいますが、1番目の筋を欠く3本(0234型)のが一番多いのでミスジマイマイと名付けられたとのこと。
 写真の個体では、1と3が無く、2と4(上の写真で一番下に見えている黒い部分)しか残っていません(0204型)。筋よりも、まだら模様の方が目立っています。こう言う斑があって筋の少ないミスジマイマイは、この辺り(東京都世田谷区)では普通らしく、時々見かけるカタツムリにはこのタイプがよくいます。
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貝殻の口の部分(2008/05/22)

 一寸くどい表現をしましたが、最近はカタツムリが著しく減少して、見る機会が余りありません。この写真を撮ったのも、カタツムリが珍しくなったからです。似たような生き物であるナメクジは幾らでもいるのですが・・・。
 Internetで調べてみると、カタツムリの減少は全国的に起こっている現象の様です。色々な要因が指摘されていますが、ナメクジは減らずに、何故カタツムリだけ減少するのか良く分かりません。。

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2008年7月 9日 (水)

スミゾメハキリバチ(ムナカタハキリバチの雌)

 今日はハチを紹介します。全身真っ黒なハキリバチ、スミゾメハキリバチです。撮影場所は「四丁目緑地」です。
 実はこのハチ、昨年我が家の庭に現れたのですが、ハキリバチ科であると言う以上に種類が分からず困っていました。それが1ヶ月ほど前、偶然あるサイト(何処だか忘れてしまいました)にこのハチにそっくりな写真があるのを見付けました。それがスミゾメハキリバチでした。研究社は勿論、北隆館の図鑑にも載っていない種なので、記載を照合することが出来ず多少の不安がありますが、信頼度が高いと思われる幾つかのサイトに掲載されていますので、まず、間違いないでしょう。

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スミゾメハキリバチ.全身真っ黒で体長は約15mm
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/22)

 我が家では昨年ニワナナカマドが開花したとき、毎日の様にやって来ました。実に落ち着きの無いハチで、花穂の中をバタバタと暴れ回り?(花粉を腹に付ける為?)、こんなに写真を撮り難かった虫は他に知りません。カメラの視野の中に入れるのが精一杯と言う感じで、入ったら焦点など気にせず即シャッターを切るしか手がありませんでした。
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横から見たスミゾメハキリバチ.腹部下面の花粉運搬毛に
殆ど花粉が付いていない(2008/05/22)

 しかし、この「四丁目緑地」に現れた個体は何故か温和しく、直ぐにカメラに収まりました。更に不思議なことに、その後ヒメジオン(ハルジオン?)の花にしがみついて動かなくなりました。何処か体の具合が悪いのか、何かに寄生されているのか、或いは、寿命で死期が迫っていたのか、理由は分かりませんが、写真を撮る方にとっては絶好の機会で、頭部をシッカリ等倍接写することが出来ました。
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全身真っ黒でも、頭部と胸部の結合部分は白い(2008/05/22)

 ハキリバチ科はミツバチ上科に属し、花粉を集めます。多くのハチは後脚の何処かに花粉を付ける特殊な毛を持っていますが、ハキリバチ類は腹部下面に花粉運搬毛を持ち此処に花粉を付けます(中にはムカシハナバチ科メンハナバチ属の様に花粉運搬毛を持たず、花粉を花蜜と一緒に呑み込んで運ぶハチも居ます)。
 横から撮った写真を見ると、このハチの腹部下面には殆ど花粉が付いていません。やはり、何処か具合が悪くて充分仕事が出来ていない様です。
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ハチは顔を斜め横から拡大して見ると実に可愛い(2008/05/22)

 このスミゾメハキリバチ、実は雌に付けられた名称で、雄は普通のハキリバチで黒くはなく、かつては別種とされてムナカタハキリバチと言う名前を付けられていました。現在では同一種であることが確認され、雄の方のムナカタハキリバチが標準和名にされているとのことですが、特徴のない雄蜂の名称より、独特の色をした雌の名前の方が種の特徴を良く表しているのではないかと思います。
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もう少し拡大(2008/05/22)

 なお、我が家で撮ったやはり種不明のハキリバチの雄(花粉運搬毛を持たない)が、調べてみると、このムナカタハキリバチ(雄)でした。興味のある方はこちらを御覧下さい。
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しかし、真っ正面から見ると恐い顔
葉を切り取る為の大顎が如何にも強力そう
(2008/05/22)

 これで「四丁目緑地」で撮った昆虫の写真は、一部の種不詳のハエを除いて、全部掲載し終わりました。今日は天気が回復しそうですので、何処かへ新たなネタを探しに行く予定です。

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2008年7月 8日 (火)

ヨコヅナサシガメ

 今日は久しぶりにカメムシを紹介します。ヨコヅナサシガメ、体長20mmを超える日本最大級のカメムシです。

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ヨコヅナサシガメ.日本最大級のサシガメ科カメムシ
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/22)

 このWeblogで紹介している虫の多くは、体長1cm以下です。小さい虫を撮るのには馴れていますが、こう被写体が大きいと些か調子が狂い、「絞りの値は幾つにしようか・・・」等と考えてしまいます。
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上から見ると白黒模様だが、各脚の基節と尾端付近の下面は赤い(2008/05/22)

 居たのは、「四丁目緑地」の歩道部分に1本だけ植えられている胸高直径40cm位のケヤキの樹です。高さ1m位の所で、樹皮の上を歩いていました。
 カメムシの多くは敏捷で写真を撮るのに苦労することもあります。しかし、流石は横綱、ノッシノッシと歩を進めます。かなりストロボの光を気にしていた様ですが、翅があっても飛んで逃げたりすることはありませんでした。
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ヨコヅナサシガメの口吻.太くて頑丈そうに見える(2008/05/22)

 所々に赤い部分が見えます。実は羽化直後は体の殆どの部分が真っ赤で、それが次第に黒に変わって行きます。しかし、北隆館の「新訂 原色昆虫大圖鑑」に拠ると、各基節と腹端下面は暗赤色、とされていますから、この部分は赤いまま残るのでしょう。
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頭部は非常に細長い(2008/05/22)

 このサシガメ、日本を思わせる「ヨコヅナ」の名が付いていますが、本来日本の昆虫ではなく外来種とされています。しかし、いつ頃何処から日本に入ったのかは、文献を調べてもハッキリしたことは分かりませんでした。
 かなり以前から、九州には棲息していた様です。それが次第に拡がって関西に達し、その後の温暖化と共に急激に分布を東に拡げて、今では関東全域で普通種になってしまった感があります。外来種らしく、この「四丁目緑地」の様な人工的な公園や神社などにある大きな樹(サクラ、エノキ、ケヤキ等)で見つかることが多いそうです。
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孵化したてのテントウムシ幼虫の集団に
口吻を差し込むヨコヅナサシガメ
(2008/05/22)

 上の写真は、孵化したばかりのテントウムシ(多分ナミテントウ)幼虫の集団の中に口吻を差し入れているところです。やはりテントウムシは旨くない(苦い)のか、直ぐに場所を換えてしまいました。
 御執心だったのが、樹皮の裂け目(下の写真)。15分位彼方此方に口吻を差し込んで、この場所に留まっていました。何か居たのかも知れませんが、樹皮が邪魔してよく見えませんでした。
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樹皮の裂け目で獲物を探すヨコヅナサシガメ(2008/05/22)

 「四丁目緑地」で撮った写真もいよいよ残り少なくなってきました。このところ雨模様の日ばかり続いていて、写真を撮りに出る機会がありませんが、近い内に出かけないとネタ切れになる恐れがあります。

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2008年7月 6日 (日)

コマルハナバチ(雄バチ)

 今日は写真を調整する時間が無いので、前々回の「キマダラセセリ」同様、昨年の6月に「三丁目緑地」の中段にある広場で撮影したコマルハナバチの雄バチを掲載することにしました。

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シロツメクサ(クローバー)で吸蜜するコマルハナバチの雄
腹部は黒くなく、淡黄色の毛で被われている
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2007/06/19)

 お恥ずかしい話ですが、つい最近までこの雄バチをトラマルハナバチの女王、或いは、働きバチだと思っていました。と言うのは、外観がトラマルハナバチにかなり似ているからです。しかし、図鑑を見てみると、トラマルハナの方は橙色を帯びた赤褐色をしており、また、腹部の後半は黒くなっているので、漸くトラマルハナではないと気が付いた次第です。
 その後注意してみていると、この辺り(東京都世田谷区)に居る黄色っぽいマルハナバチは全てコマルハナの雄バチで、トラマルハナはどうも棲息していない様です。
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背中の毛は黄色で橙色ではない. トラマルハナならば橙色(2007/06/19)

 この間違いのもう一つの大きな原因は、雄バチは秋に出現するものだとばかり思っていたからです。この雄バチはこの辺りでは5月になるともう現れます。コマルハナバチは、冬眠から覚めるのが他のマルハナバチよりずっと早く、3月下旬には活動を開始します。働きバチは4月に現れ、5月には雄バチ、6月には新女王が出現して、6月下旬になるとコロニーが崩壊して一年の活動が終わります。
 一方、トラマルハナバチは、女王蜂が活動を開始するのが4月下旬から5月上旬です。コマルハナの雄バチが出始める時期と余り違わないのです。
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口吻を花に差し込むコマルハナバチの雄
或いは、口吻を引き出したところかも知れない
(2007/06/19)

 好みの花もコマルハナバチの働きバチと雄バチでは異なります。写真はシロツメクサを訪花しているところですが、雄バチは何頭か居たのに対し、働きバチは一頭も来ていませんでした。また、雄バチはイボタやネズミモチの花を好みます。しかし、働きバチがこれらの花を訪れているのを見たことは一度もありません。
 働きバチと雄バチで訪れる花の種類が異なるのは、働きバチは育児の為の花粉を集めなくてはならないのに対し、雄バチは自分が食べる花蜜だけを求めればよいからでしょう。また、口吻の長さも違うのかも知れません。
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触角を花の中に差し入れている様に見える
蜜を吸う前に花を調べているのだろうか
(2007/06/19)

 コマルハナバチに付いて少し詳しくなったのは、我が家の内装を換えてから、使用しなくなった排気口にコマルハナバチが毎年巣を作る様になったからです。今年は残念ながら営巣しなかったのですが・・・。
 家に沢山居る虫は、外に出たときどうも撮る気がしません。家に居ない虫を出来るだけ撮ろうと思うからです。そんな訳で、未だに家の外で撮ったコマルハナバチの女王や働きバチの写真は1枚もありません。
 一方、我が家で撮ったコマルハナバチの女王バチ働きバチの写真は、別のWeblog「我が家の庭の生き物たち」に既に掲載してありますが、まだ未使用の写真が沢山あります。寝かせて置くのも勿体ないので、少しこちらのWeblogに転用しようかと思っています。

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2008年7月 4日 (金)

オビマルツノゼミ

 今日の日中は気温が32度にも上がり、まるで真夏です。四国地方はもう梅雨が明けたとか・・・。しかし、まだ5月に「四丁目緑地」で撮った写真が何種分か残っています。急いで掲載することにしましょう。
 今日は、オビマルツノゼミです。ツノゼミ類は名前に「セミ」と付いてもツノゼミ上科ツノゼミ科に属し、セミ(セミ上科セミ科)の1種ではありません。しかし、何れも半翅目頚吻群に属すので、かなり近い間柄ではあります。
 ツノゼミの多くは、頭に角の生えたヨコバイの様な虫です。しかし、オビマルツノゼミやマルツノゼミ、ハコネツノゼミ等は「ツノゼミ」の名に反して角がなく、頭部は丸くなっています。

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オビマルツノゼミ.翅端まで5.5mm.セミよりずっと小さい
羽化に問題があったらしく翅が少し歪んでいる
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/22)

 翅端まで5.5mm、セミよりはずっと小型で、形もヨコバイの1種と言った感じです。ヨコバイには、このWeblogでこれまで紹介したオオヨコバイヒメヨコバイ類の様な細長い形のヨコバイばかりでなく、太く短くて吻の丸い種類も沢山いるのです。
 始めは、「オビ」の付かない只のマルツノゼミだと思っていました。しかし、「北海道環境科学研究センター」の「北海道レッドデータブック」にあるマルツノゼミの標本写真を見ると、マルツノゼミの翅は透明なのに対し、このツノゼミの翅には、やや不明瞭ですが茶色の横帯が2本あります。マルツノゼミではなく、オビマルツノゼミの様です。また、前翅前縁部基部寄りにぼやけた白斑があるのもオビマルツノゼミの特徴かと思われます。
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横から見たオビマルツノゼミ.翅がストロボの反射で光ってしまった(2008/05/22)

 実を言うと、ツノゼミ類を見るのは初めてです。小さいので余程注意していないと見過ごすとは思いますが、絶対数が多いとは思えません。この辺り(東京都世田谷区)では、かなりの珍種なのではないでしょうか。特にこのオビマルツノゼミは、北隆館の「新訂 原色昆虫大圖鑑第3巻」に拠ると、「(オビマルツノゼミは)一般に少ない種である」とあります。
 オビマルツノゼミはマメ科の植物に付くそうです。この写真の個体もマメ科の雑草(カラスノエンドウの類)の茎にしがみついて居ました。
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斜め後ろから見たオビマルツノゼミ.褐色の横帯と
前翅前縁基部近くの白斑が見える(2008/05/22)

 九州大学の「日本産昆虫目録データベース」のツノゼミ科には僅か16種が登録されているだけで、日本では小さなグループです。「東京都本土部昆虫目録」を見てもたった3種しか記録がありません。
 しかし、南米アマゾン流域には3000種を超えるツノゼミが棲息しているそうです。様々に分岐した角をもつ種類や、色々なものに擬態していると思われる種類、まったく奇怪な形をしたもの、色彩も実に多様です。何故、殆ど同一と言って良い環境の中でこれだけ多様な種に分化したのか、進化論上の問題ともなっています。
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この種の虫を下側から撮る機会は少ない(2008/05/22)

 ツノゼミは、ヨコバイやアワフキムシと近縁なだけあって、ピンッと跳びます(但し近縁でもセミは別)。このオビマルツノゼミ、始めは跳ぶとイカンと思って慎重に撮っていたのですが、ノソノソ歩いては葉の付け根などに頭をくっ付けて止まるので写真が撮り難く、その内手で突っついて追い立てたりして写真を撮りましたが、一応撮り終わった頃、やはりピンッと力強く跳んで何処かへ行ってしまいました。
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真っ正面から見ると、何処がどうなっているのか分からない位変な顔(2008/05/22)

 今日の写真は、被写体にかなり厚みがあったので、そんなに絞る必要は無かったのですが、絞りをついF32にして撮ってしまいました。結果的に鮮明度を欠くことになり、珍種の写真を台無しにしてしまったのは残念至極です。

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2008年7月 3日 (木)

キマダラセセリ

 前回、「今後、少し古い写真でも気にせずに掲載して行くことにします」と書きました。そこで、今日の主役は、昨年の6月に撮ったキマダラセセリにすることにしました。
 キマダラセセリは、最近は住宅地の中では数が少なくなりましたが、国分寺崖線の辺りにはまだかなり居ます。しかし、どういう訳かその後一度も撮影の機会がないので、昨年の写真を出すことにしたのです。

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シロツメクサで吸蜜するキマダラセセリ(春型)
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2007/06/19)

 「三丁目緑地」の斜面に作られた人工の広場に生えているシロツメクサ(クローバー)の花に来ていました。撮影は6月ですから春型です。
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キマダラセセリやイチモンジセセリは普通の蝶とは異なり
こう言う翅の開き方をする(2007/06/19)

 この辺りにいるセセリチョウは、イチモンジセセリが一番多く、ダイミョウセセリがそれに続き、チャバネセセリとこのキマダラセセリは、これらよりかなり少ないと思います。しかし、イチモンジセセリやチャバネセセリは春から秋にかけて分布を北に拡げてゆくので、秋に一番多くなりますが、キマダラセセリやダイミョウセセリには移動性がなく、季節による個体数の変化は余り感じられません。
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ストロボを焚くとセセリの眼には独特の反射模様が出来る(2007/06/19)

 キマダラセセリなどの典型的な形をしたセセリチョウは、真っ正面から見ると中々面白い顔をしているのですが、このキマダラセセリでは撮る機会が無かったのか、写真がありません。何れ別のセセリチョウで紹介しようと思います。

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2008年7月 2日 (水)

ヒメウラナミジャノメ

 今日はヒメウラナミジャノメを紹介します。ありふれた蝶ですし、翅も少し傷んでいますが、このWeblogではまだ蝶を5種しか紹介していないので、掲載することにしました。
 撮影した場所は「四丁目緑地」です。しかし、国分寺崖線に沿った所では何処でも見かけるごく普通の蝶です。

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ヒメウラナミジャノメ.原画を拡大すると鱗粉まで見えるが
この倍率では一寸無理
(クリックで拡大表示、以下同じ)
(2008/05/22)

 このヒメウラナミジャノメ、不思議なことに我が家を始め、住宅地では最近見たことがありません。昔は普通に居たのですが・・・。今、住宅地にもいるジャノメチョウの仲間は、ヒメジャノメヒカゲチョウ、(サト)キマダラヒカゲの3種だけの様です。
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少し翅が傷んでいるが、完全無欠の個体は少ない(2008/05/22)

 ヒメウラナミジャノメを含め、これらの蝶はみなイネ科の植物を食草としています。しかし、ヒメウラナミジャノメは主に草原に生えるイネ科植物を食べるので、住宅地には棲み難いのかも知れません。
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ヒメウラナミジャノメはこの様に半分翅を拡げて止まることが多い
(2008/05/22)

 ジャノメチョウ類の幼虫は、その殆どが尾部に突起を2本持っています。中にはヒカゲチョウの様に頭にも角を持つ種類も居ます。体には縦縞が何本かあり、かなり特徴的な姿をしているのですが、未だに見たことがありません。その内、捜してみようと思っています。
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吸蜜中のヒメウラナミジャノメ(2008/05/22)

 昨年、一昨年の写真を整理していたら、写真があるにも拘わらず未掲載の儘になっている種類がかなりあることに気付きました。以前にも書きましたが、このWeblogは成城の動植物を紹介するのが目的で、日記としての性格は余りありませんので、今後、少し古い写真でも気にせずに掲載して行くことにします。

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